圧力鍋が爆発するって本当?!原因は何?安全に使う方法を徹底解説!

圧力鍋は煮物や炊飯などが短時間ででき、肉などを柔らかく仕上げることができる便利な調理器具ですよね。

しかし、その一方で、爆発が怖い!事故が怖い!と感じている人も多いようです。

圧力鍋の爆発事故は実際に起こっているのでしょうか?事故が起こる原因はどこにあるのでしょうか?この記事では、圧力鍋の爆発の原因や圧力鍋を安全に使うための方法を解説します。

圧力鍋の爆発は本当に起こるの?!

圧力鍋の爆発は本当に起こるの?!

圧力鍋は便利だけど爆発しそうで怖い!と思っている人が多いようですが、実際に圧力鍋の爆発事故は本当に起こるのでしょうか?圧力鍋の危険性に迫ってみましょう。

消費者庁の実験映像を見てみよう!

次のの動画の冒頭15秒に、消費者庁が実施した圧力鍋の爆発の瞬間をとらえた実験映像が記録されています。

フタを開けるとともに、圧力鍋の中に入っている液体が勢いよく周囲に飛び散っている様子がわかりますね。

インターネットを検索すると、海外で起こった圧力鍋が爆発してフタが天井に突き刺さっている写真や、圧力鍋が本当に爆発している動画も残されています。

この動画では、20秒過ぎで圧力鍋が爆発して、レストランの厨房がめちゃくちゃになっている様子が映し出されています。これらの映像を見ても、圧力鍋が爆発するとどれだけ危険かということがわかりますよね。

国内で起こった圧力鍋が原因の事故の実態

では、国内では実際にどのような事故が起きているのでしょうか?2021年(令和3年)4月に消費者庁が発表したデータに基づいて検証してみましょう。

過去の事故件数

事故情報データバンクの情報によると、平成20年(2008年)から令和3年(2021年)3月までに寄せられた圧力鍋の事故件数は231件

平均すると毎年15件前後の事故が報告されていて、そのほとんどが一般家庭の台所で発生しています。

この事故件数はあくまで消費者庁や国民生活センターが把握している件数であり、実際にはもっと多くの事故が起こっていると推測できます。また、電気圧力鍋の普及後は、電気圧力鍋での事故も増えています。

事故内容と具体事例

報告されている231件の圧力鍋や電気圧力鍋の事故のうち、約66%が内容物や蒸気が噴き出すことが原因の事故です。具体的な事例としては、次のようなものがあります。

・圧力鍋での調理中に、蒸気ノズルから中のスープが吹き出し熱傷を負った

・豆入りのスープを作っていたら、急にフタが外れて中身が飛び散って熱傷を負った

・電気圧力鍋で調理中に爆発してフタが飛び重度の熱傷を負ったのに、「製品に問題なし」と補償されない

・圧力鍋の本体とフタの間から急に蒸気が噴き出して熱傷を負った

・調理後にフタを開けようとしたところ、タが飛び蒸気が噴き出して熱傷を負った

圧力鍋が爆発したり、蒸気や中の液体が噴き出したりする事故の大半が加熱中に発生しています。

圧力鍋の事故は意外に多い?!体験談を集めてみた!

事故情報データバンクに記載されている圧力鍋の爆発事故は、ケガなどを負い消費者がメーカー側に補償を求めるケースが多いようです。

しかし、SNSを見てみると、ケガをするまでには至らなくても、圧力鍋が爆発した、中身が噴き出した、という事故は意外に多いことがわかります。

Twitterやインスタグラムを見ると、ケガをすることはなかったものの、圧力鍋で危ない経験をした人がかなりいるようです。SNSでは、他に以下のような経験談が見られました。

加熱中の事故

・加圧中に突然フタが飛んだ

・加圧中に蒸気ノズルから、中の液体が勢いよく噴き出した

・加圧中に圧力鍋の(普段は蒸気が出ない)本体とフタの間から突然蒸気が噴き出した

消火後の事故

・消火後に圧力鍋のフタを無理やりこじ開けたら、フタと中身が天井まで飛んだ

・圧力を抜くのに失敗して、蒸気ノズルから中身が勢いよく噴き出した

・消火後にフタを開けたら、中身が大噴火して飛び散った

これらの事例を見てみると、圧力鍋での調理中や調理後に突然中身や蒸気が噴き出す事例が多いことがわかりますよね。フタが飛んだり、圧力鍋が大きく壊れたりする危険な体験をした人も決して少なくないようです。

圧力鍋の爆発や噴出事故が起こる理由とは?

圧力鍋の爆発や噴出事故が起こる理由とは?

では、圧力鍋はどうして爆発したり、中の液体や水蒸気が急に噴出したりするのでしょうか?その理由は、圧力鍋の仕組みに関係しています。

圧力鍋の仕組みを理解しよう!

水の沸点は通常の1気圧下では100℃ですが、気圧が下がると沸点は下がります。例えば、富士山の山頂の山頂の気圧は約0.63気圧なので、富士山頂でお湯を沸かすと87℃くらいで沸騰します。

逆に、密閉された空間などで中の気圧が高くなると水の沸点も上昇します。1.5気圧での水の沸点は約115℃、2気圧では約120℃に上がります。圧力鍋もこの原理を利用しています。

圧力鍋は水蒸気を密閉して内部の気圧を高めることで水の沸点を上げ、高温で調理を行う調理器具です。

普通の鍋では100℃前後で調理をしますが、圧力鍋は内部の圧力を通常の約2倍にすることで、120℃前後の高温での調理が可能になります。

圧力鍋が爆発する原理は?

水が水蒸気になると体積は1700倍に膨らみます。

しかし、圧力鍋は密閉されているので、水蒸気は膨張できずに圧縮された状態になり、その結果、内部の圧力が急激に高まります。

そのまま加熱を続けると水蒸気の量がどんどん増えてさらに膨張しようとします。

そして、水蒸気の膨張を抑え続けている容器が中の圧力に耐えきれなくなると、容器の弱い部分から圧縮された水蒸気が外部に一気に噴き出すのです。

例えば、風船にどんどん空気を入れ続けると、膨張しようとする空気の圧力に風船の膜が耐えきれなくなり、薄くなった部分が破れて風船は破裂しますよね。それと同じことが圧力鍋で起こっているのです。

圧力鍋の場合、その弱い部分というのが、フタと本体の境目であり蒸気口であるというわけですね。

そのため、フタと本体の境目から高圧の気体が大量に噴き出す勢いでフタが飛んだり、蒸気口から液体が大量に噴出したりするのです。

加熱中の爆発・噴出は異常加圧が原因

圧力鍋の爆発や噴出の原理を聞くと、危険すぎて使えない!と思ってしまいますよね。

しかし実際には、圧力鍋に取り付けられている圧力調整装置が働いて、一定以上の圧力がかからない仕組みになっています。

また、何らかの原因で圧力調整装置が正常に作動しない時のために安全装置も付けられています。内部の圧力が上がり過ぎると、蒸気を強引に外に逃がして圧力を下げることで、爆発や噴出事故を防ぎます。

圧力調整装置や安全装置があるにもかかわらず、圧力鍋の爆発や噴出が起こる原因のほとんどは、誤った使い方によるもの

誤った使い方をすると圧力調整装置や安全装置が正常に働かず、内部の圧力が上がり過ぎてしまうのです。

消火後の爆発や噴出にも注意!

圧力鍋の爆発や噴出事故は加熱中に起こることが大半ですが、加熱終了後に爆発や噴出を起こすことも珍しくありません。

圧力が下がっていない状態でフタを開けた場合や、蒸気を抜いて急激に圧力を下げようとした場合などに起こります。

火を消しても、圧力鍋の内部には2気圧前後の圧力がかかっています。

高圧状態でフタや蒸気口を開けると、内部の圧力が一気に解放されることで大きなエネルギーが生じるため、内部の蒸気や液体が外に勢いよく飛び出してしまうのです。

圧力鍋には2.38気圧まで圧力が上がる製品もあります。内部が2.38気圧になっている状態でフタを開けると、その瞬間に1.38気圧という急激な気圧の変化が生じます。

1.38気圧の気圧の変化が起こると、風速209mの爆風が生じるそうです。

住宅をバラバラに吹き飛ばす竜巻の威力は風速換算で100m前後と言われています。そのことから考えても、圧力鍋の爆発の威力がいかに凄いかということがわかりますよね。

爆発や噴出を引き起こす絶対NGの使い方とは?

爆発や噴出を引き起こす絶対NGの使い方とは?

圧力鍋のフタが飛んだり中身が噴出したりする原因のほとんどが誤った使い方によるものです。

では、どのような使い方をすると事故が起こるのでしょうか?圧力鍋で絶対にやってはいけない3つの使い方をご紹介します。

NG使用法その1:最大量を超えた状態で調理する

圧力鍋の内側を見ると、多くの圧力鍋には2本の線が引かれています。上側の線は、最大水位(量)下側の線は豆類を炊く場合の最大量を示しています。

最大量を超えてしまうと、圧力が急激に上がるだけでなく、沸騰した煮汁等が蒸気ノズルや安全装置の目詰まりを引き起こすことがあります。

ノズルや安全装置が目詰まりすると、圧力の調整が正常に働かなくなるのでとても危険です。

特に豆類は、煮ると大きく膨んで容量が増えやすい上に、豆の皮がノズルに詰まってしまうケースも少なくありません。

圧力鍋で調理をする際は、豆類は鍋の1/3以下、豆以外の調理は2/3以下の量を必ず守るようにしましょう。

NG使用法その2:粘度の高い液体を加圧する

カレーやシチューなどの粘度の高い液体を加圧すると、糊状の液体が蒸気ノズルや安全弁の中に入り込んで目詰まりを引き起こす可能性が高くなります。

ルーを溶かした後のカレーやシチュー、片栗粉や小麦粉でとろみを付けたスープや煮物などは、絶対に加圧しないようにしてください。粘度の高いトマトソースなどを調理する際も要注意です。

また、その他に圧力鍋で加圧することを避けた方がよい食材として、重曹、炭酸水やビール、多量のアルコールや油などがあります。

卵やこんにゃくは爆発しやすいイメージがありますが、圧力鍋で加圧しても問題ありません。

NG使用法その3:劣化したパッキンを使い続ける

圧力鍋は、密閉するためにフタにシリコンのパッキンを取り付けて使用します。

劣化によりパッキンが伸びた状態や亀裂の入った状態で圧力鍋を使用すると、フタと本体の間から蒸気が噴き出す危険があるだけではなく、最悪の場合爆発してフタが飛ぶこともあります。

メーカーによると、圧力鍋のパッキンは亀裂や伸びなどのはっきりとした劣化が見られなくとも、約1年を目安に取り換えた方がよいそうです。

また、パッキンが正しく取り付けられていなかったり、間にゴミなどが挟まっていたりした場合でも、爆発や噴出の原因になることがあるので注意しましょう。

爆発させず安全に圧力鍋を使うための注意点

爆発させず安全に圧力鍋を使うための注意点

圧力鍋の爆発や噴出などの事故は、誤った使い方が原因になっていることが大半ですが、構造上の欠陥や安全点検不足が原因になることもあります。圧力鍋を安全に使うために注意したいポイントを3つご紹介します。

安全基準をクリアした製品を選ぶ

圧力鍋や電気圧力鍋は、国が定めた安全の基準を満たしていないと国内での販売ができません。安全基準に適合した圧力鍋には「PSCマーク」が付いています。

電気圧力鍋の場合は「PSCマーク」に加え、電気用品安全法の基準を満たすことを示すPSEマーク」も必要です。

しかし、稀に国の基準を満たしていない圧力鍋が違法に販売されていることがあります。圧力鍋を購入する際は、「PSCマーク」や「PSEマーク」の有無を確認するようにしましょう。

また、「PSCマーク」や「PSEマーク」の他に、一般財団法人製品安全協会の独自基準をクリアしたことを示す「SGマーク」もあります。「SGマーク」が付いているとさらに安心ですね。

アフターサービスがしっかりとしたメーカーの製品を選ぶ

稀に、商品の欠陥が原因で圧力鍋の事故が起こることもあります。また、パッキンやネジなどの消耗品の劣化が原因となることもあります。

ですから、圧力鍋を選ぶ際は、万一の場合の補償や消耗品の販売などのアフターサービスがしっかりとしている製品を選ぶことも大切です。

「SGマーク」には、万一商品の欠陥が原因で人身損害が起きた場合に賠償する制度があります。

また、「JPCC基準認定品マーク」は、安全で信頼できる製品およびアフターサービスを提供する圧力鍋メーカーの団体「圧力鍋協議会」に加入していることを示すマークです。

安全な圧力鍋を選ぶ際の目安のひとつとして覚えておくとよいでしょう。

使用前の安全点検を忘れずに!

安全性の高い信頼できる圧力鍋を購入しても、使用していくうちに不備が生じてくることがあります。圧力鍋の爆発や噴出の事故を防ぐためにも、毎回使用する前に以下の点について安全点検を行うようにしましょう。

安全点検のポイント

1.蒸気口、ノズル、おもりなどに目詰まりがないかどうかを確認する

2.安全装置やロックピンなどがスムーズに動くかどうかを確認する

3.パッキンに劣化がないかどうか、また、正しく装着されているかどうかを確認する

4.取っ手やフタなどに付いているネジが緩んでいないかどうか確認する

詳しい点検方法は、圧力鍋によって変わります。必ず取扱説明書に記載された方法で点検を行うようにしてください。

まとめ:圧力鍋を正しく使って爆発事故を防ごう!

圧力鍋の爆発や噴出などの重大事故が、過去に少なからず発生しています。また、重大事故に至らないまでも、圧力鍋の爆発や噴出でヒヤリとした経験を持つ人も意外に多くいるようです。

しかし、圧力鍋の爆発や噴出のほとんどは、正しい使い方や日々の安全点検をすることで防げます

細かい使用方法や点検方法は圧力鍋の種類によって変わります。お使いの圧力鍋の取扱説明書をよく読んで、正しく安全に使って事故を防止しましょう!

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