醤油の主な原材料は?醤油の特徴を読み解くカギを管理栄養士が探る!

いまや、日本料理には欠かせない調味料となっている、醤油。どのご家庭にあると言っても過言ではないくらい、醤油は毎日の食卓で愛されていますよね。

今回は、そんな醤油について、原材料から見る醤油の特徴を比較するなど、管理栄養士が足を踏み入れて、探っていきたいと思います!

醤油の原材料は何?醤油の基礎知識について学ぼう!

醤油の原材料は何?醤油の基礎知識について学ぼう!

醤油の主な原材料とは?

まず、醤油における、基本的な原材料をみていきましょう。醤油を作る上で、欠かせない原材料は3つです。それは、

・大豆

・小麦

・食塩

です。この他に、製造する過程では欠かせない「麹菌」も使用されますが、基本的には、醤油の原材料はたったのこれだけであり、とてもシンプルであることが分かりましたね。

一方、現在は様々な醬油メーカーから、多くのバリエーションの醤油が開発・製造されるようになってきており、他の原材料が混合されている醤油も、とても増えてきました。

基本的な醤油の原材料を知ったうえで、その他に、どのような原材料が使われているかを確認したい場合は、醤油のラベルに表示されている、「原材料名」という部分に記載がありますので、気になる方はそちらを見てみてくださいね。

醤油の製造方法の基礎知識

醤油の製造方法はいくつかありますが、こちらでは、伝統的な製造工程である、本醸造方式についてご紹介します。

まず、蒸した大豆と炒った小麦を混合し、そこに、種麹を加えて、麹というものを作ります。ここにさらに食塩水を加え、もろみにした後、タンク内で攪拌を重ねて、約6~8ヶ月間寝かせます。

タンク内でもろみを寝かせている間に、種麹に含まれていた麹菌をはじめ、酵母や乳酸菌のはたらきによって分解や発酵が進み、熟成していきます。そして、その熟成の過程で、醤油独特のあの風味や色、味、そして香りが生まれるのです。

…そうです、醤油は、立派な「発酵食品」だったのですね。

醤油の原材料と製造方法から、醤油の基礎知識を学べましたでしょうか?次項より、この基礎知識をもとに、醤油についてもっと深く探っていきたいと思います!

醤油の原材料で何が変わる?原材料による違いを徹底比較!

醤油の基本の原材料は、大豆・小麦・食塩の3つですが、実は、よくご家庭で使われている醤油には、これら以外の原材料が使われていることも、少なくありません。

そこで、他には一体どのような原材料が醤油に使われているのか、また、原材料が変わるとどうなるのか、詳しくみていきましょう。

大豆?大豆じゃない?「脱脂加工大豆」の正体とは?

実は、醤油の主な原材料とされている大豆は、大きく分けて2つに分類されています。それは、「丸大豆」と「脱脂加工大豆」です。

醤油は、もともとは、ほとんどが丸大豆から作られていました。この丸大豆には、大豆本来の持つ油脂(約20%)が含まれ、そのまま醤油の加工に使用されています。

そのため、出来上がった醤油には、たくさんの油が上部に浮いてきてしまいます。こちらの油脂は、その後醤油と分離され、石鹸の原料などに再利用されているのです。

しかし、これでは、原料自体や運搬にコストがかかったり、油脂を取り除く手間が発生したりと、醤油を作る上でのコストパフォーマンスは、やや劣ってしまうという問題点がみえてきますよね。

そこで登場したのが、この「脱脂加工大豆」なのです。こちらは、あらかじめ大豆に含まれる油脂を取り除き、醤油醸造用に、旨味成分であるたんぱく質比率を上げたり、フレーク状にすることで、成分の分解や溶出などを効率よく行えるよう、加工されたものになります。

丸大豆よりも安価で、短時間での製造が可能であるため、醤油の製造メーカーからは、脱脂加工大豆への需要が、一気に高まりました。

現在では、全生産量のうち、なんと8割以上もの醤油に、この、脱脂加工大豆が使われているのです。このように、醤油の代表的な原材料である大豆は、2つに分類されることが分かりました。

丸大豆と脱脂加工大豆の特徴の違いは?

丸大豆を原材料とした醤油は、大豆の旨味が丸ごと味わえそうなイメージが、あるのではないでしょうか?その通りです。丸大豆から作られた醤油の特徴として、大豆本来のまろやかさが感じられる、という特徴があるのです。

では、脱脂加工大豆を原材料とした醤油の特徴は、どうでしょうか?まろやかさが魅力的な丸大豆を使った醤油に対し、脱脂加工大豆では、旨味が強く、味にキレがある、という特徴があるのです。

このように比較してみると、どちらが良い、というものではなく、どちらが、よりお好みに合っているか、料理に合っているか、を考えて、選ぶようにすると良さそうですね。

もちろん、価格にも差がある傾向にありますので、そちらも視野に入れて、選んでみてください。

なぜ小麦を使う?使わないとどうなる?小麦の役目とは

醤油って大豆からできているんだよね?だったら、小麦は何のために使われているんだろう…

醤油の原材料を見て、小麦に疑問を抱いた方も、たくさんいらっしゃるのではないかと思います。なぜ醤油の原材料に、小麦が必要なのか?それはズバリ、発酵と深く関係しているからなのです。

ここで、醤油の原材料として表示されている「小麦」について、少しお話ししてみたいと思います。おそらく、ほとんどの方は、「小麦」と聞いて、小麦粉を想像したのではないでしょうか?

しかし、醤油の原材料として使われる小麦は、粉に加工されていない状態のものを、指しているのです。

醤油作りで欠かせない、「発酵」の工程を好条件で行うために、栄養を多く含んでいる、未精製の小麦を使用します。この小麦を細かく砕き、炒ってから、蒸した大豆と混合することで、種麹とよばれる麹菌を、繁殖させやすくするのです。

その後、麹菌は酵素を産生し、小麦と大豆に含まれるたんぱく質を、旨味成分であるアミノ酸やペプチドに分解し、でんぷんをブドウ糖へと分解します。

小麦を使わずに大豆のみで醤油を熟成させようとすると、2~3年もの長い期間が必要になってきます。一方、小麦を使用することで、その熟成期間は、なんと約6ヶ月ほどにまで短縮できるのです。

このように比較してみると、醤油の発酵を促して、旨味やコクを短期間で最大限に出すために、小麦が必要不可欠であることが、よくわかりましたね。

醤油に砂糖!?あまくち醤油のナゾを紐解く!

あなたは、あまくち醤油というものを耳にしたことがありますか?

このあまくち醤油というものは、九州では、ほとんどのご家庭で日常に使われているもので、九州人からすれば、こちらが「ふつうの醤油」ともいえるほどなのです。

その原材料の表示を見てみると、醤油の基本の原材料である大豆・小麦・食塩の他に、砂糖や水あめ、ぶどう糖果糖液糖、甘草やステビア…などの原材料が、使われていることが分かりました。

一体なぜ、九州の醤油は甘いのでしょうか?これには、様々な理由があるとされています。

まず、人間の体は、気温が高いほど、甘いものが美味しく感じられ、気温が低いほど、塩分を多く摂りがちな傾向にあるようです。

また、新鮮な魚が手に入りやすい九州では、新鮮であるがゆえに、身の熟成がほとんど進んでおらず旨味が少なく感じたり、脂ののった魚の身が醤油をはじきやすかったり、魚の脂と甘味の相性がよかったり…など、食材とのバランスからも、このような甘い醤油が好まれる傾向にあるといわれています。

熊本県で有名な馬刺しにも、甘い醤油がとても合うと人気ですよね。その他、砂糖が手に入りやすい地域であったという歴史も、背景にあるようです。

このように、地域性からも、醤油の原材料の違いや特徴がみられるなど、醤油は本当に奥が深いと感じる一面でした。

うまくち醤油とは?あまくち醤油と違う?

あまくち醤油の次は、うまくち醤油!?と、混乱させてしまったらすみません。こちらも、分かりやすく解説していきますね。

うまくち醤油は、言葉の通り、「うまみ」が加わった醤油のことをいいます。うまくち醤油の原材料には、「調味料(アミノ酸液)」や「アミノ酸液」と表示されていることが特徴です。

このアミノ酸とは、醤油を作る際に、発酵の過程で、大豆や小麦に含まれるたんぱく質を分解して作り出される、アミノ酸と同じ成分のことを言います。

具体的には、旨味成分とは、グルタミン酸やイノシン酸というアミノ酸のことを指します。これらをさらに醤油に添加することで、旨味を強く引き出したり、甘味とともに添加するなどして活用されています。

うまくち醤油も、どちらかと言えば、九州に多い醤油である傾向のようですね。こちらも、新鮮なお刺身にぴったりですので、ぜひ試してみて下さい。

その他、添加物について

醤油の原材料の表示を見て、これまでのどれにも当てはまらないものが、残されていますね。その原材料とは、恐らく、添加物とされる部分であると思います。

添加物と聞くと、身体に悪いのではないか、などのマイナスなイメージを持たれる方も、多いかもしれません。

しかし、日本では、その安全性への評価や基準がしっかりと示されているため、そのような心配は必要ないといえるでしょう。

むしろ、食品の加工や保存において、安全に、有用的に品質を向上させるものとして使われている、と考えてもよいのではないかと思います。

以上を踏まえ、醤油の原材料として活用されている添加物としては、パラオキシ安息香酸、という保存料が使われている商品も存在します。

また、その他では、醤油の色味を保つために使われる、カラメル色素と呼ばれる着色料や、食材に醤油が絡みやすくするために、キサンタンガムと呼ばれる増粘剤が添加されるなど、醤油メーカーの工夫も様々、見受けられます。

これらの特徴をふまえ、用途に応じて、より使い分けに工夫ができると、醤油の楽しみ方も増えそうですね。

まとめ:醤油の原材料は3つ+α!特徴を知って使い分けよう!

醤油は大豆からできている、とついつい思い込んでいましたが、実は大豆のみではなく、小麦のもつ栄養、というお力添えもあっての、旨味調味料であったことが分かりました。

また、主原料である大豆には、丸大豆と脱脂加工大豆の2種類が存在し、さらに砂糖とその他甘味料や、うま味調味料としてアミノ酸、品質の向上のための添加物など、醤油の特徴に応じて、さまざまな工夫がなされていることも分かりましたね。

これらのように、醤油に使われている原材料を知ることで、その特徴をふまえ、料理やシチュエーションに応じて、上手に活用していきたいですね。

おすすめの記事