市販のコンソメは、スープやシチューなど洋食の煮込み料理に欠かせない調味料。手間いらずでお金をかけなくても簡単に洋食のだしとして使えるので、とても便利ですよね。
しかし、コンソメの栄養のことは、普段はあまり考えないのではないでしょうか。コンソメにはどのような栄養成分が含まれていて、どのくらいのカロリーがあるのでしょうか?
この記事では、コンソメの栄養成分について解説するとともに、コンソメを使った栄養満点のスープのレシピもご紹介します。
目次
コンソメに栄養はある?どんな栄養素が入っているの?
最初に、市販のコンソメの栄養成分について解説します。コンソメにはどのような栄養成分が含まれているのでしょうか?また、カロリーはどのくらいなのでしょうか?
食品成分表上の分類は?
「日本食品標準成分表(通称:食品成分表)」は、文部科学省が発行している食品の栄養成分のデータベースで、料理などの栄養成分を計算する基準となるものです。
日本国内で使う食材のほとんどが網羅されていますが、食品成分表を探しても「コンソメ」という調味料は載っていません。
食品成分表では、コンソメは「調味料及び香辛料類」のという項目に分類されている『<調味料類>(だし類) 固形ブイヨン』に該当します。備考欄には、”別名:固形コンソメ 顆粒状の製品を含む”と書かれています。
つまり、食品成分表では、固形ブイヨンと固形もしくは顆粒のコンソメは同じものとして扱われているのですね。
栄養を役割別にグループ分けするとどの食品群に入るの?
コンソメは、食品成分表では「調味料類」に分類されていますが、栄養の役割別にグループ分けするとどのグループに入るのでしょうか?
栄養の本や家庭科の教科書などに載っている「6つの食品群」は、体に必要な栄養素を働きごとに6つのグループに分類したものです。
1日のうちに、6つの食品群に分かれている食品をそれぞれまんべんなく食べると、栄養バランスの良い食事が摂れるという目安になります。
6つの食品群の分類では、コンソメはどこに分類されているかわかりますか?よく見ると、砂糖・マヨネーズ・みそはありますが、コンソメをはじめ塩やしょうゆなどの調味料は見当たりませんよね。
実は、コンソメは、体に必要な6つの食品群には含まれていません。塩やしょうゆなども同様です。つまり、コンソメは体に必要な栄養が含まれていない食材という位置づけになっていることがわかります。
食品成分表でコンソメの栄養成分を見てみよう!
コンソメには、本当に体に必要な栄養素は含まれていないのでしょうか?
下のグラフは、30~49歳の女性が、1人分のコンソメ(3gとして計算)を食べた場合に、国が定めている1日に必要な栄養摂取目安の何パーセントくらいの栄養素が摂れるかどうかを示したものです。
グラフを見るとわかるように、コンソメでは塩分以外の栄養素をほとんど摂ることができません。つまり、コンソメには体に必要な栄養素はほとんど含まれていないということがわかりますよね。
このグラフを見ると、コンソメが「6つの食品群」に入っていない理由がわかるのではないかと思います。
粉末・顆粒・固形で栄養は変わる?「コンソメ」と「ブイヨン」ではどう?
市販のコンソメには、固形タイプ、顆粒タイプ、粉末タイプと3タイプがあります。
これらは、用途によって使い分けられるように形状を変えているだけで、中身はまったく同じコンソメです。ですから、含まれる栄養成分も同じということになります。
また、市販の洋風スープの素には、「コンソメ」と「ブイヨン」がありますよね。
本来なら、ブイヨンは肉や野菜からとっただしのことで、コンソメはブイヨンをベースに味付けをした透明なスープのことを言いますが、市販品は特に区別を付けているわけではなく、どちらも同じような調味料です。
つまり、「コンソメ」でも「ブイヨン」でも市販の洋風スープの素は、どちらも栄養がほとんどないということになります。
コンソメのカロリーはどれくらい?ダイエット向きって本当?
体に必要な栄養はほとんどないコンソメですが、カロリーはどれくらいあるのでしょうか?
味の素KKのコンソメの場合、固形タイプも顆粒タイプも一人分の目安量(小さじ1杯分)のカロリーは約6kcal。これは、ブラックのコーヒー1杯と同じくらいのカロリーです。
コンソメ自体のカロリーは非常に少ないので、お湯と同じようなものですよね。ですから、コンソメを使ったスープのカロリーは、ほぼ使っている材料のカロリーのみということになります。
市販のコンソメで作ったスープは、シチューやポタージュスープなどに比べてカロリーが低いので、ダイエット中にもおすすめです。
コンソメの栄養面で注意すべきポイントは?
コンソメ自体には体に必要な栄養成分はほとんど含まれていません。では、他に栄養面で気を付けることはあるのでしょうか?
最も気を付けなければならない要素は塩分の量!
コンソメを使う際に、最も注意しなければならない要素が塩分量です。
例えば、味の素KKのコンソメの場合、1人分の目安量(コンソメ小さじ1杯分を150mlのお湯に溶かす)に含まれている塩分は、1.2~1.3g。
国が推奨する1日の塩分摂取目標量は成人男性で7.5g、成人女性で6.5gなので、1人分のコンソメスープ1杯で1日の塩分の摂取目標量の1/6~1/5程度を摂ることになります。
スープで塩分を摂りすぎないように、コンソメには意外に多くの塩分が含まれていることを、覚えておきましょう。塩分量が気になる方は、食塩不使用のコンソメを使うとよいでしょう。
栄養は他の具材で補うのがマスト!
コンソメには体に必要な栄養成分はほぼゼロに等しく、カロリーもお湯とほとんど変わりません。
例えば、具なしのコンソメスープにパセリやクルトンなどを浮かべただけでは、塩分しか摂ることができないということになりますよね。
コンソメスープからいろいろな栄養を摂るには、他の具材で補うしか方法がありません。
肉や野菜などの具材をたくさん入れて煮込むと、多くの種類の栄養成分を摂れるだけでなく、いろいろな素材の旨味がスープにたくさん出て味も良くなります。
栄養面でも味の面でもメリットが大きいので、コンソメを使ってスープを作る際は、具材をたくさん入れるようにしましょう。スーパーではあまり見かけませんが、液体タイプのコンソメは手軽に使えておすすめですよ。
コンソメを使った”目的別”栄養たっぷりスープのレシピをご紹介!
コンソメにはほとんど栄養がないので、コンソメスープでバランスよく栄養を摂るためには具だくさんのスープにする方法がおすすめです。
コンソメを使った栄養たっぷりの具だくさんスープのレシピを目的別に4つご紹介します。
夏バテ防止に!栄養たっぷり夏野菜と肉だんごのミネストローネ
夏は暑さで食欲が減退し、あっさりとしたものしか食べたくなくなることもしばしば。すると栄養が不足し、ますます夏バテが加速するという悪循環に陥ります。
夏バテ解消には、夏に不足しがちなたんぱく質、疲労回復に効果的なビタミンB1やクエン酸、疲労やストレス対策だけでなく紫外線にも効果が期待できるビタミンCなどの栄養成分をしっかりと摂ることが理想です。
夏バテに効果的な栄養素をたっぷりと含んだ夏野菜を使ったスープをご紹介しましょう。
【材料】(2人分)
☆豚ミンチ 100g
☆玉ねぎのみじん切り 1/4個分
☆酒 大さじ1
☆しょうが(チューブでも可) 少々
☆片栗粉 小さじ2
☆塩コショウ 少々
トマト 1個
なす 1/2本
ズッキーニ 1/4本
ピーマン 1個
水 400cc
コンソメ 小さじ2
オリーブオイル 大さじ1
にんにく(チューブでも可) 少々
塩・こしょう 適宜
【作り方】
1.ボールに☆をすべて入れ、粘りがでるまでしっかりとこねておく。
2.野菜はすべて1~2cm角に切る
3.鍋にオリーブオイルとにんにくを熱してナスとズッキーニを炒め、水、コンソメ、トマトを加えて沸騰させる。
4.1の肉団子のタネをスプーンでひと口大にすくって煮立ったスープに入れ、さらにピーマンを加えて10分くらい煮込む。
5.必要なら塩コショウで味を整える。
【ポイント】
・鶏ミンチではなく豚ミンチを使うことで、ビタミンB1がしっかりと摂れます。
・水に溶けやすいビタミンB群やビタミンCもスープに溶け出すため、栄養成分を余すところなくしっかりと摂れます。
貧血予防に!あさりとほうれん草の洋風卵スープ
女性に多いと言われる貧血。日本人女性の約10%、隠れ貧血も合わせると約4割の女性が貧血気味と言われています。
貧血は鉄分不足が原因であることはよく知られていますが、他にも、血液などの材料となるたんぱく質、鉄分の吸収を助けるビタミンC、造血ビタミンといわれるビタミンB12や葉酸などをしっかりと摂る必要があります。
そこで、鉄分やビタミン類をしっかりと摂れる、あさり、小松菜、キャベツを使った洋風スープをご紹介します。
鉄分は主に動物性食品に多く吸収率の良いヘム鉄と、植物性食品に多く吸収率がやや落ちる非ヘム鉄があります。小松菜は非ヘム鉄ですが、たんぱく質やビタミンCといっしょに摂ることで吸収率を上げられます。
【材料】(2人分)
あさり(砂抜きしたもの) 100g
ほうれん草 2株
パプリカ 1/4個
キャベツ 100g
卵 2個
オリーブオイル 大さじ1
にんにく(チューブでも可) 少々
コンソメ 小さじ2
白ワイン(料理酒でも可) 50cc
水 400cc
しょうゆ 少々
【作り方】
1.キャベツとパプリカは1cmくらいの太さに切っておく。ほうれん草は1分ほど下茹でをして3cmくらいに切っておく。
2.鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて火にかける。
3.香りが立ってきたらあさりを入れて炒め、白ワインを入れて蓋をして5分ほど蒸す。
4.水とコンソメを加えて沸騰したら、キャベツと赤パプリカを加えてやわらかくなるまで煮る。
5.最後に溶き卵を回し入れ、しょうゆで香り付けをする。器に盛り、下茹でしたほうれん草を乗せる。
【ポイント】
・緑茶、紅茶、コーヒーなどに多く含まれるタンニンは、鉄分の吸収を阻害します。貧血防止には、食事中や食後すぐの濃い緑茶やコーヒーなどを控えるようにしましょう。
カルシウム不足を解消!鮭と小松菜のミルクスープ
鉄分とともに日本人にとって不足しがちな栄養素といえばカルシウムですね。カルシウムが不足すると歯や骨が弱くなるほか、女性は高齢になった時に骨粗しょう症が起こりやすくなります。
歯や骨を強くするにはカルシウムの吸収率を高めるビタミンDも必要です。そこで、カルシウムを多く含む小松菜と牛乳、ビタミンDを多く含む鮭としめじを使ったミルクスープをご紹介します。
【材料】(2人分)
鮭の切り身 2切
小麦粉 大さじ1
玉ねぎ 1/2個
しめじ 1/2パック
小松菜 1/2袋
牛乳 400cc
スライスチーズ 1枚
オリーブオイル 大さじ1
水 100cc
コンソメ 小さじ2
塩・こしょう 適宜
【作り方】
1.鮭はひと口大に切ってまんべんなく塩を振り15分くらい置いてから、小麦粉を薄くまぶしておく。
2.玉ねぎは薄切り、小松菜は3cmくらいのざく切りにし、小松菜は根元を落として小分けにしておく。
3.鍋にオリーブオイルを熱して1の鮭をこんがりと焼き、一旦取り出しておく。
4.鮭を取り出した鍋で玉ねぎとしめじを炒め、たまねぎが透き通ってきたら水とコンソメを加えて5分ほど煮込む。
5.さらに小松菜を入れしばらく煮込み、小松菜に火が通ったら牛乳を加えて沸騰寸前まで温める。
6.鮭を戻してスライスチーズを入れて溶かし、必要なら塩・こしょうで味を整える。
【ポイント】
・小松菜はカルシウムを多く含む代表的な野菜です。ほうれん草と同じように鉄分も多いので、鉄分の補給にも役立ちます。
朝ごはんに摂りたい栄養がたっぷり!冷ごはんで作るトマトの洋風雑炊
朝食は、体内時計をリセットして身体を活動状態に持って行くために欠かせない食事。
脳の栄養となる炭水化物、体内時計を調節して自律神経を調えるために必要なたんぱく質、そして、たんぱく質や糖質の代謝に必要なビタミンや身体の調子を整えるミネラルなどをバランスよく摂ることが大切です。
そこで、忙しい朝に簡単に作れ、必要な栄養素も摂れ、時間をかけずに食べられる洋風雑炊をご紹介します。冷ごはんで作るので、前の日にごはんを残しておけば手軽に作れるのでおすすめです。
【材料】(2人分)
玉ねぎ 1/4個
にんじん 2cmくらい
トマト 1個
おくら 3本
絹ごし豆腐か充填豆腐 100g
ごはん 茶碗1杯
水 400cc
コンソメ 小さじ2
卵 1個
塩・しょうゆなど 適宜
【作り方】
1.玉ねぎ、トマトは1cm角くらいに切り、にんじんは薄切りにして1cmくらいに切る。
2.おくらはヘタを取り、5mmくらいの厚さに切る。
3.鍋に水とコンソメ、玉ねぎ、にんじんをいれて火にかけ、野菜がやわらかくなるまで煮る。
4.冷ごはん、トマト、オクラを入れ、さらに数分煮込む。
5.豆腐を崩しながら入れてから、仕上げに溶き卵を入れ、必要なら塩やしょうゆで味を整える。
【ポイント】
・大豆たんぱくは5~6時間かけてゆっくりと消化されるので、豆腐を入れることで腹持ちが良くなります。
・冷蔵庫に残っている野菜をいろいろ入れると、さらに旨味が増しておいしくなります。
まとめ:コンソメ自体に栄養はほとんどなし!具材で栄養バランスを!
市販のコンソメは、お湯で溶くだけでコンソメスープが作れるとても便利な調味料ですが、コンソメ自体に栄養成分はほとんど含まれていません。
しかし、肉や魚、野菜、きのこなど具材をたくさん入れることで、栄養満点のコンソメスープを作れます。
できるだけ多くの種類の具材を入れると、素材から出る旨味が増すだけでなく、自然に栄養バランスも良くなるので一石二鳥ですね。
ぜひ、冷蔵庫に余っている食材をたくさん入れて、栄養たっぷりの具だくさんスープを作ってみてくださいね。