インターネットやSNSを見ると、豆乳と甘酒で作った特製ドリンクを飲む「オプティマム・ファスティング」が話題になっています。
「オプティマム・ファスティング」とはどのようなダイエット方法で、本当に効果があるのでしょうか?また、リバウンドをすることはないのでしょうか?
豆乳と甘酒を使ったオプティマム・ファスティングの方法や効果について調べてみました。
目次
豆乳&甘酒を使ったファスティングダイエットとは?
豆乳と甘酒のドリンクを使った「オプティマム・ファスティング」とは、どのようなダイエット方法なのでしょうか?
筋肉量を落とさないファスティング
「オプティマム・ファスティング」とは、薬剤師で予防医学マイスターである坂田武士氏が提唱するファスティング(断食)を取り入れたダイエット方法です。
オプティマム(optimum)とは、最適な、最善の、という意味。
坂田氏によると、オプティマム・ファスティングとは、自分の最善の身体に体質を改善するダイエット方法で、筋肉量をキープしたまま余計な脂肪だけを落とせるそうです。
一般的なファスティングは、体重だけでなく筋肉も落ちてしまいます。しかし、オプティマム・ファスティングは筋肉量を維持したまま無駄な脂肪だけを落とすので、基礎代謝量は落ちずリバウンドもしにくいそうです。
「オプティマム・ファスティング」のメリット
坂田氏の著書『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本 筋肉が落ちない究極の楽やせファスティング』によると、オプティマム・ファスティングの効果には以下の5つがあるそうです。
1.通常のファスティングとは異なり、筋肉量を維持したまま脂肪だけを落とせる
2.ファスティングで胃腸を休めることで、エネルギー代謝力を高められる
3.腸内環境を良くすることで便秘の改善だけでなく、吹き出物や肌荒れも改善できる
4.味の濃いものを断つ間に味覚が研ぎ澄まされて、自然とヘルシーな料理を身体が求めるようになる
5.余計な糖分を摂らないことで疲労物質の乳酸の発生を抑え、疲れにくい身体になる
オプティマム・ファスティングの最大の目的は、体重を減らすために何度もファスティングをしなくてもいい体質に改善すること。
つまり、ファスティングで胃腸を休めてリセットすることで、エネルギー代謝が活発になる体質に改善し、脂肪が燃焼しやすい体質をキープし続けることにあるようですね。
【実践編】豆乳&甘酒「オプティマム・ファスティング」のやり方
坂田氏の著書『4日間で脂肪だけをキレイに落とす本』では、家でも実践しやすい4日間の短期集中プログラムが紹介されています。
胃腸を最大限に休めつつ、豆乳と甘酒を使った特製ドリンクを飲んで、筋肉量の維持に必要な栄養だけを摂るファスティング方法です。
家で実践できるオプティマム・ファスティングの特徴
坂田氏が提唱するオプティマム・ファスティングは、豆乳と甘酒にプロテインを混ぜた特製ドリンクを使用します。特製ドリンクは、糖質と脂質を適量に抑え、たんぱく質をしっかりと摂れる配合になっています。
ファスティング(断食)は、空腹との闘いというイメージがありますよね。
しかし、オプティマム・ファスティングは、特製ドリンクでたんぱく質をしっかりと摂ることで腹持ちが良くなり、空腹でイライラすることも少ないといいます。
空腹でつらくなりにくいという点では、取り組みやすいファスティング方法と言えるかもしれませんね。
オプティマム・ファスティングドリンクの材料
オプティマム・ファスティングのメインの食事となる特製ドリンクの材料は、豆乳、甘酒、そしてプロテインの3つです。
1.無調整豆乳
豆乳には、大豆を蒸して搾っただけの「無調整豆乳」と、飲みやすく加工した「調製豆乳」とがありますが、特製ドリンクには糖分や油脂が添加されていない無調整豆乳を使います。
できれば、大豆たんぱくを多く含んでいるタイプの無調整豆乳がおすすめです。
2.米麹甘酒
市販されている甘酒には、酒粕を原料としたものと米麹を原料としたものがあります。酒粕の甘酒には砂糖やはちみつなどの糖分が含まれているので、特製ドリンクには砂糖が入っていない米麹の甘酒を使用します。
3.プロテイン
市販のプロテインには、牛乳由来の「ホエイプロテイン」と「カゼインプロテイン」、大豆由来の「ソイプロテイン」の3種類があります。
このうち、オプティマム・ファスティングでは、特製ドリンクに使用するプロテインとして「ホエイプロテイン」を勧めています。
ホエイプロテインは好みのタイプで良いですが、できるだけたんぱく質が多く炭水化物が少ないものが理想のようです。
オプティマム・ファスティングドリンクの作り方
次に、特製ファスティングドリンクの作り方をご紹介します。
【材料】(1回分)
プロテイン(ホエイプロテイン) 20~25g
無調整豆乳 300ml
米麹甘酒 100ml
【作り方】
プロテインシェーカーに、豆乳、甘酒、プロテインを入れ、フタをしっかりと閉めてよく振って混ぜ合わせる。
【ポイント】
・プロテインシェーカーがない場合は、ペットボトルや水筒を利用するとよいでしょう。
4日間のオプティマム・ファスティングの実践方法
4日間のうち、本格的は断食期は2日目と3日目の2日間だけ。1日目はファスティングのための準備期で、4日目は通常の食事に戻す回復期となります。
1日目(準備期)は夕食だけをドリンクに置き換え
朝食と昼食は、和食を食べ、夕食からファスティングドリンクを開始します。朝食と昼食は和食で、魚介類の主菜、副菜、汁物、ごはんの定食が理想です。
主菜や副菜は好みのメニューでOKですが、たんぱく質(魚介類、大豆製品)、ビタミンやミネラル(野菜、きのこ、海藻類など)をバランスよく食べるようにします。
夕食時のファスティングドリンクは、できるだけ就寝の4時間前までに摂ることを勧めています。
2日目と3日目は本格的な断食期
2日目と3日目は、朝食、昼食、夕食のすべてをファスティングドリンクに置き換えます。
1回分のレシピは約400mlですが、多すぎて一度に飲みにくいようならば、時間をずらして2回に分けて飲んでもよいそうです。
逆に、活動量が多い人やどうしても足りない人は、量を増やしたり、間食にファスティングドリンクを追加で飲んだりしてもよいそうです。
また、水分補給は水かノンカフェインの麦茶などで行い、塩分補給にミネラルを多く含む自然海塩を少し舐めるようにします。ビタミンやミネラルを補うためにサプリメントを飲むとさらに効果的です。
ファスティング中は、歩いたり軽い筋トレをしたりするなど無理のない範囲での運動も行いましょう。
4日目は通常の食事に戻るための回復期
4日間のオプティマム・ファスティングの最終日は、通常の食事内容に戻していくための1日です。
断食後は身体が野菜や果物を求めるそうなので、朝食には食べたい生野菜や果物を食べます。昼食は、具材をシンプルにしたおかゆを、そして、夕食には再びファスティングドリンクを飲みます。
坂田氏によると、断食後は味覚が研ぎ澄まされて素材の味を感じやすくなるそうです。ですから、調味料は控えめにして、野菜やお米そのものの味をしっかりと味わってみましょう。
大切なのはファスティング後の食生活習慣
このダイエット方法で大切なことは、4日間のファスティングをきっかけとして、健康的な生活習慣にシフトチェンジしていくことにあります。
そのために、ファスティング後の1ヶ月間は特に意識して過ごす必要があるということです。
・肉中心の食生活だったのを、魚をもっと取り入れたメニューにする。
・朝食がパンだけだったのを、たんぱく質や野菜を取り入れた朝食を摂るようにする。
・夜にデザートを食べるのをやめて、代わりに豆乳を飲む。など
具体的には、たんぱく質・脂質・炭水化物(糖質+食物繊維)・ビタミン・ミネラルをバランスよく摂れるように意識します。
そして、これまでの食生活をふり返ってみて、上記のように太る要因をひとつ減らし、代わりに痩せる要因をひとつ増やす食生活に切り替えることが大切だそうです。
豆乳&甘酒のファスティングの効果は?理にかなった方法なの?
坂田氏の著書によると、オプティマム・ファスティングは98%の人が成功して、引き締まった身体になっているといいます。また、SNSでも経過を報告する投稿がいくつも見られます。
4日間のファスティングの結果、体重が1~2kg減ったという人、体重は大きく減らなかったけど体脂肪率が減ったと言う人が多いようですね。
その一方で、痩せなかったという人や、体調的に合わなかったなどの理由で中止している人もいるようです。
ファスティングドリンクのカロリーは適切なの?
『キッコーマン おいしい無調整豆乳』、『マルコメ プラス糀 糀甘酒LL』、『GronG ホエイプロテイン100 ココア風味』を使用して作ったファスティングドリンクの三大栄養素を計算してみました。
エネルギー 334.7kcal
たんぱく質:35.0g 脂質:10.7g 炭水化物:28.2g
PFCバランス(※) P 43.2:F 15.6:C 41.1(P:たんぱく質、F:脂質、C:炭水化物)
断食期の1日の摂取カロリーは約1,000kcal。18~49歳女性の1日の摂取目安は約2,000kcalなので、断食期は約半分のカロリーしか摂取していないことになります。
また、成人女性のたんぱく質の摂取目安量は50gなので、断食期のたんぱく質は、摂取目安の2倍の量を摂っていることになりますね。
では、三大栄養素のバランスはどうでしょうか?ダイエット中の三大栄養素のバランスは高たんぱく低脂質が望ましく、「P 30~40%:F 10~20%:C 40~60%」を目指すとよいとされています。
ファスティングドリンクのPFCバランスは使う原料によって多少変わってきますが、ダイエット中のPFCバランスとしてはほぼ理想的と言ってよいでしょう。
※体のエネルギー源となる三大栄養素、たんぱく質(protein)・脂質(fat)・炭水化物(carbohydrate)のエネルギー比率のこと
豆乳&甘酒にプロテインを足すことは理にかなっている?
では、無調整豆乳、米麹甘酒、ホエイプロテインを組み合わせたファスティングドリンクは、栄養面で見ると効果が期待できるのでしょうか?
複数のたんぱく質で効果倍増?!
たんぱく質は、種類によって成分や吸収率に違いがあるので、たんぱく質は複数の種類を組み合わせて摂ると効果的です。
豆乳に含まれているたんぱく質は大豆たんぱくなので、特製ドリンクに使うプロテインに牛乳由来のプロテインを組み合わせることで、たんぱく質の補給効果がさらに高まります。
たんぱく質は体内でアミノ酸に分解されて利用されます。体内で作れない必須アミノ酸のうち、BCAA(分岐鎖アミノ酸:バリン、ロイシン、イソロイシンの総称)は、筋肉の合成を促進したり、逆に筋肉の分解を抑制したりする筋肉づくりに欠かせない必須アミノ酸です。
BCAAは、ソイプロテインやカゼインプロテインにも含まれていますが、ホエイプロテインが最も多く含まれています。
また、甘酒にもBCAAが含まれているので、豆乳、甘酒、ホエイプロテインを組み合わせることで、筋肉量をキープする効果がさらに高まることが期待できますね。
たんぱく質は吸収速度も大切な要素!
たんぱく質は、種類によって身体へ吸収されるスピードが異なります。ホエイプロテインは吸収速度が2~3時間と速いため、エネルギー源として分解利用された筋肉のリカバリーに向いています。
一方、大豆たんぱくやカゼインは、5~7時間くらいかけてゆっくりと吸収されることが特徴です。
ゆっくりと吸収されるということは、体内に残っている時間が長いため腹持ちも良いということになります。
特製ドリンクは豆乳がメインのドリンクなので、断食期でも空腹に耐えられる理由はこのあたりにあると言えますね。
特製ファスティングドリンクのデメリット
特製ドリンクは三大栄養素のバランスが良い一方で、ビタミンやミネラルが不足しがちになるというデメリットがあります。
下のグラフは、豆乳300gと甘酒100gのドリンクを1日に3回飲んだ場合、ビタミンとミネラルは1日の摂取目安に対してどれくらい摂れるかという数値を示したものです。
これを見ると、断食中は多くのビタミンとミネラルが不足していることがわかりますよね。
どれだけたんぱく質をしっかりと摂ったとしても、ビタミンやミネラルが不足すると体内で十分に利用できなくなります。
ですから、不足するビタミンやミネラルは、サプリメントやプロテインに配合されている栄養素で補うしかありません。
また、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの多くを食品からではなく、サプリメントやプロテインと言った人工的な栄養素で補わなければならない点も、デメリットのひとつと言えるでしょう。
【結論】豆乳&甘酒のダイエットは本当に効果があるの?
オプティマム・ファスティングを経験した人の多くは、4日間で体重や体脂肪が減っています。しかし、断食中はカロリーを通常の半分ほどしか摂っていないので、体重や脂肪が減ることはある意味当然と言えます。
ファスティングで痩せられるのは一時的なこと。ファスティングで体重が減っても、元の食生活に戻るとすぐにリバウンドしてしまいます。リバウンドしないようにするため大切なことは、その後の食生活習慣の改善です。
自分が太ってしまう原因となった食生活を見直し、意識して改善することで太りにくい身体づくりをしていくことが、本当の意味のダイエットにつながります。
坂田氏は著書のなかで、ファスティング後の食生活の改善についてかなり詳細に触れています。それだけ、食生活の見直しを重要視していると言えますよね。
まとめ:豆乳&甘酒を使ったダイエットを健康生活のきっかけにしよう!
オプティマム・ファスティングは、豆乳・甘酒にプロテインを足したドリンクで、筋肉を落とさずに4日間のファスティングをするというダイエット方法です。
私は基本的に、ファスティングに対して栄養学的な面で懐疑的に思っているため、この方法を知った時もかなり否定的な見方をしていました。
しかし、著書をよくよく読んでみると、このファスティングは胃腸をリセットしてゼロに戻すためのきっかけのようなもの。
リバウンドなくダイエットを成功させるためには、その後の食生活への意識改革が重要であるという著者の考えは、納得できるものでした。
ダイエットを考えているなら、一度挑戦してみてもいいかもしれませんね。大切なのは、インターネットやSNSの情報に惑わされず、正しい方法で行うことです。