そのように思ったことはありませんか?手作りクッキーはとてもおいしく作れますが、サクサクにならずに硬くなってしまうこともしばしば。もっとサクサクのクッキーを簡単に作れる方法があればうれしいですよね。
実は、コーンスターチを少し混ぜるとサクサクのクッキーを作ることができるのです。そこで、コーンスターチを入れて作ったクッキーの特徴や簡単に作れるレシピなどをご紹介します。
目次
コーンスターチを入れるとクッキーがサクサクになるって本当?!
コーンスターチを入れると、簡単にサクサクのクッキーが作れるというのは本当なのでしょうか?なぜ、コーンスターチを入れるとサクサクになるのでしょうか?
クッキーの食感は「グルテン」の影響が大きい!
クッキーの基本的な材料は、薄力粉、バター、砂糖、卵の4つ。このうち、クッキーの食感にもっとも影響しているものが、薄力粉に由来する「グルテン」という成分です。
グルテンの正体は小麦粉に含まれる「グリアジン」と「グルテニン」という2種類のたんぱく質。
小麦粉に水を加えて捏ねると、粘性があり伸びる性質を持つグリアジンと、弾力の強いグルテニンが網い目状に絡み合ってグルテンを形成します。
うどんやパスタやピザなどのもちもちとした食感はすべてグルテンの粘弾性によるものですし、パンやケーキなどはグルテンの薄い膜が空気を抱き込んで、フワフワの食感になります。
また、クッキーのサックリとした食感にもグルテンが大きく影響しています。
クッキーが硬くなる原因は?
クッキーが硬くなるいちばんの原因は、生地の捏ねすぎによるもの。
薄力粉は強力粉や中力粉に比べてたんぱく質の量が少ないので、小麦粉のなかでも比較的グルテンが形成されにくい性質がありますが、それでも、捏ねれば捏ねるほどグルテンがたくさん形成されます。
生地を捏ねすぎてグルテンが増えると生地の弾力が強くなり、硬い食感のクッキーになってしまいます。クッキーのレシピに”さっくりと混ぜる”と書かれているのは、実はこのような事情があるというわけですね。
クッキーはケーキに比べると薄力粉を使う量が多いため、捏ねすぎによるグルテンの影響をより受けやすいのです。
コーンスターチを入れると初心者でも失敗しにくいって本当?!
コーンスターチはとうもろこしのでん粉だけを抽出しているため約95%が炭水化物で、たんぱく質は約0.1%しか含まれていません。
一方、薄力粉に含まれるたんぱく質は約8%。薄力粉はクッキー材料の約半分の量を占めているため、その分たんぱく質量も多くなりグルテンが形成されやすくなります。
そこで、薄力粉の一部を、たんぱく質がほとんど含まれていないコーンスターチに置き換えて、グルテンを出来にくくしてクッキーが硬くなるのを防ごうという作戦です。
つまり、小麦粉の一部をコーンスターチに置き換えて、グルテンのもととなるグリアジンとグルテニンの濃度を下げることで、グルテンが出来にくいようにしてしまおうというわけですね。
コーンスターチを入れると食感はどう変わる?
クッキーの基本的な材料は、薄力粉、バター、砂糖、卵の4つ。それぞれの材料の性質が複雑に絡み合って、やや歯ごたえがありサックリとしたクッキー独特の食感を生み出します。
一方、薄力粉の一部をコーンスターチに置き換えてでん粉の量を増やしたクッキーは、もろい食感になりやすいことが特徴です。
どちらかと言うと、サクサクというよりはホロホロというような食感ですね。たまごボーロ(ベビーボーロ)のように、口の中でホロッと崩れてなくなるような食感と言えばわかりやすいでしょうか。
クッキーをサクサクにするコーンスターチの量はどのくらいが適当?
クッキーを作る際に、薄力粉の一部をコーンスターチに置き換えると硬くなりにくいことがわかりましたが、サクサクのクッキーを作るためには、どのくらいの量のコーンスターチを入れると良いのでしょうか
コーンスターチだけでもクッキーは作れるの?
クッキーが硬くなる理由は、生地を捏ねすぎて小麦粉のグルテンが形成されるからでしたよね。
だとすれば、思い切って薄力粉を使わずにコーンスターチだけでクッキーを作った方が、硬くならないで簡単に作れるのでは、と思いませんか?
結論から言うと、コーンスターチだけでもクッキーを作れます。ただし、薄力粉で焼いた普通のクッキーとはまったく別のクッキーができ上がります。
その1:生地や食感がもろくなる
薄力粉でクッキを作ると、バターや卵の水分でグルテンが形成され、生地に粘性(伸展性)と弾力性が出てきます。そして、焼いた後もクッキーの組織がしっかりとくっつき合っているため、サクサクとした食感が生まれます。
しかし、コーンスターチだけで作ったクッキーはまったくグルテンが形成されないので、生地はボロボロとした状態になってまとまりにくくなります。
また、生地がまとまりにくいだけでなく伸展性も悪くなるため、麺棒で伸ばして型抜きをするにはあまり向いていません。
焼いた後は、薄力粉とコーンスターチを併用したクッキーよりもさらにザクザクと崩れるような食感になります。
その2:小麦の風味のない素朴な味わいに
コーンスターチは、とうもろこしから皮、胚芽、胚乳に含まれるたんぱく質を分離して、胚乳のでん粉質だけを抽出しているため無味無臭です。
一方、小麦粉は小麦から皮と胚芽を取り除き、胚乳部分を丸ごと粉砕して作ります。そのため、小麦粉にも小麦独特の甘みや香りがそのまま残っています。
ですから、小麦粉を使わずに無味無臭のコーンスターチだけでクッキーを作ると、小麦粉ならではの良い風味や香ばしさがなく、よく言えば素朴な、悪く言えば淡泊な味わいのクッキーになります。
程よくサクホロになるコーンスターチの割合は?
では、クッキーを作る際に、コーンスターチを何割くらい混ぜると、小麦の良さを損なわずにサクサクホロホロとした食感のおいしいクッキーになるのでしょうか?
硬くならずにサクホロの食感で小麦の良い風味がするおいしいクッキーを作るには、置き換えるコーンスターチの量は薄力粉の2割程度、多くても3割くらいを目安にするとよいでしょう。
その程度の量なら生地がまとまらずに作りにくいということもないでしょうし、グルテンの形成も抑えられるのでサクサクホロホロのクッキーを作りやすくなります。
もちろん、8割が小麦粉なのでクッキーらしい小麦の香ばしさも残りますよね。
まずは一度試してみたい、という方は、100gの小サイズの商品から始めてみるのがおすすめです。
コーンスターチ以外でクッキーをサクホロにする粉類は?
生地の捏ねすぎでクッキーが硬くなるのを防ぐには、小麦粉に含まれるたんぱく質(グリアジンとグルテニン)を減らすことが有効でしたよね。
ですから、コーンスターチ以外の材料を使う場合は、同じようにたんぱく質がほとんど含まれてないでん粉を使うとよいでしょう。
代表的な食材が片栗粉です。片栗粉はじゃがいもから抽出したでん粉で、たんぱく質はほとんど含まれていません。
コーンスターチとは多少性質が異なるので、とろみを付ける目的やカスタードクリームなどにする場合は食感が変わってきますが、クッキーに使う分には同じように使えます。
また、アーモンドパウダーやきな粉を混ぜても、ホロホロ食感のクッキーを作れます。
とっても簡単!コーンスターチを使ったクッキーのレシピ5選
では、コーンスターチを使って簡単に作れるサクホロクッキーのレシピを5つご紹介しましょう。
レモン味もココア味もアレンジ自在!基本の型抜きクッキー
まずは、薄力粉の一部をコーンスターチに置き換えたサクホロクッキーの基本レシピをご紹介します。生地が比較的まとまりやすいので型抜きにも支障がなく、いろいろな味のアレンジも簡単にできるレシピです。
【材料】(30~40枚分)
砂糖 60g
バター 100g
薄力粉 140g
コーンスターチ 40g
全卵 25g(Mサイズ1/2個分)
【下準備】
・バターは室温に戻しておく
・薄力粉とコーンスターチは合わせて振るっておく
【作り方】
1.ボールに柔らかくしたバターを入れて、ホイッパーでクリーム状になるまでよく混ぜる。
2.砂糖を加えて白っぽくなるまでよく混ぜ、溶いた全卵を3回くらいに分けて加えてその都度よく混ぜる。
4.振るっておいた薄力粉とコーンスターチを入れ、ヘラを斜めにして切るように混ぜる。
5.全体がそぼろ状になってきたら、ヘラで生地をボールの底に押し付けるように混ぜ、全体をひとまとまりにする。
6.ラップの上に生地を乗せ、平たくして包み、冷蔵庫で1時間ほど休ませる。
7.麺棒で3mmくらいの厚さに伸ばし、型抜きをしてクッキングシートを敷いた天板に並べる。
8.170℃のオーブンで12~15分くらい焼く。
【ポイント】
・型抜きの途中で柔らかくなってきたら、再度冷蔵庫で冷やすとよいでしょう。
※最近では、抜型もこんなかわいいものがありますよ!パーツごとに生地の素材・色味を変えたりしても面白そうですね♪
【アレンジ】
材料を少し変えるだけで、ココア味、抹茶味、レモン味のクッキーも簡単に作れます。
ココア味・抹茶味のクッキー
コーンスターチを30gに減らして、代わりにココアパウダーもしくは抹茶パウダーを10g加え、薄力粉といっしょに振るいます。
レモン味のクッキー
全卵の量を少し減らし、レモン汁大さじ1を加えます。レモン汁は全卵を加えた後に生地に混ぜ込むとよいでしょう。
小麦粉なしコーンスターチだけ!スイートポテト風さつまいもクッキー
薄力粉を使わずにコーンスターチだけで作る、スイートポテトのようなさつまいものクッキーです。さつまいもの粘りと食物繊維でザクザクしすぎない食感のクッキーを作れます。
【材料】(約30枚分)
さつまいも 100g
砂糖 30~40g
コーンスターチ 50g
卵黄 25g(Mサイズ1/2個分)
牛乳 40g
バター 30g
【作り方】
1.さつまいもは皮をむいてひと口大に切り、耐熱容器にふんわりとラップをかけて600Wの電子レンジで5~6分加熱する。
2.さつまいもが熱いうちにマッシャーや麺棒などでペースト状になるまでしっかりと潰し、バター、砂糖、コーンスターチ、牛乳を入れてよく混ぜる。
3.卵黄を加えてさらに混ぜ、さつまいもの粒が気になるようならザルなどで裏ごしをする。
4.絞り袋に入れて、クッキングシートを敷いた天板の上にひらたく丸い形になるように絞り出す。
5.170℃のオーブンで15分くらい焼く。
【ポイント】
・フードプロセッサーを使うと簡単に作れます。
・絞り袋がない場合は、フリーザーバックに入れ、角を切って絞り出すとよいでしょう。
卵なし!ボウルもいらない!超簡単サクサククッキー
一般的なクッキーはバターをクリーム状に練って作りますが、こちらのレシピは袋の中で作るので、ボウルも不要!材料4つだけの超簡単サクサククッキーです。
【材料】(約30枚分)
バター 60g
薄力粉 90g
コーンスターチ 30g
砂糖 40g
【下準備】
・バターは1cm角くらいに切り、室温に戻しておく
・薄力粉とコーンスターチは合わせて振るっておく
【作り方】
1.厚手のビニール袋や大きめのストックバックに振るった粉類と砂糖を入れて、空気を入れて口を閉じ、袋を振って混ぜる。
2.1にバターを入れ、粉っぽさがなくなるまで袋の上から手で軽く揉んで混ぜ合わせる。
3.粉っぽさがなくなりひとつにまとまってきたら、ラップの上に乗せて3cmくらいの筒状に成形する。
4.冷蔵庫で1時間ほど冷やし、包丁で5mmくらいの厚さに切り分ける。
5.クッキングシートを敷いた天板に並べ、170℃のオーブンで15分くらい焼く。
【ポイント】
・生地を揉み混ぜる時は練らないように注意し、バターが溶けないように手早く行いましょう。
余った卵白で作る!簡単本格ラングドシャ
料理やお菓子作りで卵黄を使う時がありますよね。使わずに残った卵白を利用して作るオシャレなクッキーです。卵白1個分から作れるので、ちょっとしたおやつに最適ですね。
【材料】(卵白1個分)
卵白 1個分(約30g)
砂糖 30g
バター 30g
薄力粉 20g
コーンスターチ 10g
【下準備】
・バターは1cm角くらいに切り、室温に戻しておく
・薄力粉とコーンスターチは合わせて振るっておく
【作り方】
1.室温に戻したバターをクリーム状になるまでよく混ぜ、砂糖を入れてさらによく混ぜる。
2.卵白を3~4回に分けて入れ、その都度よく混ぜる。
3.振るっておいた粉を入れ、ヘラに持ち替えて粉っぽさがなくなるまでさっくりと混ぜ合わせる。
4.絞り袋に3を入れ、クッキングシートを敷いた天板の上で2cmくらいの大きさに絞り出す。
5.170℃のオーブンで12~13分くらい焼く。
【ポイント】
・焼き上がった時はとても柔らかいので、冷めるまで天板に乗せたままで放置しておきましょう。
アーモンドプードルなしでもサクホロ!スノーボールクッキー
スノーボールクッキー(ブール・ド・ネージュ)はアーモンドパウダーの入ったホロホロクッキーですよね。
コーンスターチを使うと、アーモンドパウダーがなくてもホロホロ食感のスノーボールクッキーが簡単に作れます。
【材料】(約30個分)
薄力粉 80g
コーンスターチ 80g
バター 80g
砂糖 40g
まぶす用の粉糖 適量
【下準備】
・バターは室温に戻しておく
・薄力粉とコーンスターチは合わせて振るっておく
【作り方】
1.柔らかくしたバターをクリーム状なるまでよく混ぜ、砂糖を加えてさらによく混ぜる。
2.振るった粉類を加えて、ヘラでサックリと混ぜ合わせる。
3.粉っぽさがなくなり、ある程度まとまったらラップに包み2cmくらいの厚さに整えて、冷蔵庫で1時間くらい冷やす。
4.包丁で30個程度に切り分けて手で丸め、クッキングシートを敷いた天板に並べる。
5.180℃のオーブンで15分くらい焼く。
6.完全に冷めたら粉糖をまぶす。
【ポイント】
・バターは柔らかめの方が混ぜやすくなります。マヨネーズくらいの硬さがおすすめです。
まとめ:コーンスターチを活用してサクサククッキーを作ってみよう!
ケーキを作る時に生地を混ぜすぎると膨らみにくくなるように、クッキーも混ぜすぎると硬いクッキーになってしまいます。
慣れてしまえばそれほど難しくはないのですが、コツを掴むまではなかなかうまくいかないですよね。
しかし、コーンスターチを混ぜると、クッキーを硬くする原因であるグルテンの形成が抑えられるため、サクサクのクッキーが作りやすくなります。
基本は薄力粉の2割程度をコーンスターチの置き換えるだけ。それだけ覚えておけばどのようなレシピにも対応できるので、アレンジも簡単にできるようになります。ぜひ、試してみてくださいね。