ピーナッツオイル(落花生油)という油は、聞いたことがあるようで、あまりよく知らない油ではないでしょうか。
インターネットで調べると、健康に良い!というようなことが書かれてありますが、はたして本当なのでしょうか?
また、ピーナッツオイルはどのように使えばよいのでしょうか?この記事では、ピーナッツオイルの特徴や使い方について詳しく解説します。
目次
ピーナッツオイルは体に良い効果がある?オメガ何系の油なの?
体に良いことでよく知られている油がオメガ3のえごま油やアマニ油ですよね。
オメガ3の油は動脈硬化を予防する効果があることで知られていますが、では、ピーナッツオイルはオメガ何系の油なのでしょうか?
よく聞くけど…オメガっていったい何?
そもそも、オメガというのはいったい何のことなのでしょうか?簡単に言うと、オメガとは油脂の主要な成分である「脂肪酸」の種別のことです。
それぞれの脂肪酸には特徴的な性質があり、どの脂肪酸を多く含むかによって油の性質も変わってきます。
脂肪酸には、常温で固体の飽和脂肪酸と常温で液体の不飽和脂肪酸があります。
そして、主な不飽和脂肪酸はその性質によって、さらにオメガ3系(n-3系)脂肪酸、オメガ6(n-6系)脂肪酸、オメガ9(n-9系)脂肪酸に分けられます。
そして、オメガ3系脂肪酸を多く含んでいる油を「オメガ3の油」、オメガ6系脂肪酸を多く含んでいる油を、「オメガ6の油」、オメガ9系脂肪酸を多く含んでいる油を「オメガ9の油」と呼んでいます。
オメガ3の油にはえごま油やアマニ油などが、オメガ6の油には大豆油やごま油などが、そして、オメガ9の油にはオリーブオイルやなたね油(キャノーラ油)などがあります。
では、ピーナッツオイルはオメガ何系の油になるのでしょうか?
ピーナッツオイルは中間的な油
下の図は、主要な植物油の脂肪酸の構成を表したグラフです。
オメガ3系の「α-リノレン酸」を多く含む油がオメガ3の油と呼ばれており、オメガ6系の「リノール酸」を多く含む油がオメガ6の油、オメガ9系の「オレイン酸」を多く含む油がオメガ9の油と呼ばれています。
ピーナッツオイルは、オメガ6系のリノール酸が約3割、オメガ9系のオレイン酸が4割強、そして飽和脂肪酸が約2割含まれていることがわかりますよね。
特別多い割合の脂肪酸があるわけでもなく中間的な油で、ごま油に近い組成であると言えます。
ごま油は便宜上はオメガ6の油に分類されていますが、ピーナッツオイルはあまりメジャーな油ではないためか、特にオメガの分類はされていません。
しかし、オレイン酸の割合がやや多いので、強いて言うならばオリーブオイルやキャノーラ油と同じ分類のオメガ9の油に近いと言えますよね。
ピーナッツオイルに含まれる成分とそれぞれの効果・効能
ピーナッツオイルは、オメガ9系脂肪酸のオレイン酸、オメガ6系のリノール酸の他、飽和脂肪酸やビタミンEが多く含まれている油です。それぞれの効果・効能を見ていきましょう。
オレイン酸
健康の指数のひとつにコレステロール値がありますよね。
コレステロールは細胞膜などの材料になる物質で、肝臓で作られたコレステロールを体の各組織に運ぶLDLコレステロールと、使わなかった余分なコレステロールを肝臓に戻すHLDコレステロールとがあります。
LDLコレステロールが増えすぎると、動脈硬化の原因となるため注意が必要です。
オレイン酸には、LDLコレステロールを増やさずにHDLコレステロールも減らさない効果があると考えられています。また、オレイン酸には抗酸化作用があることでも知られています。
一方、オレイン酸の過剰摂取による弊害ははっきりとわかっていませんが、肥満や生活習慣病の原因となるリスクがあるという考えが一般的です。
リノール酸
リノール酸は体内で合成できない油のため、食事から摂る必要のある必須脂肪酸です。
リノール酸は、肉や乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸をリノール酸を多く含むオメガ6の植物油に置き換えた場合に、心筋梗塞などリスクを減らす可能性があることが報告されています。
しかし、リノール酸は摂りすぎると体のあちらこちらで炎症反応を引き起こし、動脈硬化、アレルギー疾患、ガンなどのリスクを高める可能性があることも言われています。
ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があり、体内で活性酸素の働きを抑えて体内の脂質の酸化を防ぐ効果があります。
コレステロールや中性脂肪をはじめとする体内の脂質が酸化されると、体の各組織の老化が進むだけではなく、動脈硬化や生活習慣病などの原因となり得ます。
ピーナッツオイルにはビタミンEだけでなく、オレイン酸にも抗酸化作用があるため、体内の脂質の酸化をダブルで防いで、動脈硬化や生活習慣病などのリスクを減らす効果が期待できます。
結局、ピーナッツオイルは体に良い油なの?!
ピーナッツオイルの主成分は、オメガ9のオリーブオイルやなたね油と同じで体にプラスの効果を持つオレイン酸です。
その一方で、摂りすぎるとLDLコレステロールを増やし動脈硬化を促進すると言われる飽和脂肪酸や、同じく摂りすぎると炎症反応を誘発するリノール酸の量は、オリーブオイルやなたね油よりも多く含まれています。
また、体に良い影響を与えるオメガ3系脂肪酸もほとんど含まれていません。
つまり、ピーナッツオイルは体に良い効果はあるものの、オリーブオイルやなたね油に比べるとその効果は低めであると言えます。まあ、そこそこ体に良い油といったところでしょうか。
ピーナッツオイルの料理への効果や特徴を解説!
では、ピーナッツオイルを料理に使うことのメリットはどこにあるのでしょうか?ピーナッツオイルの特徴や料理に使う場合の効果について解説します。
ピーナッツオイルの特徴と調理効果
ピーナッツオイルは、その名の通りピーナッツ(落花生の種子)を搾って精製した植物油です。サラリとした軽い口当たりの油でクセも少なく、さまざまな料理に使いやすい油であるといえます。
実際に、日本ではあまり馴染みがありませんが、中国料理をはじめ、イタリア料理、フランス料理、エスニック料理など、さまざまな料理に使われています。
ピーナッツオイルの最大の特徴が、ほんのりとピーナッツの香りがすることです。
甘くて香ばしいピーナッツの香りがするため、料理の香り付けとして使用されます。特に、広東料理ではほとんどの料理に香り付けとして利用されているそうです。
ドレッシング用?揚げ物用?ピーナッツオイルに向く料理とは?
ピーナッツオイルのもうひとつの特徴が、酸化しにくく加熱に強いことです。そのため、揚げ物や炒め物のほか、肉や魚や野菜をソテーする油としてもよく使われます。
もちろん、加熱をせずにそのまま使うこともできます。ドレッシングやマリネに使うことはもちろん、台湾では白ごはんにピーナッツオイルとしょうゆを少しかけて食べる方法も好まれているそうです。
また、ピーナッツの甘くて香ばしい香りがするため、ケーキやアイスクリームなどのスイーツにもよく合います。どのような料理にも使用できる万能油と言えますね。
調理効果を生かしたレシピとおすすめのピーナッツオイルをご紹介!
どのような料理にもよく合うピーナッツオイルですが、実際にはどのように使うとよいのでしょうか。おすすめのレシピをいくつかご紹介しましょう。
万能調味料!ピーナッツオイルのネギ油
ネギ油とは、中華料理によく使われる油でネギの香りをつけた油のこと。ひと手間かけて作り置きしておくと、中華料理がプロの味に近付きます。
チャーハンや炒め物などにはもちろん、スープやラーメンに入れたりサラダや和え物にかけたりしてもおいしく食べられます。
【材料】(作りやすい量)
ピーナッツオイル 200cc
長ねぎ 1本
にんにく 1片
しょうが 10g
【作り方】
1.長ねぎは10cmくらいの長さに、にんにくとしょうがは3mmくらいの厚さに切る。
2.深めのフライパンにすべての材料を入れて火にかけ、時々かき混ぜながら弱火で20~30分ほどじっくりと加熱する。
3.ネギが茶色っぽくなってきたら、ザルなどで濾す。
【ポイント】
・長ねぎの青い部分だけを使ってもOKです。その場合は100gくらい用意してください。
・にんにく、しょうがは包丁の腹で潰してもよいでしょう。
ちょっとしたご馳走に!中華風海鮮サラダ
高級中華料理の店でよく見かける刺身の香味油がけをアレンジした海鮮サラダです。豪華に見えるけど、作り方は簡単!おもてなし料理にもおすすめです。
【材料】(2人分)
鯛の刺身 200g
お好みの野菜(きゅうり、大根、玉ねぎ、サニーレタス、かいわれなど) 適量
☆しょうゆ 小さじ2
☆砂糖 小さじ1
☆黒酢(酢) 小さじ1
☆ピーナッツオイル 大さじ2
☆白ネギのみじん切り 大さじ1
☆しょうがのみじん切り 少々
【作り方】
1.鯛の刺身は斜めに薄切りにする。
2.きゅうりや大根などは千切りにし、レタスやカイワレなどはひと口大にする。
3.☆の材料をすべて混ぜ合わせて香味ダレを作る。
4.1と2を皿に盛り、3のタレをかける。
【ポイント】
・鯛の刺身の代わりに、サーモンやハマチなどでもおいしく食べられます。
・タレにピーナッツオイルを入れず、ピーナッツオイルだけ熱々に熱して後からかけてもよいでしょう。
シンプルな味わいが魅力!小松菜のピーナッツオイル炒め
ピーナッツオイルの香りを生かすなら、シンプルな味わいがいちばんです。ひと手間かけて炒めた小松菜を一度取り出すことで、きれいな色合いに仕上がります。
【材料】(2人分)
小松菜 1袋
ピーナッツオイル 大さじ1.5
☆しょうゆ 大さじ1/2
☆酒 大さじ1
☆おろしにんにく 少々
こしょう 適宜
【作り方】
1.小松菜は5cmくらいのざく切りにする。
2.フライパンにピーナッツオイルを入れて熱々に熱し、小松菜を入れてサッと炒めて一旦取り出しておく。
3.2のフライパンに☆を入れて一煮立ちさせる。
4.3に2の小松菜を戻し、さっと混ぜて火を止め、お好みでこしょうで味を整える。
【ポイント】
・小松菜は炒めすぎないようにしましょう。まだ少し早いかなという時点で取り出すときれいに仕上がります。
混ぜて焼くだけ!ピーナッツオイルの簡単パウンドケーキ
シフォンケーキには植物油を使いますが、初心者にはなかなかハードルが高いですよね。
しかし、パウンドケーキなら材料を混ぜて焼くだけなので簡単に作れます。あっさりとした口当たりでほんのりとピーナッツの風味が香るケーキをご紹介します。
【材料】(18cmのパウンド型1個分)
薄力粉 100g
ベーキングパウダー 小さじ1
卵(Mサイズ) 2個
砂糖(あれば三温糖) 70g
牛乳 大さじ2
塩 少々
ピーナッツオイル 50g
【作り方】
1.型にクッキングシートを敷き、薄力粉とベーキングパウダーは振るっておく。
2.ボールに卵を割り入れてよくほぐし、砂糖、牛乳、塩を加えて泡だて器でしっかりと混ぜる。
3.2にピーナッツオイルを加えてさらによく混ぜる。
4.3に薄力粉を加えて、ヘラで全体が均一になるまでさっくりと混ぜる。
5.170℃で予熱をしたオーブンで25~30分くらい焼く。串を刺して生地が付いてこなければでき上がり。
【ポイント】
・すぐに食べるよりも一晩寝かした方がしっとりとした仕上がりになります。
ピーナッツオイルはどこで売っている?スーパー?カルディ?
ピーナッツオイルを使ったレシピをご紹介しましたが、ピーナッツオイルを売っているところはあまり見かけませんよね。では、ピーナッツオイルはどこで入手できるのでしょうか。
一般的なスーパーマーケットでピーナッツオイルを取り扱っているところはほぼないと思っておいてよいでしょう。
さまざまな食品を販売している「カルディコーヒーファーム」でもほとんど売っていないようです。
実店舗で取り扱いのあるところは、中国料理材料の専門店やプロフーズショップ、製菓材料ショップなどになります。そのような店舗が近くにない場合は、インターネット通販がおすすめです。
香りが豊かでおすすめ!YOUKIピーナッツオイル(花生油)
ピーナッツオイルを料理に使うなら、ピーナッツの風味が豊かで香り付けとしても使えるオイルがうれしいですよね。
インターネット通販では、イギリス産やフランス産などの高級ピーナッツオイルも販売されていますが、どちらかというとピーナッツの香りはほんのりと香る程度のものが多い印象です。
ピーナッツの風味がしっかりと香るおすすめのピーナッツオイルが、『YOUKIピーナッツオイル』です。
中華・エスニック食品の調味料などを販売している「ユウキ食品」が国内で製造しているピーナッツオイルです。
甘く香ばしいピーナツの豊かな香りが特徴で、口コミでもピーナッツの香りが良いと評判です。価格も手頃なので、手軽に使用できますよね。
まとめ:ピーナッツオイルは体にそこそこ良い油!風味付けにおすすめ!
ピーナッツオイル(落花生油)は、その名のとおりピーナッツから搾ったオイルのこと。
日本ではあまり馴染みがありませんが、あっさりとクセのない味わいで、ピーナッツの香りのするオイルです。
主な成分は、LDLコレステロールを増やさない効果や抗酸化作用が期待できるオレイン酸ですが、同じくオレイン酸が主成分のオリーブオイルやなたね油と比べると含有量が少ないことがややネック。ピーナッツオイルはそこそこ体に良い油といったところでしょうか。
ピーナッツの香りが特徴的なので、料理の香り付けに使う方法がおすすめ。
加熱しても酸化しにくいので、揚げ物、炒め物、サラダや和え物、スイーツなどに幅広く使えることもメリットです。たまには違う油を使ってみたい!という人は試してみてはいかがでしょうか。