赤ちゃんの離乳食に豆乳を使ってみたいという人も多いのではないでしょうか。しかし、育児書や離乳食のガイドブックなどを見ても、豆乳について詳しく書いてあるものは少ないですよね。
豆乳を離乳食に使えるのはいつからなのでしょうか?また、豆乳を離乳食に使う場合はどのような点に注意すればよいのでしょうか?この記事では、豆乳を離乳食に使う場合のポイントや注意点とともに、豆乳を使った離乳食のおすすめのレシピをご紹介します。
目次
豆乳は離乳食にいつから使えるの?どのように進めればよい?
豆乳はいつ頃から離乳食に使えるのでしょうか?豆乳を離乳食に使う場合のポイントや注意点、進め方などについて解説します。
豆乳は離乳初期の後半から少しずつ試してOK!
離乳食は赤ちゃんの発育や発達に合わせて進めていきますよね。離乳食に何かの食材初めて使う場合のポイントは、飲み込みやすい(噛みやすい)かどうか、そして、消化が良いかどうかの2点です。
豆乳とは、大豆を蒸してからすりつぶして搾った液体のこと。消化の良くない大豆の繊維は搾った時に取り除かれますし、油脂分も少ないので、消化については問題ありません。また、液体なので飲み込みにくさの心配もありません。
一般的に生後5~6ヶ月くらいから離乳食を始める人が多いようですが、離乳食を初めてから3~4週間たって、おかゆや野菜のペーストに慣れてきたら豆乳を試してみても大丈夫でしょう。
初めて与える時はアレルギーに注意!
赤ちゃんに豆乳を初めて与える時に注意しなければならないのが、大豆のアレルギーです。
2018年(平成30年)の消費者庁のデータでは、食物アレルギーのある人のうち大豆が原因である人は1.6%。鶏卵(34.7%)や牛乳(22.0%)や小麦(10.6%)に比べると割合は低いですが、アレルギー症状を引き起こす可能性はあるので注意しましょう。
豆乳を初めて与える場合は、平日の昼間など小児科が空いている時間を選び、1さじ程度のほんの少量から始めるようにしましょう。
どれくらいの量を与えていい?月齢別の進め方
赤ちゃんに豆乳を与えてみてもアレルギー反応が見られないようなら、月齢に合わせて豆乳の量を増やしても問題ありません。
豆乳に「にがり」を加えると豆腐になるので、どのくらいの量を与えていいかという点については、豆腐の与え方を参考にするとよいでしょう。厚生労働省が発行している「授乳・離乳の支援ガイド」によると、離乳食で与える豆腐の量の目安は次のようになっています。
離乳中期(生後7~8ヶ月頃):30~40g
離乳後期(生後9~11ヶ月頃):45g
離乳完了期(生後12~18ヶ月頃):50~55g
計量スプーンの大さじ1杯の豆乳が約15gですので、中期で大さじ2~2.5杯、後期で大さじ3杯、完了期で大さじ3.5杯くらいを目安にするとよいですね。
離乳食に使う豆乳の疑問点を解決!
豆乳は離乳食に使えることはわかっても、細かい点でいろいろと疑問が出てきませんか?離乳食に豆乳を使う場合の疑問点を解決しましょう!
市販の無調整豆乳と調製豆乳はどっちが離乳食向き?
市販の豆乳を大きく分けると、「無調整豆乳」、「調製豆乳」の2種類があります。それぞれの違いは以下のとおりです。
無調整豆乳:大豆を蒸してすりつぶし、搾っただけの液体
調製豆乳:無調整豆乳に糖分や油分を加えて飲みやすく加工した豆乳
離乳食は薄味でシンプルな味付けが基本。特に初期の頃は、素材そのものの味に慣れさせることが大切です。調製豆乳には砂糖や油、香料などが含まれているので、豆乳を離乳食に使う場合は大豆をすりつぶしただけの無調整豆乳を使いましょう。
豆乳は新鮮なものを使おう!
赤ちゃんは細菌に対する抵抗力が弱いので、衛生面では特に注意する必要があります。
未開封で常温保存が可能なパックに入っている市販の豆乳は、殺菌後の豆乳を無菌充填しているので安全ですが、開封後は牛乳以上に傷みやすい食品です。ですから、豆乳を離乳食に使う場合は、未開封の新鮮な豆乳を使うようにしましょう。
1000mlの大きなサイズの豆乳ではなく、200mlの飲みきりサイズの豆乳を使う方がよいですね。残った豆乳は次回の離乳食のために置いておくのではなく、他の料理に使うか、大人が飲んでしまいましょう。
豆乳を離乳食に使う場合に加熱は必要?
離乳食期に食べさせるものは基本的に加熱が必要と言いますが、豆乳を離乳食に使う場合も加熱しなければならないのでしょうか?
離乳食を加熱する主な目的には、殺菌のためと消化を良くするための2つがあげられます。豆乳の場合、加熱によって消化が特別良くなるわけではありませんし、豆乳は殺菌してあるため、開封後すぐに使う場合は絶対に加熱が必要なわけではありません。
しかし、手指や調理器具などから細菌が混入してしまうことも考えられます。ですから、離乳食で豆乳を使う場合は最後に一煮立ちさせて殺菌すると安心ですね。
作り置きをストックとして冷凍しても大丈夫?
離乳食は作るのに手間がかかる上、少量ずつしか必要がないため、ある程度の量を作って小分けにして、冷凍庫にストックしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、豆乳を使った離乳食の場合、一旦冷凍したものを再び解凍すると、たんぱく質が変質してしまうため固まってもろもろになってしまいます。それにより食感が悪くなったり味が変わったりすることが多いため、豆乳を使った離乳食は冷凍保存には向いていません。面倒でも1回分ずつ作るようにしましょう。
【月齢別】豆乳を使ったおすすめ離乳食レシピ7選
アレルギーさえ問題なければ、離乳食に慣れてきた頃から豆乳を少量ずつ使っても問題ありません。では、具体的にどのような使い方ができるのでしょうか。月齢別のおすすめレシピをいくつかご紹介します。
初期(ごっくん期:5~6ヶ月頃)
離乳食を初めてからしばらくは、素材の味に慣れさせるために食材は混ぜないで1種類ずつ与えることが基本です。アレルギーに問題がないことが確認でき、離乳食を初めて3~4週間たてば、おかゆや野菜などに少量の豆乳を混ぜて与えても大丈夫です。
優しい味わい!かぼちゃの豆乳ポタージュ
優しい甘さのかぼちゃと豆乳を使ったポタージュです。作り方はとても簡単なので、他の野菜でも応用できます。
【材料】(1回分)
皮をむいたかぼちゃ 20g
無調整豆乳 小さじ1~2
【作り方】
1.かぼちゃは皮をむいて電子レンジで柔らかく加熱し、ザルなどで濾してペースト状にする。
2.鍋にかぼちゃのペーストと豆乳を入れ、火にかけて一煮立ちさせる。
【ポイント】
・かぼちゃ以外に、さつまいもやじゃがいも、にんじんなどもおすすめです。
中期(もぐもぐ期:7~8ヶ月頃)
生後7~8ヶ月のもぐもぐ期になると離乳食も1日2回になるので、赤ちゃんが飽きないようにレパートリーを増やしたいですよね。豆乳を使うと味に変化を付けることができます。
食材は固形分を残し、赤ちゃんが上あごと舌でつぶせるように指で軽くつぶせる程度の固さにすることが基本です。
洋風で味に変化を!トマト豆乳リゾット
トマトで味をつけた洋風のリゾットです。おかゆの味に変化を付けたい時におすすめのメニューです。
【材料】(1回分)
ごはん 大さじ2(約30g)
玉ねぎ 10g
にんじん 5g
トマト 10g
だし 100cc
無調整豆乳 大さじ2
【作り方】
1.玉ねぎは5mm角、にんじんは薄切りにしてから5mm角くらいの大きさに切る。
2.トマトは皮を湯むきして、5mm角に切る
3.耐熱皿に野菜を入れてラップをし、電子レンジで柔らかくなるまで加熱する。
4.鍋にだし汁、ごはん、3の野菜を入れてごはんがとろとろになるまで煮込み、豆乳を加えて一煮立ちさせる。
【ポイント】
・だしの量が少ないようであれば、水を加えて調製してください。
味のバリエーションが広がる!白身魚と大根の豆乳スープ
もぐもぐ期に便利な野菜スープも豆乳を入れることで、いつもと違う味わいになります。
【材料】(1回分)
大根 20g
にんじん 5g
ブロッコリー 5g
白身魚 15g(刺身1~2切)
だし 50cc
無調整豆乳 大さじ2
【作り方】
1.大根とにんじんは5mm角に、ブロッコリーは細かく切り、柔らかくなるまで下ゆでをしておく。
2.白身魚とひたひたの水を耐熱容器に入れ、600wの電子レンジで20~30秒加熱して火を通し、軽くつぶしておく。
3.鍋に、だしと1の野菜と2の魚を入れ、煮立ってきたら豆乳を加え、さらに一煮立ちさせる。
【ポイント】
・白身魚は刺身を利用すると、骨が入る心配がなく安心です。
後期(かみかみ期:9~11ヶ月頃)
食べ物を舌で端に移動させて、歯茎で噛むようになる時期です。離乳食の回数も1日2回だったのが3回になり、使える食材や調味料が増えるので、主食(おかゆ)と主菜+副菜といった組み合わせも増やせます。そのため、豆乳を使って幅広いメニューを作れるようになります。
固形物は噛みやすいように少し大きめにして、固さの目安はバナナくらいにするとよいでしょう。
ほんのり味噌味!キャベツとひき肉の豆乳うどん
かみかみ期になると、小さく切って柔らかく煮たうどんも食べられるようになります。豆乳に少し味噌を加えて味に変化を付けてみましょう。
【材料】(1回分)
ゆでうどん 50~60g
鶏ひき肉 15g
にんじん 10g
キャベツ 20g
だし 50cc
味噌 1g
豆乳 大さじ3
【作り方】
1.にんじんは、1×1.5cmくらいの薄切りに、キャベツは1×2cmくらい、うどんは2cmくらいに切っておく。
2.味噌は豆乳を少しずつ入れて溶いておく。
3.鍋にだしと1の野菜を入れ火にかけ、野菜が柔らかくなったら鶏ひき肉とうどんを入れる。
4.うどんが柔らかくなったら一旦火を止め、豆乳と味噌を入れてさらに一煮立ちさせる。
【ポイント】
・鶏ひき肉の代わりに、ささみを下ゆでして細かくつぶしたしたものを使ってもよいでしょう。
鉄分たっぷり!かつおとひじきと小松菜の豆乳グラタン
離乳食後期になると鉄分が不足しがちになるので、鉄分を多く含む食品を積極的に摂らせたい時期です。生後6~11ヶ月の鉄分の1日の摂取目安量は5g。このメニューだけで2gの鉄分を摂ることができます。
【材料】(1回分)
かつおの刺身 15g(1~2枚)
小松菜 40g
ひじき 5g
マカロニ 10g
豆乳 大さじ3
小麦粉 小さじ1
粉チーズ 少々
【作り方】
1.ひじきは柔らかく戻しておく。
2.小松菜は1cmくらいに切り、柔らかくゆでて絞っておく。
3.かつおは下ゆでをして、軽くつぶしてほぐしておく。
4.お湯を沸騰させ、マカロニとひじきを柔らかくなるまでゆでて湯切りし、マカロニは1cmくらいに切っておく。
5.耐熱容器に2~4を入れて、小麦粉をまぶしてから豆乳を入れて軽く混ぜる。
6.粉チーズをふりかけ、オーブントースターで10分程度焼く。
【ポイント】
・マカロニは指でつぶせるくらいの固さにゆでます。袋に書かれているゆで時間の倍くらいを目安にするとよいでしょう。
完了期(ぱくぱく期:1歳~1歳6ヶ月頃)
大人とほぼ同じ食材が使えるようになり、メニューの幅がグンと広がる時期です。食材の固さは煮込みハンバーグやゆで卵の白身くらいが目安。豆乳を使ったメニューもバリエーションを増やせますね。
食事の回数は朝・昼・夜の3回に1~2回の捕食(おやつ)を加えるので、豆乳を使ったおやつもおすすめです。また、ぱくぱく期の赤ちゃんは手づかみ全盛期。多少汚れてもどんどん手づかみ食べをさせてあげましょう。
朝食におすすめ!豆乳フレンチトースト
豆乳と卵で作った卵液に浸して焼くと、いい感じに表面が固まるので手づかみ食べにピッタリのメニューです。食パンは手でつかみやすい大きさに切って、手づかみ食べを楽しませてあげましょう。
野菜スープやマッシュポテトなどをプラスすると、朝食のメニューとして重宝しますよ。
【材料】(1回分)
食パン(8枚切) 2/3枚
全卵 1/2個
豆乳 大さじ2~3
【作り方】
1.食パンは食べやすい(持ちやすい)大きさに切る。
2.バットなどに溶き卵と豆乳を入れてよく混ぜる。
3.2に切った食パンを入れて、卵液がなくなるまでよく浸す。
4.テフロンのフライパンで、表面に焼き色が付くまで焼く。
【ポイント】
・耳が固くて食べにくそうであれば、耳を切り落としてあげましょう。
完了期のおやつに!バナナ豆乳プリン
砂糖の代わりにバナナで甘さを付けた豆乳寒天プリンは、完了期の捕食(おやつ)に最適です。ゼラチンではなく寒天を使うと口に入れても溶けないので、噛む練習もしっかりとできます。
寒天は食物繊維がたっぷりと含まれているので、完了期の離乳食で便秘がちになる赤ちゃんにもおすすめのおやつです。
【材料】(2個分)
バナナ 1/2本
粉寒天 2g
水 150cc
無調整豆乳 100cc
【作り方】
1.バナナは1cm角くらいに切っておく。
2.鍋に水と粉寒天を入れてよく混ぜ中火にかけ、沸騰したら弱火にしてさらに2分くらい煮る。
3.バナナを入れてさらに30秒ほど煮込んで火を止め、常温に戻しておいた豆乳を入れてよく混ぜる。
3.器に入れて粗熱を取り、ある程度冷めたら冷蔵庫で冷やし固める。
【ポイント】
・柔らかめに作りたい場合は、水の量を増やしましょう。
・寒天は50℃付近で固まり始めます。冷やしすぎたくない場合は、水を張ったバッドなどで固めてもよいでしょう。
まとめ:豆乳は離乳食に使いやすい!豆乳でメニューの幅を広げよう!
豆乳は離乳食期の赤ちゃんのたんぱく質の補給源であるだけでなく、豆腐よりも離乳食に使いやすい点がメリットと言えます。アレルギーにさえ気を付ければ、離乳初期の比較的早い段階から使える点もうれしいですよね。
ご紹介したレシピはほんの一部。スープやシチュー、おかゆなどに使うだけでなく、ハンバーグのタネやマッシュポテトなどの固さ調製などにも使えます。離乳食に豆乳を取り入れるとメニューの幅もグンと広がるので、ぜひ利用してみてくださいね。