スープだけではなく洋食を作る時に欠かせない調味料ですよね。手軽で便利なのでとても重宝しますが、アレルギーが心配という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、コンソメやブイヨンに含まれるアレルギー物質(アレルゲン)を解説するとともに、表示を見る時の注意点や代用品、アレルギー対応のコンソメ&ブイヨンも合わせてご紹介します。
目次
市販のコンソメのアレルギー表示はどこを見ればわかる?
市販のコンソメやブイヨンにどのようなアレルゲンが含まれているのかを知るには、どこを見ればよいのでしょうか?
パッケージにわかりやすく書かれている場合が多い
市販のコンソメにアレルギー物質が含まれているかどうかは、パッケージを見るとわかるようになっています。大半の商品には、パッケージの裏側や側面に、含まれるアレルゲンがわかりやすく表示されています。
上の画像は、イオントップバリュのコンソメのパッケージの裏面の一部分ですが、パッケージ裏面の左下の部分に”アレルゲン28品目中●「乳、小麦、大豆、鶏肉、豚肉」の成分を含んだ原材料を使用しています。”と書かれていますよね。これがアレルギー情報です。
書き方はメーカーによって異なりますが、多くの加工商品には、このように原材料表示とは別にアレルギー情報が書かれています。
原材料を見るとアレルゲンが確実にわかる!
加工品のアレルギー表示は、「食品表示法」に基づいて示されますが、原材料と別に書かれているアレルギー情報は、必ず表示しなければならないわけではなく、メーカーがわかりやすいように任意で書いている情報なのです。
ですから、商品によっては、原材料表示だけでアレルギー情報がないものもあります。
アレルギー情報が見当たらない場合や、さらに詳しくアレルギーの情報を見たい場合は、原材料表示を見ると確実です。一例を見てみましょう。
食塩(国内製造)、乳糖、砂糖、食用加工油脂、野菜、肉エキス(はくさいエキス、チキンエキス、酵母エキス発酵調味料、ビーフエキス、食用油脂)、香辛料、野菜エキス、しょうゆ、果糖、酵母エキス/調味料(アミノ酸等)、加工でん粉、酸味料、(一部に小麦、乳成分、牛肉、大豆、鶏肉を含む)
アレルゲンとなる食材が含まれている場合は、原材料名を見ると一目瞭然ですよね。上の原材料表示の場合は、チキンエキス(鶏肉)やビーフエキス(牛肉)が使われていることがわかります。
一見してわからない場合は括弧書きで表示
原材料名を見ただけではわからないけれども、使われている原材料にアレルゲンが含まれている場合も、該当するアレルゲン名を別途表示する必要があります。
上の『味の素KKコンソメ 固形タイプ』の原材料表示を見ると、原材料の最後に括弧書きで、(一部に小麦、乳成分、牛肉、大豆、鶏肉を含む)と書かれていますが、これがアレルギー表示に該当します。
次に、ネスレ日本の『マギーブイヨン固形タイプ』の原材料を見てみましょう。
食塩、砂糖、デキストリン、牛脂、でん粉(小麦を含む)、粉末しょうゆ(大豆を含む)、シーズニングパウダー、配合調味料、たまねぎ、酵母エキス、にんにく、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、クエン酸、香辛料抽出物、香料、酸化防止剤(ビタミンE)
こちらは、”でん粉(小麦を含む)”のように、原材料ごとに(〇〇を含む)というアレルギー表示がされていますよね。
こちらの表示方法ならば、どの原材料にアレルギー物質が含まれているかということがわかりやすいですよね。
このように、原材料名からはアレルゲンが含まれているかどうかがわからないような場合は、含まれるアレルゲンを最後に一括で表示するか、もしくは個別の原材料ごとに表示することが義務付けられています。
どちらのケースでも、必ず(〇〇を含む)と括弧書きで表示されているので、括弧書きの中の”含む”の文字を探すとよいでしょう。
コンソメ&ブイヨンに含まれるアレルギー物質を解説
では、市販のコンソメやブイヨンには、どのようなアレルゲンが含まれている可能性があるのでしょうか。次に、市販のコンソメやブイヨンに含まれるアレルゲンについて、詳しく解説していきます。
アレルギー表示が必要な食品とは?
2022年8月時点でのアレルギー表示には、アレルギー患者数が多く、症状も重くなりやすい「特定原材料」7品目と、アレルギー患者数や症状が重篤化することは少ない「特定原材料に準ずるもの」21品目のが指定されています。
★特定原材料(7品目)→表示は義務:
えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
☆特定原材料に準ずるもの(21品目)→表示を推奨:
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
特定原材料の7品目は、パッケージに必ず表示するように義務付けられているのに対し、特定原材料に準ずる21品目は表示義務はありませんが、できる限り表示することが推奨されています。
市販のコンソメやブイヨンに使われているアレルギー物質とは?
アレルギー表示が義務化されている7品目と、表示が推奨される21品目のなかで、市販のコンソメやブイヨンに含まれる可能性のあるアレルゲンにはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説します。
牛肉・豚肉・鶏肉
本来の意味の「ブイヨン(bouillon)」は、フランス語で「だし」のこと。肉や骨に野菜や香辛料を加えてじっくりと煮込んで作ります。
そして、「コンソメ(consommé)」は、完成された澄んだスープのこと。卵白などでブイヨンの不純物を取り去って透明にして、塩や胡椒などで味付けをしたスープのことを言います。
市販のコンソメやブイヨンも、肉や骨から取ったエキスが欠かせません。
商品によって牛か豚か鶏の違いはあるものの、一般的な市販のコンソメやブイヨンには、少なくとも牛肉、豚肉、鶏肉のどれかひとつは必ず使われていると思っておいてよいでしょう。
小麦・大豆
小麦に含まれているたんぱく質がアレルゲンであり、主に、しょうゆや「〇〇エキス」や「たん白加水分解物」などの調味料、「オニオンパウダー」などの粉末野菜、でん粉や香辛料などに含まれている可能性があります。
「たん白加水分解物」のように小麦を原料としているものの他、香辛料や粉末野菜のように小麦そのものが含まれている場合もあります。
また、大豆は、しょうゆや「〇〇エキス」、「たん白加水分解物」などの調味料の原料として使われているケースがほとんどです。
乳製品
コンソメやブイヨンに乳製品が含まれている場合、「乳糖」が使われているケースがほとんどです。乳糖は、牛乳などに含まれている糖分の一種で、主に粉末を均一に分散させる目的で使われています。
乳糖は牛乳からたんぱく質などを除去して精製されたものですが、微量のたんぱく質が残っている場合があるので、牛乳アレルギーの人は注意が必要です。
アレルギーの一括表示の誤認に注意!
先にご紹介した『味の素KKコンソメ 固形タイプ』のように、アレルギー物質が一括表示されている場合は、見落とさないように注意する必要があります。例えば、次のような一括表示の原材料表示があったとします。
食塩、乳糖、砂糖、植物油脂、チキンエキスパウダー、オニオンパウダー、香辛料、粉末しょうゆ、酵母エキス、チキンオイル、/調味料(アミノ酸等)、酸味料、(一部に小麦・乳成分・大豆・鶏肉を含む)
一般的なしょうゆには原料として小麦粉が使われますが、小麦粉に含まれるたんぱく質はしょうゆの醸造(発酵・熟成)過程で分解されます。
そのため、基本的に小麦アレルギーでもしょうゆは除去する必要がないと言われています。
上記の原材料表示では、一見するとしょうゆ以外で小麦粉を使っている原材料はなさそうに見えます。
しかし、実際には、しょうゆだけでなく、チキンエキスパウダーやオニオンパウダーにも小麦が使われている可能性が高いため注意が必要です。
実際に、上記のような表示を見て、コンソメに使われている小麦はしょうゆだけだと思い込んで料理に使用し、食べた人が小麦アレルギーを発症してしまった事例も報告されています。
自己判断は禁物!わからなければメーカーに問い合わせを!
個々の原材料ごとにアレルギー表示がしてある個別表示であれば、もう少しわかりやすいのですが、一括表示の場合だとどの原料にどのようなアレルゲンが含まれているのかがわかりづらいですよね。
ですから、原材料表示をよく見て見落としに注意し、あいまいな場合に自己判断をすることは絶対にやめましょう。
食べても大丈夫かどうかがはっきりしない場合は避けた方が無難です。もしくは、メーカーに問い合わせをして、含まれているアレルゲンを確認するようにしてください。
アレルギー対応のコンソメ&ブイヨンをご紹介!
市販のコンソメやブイヨンはたくさんの種類の商品が販売されていて、商品によって含まれているアレルゲンもさまざまです。
ですから、アレルギーのある人でも食べられるコンソメやブイヨンが必ずあるはずなので探してみるとよいですね。一部の商品をご紹介しましょう。
特定のアレルゲンが含まれていないコンソメ&ブイヨン
肉類、小麦、大豆、乳製品のうち、特定のアレルゲンが含まれていないコンソメやブイヨンの一例として、次のような商品があります。
ユウキ 『MC(マコーミック) 化学調味料無添加コンソメ』(乳不使用)
食品添加物のうま味調味料(化学調味料)を使用していないコンソメです。チキンとビーフと野菜のエキスを凝縮しています。
光食品 『チキンコンソメ』(乳不使用、小麦アレルギーでも食べられる可能性大)
飼料にもこだわって育てた国産若鳥の鶏ガラ、国産有機野菜、有機しょうゆ、国産の塩や粗糖、香辛料のみを使い、食品添加物やた工業的に生産された調味料などを一切使用していない液体タイプのコンソメです。
有機しょうゆの原料として大豆と小麦が含まれていますが、小麦は醸造過程で分解されるため小麦アレルギーの人でも食べられる可能性が高いといえます。
シマヤ 『無添加コンソメ』(小麦・大豆不使用)
『だしの素』でおなじみの「シマヤ」が製造販売しているコンソメです。チキンコンソメに昆布のだしを合していることが大きな特徴で、やさしいうす塩味に仕上がっています。
ネスレ 『マギー コンソメ 無添加』・『マギー コンソメ 無添加 野菜』(乳・大豆不使用)
調味料としてしょうゆを使っていないので、大豆アレルギーの人でも食べられます。
ちなみに、「マギー」のシリーズで、乳由来の原材料が含まれているのは『マギー ブイヨン 無添加』だけ。それ以外のコンソメやブイヨンには乳由来のアレルゲンは含まれていません。
前田家 『チキンコンソメ』(乳・小麦不使用)
原材料は、国産の鶏肉、たまねぎ、キャベツ、人参、セロリ、おからのみ。特許製法で作ったチキンコンソメのだしパックです。
食品添加物はもちろん、エキスや調味料等も一切使用しておらず、鶏肉は山口県の銘柄鶏である「長州どり」を使用しています。
リケン 『コンソメ粉末(業務用)』(乳・小麦不使用)
理研ビタミンの業務用のコンソメ粉末です。ビーフエキスや野菜エキスに香辛料を加えて仕上げています。
完全アレルゲンフリーのコンソメ
特定原材料の7品目と、特定原材料に準ずる21品目をまったく使用していないスープの素には、以下の2商品があります。
ネスレ 『マギーブイヨン 無添加 アレルギー特定原材料等 28品目不使用』
肉類のエキスではなくたまねぎからだしを取り、しょうゆ、小麦由来の調味料を一切使用していない洋風スープの素です。28品目のアレルギー特定原材料等に該当する原材料は、他にも一切使用していません。
茅乃舎 『野菜だし』
玉葱、にんにく、セロリ、人参、キャベツのこだわりの5種類の国産野菜を乾燥させ、熊本県天草産の海塩で味付けをした野菜だしです。
野菜本来のうま味や甘みを味わえるのが特徴で、アレルギー特定原材料等の28品目は一切使用していません。
アレルギー対策コンソメがない時は?代用方法をご紹介
もしも、該当するアレルゲンが入っていないコンソメが見つからない場合に、代用品として使える食材をご紹介します。
味の素 『丸鶏ガラスープ』
市販のコンソメやブイヨンに似た調味料に、鶏ガラスープがありますよね。市販の鶏ガラスープの多くはコンソメと同じように、肉類、小麦、大豆、乳などのアレルゲンが含まれている商品が大半です。
しかし、味の素の『丸鶏ガラスープ』であれば、含まれているアレルゲンは鶏肉のみ。つまり、鶏肉アレルギーでなければ、コンソメの代用品として使用できます。
鶏ガラスープは主に中華料理で使う調味料なのでコンソメとは風味が少し異なり、どちらかと言うとやさしい味に仕上がります。足りない風味はハーブや香辛料などで補うとよいでしょう。
和風だし+香味野菜+ベーコン
洋風のスープや煮込み料理に使う場合は、「和風だし+香味野菜+ベーコン」の組み合わせにすると、コンソメの代用として使えます。
市販の和風だしの素には、乳糖が含まれていることも多いので、牛乳アレルギーの人は注意しましょう。
洋食によく使われる香味野菜には、玉ねぎ、にんじん、セロリ、ニンニク、トマト、パセリ、バジルなどがあります。
また、ベーコンにはうま味成分のイノシン酸ががくさん含まれています。ベーコンの他にウインナー、豚肉、鶏肉にもイノシン酸が多く含まれています。
イノシン酸は同じくうま味成分のグルタミン酸と合わさると相乗効果を発揮してさらにおいしくなるので、グルタミン酸をたくさん含む昆布だしがおすすめです。
理研ビタミンの『素材力だし こんぶだし』は、アレルギー特定原材料等28品目を使用していないので、アレルギーのある人も安心して使えますね。
アレルギーが心配!離乳食にコンソメを使えるのはいつから?
赤ちゃんに市販のコンソメやブイヨンはいつ頃から食べさせてもよいのでしょうか?アレルギーは大丈夫なのでしょうか?
コンソメは赤ちゃんにいつから食べさせていいの?
コンソメやブイヨンを離乳食に使うのであれば、離乳食の回数が1日3回になる離乳後期(9~11ヶ月頃)以降が望ましいでしょう。
離乳後期になり離乳食が1日に3回に増えると、だしや素材の味だけでは赤ちゃんが飽きてしまうこともあります。そのため、ごく少量の調味料を使って、味のバリエーションを少しずつ増やしていく時期でもあります。
コンソメやブイヨンも同じ時期から使い始めてもよいでしょう。ただし、市販のコンソメやブイヨンは使われている調味料や塩分が多いため、最初は赤ちゃん用か調味料の入っていないブイヨンを使うようにしましょう。
一般的な市販のコンソメやブイヨンは離乳完了期(1歳以降)からごく少量ずつ使う方がよいでしょう。
離乳食でコンソメを与える場合に注意したいこと
市販のコンソメやブイヨンには、肉類、小麦、大豆、乳製品といったアレルギー物質がたくさん含まれています。
すでにこれらが含まれる食材を食べたことがあり、アレルギー反応がないとはっきりしている場合は特に問題はありませんが、そうでない場合は、慎重に食べさせるようにしましょう。
最初は、コンソメをお湯で溶かして具材の含まれていない薄めのスープを作り、ひと口だけ与え、アレルギー反応が出ないかどうかを確かめてください。
万一、アレルギー反応が出た場合にすぐ対処できるように、病院が開いている平日昼間に食べさせるとよいですね。
離乳後期から使える!和光堂 『手作り応援 コンソメ』
粉ミルクやベビーフードを展開するブランド「和光堂」が販売している離乳食用のコンソメです。チキンと国産野菜のみを使いやさしい味わいに仕上げています。
アレルギーの特定原材料等28品目に該当する食材は鶏肉のみ。そのため、小麦や大豆にアレルギーのある赤ちゃんでも安心して食べられます。
まとめ:コンソメやブイヨンに含まれるアレルギー物質に注意しよう!
市販のコンソメやブイヨンには、多くの種類の食材や調味料などが使われています。
市販のコンソメやブイヨンに含まれる主なアレルゲンには、肉類、小麦、大豆、乳製品などがありますが、わかりづらい名前の原材料も多いため、見落とさないように注意が必要です。
含まれるアレルゲンがあいまいな場合は、自己判断せずにメーカーに問い合わせるなどして確認してから使用するようにしましょう。
また、特定のアレルゲンが入っていないコンソメも販売されているので、アレルギーのある人は利用するとよいですね。