「ごま油は危険」はある意味本当!ではどうすれば安心して使えるの?
ごま油に危険性があるかもしれないって聞いたけど、本当かなあ。

美味しくて健康に良いことで人気が上昇しているごま油。しかし体に悪いという噂もちらほら聞かれます。

さまざまな意見があると戸惑ってしまいますが、ごま油は体に良い油でもあり“危険な油”にもなり得るというのが現状のようです。

この記事ではごま油が危険といわれる理由、安心してごま油を使うにはどうすれば良いかについてご説明します。

体に良いはずのごま油が「危険」と噂される理由は?

体に良いはずのごま油が「危険」と噂される理由は?

ごま油は植物性で体に良い油として知られますが「健康を害する危険性がある」という意見を目にすることがあります。

このようにごま油が体に良くないと言われるには、それなりに事情があるようですね。まずは、ごま油が危険といわれる理由を見てみましょう。

生活習慣病のリスクを高める

ごま油はコレステロール0、糖質0と体にやさしく、健康を害するような危険な成分も含まれていません。

むしろ、体に必要なリノール酸やオレイン酸、体調を整えるビタミンEやセサミンが豊富に含まれ、健康のために摂取したほうが良い油といえます。

ただ、ごま油に含まれる「リノール酸」のとり過ぎが生活習慣病のリスクを高めることから、ごま油のとり過ぎも良くないといわれているのです。

リノール酸というのは体に必要なオメガ6脂肪酸の一種で、ごま油に豊富に含まれています。

リノール酸自体はコレステロールを抑制する、健康に良い成分です。しかし、リノール酸は体内で炎症を起こす「アラキドン酸」も産生します。

このアラキドン酸が動脈硬化、高血圧、心疾患といった生活習慣病のリスクを高めてしまうため「リノール酸をとり過ぎてはいけない」といわれているのです。

アレルギーを悪化させる

花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギーを持つ人は、ごま油をとり過ぎるとアレルギー症状が悪化する危険性があるともいわれます。

これは、リノール酸から作られるアラキドン酸がアレルギー症状を起こす炎症物質を作り出し、アレルギー反応を起こしやすくしてしまうからです。

ごま油そのものにアレルギー症状を悪化させる性質はないので、ごま油を使うこと自体は問題ありません。

ただ、体内でアラキドン酸が増えてしまうことが良くないので、特にアレルギー疾患を持っている人はリノール酸のとり方に注意が必要なのです。

トランス脂肪酸が気になる

近年は、油脂に含まれる有害な「トランス脂肪酸」の存在が注目されるようになってきました。中には「ごま油にはトランス脂肪酸が含まれるのではないか?」と気にする方もいます。

トランス脂肪酸はバターやマーガリン、スナック菓子やドーナツなどに多く含まれ、とり過ぎると心疾患の危険性を高めるといわれています。

このトランス脂肪酸は油を高温で熱した時にできる副産物で、ごま油などの植物油にもごく少量含まれています。

ただ、ごま油に含まれるトランス脂肪酸はわずかなので、ごま油を少量使う程度ならばあまり神経質になる必要はありません。

カロリーが高くて太る

ごま油はヘルシーなイメージがありますが、大さじ1杯が約111kclaと高カロリーです。そのため、油断して使っているとあっという間にカロリーオーバーで太ってしまう危険性も…。

ごま油大さじ1杯のカロリーは、ごはん茶碗1/2杯分、板チョコ1/3枚分のカロリーに相当します。

つまり、一品のおかずに大さじ1杯のごま油をかけただけで、自動的にご飯1/2杯をおかわりしていることになってしまうのです。

ダイエットのためにごま油を使い始める人も多いのですが、逆に太ってしまっては意味がありませんよね。このように、ごま油はカロリーを把握していなければかえって危険な存在になってしまうことがあるのです。

ごま油のこんな使い方は健康を害する危険性あり

ごま油のこんな使い方は健康を害する危険性あり

ごま油はそれほど使い方の難しい油ではありません。ただし、食事への取り入れ方が少し間違っていると、健康に影響を及ぼす危険性が出てきてしまいます。

では、ごま油はどんな使い方をするのが健康に良くないのでしょうか。

ごま油の健康効果を期待しすぎ

ごま油は体に良い油ですが、摂取したら病気が予防できる、病気が治る、というものではありません。ごま油はあくまでも食品なので、薬のような効能を期待して依存するのは危険です。

たとえば、ごま油に含まれるリノール酸とオレイン酸はコレステロール値を抑制しますが、お酒の飲み過ぎ、運動不足を改善しない人がごま油だけ使ってもコレステロール値はなかなか抑制できません。

ごま油はあくまでも食品として体調を整えるものです。健康になりたいなら、ごま油だけ使うのではなく、あわせて生活習慣や食生活もあわせて改善する必要があるのです。

なんにでも「ちょいかけ」しちゃう

ごま油はばしい風味とコクがあるので、料理の仕上げに回しかけると、どんな料理も食欲をそそる一品に変身します。

風味付けにごま油を使うことは減塩効果につながり、むしろ良い調理法といえます。また、適量を「ちょいかけ」する程度なら問題はありません。

ただ、毎回毎食ごま油を使っていると使用量がかなり多くなってしまいます。「自分はごま油中毒かもしれないな」と心配になった方は、ごま油に変わる別の味付けも開発してみてください。

お肉が好きで青魚は食べない

お肉はよく食べるけど魚をあまり食べないという人は、ごま油をとることで生活習慣病の危険性が高まったり、アレルギー疾患が悪化しやすくなったりします。

青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸の「EPA」には炎症やアレルギーを起こすアラキドン酸を抑制する役割があるので、魚をあまり食べない人は体内でアラキドン酸が増えてしまうのです。

オメガ6系脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸)とオメガ3系脂肪酸は、バランス良くとることが理想とされますが、魚よりも肉をよく食べる人はすでにオメガ6系脂肪酸のとり過ぎになっているので、食事のバランスにも気を使わないといけないのです。

使用量を把握していない

ごま油をかけると料理が美味しくなるからと言って上からドバドバかけてしまうと、1回の使用量がかなり多くなってしまいます。

もし毎食、毎日そんなことをしていると、慢性的にリノール酸やカロリーのとり過ぎになってしまう危険性があるでしょう。

油自体は無味で使い過ぎても気付かないことがあるので、目分量だと思っているよりたくさん使ってしまう可能性があります。ごま油を使う時はスプーンで計量するなどして、使用量をきちんと把握しておきましょう。

もう危険な油とは言わせない!ごま油の上手な使い方

もう危険な油とは言わせない!ごま油の上手な使い方

ごま油はちょっとしたことで使い過ぎ、リノール酸のとり過ぎという危険性を招いてしまいます。

ただし、ごま油の使い方や食事全体のバランスを見直せば、安心してごま油を楽しむことができますよ。ここでは、ごま油の上手な使い方をご紹介します。

使い過ぎに気を付ける

ごま油の1日の使用量の目安は大さじ1杯までです。トータルでこれ以上にならないよう、使用量を意識しながら食事に取り入れていきましょう。

料理の仕上げにちょいかけする場合は、1人分の料理に対し数滴をかける程度がちょうどいい量ですね。小さじに出してからかけるか、口の小さなミニボトルから1滴ずつ出すようにすると使い過ぎが防げますよ。

スプレーボトルに詰め替えれば、一度に出し過ぎることがありません。ポンプ式のボトルならスプレーしやすく、まんべんなく油を行き渡らせることができます。

意識して青魚を食べる

青魚に含まれるEPAが不足すると、リノール酸から産生したアラキドン酸が増えて体に炎症を起こすので、ごま油の好きな人は青魚を積極的に食べることも必要です。

毎食、毎日は難しいかもしれませんが、週3回以上魚を食べている人はそうでない人に比べ心疾患の危険性が低くなることが分かっているので、意識して魚を食べることをおすすめします。

ちなみにEPAが多く含まれるのは以下の魚です。

  • いわし
  • さば
  • ぶり
  • あじ
  • まぐろ

※ただし、妊婦さんはまぐろを食べるのは1週間に一切れ(約80g)までとしてくださいね。

お菓子を食べ過ぎない

リノール酸は、ごま油以外にコーン油やサラダ油など身近な油にも豊富に含まれています。

また、それらの植物油を使ったお菓子、加工食品などを食べることで私たちは知らない間にリノール酸をたくさんとり込んでいます。

このように私たちはすでにリノール酸を十分に摂取しているため、ごま油を常用するとリノール酸のとり過ぎが進んでしまいます。

そのため、食生活でごま油を積極的に使っていく場合は、サラダ油、お菓子やパン、惣菜などは控えめにするのが安心です。

低温圧搾製法のごま油を生食で

ごま油の製造法には、高温で抽出または圧搾して油を搾り出す方法と低温で圧搾する方法があります。

高温で加熱してごま油を製造する場合にはトランス脂肪酸が生じますが、ごま油に含まれるトランス脂肪酸はわずかなので、基本的にはそれほど危険性はありません。

ただ、少しでも体に良いごま油を選びたい方には、少しお高くなりますが低温圧搾製法で作られたごま油をおすすめします。

低温で焙煎・圧搾したごま油は明るいコハク色とさっぱりした風味が特徴で、幅広い料理に使えます。香りがマイルドなので、サラダやマリネで生食に使うのもおすすめです。

開封したら早めに使い切る

ごま油は比較的酸化しにくい油ですが、ほかの油と同様に開封した時点から酸化が始まるので、油断せず早めに使い切ることが大切です。

ごま油は開封後2~3ヶ月以内に使い切ることを目安として、家庭でのご利用に合ったサイズのごま油を選びましょう。

ペットボトルや業務用など大容量になるほどコストパフォーマンスは良くなりますが、ご家庭では新鮮なうちに使い切ることを重視し、小さめのサイズを短期間で使い切ることをおすすめします。

揚げ物には太白ごま油を

揚げ物が好きな方には、揚げ油にごま油を使うこともおすすめします。一般に使用済みの油は加熱や酸化によって劣化し、不快なにおいや食中毒のもとになる危険物質が増えてしまいます。

ですが、ごま油は強火で熱してもほかの油より酸化しにくいので、繰り返して使う場合に起こる油の劣化が抑えられ健康のためにも良いです。

揚げ物に使う場合は、ごま特有の味と香りがない「太白ごま油」が適しています。ごまを焙煎していないので透明で、香ばしい風味もついていません。

家庭ではキャノーラ油やサラダ油を使うことが多いと思いますが、少々お高くても太白ごま油を使ったほうが油切れが良く、天ぷらやフライをサクッと美味しく揚げることができますよ!

まとめ:ごま油が「危険な油」になるかどうかは使い方次第

ごま油には「カロリーが高い」「リノール酸のとり過ぎにつながる」といったデメリットがあり、使い方によっては健康を害する危険性も出てきます。

ただし食事のバランスを考慮して食生活に取り込めば、全く心配なく使うことができます。

ごま油はどちらかというと使うメリットが多い油なので、あまり神経質にならずに楽しんでいただけると嬉しいです。

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