ココナッツオイルコーヒーはダイエットに有効?!効果や弊害を検証!
ココナッツオイル入りのコーヒーを飲むと、運動もカロリー制限もしないで痩せられるらしい!

一般的にダイエットというと、カロリー制限や運動がお約束。しかし、カロリー制限や毎日の運動には我慢と根気が必要!ダイエットに挫折してしまう人の大半が、我慢と根気が続かないのが原因ではないでしょうか。

もしも、ココナッツオイルコーヒーを飲むだけでカロリー制限や運動もせずにダイエットができるとなると、そんな夢のような話はないですよね?

そこで、ココナッツオイルを入れたコーヒーで本当にダイエットができるのか、そして、危険性はないのかどうかについて検証してみました。

ネット上のココナッツオイルコーヒーの情報がバラバラ?!

ネット上のココナッツオイルコーヒーの情報がバラバラ?!

ココナッツオイルコーヒーとダイエットの関係を知るために、まずは、インターネットでココナッツオイルコーヒーを飲むダイエットに関する情報を集めてみました。

ココナッツオイルコーヒーでよく聞くプラス効果

さまざまなサイトで紹介されている、ココナッツオイルを入れたコーヒーを飲むことで得られるダイエット効果をざっとまとめると、以下のようなことが書かれていました。

・脂肪がつきにくく、貯まった脂肪が消費されやすい

・腹持ちが良くなり、食事量が抑えられる

・便通が良くなる

また、ダイエット以外にも、代謝を良くする、老化を防止する、血糖値や血圧の改善などの効果をあげているサイトもありました。

作り方や分量の情報もマチマチ…?!

ココナッツオイルオイル入りのコーヒーの作り方について調べてみると、ココナッツオイルの分量やココナッツオイル入りのコーヒーを1日にどのくらい飲めばいいのかについての情報は、サイトによってマチマチでした。

・コーヒー1杯に小さじ1杯

・200cc(サイトによっては250ml)のコーヒーに対し、ココナッツオイル大さじ1杯が目安。

・1日3回が理想だが、朝だけでもよい

・1日に摂るココナッツオイルの量は、ココナッツオイルは1日大さじ2~6杯が目安

・ココナッツオイルの摂取量は1日に大さじ1杯まで

サイトによって情報が違っているので、いったいどの情報が正しいのかがよくわかりませんよね。

飲み方に関する注意点の情報もバラバラ

ダイエット目的でココナッツオイル入りのコーヒーを飲む場合は、糖質制限を行うことが大前提だそうです。

しかし、どの程度の糖質制限が必要なのかについても情報がマチマチでよくわかりません。運動に関しても、運動は特に必要ないとしているサイトと、一定以上の運動が不可欠としているサイトとがありました。

また、使うコーヒーに関しても、インスタントコーヒーはダメ、ブラックならインスタントでも缶コーヒーでもOK、ミルクは入れてよい、など情報はバラバラでした。

情報の出どころは?

情報が曖昧なのでさらに調べてみると、ココナッツオイル入りのコーヒーで痩せられるという方法は、TV番組で紹介されたココナッツオイルコーヒーでのダイエットが情報源のようです。

ココナッツオイルを入れたコーヒーを飲むダイエットの方法は、2015年に「所さんの目がテン!」や「世界ふしぎ発見」などで紹介されていました。

この情報をもとに、ココナッツオイルコーヒーを飲むダイエット方法について調べてみました。

TVで紹介されたココナッツオイルコーヒーダイエットとは?

TVで紹介されたココナッツオイルコーヒーダイエットとは?

ココナッツオイルを入れたコーヒーによるダイエットは、「世界ふしぎ発見」をはじめ複数の番組で紹介されているようですが、2015年2月24日に放送された日本テレビの「所さんの目がテン!」で大きな注目を集めたようです。

「所さんの目がテン!」で紹介された内容

ココナッツオイル入りのコーヒーによるダイエットを紹介していたのは、当時順天堂大学の教授をしていた白澤卓二医師。

白澤医師は、「抗加齢学(アンチエイジング)の第一人者」とも呼ばれている医学博士であり、機能性医学の第一にイン者である斎藤糧三医師とともに、「白澤式ケトジェニックダイエット」を提唱した人物でもあります。

白澤氏が提案していたココナッツオイルコーヒーによるダイエットのポイントは以下の3つです。

1.コーヒー1杯に大さじ1杯のココナッツオイルを入れてミキサーにかける

2.食事の3時間前に飲む

3.食事の糖質制限を行う

ココナッツオイルコーヒーをミキサーにかけるのは、ココナッツオイルの粒子を細かくすることで消化吸収しやすくするためだそうです。

番組で行った検証の結果は?

番組では、男女4人にココナッツオイルコーヒーと糖質制限によるダイエットを2週間行ってもらい、体重が減るかどうかを検証していました。

すると、1人は糖質制限がつらくてリタイヤしたそうですが、残りの3人は2週間後に体重を測定すると2.2kg~5.2kgも減っていたそうです。

ココナッツオイルコーヒーによるダイエット方法の詳細はわかりませんが、2週間で体重が大幅に減っていたことは事実のようですね。

白澤医師によると、ココナッツオイルコーヒーで体重が減った背景にはケトン体が関係しているといいます。

さらに調べてみると、ココナッツオイル入りコーヒーを飲むダイエット方法は、「ケトジェニックダイエット」の一環であることがわかりました。

ココナッツオイルコーヒーダイエットってどんな仕組み?

ココナッツオイルコーヒーダイエットってどんな仕組み?

白澤医師の著書「いちばんやさしいケトジェニックダイエットの教科書」で、ココナッツオイルを入れたコーヒーを使ったダイエットについて調べてみました。

ケトジェニックダイエットとは?

私たち人間の身体は、糖質、脂質、たんぱく質をエネルギー源としていますが、そのうち、最も優先的に使われるのが糖質のエネルギー源です。

エネルギー源として使った糖質が余ると、グリコーゲンという物質に形を変えて肝臓や筋肉に蓄えられ、グリコーゲンがいっぱいになるとさらに余った糖質は脂肪となって体内に蓄えられます

ケトジェニックダイエットとは、糖質を制限することで身体のエネルギー源を糖質から「ケトン体」という物質に切り替えて、太りにくい体質にしてしまおう!というダイエット方法です。

飢餓状態のときに使われるエネルギー源「ケトン体」

糖質が余ると脂肪として蓄えられますが、逆に糖質(ブドウ糖)が足りなくなると、身体は飢餓状態になったと判断し、肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンをグルコース(ブドウ糖)に分解してエネルギーとして使います。

しかし、筋肉や肝臓に蓄えられるグリコーゲンの量は決まっているので、半日~1日程度で使い切ってしまいます。

グリコーゲンがなくなると、今度は蓄えられた脂肪(脂肪酸)を分解して「ケトン体」という物質を作り出し、それをエネルギー源として使うようになります。

ケトジェニックダイエットは、飢餓状態でケトン体をエネルギー源として使う身体の仕組みを応用した方法です。

ケトン体で太りにくい体質に!

飢餓状態の時にエネルギー源となるケトン体は、糖質とはまったく別の経路で作り出されます。

身体の細胞に蓄えられた脂肪酸を分解してケトン体を合成するため、蓄えられた脂肪が消費されるだけではなく、余ったケトン体が脂肪となって蓄えられることもありません。

ケトジェニックダイエットは、糖質制限によって意図的に飢餓状態を作り出すことでブドウ糖ではなくケトン体を身体のエネルギーとして使えるように持っていき、太りにくい体質にしてしまおうという考え方です。

ココナッツオイル入りコーヒーでケトン体の生成を促進

脂肪からケトン体を作り出すにはある程度の時間がかかってしまいます。ケトン体を効率よく作り出す手助けをするものがココナッツオイルです。

ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸は、一般的な脂肪の約4倍の速さでエネルギー源となる特徴があります。

白澤医師によると、食事の3~4時間前にココナッツオイルコーヒーを飲むと、ケトン体がすばやく作られてエネルギーとして利用されるため、次の食事までに空腹を感じにくく、間食が必要なくなるといいます。

ココナッツオイルコーヒーダイエット実践時の4つのルール

ココナッツオイルコーヒーダイエット実践時の4つのルール

ココナッツオイル入りのコーヒーをダイエットに取り入れるには、4つのルールが存在します。白澤医師が推奨している方法をご紹介します。

1.ココナッツオイルコーヒーの飲み方

「白澤式ケトジェニックダイエット」によると、効果を高めるためのココナッツオイルの摂取目安は、1回につき大さじ1杯(13g)

ココナッツオイルの香りはコーヒーにとてもよく合い、ココナッツオイルを手軽に摂れるため、コーヒーに入れて飲むことを勧めているそうです。

ココナッツオイルコーヒーは1日に2~3回飲む方法がおすすめ。ケトン体を効率よく作り出して腹持ちをよくするために、食事の3時間前に飲むとよいそうです。

ココナッツオイルは乳化させて飲む方が吸収がよくなるので、クリーマーやミキサーで攪拌して飲むことを推奨しています。

2.炭水化物制限の方法

ケトジェニックダイエットにおいて最も重要な要素が糖質制限だそうです。ですから、ココナッツオイルコーヒーをダイエットに取り入れる場合も、糖質制限が必要不可欠になります。

摂ってもよい糖質量の目安は、ダイエット目的の場合は1日あたり60g、生活習慣病の予防・改善や老化防止などの健康目的の場合は1日あたり120gだそうです。

参考までに、いろいろな食品に含まれている糖質の量は次のとおりです。

食品名糖質量(g)
ごはん(普通の茶碗に中盛り) 1杯59.8
食パン6枚切 1枚26.6
牛乳 200cc9.6
バナナ 1本19.3
みかん 1個8.3
砂糖 小さじ1杯3.0
かけうどん 1杯62.9
肉じゃが 1人分18.0
とんかつ 1枚4.8
コカ・コーラ アクエリアス 500ml 1本20.4

お茶碗普通盛りの1杯のごはんの糖質量が約60g。ケトジェニックダイエットの1食あたりに摂れる糖質の量をごはんに換算すると、茶碗に1/3程度の量ということになりますね。

ただし、これはごはんしか食べなかった場合の量です。上の表のように、糖質はさまざまな食べ物に含まれているので、1日に60gという量は、かなり厳しい量と言えそうですね。

3.たんぱく質をしっかりと摂る

糖質制限をすると、食べた糖質の量ではエネルギー源として足りないので、筋肉からたんぱく質を分解してエネルギー源にしようとします。

糖質に加えてたんぱく質も不足ぎみだと、筋肉量が落ちてしまい基礎代謝も下がって太りやすくなってしまいます。

ですから、ケトジェニックダイエットでは、1日に体重1kgにつき1.2~1.6gのたんぱく質を摂ることを推奨しています。

例えば、体重50kgの人では必要なたんぱく質量は60~80g。厚生労働省によるたんぱく質の摂取目安は18歳以上の女性の場合は50gなので、摂取目安よりもやや多めと言えますね。

4.野菜をたくさん食べる

野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維の他、色の濃い野菜には抗酸化物質も豊富に含まれています。特に、糖質制限をすると食物繊維が不足しがちになるため、野菜をしっかりと食べることが必須です。

日本人の摂取基準によると、18歳以上の食物繊維の摂取目安は男性は20~21g、女性は17~18gですが、ケトジェニックダイエットでは、1日に30g以上を摂ることを推奨しているようです。

また、野菜の量としては1日に350g以上を推奨しているようです。

日本人の野菜の摂取目安は1日に350g。1.5~2倍近い食物繊維を野菜から取ると、単純計算でも525~630gの野菜を食べる必要があります。

2019年の「国民健康・栄養調査」によると、日本人の野菜摂取量の平均は280.5gなので、その倍以上の野菜を食べなければなりません。これは、かなり難易度が高そうですね。

ココナッツオイルコーヒーを飲むダイエットに関する疑問点

ココナッツオイルコーヒーを飲むダイエットに関する疑問点

白澤医師らが提唱するケトジェニックダイエットは、糖質を制限して意図的に飢餓状態を作るというもの。

エネルギー源となるケトン体を効率よく作って利用するためにココナッツオイルコーヒーを1日2~3杯飲むという方法です。

白澤医師の著書「いちばんやさしいケトジェニックダイエットの教科書」読むと、ケトジェニックダイエットはいいこと尽くしのように感じますが、筆者は個人的にいくつかの疑問を感じました。

疑問その1:脂質の摂取量が示されていない

本来のケトン食療法は「低糖質高脂質」。糖質制限によって不足するカロリーを脂質で補うことがセオリーだそうです。

しかし、ココナッツオイルコーヒーを飲むダイエットや「いちばんやさしいケトジェニックダイエットの教科書」では、ココナッツオイル以外の脂質の摂取量が示されていません。

ダイエット目的の場合、ケトジェニックダイエットで1日に摂取する糖質の量は60g。「日本人の摂取基準」の糖質の摂取量目安よりも200~250gほど少なくなります。

例えば30~49歳の女性の場合、通常よりたんぱく質を多めに摂って、1日に大さじ3杯のココナッツオイルを摂ったことを加味しても、1日に必要なエネルギー量よりも390~600kcalほど足りません。

中性脂肪を分解して作り出したケトン体のエネルギー量で不足分のエネルギーが補えるかどうかが明らかにされていないのです。

ですから、番組の実験で2週間で2~5kgの減量に成功した理由が、ココナッツオイルコーヒーの効果によるものなのか、それとも単なるエネルギー不足なのかわからないということになってしまいますよね。

疑問その2:飽和脂肪酸の摂りすぎのリスクは?

油脂の成分である脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。

そのうち、飽和脂肪酸の摂りすぎはLDL(悪玉)コレステロールが増えるため、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症などの動脈硬動脈硬化性疾患のリスクが高まることで知られています。

そのため、飽和脂肪酸は1日の摂取基準が決められています。

ココナッツオイルは成分の約8割が飽和脂肪酸なので、1日に大さじ2~3杯もココナッツオイルを摂取すると、1日の飽和脂肪酸の摂取目安の2倍以上をとることになってしまいます。

白澤医師は著書の中で次のように言っています。

脂質を積極的にとっても太ったり、動脈硬化が進行することはない。糖質制限をしていれば、中性脂肪がケトン体になって消費される。

「いちばんやさしいケトジェニックダイエットの教科書」/白澤卓二著

白澤医師は、不飽和脂肪酸のうちサラダ油やなたね油に含まれるオメガ6系の脂肪酸は動脈硬化を促進するが、ココナッツオイルは肝臓ですばやくケトン体に変換されてエネルギーとして消費されるよい脂肪酸だから問題はないとしています。

脂肪酸と動脈硬化の関係は新しい事実がどんどんわかってきているので、さまざまな考え方があるのは事実です。

しかし、ココナッツオイルは動脈硬化を引き起こさないという白澤医師の説明は、栄養学の観点からすると説得力に欠けているように感じます。

専門家の評価は賛否両論がある!

ケトン体の機能や効果に関する研究はまだまだ発展途上。何が正解で何が違っているのかのはっきりとした事実が明らかになっていないことが多いそうです。

ケトジェニックダイエットによる減量法についても同じで、医師や栄養学の専門家はさまざまな考えを持っているため、賛否両論があるようです。

ケトジェニックダイエットは減量だけでなく、さまざまな健康効果が期待できるという専門家がいる一方で、次のような弊害がある可能性を指摘する専門家もいます。

急性の副作用

・吐き気、むかつき、無気力感、呼吸機能の低下、意識の低下、脱水症状など

長期的な副作用

・LDLコレステロールが増加して生活習慣病のリスクが高まる

・銅や亜鉛などの微量ミネラルの欠乏や骨のミネラルの量の減少

この他にも、腎臓結石や尿結石などさまざまな身体の不調を引き起こすことを指摘する論文や、ケトジェニックダイエットによる減量法の肥満への効果やメカニズムそのものを否定する論文も存在しています。

まとめ:ココナッツオイルコーヒーによるダイエットは正しい情報を知ることが大切!

ココナッツオイルコーヒーによるダイエットについて調べると、実にいろいろな情報が出てきます。効果や方法についてもマチマチで、いい加減な情報がたくさん存在していることも事実です。

ケトジェニックダイエットに関しては専門家のなかにもさまざまな考え方があるため、効果の有無やメリット・デメリットについては一概には言い切れません。

ですが、間違った情報を鵜呑みにしてしまうと、思わぬ弊害が生じるかもしれません。

当記事内でご紹介した白澤医師の著書には、ここでは紹介しきれていない情報がたくさん載っています。

ココナッツオイルコーヒーを飲んでケトジェニックダイエットに挑戦したいと思ったら、まずは正しい情報を入手することから始めてみてください。

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