そんな疑問にお答えします。お刺身やお寿司などになくてはならない「わさび」。
わさび風味のお菓子やたこわさ、わさび漬けなどツーンとした辛さが病みつきになりますよね。ですが、実は、わさびを食べ過ぎるのは危険かもしれません。
今回は管理栄養士である筆者が、わさびを食べ過ぎたらどうなるのか、体に与える影響をご紹介します。
目次
わさびを食べ過ぎたらどうなるの?
わさびの辛み成分は、わさびやからし、大根などアブラナ科の植物に含まれている「(アリル)イソチオシアネート」という物質です。
この辛味成分には、抗ガン・抗菌作用等のよい効果もあるのですが、刺激も強いため、食べ過ぎると体に影響が出ることも…?
ここでは、わさびの食べ過ぎが体に与える影響や、1日に食べてもいいわさびの適量などについて解説します。
わさびの食べ過ぎが体に与える影響は?
イソチオシアネートは刺激が強い物質です。牛や羊が、イソチオシアネートが含まれる植物を大量に食べた結果、中毒になったという報告があります。
甲状腺ホルモンの合成が抑制され甲状腺腫になったり、溶血性貧血になったりという事例です。またマウスをつかった実験ではわさびの辛み成分により、胃運動性障害が誘発されるとの報告も。
人に対しては健康被害をもたらす可能性はないと考えられていますが、辛さに弱い方や、胃腸が弱い方などはわさびなどの刺激物を食べ過ぎると、体調が悪くなる可能性もあります。
現時点で人に害があるという報告はありませんが、わさびの食べ過ぎには注意した方がよさそうです。
1日どれぐらいなら食べていい?わさびの適量は?
わさびのさまざまな効果を期待したい場合には1日3~5g程度の摂取がいいとされています。3~5gはティースプーン1杯ぐらいの量、チューブでは10cm程度です。この分量を超えると、食べ過ぎ、という判断になります。
2019年9月、イスラエルの60歳女性が、アボカドをわさびだと勘違いしてスプーン山盛り1杯を食べてしまいました。その直後、激しい胸の痛みや圧迫感をおぼえたそうです。
医師の診察の結果、ストレスによって引き起こされる「たこつぼ型心筋症」だったことがわかりました。辛い食べ物が原因で発症が報告されたのは、世界ではじめてのケースでした。
わさびを食べ過ぎた場合に害があるという報告はありませんが、辛みの刺激やストレスによって病気になることもあります。辛味に弱い方は食べ過ぎに注意しましょう。
わさびの食べ過ぎで起こるかも?気をつけたい症状
一般的にわさびや唐辛子などの香辛料には消化を助け、食欲を増進させるはたらきがあります。ですが、体調・体質等によっては胃痛や胸やけ等を引き起こしてしまうことも。
ここでは、わさびの食べ過ぎで起こってしまう恐れのある症状や、その対処法について解説していきます。
症状その1【腹痛・下痢】
わさびを食べ過ぎると胃痛や下痢になってしまうことがあります。胃の粘膜は胃酸による刺激を受けないように粘液で保護されていますが、胃酸は強い酸性の物質なので、分泌が過剰になると胃粘膜が荒れてしまうのです。
わさびは適切な量であれば食欲増進作用や胃粘膜保護作用などが期待できます。けれど体質によっては香辛料をたくさん食べ過ぎると胃腸が荒れる原因に。
胃腸に負担がかかると消化不良や腸内環境の悪化につながります。また腸のはたらきが活発になり過ぎると、便が短時間で腸を通るので水分が十分に吸収されません。水分を残したまま排出されてしまうので、下痢になってしまいます。
症状その2【胸やけ・吐き気】
わさびなどの香辛料は胃酸の分泌をうながすので、胸やけや吐き気の原因となることもあります。「胸やけ」はみぞおちの上あたりが締め付けられたり、チリチリと焼けたように感じられる症状のこと。
胃酸が逆流することによって起こります。食道と胃のつなぎ目部分は、食べたり飲んだりする時はしっかり閉じていて、胃液が食道に逆流しないようになっています。
胃酸が逆流してしまうと、食道の粘膜は胃酸から保護する機能が弱いので、刺激をうけて胸やけの症状が起こるのです。
のどや胃腸の調子がよくないときは、辛い物への感受性が高まる場合があるので、量を控えるなど体調を考えて食べましょう。普段から胃腸が弱い方や子どもの場合はとくに注意が必要です。
わさびを食べ過ぎたときの対処法
わさびの食べ過ぎで気分が悪くなったときには安静にするのがおすすめです。お腹を圧迫しないようにゆったりとした服装に着替えましょう。
また気分が悪いからといってすぐ横になるのは危険です。食道が胃より高い位置になる姿勢で休んでくださいね。胃薬を飲めば、比較的早く痛みや吐き気を抑えることができます。
また、乳製品をとるのもおすすめ。牛乳やヨーグルトなどの乳製品は胃に膜をはり、胃酸を弱める効果があるといわれています。
胃を刺激しないように温かい牛乳を飲むと、リラックスができてより効果的です。それでもよくならない場合は、病院で診てもらって正しい治療を受けましょう。
まとめ:わさびは食べ過ぎないように注意しましょう!
わさびを食べ過ぎるとどんな健康被害があるのかをご紹介しました。お刺身に適量つけて食べる程度ならあまり問題ないですが、わさび味のお菓子やおつまみなどはついつい手が進みがち。
わさびの辛み成分「アリルイソチオシアネート」はとても刺激が強いものです。人に害があるという報告はありませんが、辛味への耐性には個人差があります。たこつぼ型心筋症や胃痛、吐き気など、体調が悪くなる人がいるのも事実です。
辛さに弱い人や胃腸が荒れやすい方は食べ過ぎに注意しましょう。