黒酢が身体にいいらしい!という話はよく聞きますよね。
インターネットで黒酢の効果を調べてみると、ダイエットに効くとか、高血圧を予防するとか、いろいろな効果が出てきます。果たして、これらの効果は本当なのでしょうか?
この記事では、黒酢に期待できるさまざまな効果について解説します。
目次
栄養成分から黒酢の効果を検証してみよう!
身体にいい食品は栄養価が高いイメージがありますよね。黒酢の場合はどうなのでしょうか?まずは、栄養面から黒酢の効果を見ていきましょう。
黒酢だけでどれくらいの栄養がとれるの?
黒酢をはじめとする食酢に含まれる栄養成分は、糖質とタンパク質の他、カリウム、マグネシウムなどのミネラルやビタミンB群などがあります。タンパク質はアミノ酸の形で含まれています。
以下の表は、大さじ1杯(15g)あたりの黒酢と他の代表的な食酢の栄養成分を比較したものです。
黒酢 | 穀物酢 | 米酢 | りんご酢 | バルサミコ酢 | |
---|---|---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 66 | 37 | 59 | 41 | 116 |
たんぱく質(g) | 1 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0.5 |
脂質(g) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物(g) | 9 | 2.4 | 7.4 | 2.4 | 19.4 |
カリウム(mg) | 47 | 4 | 16 | 59 | 140 |
カルシウム(mg) | 5 | 2 | 2 | 4 | 17 |
マグネシウム(mg) | 21 | 1 | 6 | 4 | 11 |
鉄(mg) | 0.2 | - | 0.1 | 0.2 | 0.7 |
亜鉛(mg) | 0.3 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0.1 |
ビタミンB1(mg) | 0.02 | 0.01 | 0.01 | 0 | 0.01 |
ビタミンB2(mg) | 0.01 | 0.01 | 0.01 | 0.01 | 0.01 |
ナイアシン(mg) | 0.6 | 0.1 | 0.3 | 0.1 | 0.2 |
ビタミンB6(mg) | 0.06 | 0.01 | 0.02 | 0.01 | 0.05 |
ビタミンB12(μg) | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.3 | - |
葉酸(μg) | 1 | 0 | 0 | 0 | - |
他の食酢よりも黒酢に多く含まれる栄養素は、アミノ酸、マグネシウム、ビタミンB群のナイアシンや葉酸などです。これらの栄養成分は、黒酢の原料である玄米に由来するものです。
ただし、黒酢の1回の摂取量は大さじ1杯程度と少ないので、黒酢に含まれているビタミンBやミネラル等の量は1日の必要摂取量のわずか数%に過ぎません。
ですから、黒酢だけで様々な栄養素をまかなうのは少し難しい、と考えた方が良さそうですね。
黒酢に多く含まれる『アミノ酸』の効果は?
アミノ酸は、身体の組織を構成する素になるほか、身体の機能の維持や調節など生命活動には欠かせない栄養素です。また、筋肉疲労の回復、美肌、自律神経の調整、免疫力向上など、さまざまな効果が期待できます。
黒酢・その他のお酢(15g当たり)に含まれるアミノ酸量については以下の表(名古屋市消費生活センターの公表値による)を見てください。
対象品 | アミノ酸量(mg) |
---|---|
黒酢A | 83.25 |
黒酢B | 65.25 |
黒酢C | 67.35 |
黒酢D | 74.7 |
黒酢E | 128.85 |
穀物酢A | 8.7 |
穀物酢B | 4.8 |
穀物酢C | 6 |
リンゴ酢A | 3.6 |
リンゴ酢B | 11.85 |
バルサミコ酢 | 22.05 |
体内で合成できない必須アミノ酸は9種類すべてが含まれていますが、その量は黒酢中のアミノ酸の約50%ほどの量(=30~40mg程度)だそうです。
1日の必須アミノ酸の必要量は、体重60kgの成人で約11gですので、黒酢大さじ1杯では1日の必要量のわずか0.3%程度しか摂ることができません。
黒酢は、他の食酢よりも多くアミノ酸が含まれているとは言っても、アミノ酸の健康効果はあまり期待できないと思っておく方がよさそうですね。
健康効果の素となる栄養素は何?
黒酢は穀物酒の一種です。穀物酢には有機酸が4.2%以上含まれていなければならないと、日本農林規格で決まっています。一般的な黒酢の酸度は4.5%程度、つまり、有機酸が4.5%程度含まれていることになります。
黒酢中の有機酸のほとんどは酢酸です。次いで乳酸、ピログルタミン酸の量が多く、クエン酸やリンゴ酸はわずかしか含まれていません。
黒酢の健康効果は「クエン酸」にあるという声も聞きますが、含有量から考えると他の食酢と同じように、『酢酸』によるものが大きいと言えます。
他のお酢よりも黒酢の方が優れている点は?
黒酢の健康効果は、主成分である酢酸によるものが大きいですが、高めの血圧を下げる効果や血糖値上昇を緩やかにする効果など、黒酢が他の食酢よりも高い効果が見られたという研究結果もあります。
また、黒酢は、他の食酢よりも旨味成分であるアミノ酸の量が8~10倍含まれている、長期間の熟成により酸味のカドも少ないことが特徴です。
料理に使う場合はコクがあるので味わい深くなり、飲む場合もまろやかで旨味があるので、他の食酢よりも使いやすいと言えます。
※続けやすい黒酢の使い方についてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
黒酢のうれしい健康効果~血圧対策からダイエットまで~
黒酢や黒酢ドリンクを飲むと健康にいい、という話はよく聞きますが、具体的にどのような効果があるのでしょうか。ここでは、黒酢から得られるうれしい健康効果を5つご紹介していきます。
高めの血圧を下げる効果
1日に15~20mlの黒酢を毎日取り続けると、黒酢に含まれる酢酸の効果で、高めの血圧(130~159mmHg/85~99mmHg)を下げる効果が期待できます。
この点については、こちらの記事で詳しく解説をしています。黒酢と血圧の関係や血圧を下げられない場合の対処法などにも触れていますので、あわせて読んでみてくださいね。
内臓脂肪を減らす効果
黒酢に含まれる酢酸には、内臓脂肪を減らす効果があることもわかっています。
ミツカングループの臨床実験によると、肥満気味(BMIが25以上30以下)の成人男女に酢酸750mgを含むドリンクを12週間毎日摂取してもらったところ、平均4.7cm²の内臓脂肪の減少が見られたそうです。
酢酸750mlは黒酢でいうと15ml(大さじ1杯)に相当します。つまり、大さじ1杯程度の黒酢を毎日取り続けると、内臓脂肪を減らす効果が期待できることになりますね。
また、ラットを用いた実験では、酢酸による脂肪合成抑制や脂肪蓄積抑制、さらには、エネルギー代謝を高める効果なども報告されています。
血中コレステロール・中性脂肪を低下させる
ミツカングループの臨床実験では、黒酢に含まれる酢酸が、高めの血中の総コレステロールと中性脂肪の値を低下させる効果があることも明らかになりました。
血中総コレステロール値が少し高めの人には酢酸750mgの入ったドリンクを、中性脂肪値が少し高めの人には食酢15mlをそれぞれ12週間毎日飲んでもらったところ、どちらも有意な数値の低下が見られたそうです。
つまり、黒酢を大さじ1杯(15ml)を毎日取り続けることで、高めの血中総コレステロールや血中中性脂肪を減らす効果が期待できるということになりますね。
便秘を改善する効果
便秘を解消するには、腸の動きを活発にすることと、善玉菌を増やして腸内環境を良くすることが効果的です。黒酢はこの両方に作用して、便秘を改善させる効果が期待できます。
黒酢に含まれる酢酸は胃酸の分泌を増やし、腸を刺激して、腸のぜん動運動(食べたものを混ぜ合わせながら直腸の方に送り出す腸の運動)を活発にする効果があります。
胃酸にもぜん動運動を活発にする働きがあるので、黒酢を食べたり飲んだりすると、ダブルで効果が発揮されるというわけです。
また、酢酸などの有機酸で腸内が弱酸性に傾くと、善玉菌が増えて悪玉菌は減り、腸内環境が良くなることも期待できます。
血糖値の上昇を緩やかにする効果
食事中に約大さじ1杯の黒酢を取ることで、血糖値の上昇を緩やかにし、脂肪を蓄えにくくする効果が期待できます。
食酢に血糖値の上昇を緩やかにする効果があることは、科学的にも証明されています。さらに、黒酢は米酢よりも高い効果が見られるという実験結果を、福山黒酢株式会社が明らかにしています。
まだまだある!日常生活でプラスになる黒酢の効果
黒酢には、生活習慣病の予防やダイエットを助ける効果が期待できるほかにも、日常生活でも私たちにとってプラスになる効果がたくさんあります。
疲労回復効果
運動や労働などで身体をたくさん動かした後はエネルギー不足になります。
黒酢をはじめ、食酢に含まれる酢酸などの有機酸には、エネルギーを生み出す働きを助け、疲労回復を促進する効果があることがわかっています。
エネルギー源は糖質から生み出されるので、黒酢と糖質をいっしょに摂ることで、効率的に疲労を回復する効果が期待できますね。
夏バテ防止効果
黒酢などの酸味は、味覚や嗅覚を刺激し、食欲を増進させる効果が期待できます。
夏場に暑さで食欲がなくなったときに、サッパリとした酢の物や果物などが食べたくなるのも同じ原理です。さらに夏場は暑さで疲労が蓄積しやすいため、黒酢を取ることで同時に疲労回復の効果も期待できるので一石二鳥ですね。
また、黒酢の酸味により唾液や胃酸の分泌も促されます。その結果、消化を促進する効果も期待できるのです。
ただし、黒酢をそのまま飲むとかえって胃に負担をかけてしまうので注意が必要です。5倍以上に薄めて飲むか、料理に利用するなどして取るようにしましょう。
調理における黒酢の効果
黒酢に含まれる酢酸は、調理においてもさまざまな効果を発揮します。酢酸には、食品からカルシウムやマグネシウムが溶け出すのを促進する効果があります。
つまり、骨付きの魚や肉、殻付きの魚介類などを煮込む時に酢を少し入れると、骨や殻からカルシウムやマグネシウムが溶け出して、より多くの栄養素を摂取できることになりますね。
その他にも、酢酸が調理中にもたらす効果には次のようなものがあります。
料理の味や風味をサッパリさせる
脂っこい料理やコッテリした料理に酢を入れると、サッパリとさせることができます。中華料理や脂身の多い肉などに黒酢を加えると、サッパリとして食べやすくなるだけでなく、コクが深くなっておいしくなります。
煮込み料理で肉を柔らかくする
煮豚や手羽元の煮込みなどを作る時に酢を少し入れると、肉の保水性が高まり肉が柔らかくなります。また、黒酢を使うとコクが出て味わい深くなります。
魚の生臭みを取る
魚は時間が経つにつれて生臭くなってきますが、この生臭さの正体のひとつが、トリメチルアミンというアルカリ性の物質です。
魚を酢で洗ったり、調味に酢を使うことで、トリメチルアミンを中和させ、生臭さを軽減する効果があります。煮魚などに黒酢を加えると、アミノ酸効果で旨味も増すので一石二鳥です。
まとめ:1日大さじ1杯の黒酢には健康効果が期待できる!
黒酢には、アミノ酸やカリウムやマグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群などの栄養素が含まれていますが、摂取量が少ないので、栄養価が高いとは言えません。
しかし、有機酸などのその他の成分が、さまざまな健康効果をもたらすことが期待できます。
米酢や穀物酢に比べて、酸味もまろやかで飲みやすいのも黒酢の大きなメリットです。飲みやすい黒酢や黒酢ドリンクを見つけて、ぜひ続けてみてくださいね。