暑い季節になると、冷たい飲み物や食べ物を口にする機会が増えますね。
甘い飲み物や食べ物には糖分が入っていますが、現在ではほとんどが「果糖ブドウ糖液糖」で甘味を付けています。
果糖ブドウ糖液糖は砂糖と比べて安価に製造できることから、現在では日本だけでなく世界中でさまざまな食べ物や飲み物に使われている天然甘味料です。
この記事では果糖ブドウ糖がどのような飲み物に使われているのか、果糖ブドウ糖が入っていない飲み物にはどのようなものがあるのかなどを詳しく解説します。
目次
果糖ブドウ糖液糖って何?入っていない方がいいの?
果糖ブドウ糖は「コーンシロップ」とも呼ばれ、トウモロコシやいものでんぷんを材料に作られています。
通常の砂糖やきび糖などの糖以外の成分がたくさん入ったお砂糖に比べて、吸収が早く大量に摂取しやすいことから糖の過剰摂取による健康への影響が指摘されています。
では果糖ブドウ糖液糖とはどのような糖なのか、どの飲み物に入っているかなどを見ていきましょう。
果糖ブドウ糖液糖ってどんなもの?
果糖ブドウ糖液糖は、1960年代に日本で開発された天然甘味料です。でんぷんを酵素でブドウ糖に変え、ブドウ糖の一部をさらに酵素で果糖に変えることで作られます。
日本では果糖が55%含まれた、砂糖と同じくらいの甘さの果糖ブドウ糖液糖が最も多く使われています。果糖ブドウ糖液糖は低い温度で甘さを強く感じることから、冷たくする飲み物や食べ物に利用されることが多いようです。
※「果糖ブドウ糖液糖」について詳しく知りたい!という方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。砂糖との違いやデメリットなど詳しく解説しています。
「ジュース」と「清涼飲料水」の違いって?
果糖ブドウ糖液糖が入っていない飲み物を選びたいなら、「ジュース」と「清涼飲料水」という言葉の違いも大切です。日本ではかつて甘い飲み物を総称して「ジュース」と呼んでいました。
ところが本来ジュースという言葉には英語で「果物や野菜の汁」の意味があり、日本でも1967年に「果汁100%のもの以外は『ジュース』という名称で販売できない」と決められました。
日本ではジュースと名前のついている飲み物は果物や野菜果汁100%のもので、それ以外のものは「清涼飲料水」や「〇〇飲料」と名前が付いています。
100%のジュースであっても一定の割合なら、砂糖やはちみつなどの甘味を入れてもいいことになっています。
果糖ブドウ糖液糖が入っていないと思って100%のジュースを飲んだら、実は入っていたなんてことも。購入の際に、成分表示を確認するようにしましょう。
果糖ブドウ糖液糖の入っている飲み物は?
日本で市販されている冷たくして飲む甘い飲み物には、果糖ブドウ糖液糖はほとんどの商品に入っています。果糖ブドウ糖液糖が入っていない商品を探すのは、とても難しいです。
甘い味のするペットボトルのコーヒーや紅茶、炭酸飲料など、「無糖」や「ブラック」などと書いてある商品以外にはほぼ入っていると考えていいでしょう。
それに対して、いろはすのオレンジやリンゴ、ピーチ風味などのほんのり甘い飲料には、果糖ブドウ糖液糖は入っていないようです。代わりに砂糖と果糖で甘味付けがされています。
スポーツドリンクにも入ってる?
スポーツドリンクにも果糖ブドウ糖液糖は、ほとんどのメーカーで使われています。
体に素早く水分やエネルギーを補給するという点から言えば、ブドウ糖や果糖がそのまま素早く吸収される果糖ブドウ糖液糖を使うのは理にかなっているのかもしれません。
では日本の主なメーカーから販売されている、スポーツドリンクの原材料を見てみましょう。原材料は味に関係するものだけを抜き出しました。
主なスポーツドリンクの原材料一覧
メーカー名 | 商品名 | 原材料 | カロリー (100ml) |
---|---|---|---|
大塚製薬 | ポカリスエット | 砂糖(国内製造) 果糖ブドウ糖液糖 果汁 食塩 | 25kcal |
コカ・コーラ | アクエリアス | 果糖ブドウ糖液糖 塩化Na クエン酸 | 19kcal |
明治 | VAAMスマート フィットウォーター | 食塩 トレハロース 酸味料 甘味料(アセスルファムK スクラロース アドバンテーム) | 0kcal |
キリンビバレッジ | ラブズ・スポーツ | 果糖ブドウ糖液糖 食塩 クエン酸 甘味料(アセスルファムK スクラロース) | 14kcal |
サントリー | GREEN DA・KA・RA | 果汁(ぶどう、レモン) 果糖 食塩 うんしゅうみかんエキス ゆずぴーる シークワーサーピール ドライトマトエキス | 18kcal |
果糖ブドウ糖液糖を使っていないのは、明治の「VAAMスマートフィットウォーター」と、サントリーの「GREEN DA・KA・RA」でした。
ただ残念ながらVAAMは合成甘味料を使っているため、合成甘味料を気にするなら果物の甘さで甘味を付けたDA・KA・RAを選ぶといいかもしれませんね。
ヤクルトにはブドウ糖果糖液糖?
ヤクルトってなんとなく体に良いイメージがありますね。小さくてちょっとお高いし、原料にもこだわりがありそうです。
ヤクルトは生きたまま腸内に到達する乳酸菌「シロタ株」を1本あたり400億個ふくみ、善玉菌を増やして悪玉菌を減らす働きが期待できる特定保健機能食品です。もちろん体に良いのは間違いないですね。
ただ、残念なことに原材料にはブドウ糖果糖液糖が使われています。これは果糖ブドウ糖液糖と同じ異性化糖の一種で、果糖の割合が50%未満のものを言います。
果糖ブドウ糖液糖の入っていない甘い飲み物ってあるの?
果糖ブドウ糖液糖は、冷たくして飲む甘い飲み物のほとんどに含まれていることがわかりました。果糖ブドウ糖液糖は価格が安く、使いやすいことから飲料以外に調味料やお菓子などにも広く使われています。
ここからは果糖ブドウ糖液糖が入っていない飲み物について見ていきましょう。
100%のジュースには入っていないものが多い
100%のジュースには一定の割合で砂糖やはちみつ、果糖ブドウ糖液糖を入れてもいいことになっていますが、実際には100%のジュースには甘味を加えていないことが多いようです。
糖分を加えた100%のジュースの場合「加糖」などの表示がされています。100%のジュースを選ぶ人は健康に気を遣う人なので、砂糖などを使っているかどうか気にするためではないかと考えられます。
経口補水液には『果糖ブドウ糖液糖』は入っていないが…
経口補水液は、もともとは下痢や嘔吐、発熱が起きた時に水分を素早く補給するために開発されたものです。
水分は体の中に入ると大腸で吸収されますが、ナトリウムイオンとブドウ糖が水に含まれる場合には小腸で栄養と一緒に水分も素早く吸収されるのだそうです。この原理を利用して作られたのが経口補水液です。
市販されている経口補水液の原材料を見てみましょう。最もポピュラーと思われる大塚製薬の「オーエスワン」の原材料は、糖類(ブドウ糖、果糖)、食塩、クエン酸、甘味料(スクラロース)となっています。
コカ・コーラの「アクエリアス経口補水液」もオーエスワンとほぼ同じ原材料が使われています。果糖やスクラロースが入っているのは、経口補水液を甘く飲みやすくするためでしょうか。
果糖ブドウ糖液糖は入っていませんが、ブドウ糖と果糖が入っているなら果糖ブドウ糖液糖が入っているのとほぼ同じだと考えられそうですね。
経口補水液は手作りがおすすめ
市販の経口補水液には塩分や糖分の他にミネラルが含まれているため、下痢などの症状があるときには失われたミネラルの補給ができる市販のものを飲むのがおすすめです。
ですが、買うとなるとお金もかかってしまいますので、夏場など汗を多くかいた時に飲む経口補水液なら、手作りの方法を覚えておくと急な時にも安心ですね。
もちろん、手作りの経口補水液は果糖ブドウ糖液糖の入っていない飲み物です。
【材料】作りやすい量
・水:1000ml
・塩:3g(小さじ1/2杯)
・ブドウ糖:40g(大さじ4~5杯)
・レモン汁(お好みで):少々
【ポイント】
ブドウ糖の代わりに家にある砂糖でも作れます。砂糖は吸収に少し時間がかかるので、できれば普段からブドウ糖を常備しておくと安心かもしれません。
余ったブドウ糖は料理に使ったり、ラムネ菓子などを作るのに使えますよ。
光食品 有機JASサイダー5種
甘い飲み物と糖分には、切っても切れない関係がありますので、炭酸飲料で果糖ブドウ糖液糖が入っていない商品は、なかなか見つけられないですね。
筆者が知っている&調べた中でも、光食品さんのサイダー以外には思い当たるものがありませんでした。
光食品は徳島県で昭和21年(1946年)に創業した、有機や国産の原料にこだわった食品メーカーです。添加物や化学調味料を使わない食品づくりを行っています。
光食品の有機サイダーは、果糖ブドウ糖液糖の入っていない甘い炭酸飲料です。甘さは果汁と有機砂糖を使っており、pH調整剤などの添加物も使っていないのが特徴となっています。
味は、ジンジャーエール、アップル、ブドウ、みかん、レモンの5種類と多く、いい意味で素朴な懐かしい味がして美味しいんですよね。
中毒性があり、たまに飲みたくなってしまいます。価格は1本250mlで140~150円で販売されています。
まとめ~果糖ブドウ糖液糖の入っていないドリンクは少ない
果糖ブドウ糖液糖は日本だけでなく世界中で、様々な飲み物や調味料、食べ物やお菓子に使われています。果糖ブドウ糖液糖は吸収が早く、大量に摂取すると肥満や糖尿病などのリスクが通常の糖より高いとされています。
100%のジュースには果糖ブドウ糖液糖の入っていないものが多いようです。買い物の時にラベルの裏を見て、成分をチェックするのがおすすめです。
甘いものは適度に摂る分には健康に影響はありませんので、摂り過ぎに気を付けて元気に過ごしましょう。