そんな疑問にお答えします。
普段あまり行ったことのないカウンターのお寿司屋さんって、なんだか別世界のようですね。日常ではあまり聞かない特別な用語もたくさんあります。
この記事を読むと、わさびを寿司用語で何というのか、寿司とわさびの歴史や使い方がわかります。
目次
寿司用語でわさびを「ナミダ」と呼ぶのはどうして?
わさびのことは寿司用語では「ナミダ」と呼ばれています。これはわさびを食べるとツーンと鼻に抜けて、涙が出ることから付けられました。あまり一般的には聞かれない言葉ですね。
カウンターのお寿司屋さんでは他であまり聞かない寿司用語が使われています。「あがり(お茶)」や「ガリ(しょうがの甘酢づけ)」などはみなさんも聞いたことがあるでしょう。
では、ナミダの起源や寿司の種類を詳しく見ていきましょう。
「ナミダ」はいつごろから使われていたのか
お寿司屋さんでナミダなど特別な寿司用語が使われるようになったのは、大正時代以降のことです。
江戸時代には「ナミダ」といえばかつおに付けて食べる辛子(からし)のことでした。「初鰹 銭と辛子で 二度涙」「初かつお辛子がなくて涙かな」と、川柳に詠まれるほどだったようです。
寿司は江戸時代には屋台で作られる、ファストフードのような食べ物でした。大正時代には店舗が構えられて店の中で作られるようになり、寿司は高級なものへと変わりました。
その頃にナミダも辛子ではなく、わさびを意味するようになったと言われています。
びっくり「なみだ巻き」ってどんなお寿司?
寿司用語でナミダはわさびのことですから、「なみだ巻き」=「わさび巻き」です。わさびだけを巻いた細巻きなんて、罰ゲームみたいで怖いですね。
なみだ巻きは漫画「美味しんぼ」で究極の細巻きと言われて紹介されていたので、知っている人も多いかもしれません。
なみだ巻きにはお店によって多少違いますが、わさびとわさびの茎や葉を刻んだものが具として使われています。
市販のわさびではその特別な味は作れないと言われ、新鮮なわさびと海苔やシャリにもこだわったなみだ巻きは涙が出るほどおいしいそうですよ。
お寿司屋さんでのわさびの呼び方はほかにある?
わさびの寿司用語での別な呼び方は「サビ」です。「サビ抜き」など一般的に使われているので、知らない人はいないでしょう。わさびから「わ」を取っただけなので、寿司用語というには少しインパクトが足りないかもしれません。
音楽で「サビの部分」などといいますが、あれはわさびが由来との説があります。わさびを食べると鼻につーんと来て、顔の表情が変わることからつけられたのだとか。わさびが音楽用語になるなんて、おもしろいですね。
わさびと寿司の用語や歴史
わさびは飛鳥時代にはもう薬草として使われていたようです。鎌倉時代には料理の香辛料として利用され、江戸時代には栽培もおこなわれていました。
寿司も奈良時代にはもう作られていました。初めは「なれ寿司」のような発酵させたお寿司が主流だったようです。では寿司とわさびが今のように一緒に使われるようになったのはいつ頃のことなのか、詳しく見ていきましょう。
わさびをお寿司に入れるようになったのはいつからか
最初に今のような握り寿司が作られたのは、江戸後期の1800~1830年ごろと言われています。江戸の寿司屋で三本の指に入ると言われた華屋与兵衛が、わさびの入った握り寿司を開発しました。
これはいわゆる「江戸前の寿司」と言われるもので、当時は江戸の郷土料理のような存在だったそうです。江戸っ子はせっかちな人が多く、目の前で握った寿司をすぐ食べられるようにしたのがその始まりだったと言われています。
大正時代に関東大震災で被災した寿司職人が、それぞれ故郷に戻って江戸前の寿司を国中に広めました。
今では寿司と言えば江戸前が一般的で、海外でも「sushi」といえばわさびを入れた江戸前の寿司になったのです。特別な寿司用語ができたのもこの頃です。
なぜ寿司にわさびを使うの?
寿司と言えばあのツーンと来るわさびの味を思い出す人も多いですね。どうして寿司にはわさびを入れるのでしょうか。
一番の理由はわさびに生魚の生臭さを消す効果があるからです。もう一つの理由は、わさびに食中毒を防ぐ効果があったことがあげられます。
寿司にわさびを使うとおなかが痛くならないことを、江戸時代の人は経験的に知っていたのでしょう。
今では冷蔵庫の普及や衛生的な厨房で寿司が作られるようになったため、わさびは回転寿司などを中心に使われなくなってきています。大人でも最近は、サビ抜きの寿司が好きな人も増えています。
不思議!ネタによってわさびの辛さが違う
マグロやサーモンに比べて、イカやタコの寿司のわさびは辛いような気がします。ネタをはがしてみても、それほどわさびの量は違っていないのにどうしてでしょうか。
実はネタに含まれる脂肪分がわさびの辛さに関係しています。脂肪分がわさびの辛さの成分を包み込んで、鼻に抜けないようにしているのだそうです。イカやタコの寿司を辛く感じるのはそのせいなんですね。
お寿司屋さんではネタによって、使うワサビの量を変えることもあるようです。
【用語だけじゃない!】お寿司屋さんでのわさびの使い方とは
高級なお寿司屋さんでは特別な寿司用語だけでなく、出された寿司は左から食べるとか、煙草・香水厳禁とかいったさまざまなマナーがあります。醤油やわさびの使い方にも決まりがあるようです。
日本人でも和食や寿司のマナーを完璧にわかっている人は少ないですね。ここからはお店で寿司を食べるときのわさびの使い方について見ていきましょう。
わさびは醤油に溶かす?溶かさない?
お寿司を食べるときに醤油にわさびを溶かすのが正解でしょうか、それとも溶かさないのが正解なのでしょうか。カウンターのお寿司屋さんに行くときなどは、マナーが気になる人も多いでしょう。
寿司だけでなく和食でも一般的に、醤油にはわさびを溶かないのがマナーのようです。醤油にわさびを溶かすとわさびの風味や香りが飛んでしまうことと、醤油皿が汚れてしまい見た目が悪くなることがその理由と言われています。
寿司職人さんの握る寿司を食べるときには、マナーに気を付けると気持ちよく食事が楽しめますね。
サビ抜きが多い回転寿司でわさびはどうつける
最近大手の回転寿司チェーンでは、すべての寿司をサビ抜きにするお店が多くなりました。お子さんやサビ抜きの寿司が好きな人には便利ですが、わさびを使いたい場合にはちょっと困ります。
回転寿司でわさびはどうやってつければいいのでしょうか。マナーとしてはネタの上に乗せて食べるのが良さそうですが、直接わさびのあのツーンと来る辛さが鼻に抜けて苦手という人もいるでしょう。
ほかに考えられるのは醤油にわさびを溶かすか、ネタを一度はがしてわさびをつけて食べる方法です。
結論としては「どの方法でも良い」のではないでしょうか。マナーを気にするなら、一緒に食べる人に一度確認すれば安心ですね。
外国人は寿司のわさびが苦手?
日本ではお寿司と言えばわさびが当たり前ですが、アメリカではお寿司はサビ抜きがスタンダード。
お寿司とは別にわさびが端に入っているか、別にパッケージされているものを自由に選ぶようになっています。ではアメリカ人はわさびが苦手かと言えば、そうとも言えないようです。
山盛りのわさびを注文する人も少なくなく、わさびなしの寿司は考えられない人もたくさんいます。わさびが好きな人と苦手な人の比率は半々くらいなのだそうです。
まとめ~わさびの寿司用語は寿司職人の隠語
寿司に使うわさびはナミダと呼ばれ、ツーンと鼻に抜ける香りでお客を楽しませてきました。お寿司屋さんで使われる特別な用語はお客を別世界に来たように感じさせて、もてなすための粋な配慮だったのです。
お寿司屋さんの特別な用語は、お客が知ったかぶりをして使うのはあまり良くありません。わさびはわさび、醤油は醤油と普段使う言葉で話をした方が、お互いに気持ちよくお寿司を食べられるようです。
自然体で美味しいわさびとお寿司を楽しんでくださいね。