そんな疑問にお答えします。甘い醤油は九州以外の人には馴染みがありませんよね。筆者も九州に行ったとき、お刺身と一緒に「辛口」「甘口」と2種類の醤油が出てきて驚きました。
「甘い醤油ってどうやって使うんだろう?」と疑問に思う方が多いかもしれません。実は意外とどんな料理にも使える優秀な調味料なんです。
この記事では九州醤油の特徴や作り方、おすすめの九州醤油やレシピなどをご紹介します。
目次
九州醤油の特徴とは?おすすめの作り方も紹介
九州醤油とは
九州醤油は醤油に甘みを加えたものです。九州では普通の醤油の方がめずらしいくらい、甘い醤油が一般的です。醤油は日本農林規格(JAS規格)で「濃口」「淡口」「たまり」「再仕込み」「白」の5種類に分けられています。
この中で九州醤油は濃口醤油に分類されます。濃口醤油に砂糖やステビアなどの天然甘味料、アミノ酸を加えて作られているものです。一般的に売られている濃口醤油に比べて、塩分が少なく甘みとうまみが強いことが特徴です。
醤油は地域によって味が異なり、南に行くほど甘みが強くなります。北海道のものは塩分が高く、鹿児島県の醤油が一番甘いと言われています。
九州醤油はなぜ甘いの?
九州醤油が甘い理由は諸説ありますが、代表的なものを3つご紹介します。
歴史的背景
15世紀から16世紀にかけて九州では南蛮貿易が行われていました。オランダから砂糖を輸入し、鹿児島県でサトウキビの栽培が始まりました。日本全国で砂糖は貴重でしたが、九州では手に入りやすいものでした。
高級な砂糖をふんだんに使った甘い料理でお客さんをもてなすのが、九州の人のステータスだったといわれています。
気候条件
九州は比較的暖かい地域です。汗をかくと塩分と糖分が体の外に出てしまうので、甘辛い味付けが好まれます。実際に九州の砂糖の年間消費量は全国平均を上回っていて、甘党の人が多いともいわれています。
九州の漁師さんが船の上での肉体労働の際、砂糖醤油でエネルギー補給をしていました。そういった背景から甘い醤油が食べられるようになりました。
焼酎・お刺身に合う
九州の人は辛口の焼酎が好きな方が多いです。焼酎には糖分が含まれていないので、甘みのある料理がよく合います。また、海に囲まれている九州では魚介がたくさん獲れます。新鮮なお刺身には脂がたっぷり。
甘くてとろみのある醤油は脂にはじかれることがなく、魚の味に負けません。新鮮な脂がのったお刺身と甘い醤油は相性抜群です。
九州醤油の作り方
九州醤油を買う前に「一回どんな味か試してみたい!」という方もいるのではないでしょうか。ここからは自宅で簡単にできる九州醤油の作り方をご紹介します。
【材料】
濃口醤油:40g
ザラメ:5g
みりん:20g
【作り方】
1. 醤油、ザラメ、みりんを小鍋に入れて混ぜ合わせ、沸騰させないように火にかけます。
2. ザラメが溶けて粗熱が取れたら、煮沸消毒した瓶に入れて冷蔵庫で保存します。
初心者の方におすすめ!甘さ控えめ九州醤油5選
今まで九州醤油を食べたことがない人は甘い醤油と聞くと少し抵抗がありますよね。九州醤油とひとくくりに言っても、商品によって甘さが違います。ここからは九州醤油初心者の方におすすめの商品を5つご紹介します。
マルエ醤油|本醸造特級うまくちしょうゆ
おすすめの九州醤油1つ目は、福岡県のみそ・醤油メーカーマルエ醤油の「本醸造特級うまくちしょうゆ」です。お取り寄せで人気の商品で「この醤油しか受け付けない!」という口コミが多数ありました。
しつこくない甘みで普通の醤油で育った人も違和感なく食べられます。角がないまろやかな味が特徴で、煮物やかけ醤油にピッタリです。
宮島醤油|特級ばら濃口醤油
佐賀県の明治15年創業の老舗が作る「特級ばら濃口醤油」。伝統的な製法で作られた、こうばしい香りと豊かなうまみが特徴の本醸造醤油です。
醤油のツンとした辛味がなく、甘すぎないのでどんな料理にも使いやすいのがうれしいポイントです。もろみのようなうまみがあり、煮込み料理や温野菜に合うと評判の九州醤油です。
ホシサン|あまくちしょうゆ
楽天ランキング1位を多数獲得した商品です。九州醤油のこくと香りを保ちつつ、クセがなく控えめな甘さが特徴です。口当たりがなめらかで、食材そのものの味が活かせます。
1本で「うまみ・こく・甘み」を兼ね備えています。一般的な濃口醤油と比べて塩分量が少ないので、健康に気を使っている人におすすめです。
緑屋本店|うまくち醤油紫濃口
熊本県の百年蔵が作る、まろやかな甘さとこくが特徴の九州醤油。おいしい水、厳選した素材にこだわっています。県外からお取り寄せする人も多く、緑屋本店で一番売れている人気商品です。
お刺身や豆腐につけるのはもちろん、煮物などにも使える万能調味料です。醤油を変えるだけで普段の料理がグレードアップしますよ。卵かけご飯にもよく合います。
ニビシ醤油|特級うまくち醤油
福岡県でロングセラーの「特級うまくち醤油」。本醸造の豊かな風味にうまみと甘みが加わった絶品の醤油です。九州で作られる「うまくちしょうゆ」の本家本元です。
アミノ酸液を使用していないので醤油本来の風味や味が楽しめます。塩味がきつすぎず普通の醤油より少し甘いくらいなので、初めて九州醤油を買う方におすすめです。
甘党の方におすすめ!甘みが強い九州醤油5選
九州醤油の中でも宮崎県と鹿児島県のものは特に甘いです。ここからは甘党の方におすすめの甘みが強い九州醤油を5つご紹介します。
フンドーキン|ゴールデン紫あまくち
創業159年の老舗食品メーカーが作る「ゴールデン紫あまくち」は、九州でもトップクラスのロングセラー商品です。九州の甘い醤油に慣れている人でも、すごく甘いと感じるようです。
濃口醤油に糖類とうまみを加え、まろやかに仕上げています。甘みが強いのでお砂糖なしで煮物が作れますよ。また鶏の照り焼きやかば焼きのたれなどにもおすすめです。
キンコー醤油|薩摩甘口醤油
続いてご紹介するのは鹿児島県の「薩摩甘口醤油」です。時間をかけてじっくり発酵・熟成させたもろみを搾り、甘口の醤油に仕上げています。通常、醤油は麹を仕込むときに食塩水を使います。
この醤油は食塩水の代わりに醤油を使用しているので、味、色、香りがとても濃厚です。とろみのある芳醇な味わいなので、魚や鶏のお刺身と相性抜群です。
吉村醸造|サクラカネヨこいくち甘露
1927年から鹿児島県で愛されている商品です。鹿児島の醤油特有の強い甘みがあります。大豆、麦、塩、水を一年以上熟成させた醤油に、こくのあるうま味・甘みを加えバランスよく仕上げた商品です。
肉料理、炒め物、刺身などさまざまな料理に大活躍します。こってりした甘辛い味が好きな方におすすめの商品です。
ヒシク|極あまくちしょうゆ専醤
鹿児島県の明治3年創業の老舗食品メーカーが作る醤油です。とても甘い醤油として「秘密のケンミンSHOW」で紹介されました。おそらく日本一甘い醤油だといわれています。
ほかの醤油と混ぜてお好みの味が作れるブレンド用醤油です。ブレンドせずにそのままお刺身につけたり、煮物や料理の下味として使ったりもできます。
竹井醸造|エンマン醤油乙姫様
宮崎県の醤油の中でもトップクラスの甘い醤油です。甘みが強いだけでなくうまみ、塩味、酸味、苦みなどがバランスよく配合されています。
竹田醸造はかつお・まぐろ漁が盛んな町にあり、獲れたてのお刺身をおいしく食べるための醤油づくりに励んでいます。お刺身はもちろん、煮物やお餅などにも相性ぴったりです。
九州醤油のおすすめレシピ3つ
九州醤油は甘みとうまみ、塩味がバランスよく配合されているので醤油と砂糖を使う和食にぴったり。料理に自信のない方でも九州醤油1つで味が決まります。ここからは九州醤油のおすすめレシピを3つご紹介します。
三色丼
九州醤油のおすすめレシピ1つ目は三色丼です。九州醤油の甘みが鶏そぼろと相性抜群!
【材料/2人分】
ごはん:2杯分
鶏ミンチ:200g
生姜チューブ:3cm
九州醤油:大さじ2
卵:2個
砂糖:小さじ2
ほうれん草:1束
白だし:小さじ1
ゴマ:少々
【作り方】
1.フライパンに油(分量外)をひき、鶏ミンチを炒めます。火が通ったら生姜と九州醤油を加え、味をつけます。
2.卵と砂糖をまぜて、別のフライパンでいり卵を作ります。
3.ほうれん草は熱湯でさっとゆで、みじん切りにします。白だしとゴマで和えておきます。
4.どんぶりにごはんを盛り付け、鶏ミンチ、卵、ほうれん草をきれいにのせて完成です。
きんぴらごぼう
九州醤油のおすすめレシピ2つ目は甘辛い味がおいしい「きんぴらごぼう」です。醤油、砂糖、みりんを入れて作るのが普通ですが、九州醤油だけで味が決まります。
【材料/2人分】
ごぼう:1/4本
にんじん:1/4本
九州醤油:大さじ1
ゴマ油:適量
ゴマ:適量
【作り方】
1.ごぼうとにんじんを細めのささがきにします。
2.フライパンにゴマ油を入れて火にかけ、ごぼうとにんじんを炒めます。
3.火が通ったら九州醤油を加えて弱火にし、炒め合わせます。
4.お皿に盛り付けゴマをふりかけます。
牛肉と厚揚げの煮もの
九州醤油のおすすめレシピ3つ目は「牛肉と厚揚げの煮物」。難しい工程がなく簡単に作れるので、あともう1品欲しい時におすすめですよ。
【材料/2人分】
厚揚げ:1パック
薄切り牛肉:60g
白ネギ:1本
○水:100ml
○酒:100ml
○九州醤油:80ml
【作り方】
1.厚揚げは熱湯で油抜きをして、食べやすい大きさにカットします。白ネギは斜め切りにしておきましょう。
2.鍋に○を入れて火にかけ、厚揚げ、薄切り牛肉、白ネギを入れます。沸いてきたらキッチンペーパーで落し蓋をし、火を弱めて10分間煮込みます。
まとめ:九州醤油のおすすめ商品は種類が豊富!
今回は九州醤油のおすすめ商品や作り方、レシピをご紹介しました。九州以外の人はあまりなじみのない甘い醤油。歴史的背景や気温、お刺身や焼酎に合うことなどから甘い醤油が食べられるようになったとされています。
一度試してみたい方は自宅でも簡単に作れます。初心者の方にも使いやすい甘さ控えめの商品や、甘党の方におすすめの商品をご紹介しました。ぜひ自分の好みに合わせて試してみてくださいね。