そんな疑問に答えます。
新生姜の季節には、知り合いの農家からたくさんの生姜を頂いたり、スーパーの安売りなどでついつい買いすぎてしまったり。そんな生姜を、食べきれずに腐らせてしまう…なんていう経験はありませんか?
この記事では、生姜の保存方法について詳しくお話ししていきます!
目次
生姜農家もやっている、保存方法の基本
生姜の旬はいつ?
生姜は、収穫したてのものを「新生姜」、それを寝かせたものを「根生姜」と呼びます。では、新生姜の旬の時期はいつなのか、知っていますか?
今やスーパーでは、一年中生姜を見かけることができます。しかし、生姜の本当の「旬」は、秋なのです。生姜は、春になると種植えされ、10~11月の、霜が降りる前に収穫されます。この、秋ごろに収穫された生姜が、「新生姜」といわれているのです。
一方で、新生姜を夏によく見かけるという方も多いと思います。夏に出回っている新生姜は、実は、ハウス栽培によってできたものなのです。
最近では、このハウス栽培での新生姜の方が、多く出回っている傾向にあるため、生姜の旬を夏だと思っている方も多いのではないかと思います。
このように、生姜の旬が少し分かりにくくなっているかもしれませんが、基本的には秋に、旬がやってくるのです。では、なぜ旬の時期以外にも、新鮮な状態で生姜がスーパーに並んでいるのでしょうか?
それは、いつでも収穫したときの鮮度で、わたしたちの食卓に届けられるよう、農家をはじめ様々な流通の過程で、工夫が凝らされているからなのです。
生姜の保存方法の基本は?
生姜を長期保存するには、適した温度と湿度を保つ必要があります。
適温・適湿は「室温15℃、湿度90%」
生姜の適温は、「室温15℃、湿度90%」です。旬の時期に大量に収穫された生姜は、この温度と湿度で管理されることにより、一年中出荷可能となっているのです。
農家は土付きのまま、この温度と湿度で保存することが多いようです。私たちが普段手に入れるスーパーの生姜は、土が落とされた状態で売られていることが多いですよね。
もしも、土付きの生姜が手に入ったら、軽く天日干しで土を乾かし、そのままビニール袋に入れて最適温度・最適湿度で保管しましょう。
そうすることで、土を洗うことによるカビやぬめりの発生を防ぎ、いつまでも新鮮な状態が保てるのです。また、スーパーで手に入れる生姜であれば、色が良く表面にハリがあるものを選びましょう。
冷蔵コーナーに並んでいる生姜は要注意!
あなたの利用しているスーパーでは、生姜は常温コーナー・冷蔵コーナーのどちらに陳列されていますか?農家が懸念していることは、多くのスーパーでは未だに、冷蔵コーナーで生姜が売られていることです。
生姜は、適温の15℃を下回ると腐りやすくなるため、室温がある一定に保たれているスーパーなどでは、常温の方が適しているのです。
生姜を購入する際は、販売時の保存方法も確認しながら、生姜の鮮度を見極める必要がありますね。では、新鮮な生姜が手に入ったら、いよいよ保存していきましょう!
腐った生姜の判断基準は?
適切な保存方法がとられていなかったり、保存期間が過ぎて生姜が腐ってくると、次のような変化が現れます。これらの状態がみられると、腐ってしまっている可能性がありますので、残念ですが廃棄しましょう。
・黄色から茶色へ変色している
・表面にぬめりが出てきた
・白いふわふわしたカビが生えている
・腐敗臭がする
『カビ』は表面だけではない!
カビは表面を洗えば一見、落とすことができたようにも見えますが、カビの菌糸は生姜の深部まで生えている可能性が高いので、やはり食べない方が無難です。
一方、表面がシワシワになってきたという変化がみられる場合は、切ってみて中を確認してください。その際に、先ほどあげた変色などがみられなければ、まだ使用可能です。
ただし、新鮮な状態よりも食感や風味は落ちてしまっているので、ご注意ください。
『変色』は食べられる場合が多い
切り口が茶色く変色していても、その部分をカットしたときに、中の色が通常と同じであれば使用しても差支えありません。
生姜には、抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれており、切り口から身を守ろうとはたらきかけたポリフェノールが、空気に触れて変色することがあります。
この変色は表面だけにとどまるので、切り口をカットし、中身が茶色く変色していなければ、腐っていると判断しなくても大丈夫です。以上を、生姜の賞味期限として判断するとよいでしょう。
生姜にカビが生えた場合の対処法等については以下の記事もご覧ください。カビの色によっても対応方法が変わります。
農家直伝!家庭でできる生姜の保存方法4選
ここでは、農家の方も実践している、生姜をより日持ちさせられる保存方法を、管理温度別(常温・冷蔵・冷凍)にご紹介していきます。
常温保存のコツと注意点
室温が10~15℃である季節は、常温保存が一番適しています。農家がおすすめしている生姜の保存方法は、そのままジップロックに入れて常温保管することです。
ジップロックで衛生的に保存!
このとき、生姜が汗をかいてジップロック内に水滴が生じても、そのままにしておくことがポイントです。この水滴が、生姜に必要な湿度を保ってくれるのです。
しかし、この方法は、生姜が衛生的で管理されていたことが前提となるので、いつも利用するスーパーの生姜がこの保存方法では腐ってしまうという場合には、適さないでしょう。
新聞紙やキッチンペーパーでも代用可
ジップロックでの保存が上手くいかない方は、水で濡らした新聞紙などで生姜を包み、直射日光が当たらない場所で保存しましょう。
新聞紙がない場合は、濡らしたキッチンペーパーで包み、上からアルミホイルを巻くと湿度を保つことができます。
保存する際には、発泡スチロールなどに入れてさらに新聞紙などを敷き詰めると、より温度変化を少なくすることができ、長期保存に向きます。
これらの状態が保てると、2週間~1ヶ月ほど保存可能となりますが、新聞紙やキッチンペーパーは、少なくとも1週間に1回は新しいものに取り替えるようにしましょう。
冷蔵保存のコツと注意点
冷蔵庫の温度は、一般的に0~10℃で管理されています。(設定の弱・中・強によりこの温度間で変動はあります。)生姜の保存方法としては、若干温度が低いのでいくつか注意する必要があります。
夏場は冷蔵庫での保存を推奨!
冷蔵庫での保存方法だと、生姜を保存するには少し温度が低くなりますが、夏場や春先など、室温が15℃以上になってしまう場合は、冷蔵保存の方が適している場合もあります。
冷蔵保存の時も、常温保存と同様、湿度を保つために、生姜を濡らした新聞紙かキッチンペーパーで包んで保存します。
冷蔵庫の野菜室を開けたときに、一番外気に触れやすいコーナーで保存すると、温度が低くなりすぎることを防ぐことができるでしょう。
冷蔵保存の場合には水につけておく
生姜を水に漬けて冷蔵保存するということもよく耳にしますね。空の瓶やタッパーに生姜を入れ、全体がしっかりと浸かる量の水を入れます。しっかりと密閉して冷蔵庫にて保管すれば、約2週間保存可能となります。
しかし、この保存方法は、農家の視点ではあまりおすすめしていないようです。はじめの1週間は問題はみられませんが、1週間を過ぎるにつれて、だんだん生姜や水にぬめりを感じてきて、衛生的に保管しづらいという難点があるのです。
もしも、この方法で保存する場合は、水は3~4日で替えるようにし、ぬめりを感じる前に使い切りましょう。
冷凍保存のコツと注意点
冷凍保存は、新聞紙やキッチンペーパーは必要としないので、その手間は省けます。また、保存期間も2ヶ月またはそれ以上可能となる場合もあるので、長期保存には、冷凍が適しているでしょう。
あらかじめ使いやすいサイズにしておく
生姜を冷凍保存する場合のコツは、ただ1つ。使いやすい大きさや切り方にカットしておくことです。
こちらは保存期間を延ばすためではありませんが、冷凍前にひと手間かけておくと、いざ使う時に解凍してからカットする、という手間を省くことができます。
生姜を冷凍する前に、おろししょうが、細切り生姜、スライス生姜、みじん切り生姜…と、用途に合わせて仕分けをしておくとよいでしょう。
これらの準備ができたら、それぞれを1回分ずつラップに包むか、用途別にジップロックに入れて冷凍します。
ジップロックに入れる場合は、冷凍庫に入れ、はじめの30分~1時間くらいの半凍結の状態で、ジップロックの上から揉みほぐすと、使用する際にパラパラになって、スムーズに使うことができますよ。
おろし生姜も1回分に小分けしておく
おろし生姜は、細い棒状にしてラップに包んでおくと、生姜チューブの感覚で、必要な長さをポキポキと折って使うこともできます。
他にも、薄く広げて凍らせておくと、必要な分だけをパキッと割って使うこともできます。下準備の時間がない方は、使いやすい大きさにカットし、それらを全て皮ごとジップロックに入れて冷凍しましょう。
使うときは流水で表面のみを解凍(皮まわりが溶ければOK)すれば、皮は指でこするだけで剥くことができます。また、表面だけ少し溶かせば、すりおろしたり包丁でカットすることも可能です。ぜひ試してみてください。
上級者はコレ!乾燥生姜にして保存
常温・冷蔵・冷凍保存では、生姜は長くても2ヶ月ほどの保存が可能でした。ですが、これよりも更に長期保存が可能な保存方法もあります。
それは、乾燥させることです。乾燥生姜にすれば、なんと6ヶ月~1年もの長期保存が可能となるのです。
※プロの農家さんも実践されている保存方法です。
1.生姜を薄くスライスする。
2.スライスした生姜を、ざるなどに広げ、天日干しで約5日間乾燥させる。
3.しっかりと乾燥したら、そのまま瓶に入れて保存したり、フードプロセッサーにかけて粉末にして保存する。
天日干しの代わりに、電子レンジを使うこともできます。その場合、スライスした生姜を、耐熱のお皿に重ならないよう薄く広げ、ラップをせずに600wで8~10分ほど加熱します。
加熱時間は、スライスした生姜の厚さや量、電子レンジによって変わってきますので、焦げないようによく注意しながら調整してください。
加熱後は、生姜が冷める際に、同時に水分が抜けるので、しっかりと冷まして乾燥させます。料理に使うこともできますし、粉末の乾燥生姜は飲み物にも使いやすく便利ですよ。
※乾燥生姜の美味しい使い方については、こちらの記事も参考にしてみてください。
農家直伝!『保存期間別』生姜の美味しい保存方法
生姜オイル【保存期間:1週間】
生姜をよく洗い、皮ごとフードプロセッサーや包丁でみじん切りにしたものを、ひたひたの量のオリーブオイルで1分ほど煮込みます。
粗熱がとれたら、消毒済みの瓶など、密閉容器に移して冷蔵庫へ。こちらは、冷蔵庫で約1週間保存可能です。
生姜焼きや野菜の炒め物など、様々な料理に使うことができます。オリーブオイルの風味と生姜の風味のコラボレーションも新鮮で、楽しめる1品です。
生姜の佃煮【保存期間:1ヶ月】
こちらは、しっかりと水分がなくなるまで煮詰めれば、冷蔵庫で約1ヶ月保存可能です。
生姜をスライス、または千切りなどお好みの大きさに刻み、油少々をしいたフライパンで、中火でじっくり生姜を炒めます。
生姜全体がしんなりしてきたら、料理酒少々に、砂糖:醤油を2:1くらいの割合で加え、水分がなくなるまで中~強火で煮詰めます。
仕上げに、かつおぶしといりごまを加えて全体になじませたら出来上がり。ごはんのお供に最適です。
辛味を抑えた佃煮の作り方やアレンジレシピ等については、以下の記事もご覧ください。作り置きができるので、生姜の佃煮はホントに便利ですよ~!
https://kakakunara.com/rakusyoku/syouga-boiled-in-soy-sauce/
生姜シロップ【保存期間:3ヶ月】
はちみつを使って簡単に作れる「はちみつ生姜」もおすすめの保存方法です。
きれいに洗った生姜を薄くスライスし、殺菌した瓶に入れ、生姜が浸かるくらいのはちみつを注ぎます。時間が経つにつれて、はちみつと生姜からでた水分が混ざり合い、1週間を過ぎた頃から馴染んできて、食べごろになります。
こちらは加熱していないため、瓶やふたをしっかりと煮沸などで殺菌しておくことと、使用する際はきれいなスプーンですくい、すぐにふたを閉めるなどの工夫が必要です。
しっかりと管理できていれば、冷蔵庫で約3ヶ月ほど、保存可能となります。炭酸水で割って、自家製ジンジャーエールにしたり、紅茶に入れてジンジャーティーにしたりと、様々なシーンで使える嬉しい1品です。
生姜シロップの飲み方のコツ等については、以下の記事でも解説をしています。
新生姜の甘酢漬け【保存期間:6ヶ月以上】
こちらは、いわゆる「ガリ」です。容器をしっかりと殺菌したり、食べる際に衛生的な箸を使うなどに気をつければ、半年~1年は冷蔵庫にて保存可能です。
根生姜でも作ることはできますが、辛味が強く感じられてしまうため、新生姜の方が食べやすいかもしれません。
1.スライスした新生姜400gをお湯で1~2分さっと茹で、水気をしっかりきっておきます。
2.別の鍋で、酢200ccと砂糖40g、塩小さじ1を軽く煮立てて甘酢を作ります。(砂糖と塩が溶ける程度でOK)
3.粗熱が取れた甘酢に、茹でて水気をきった生姜を加えて、殺菌済みの瓶などで密閉します。
箸休めや漬物代わりに1品常備しておくとよいですね。
まとめ:農家から学ぶ生姜の保存方法を実践してみよう
旬がある野菜にも関わらず、一年中スーパーに並ぶ生姜には、様々な保存の工夫が凝らされていることが分かりましたね。
季節や用途に応じた生姜の保存方法を見極め、いつでも美味しく新鮮な生姜を、毎日の食卓で楽しみたいものです。
そんな助けになる農家の知恵を、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。