パンやお菓子、料理など幅広く使われているバター。
有塩バターは塩っぱくて、食塩不使用バターが塩気がない、くらいの曖昧なイメージで日頃バター選びをしている方も多いはず。
今回はお菓子作り以外の用途があまり知られていない食塩不使用バターについて、その特徴や使い道について解説します。
食塩不使用バターを活用したレシピも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください♪
目次
「食塩不使用バター」と有塩バターの違いは何?
お菓子作り・パン作りなどをしたことのない人の中にはそもそもバターに有塩バターと食塩不使用バターの2種類が存在することを知らない方も多いのではないでしょうか。
いえいえ、多くのスーパーでは有塩バターと食塩不使用バターが横並びに陳列されているんですよ!それぞれの特徴や使い方について解説していきましょう。
「食塩不使用バター」ってどんなもの?
「食塩不使用バター」は名前のとおり、製造過程で食塩が添加されていないバターのことです。有塩バターと区別するために「無塩バター」とも呼ばれています。
ただしバターの原料である生乳にはもともと微量の塩分が含まれていることから、「食塩不使用バター」が正式とされています。
大手生乳メーカー(よつ葉、雪印、明治)のパッケージでも「食塩不使用」の記載で統一されているので、初めて購入される方はご注意ください。
一般的に製菓素材として認識されている食塩不使用バターには次のような特徴があります。
1.甘く仕上げたいお菓子向き
お菓子作りでは大量にバターを使用するレシピが多く、例えばパウンドケーキを作る場合約100g前後のバターを一度に使用します。
この時、有塩バターを使用してしまうと100gあたり1.5~1.6%の塩分が含まれるため分量外の食塩を1.5g加えていることになります。当然生地も塩っぱくなってしまいます。
また、マフィンのように焼き上がりの生地にフワフワ感を求めるものや、クッキー、タルトのようにサクサク感を出したいレシピにも食塩不使用バターが適しています。
パン作りの際も同様に基本的には食塩不使用バターを使用します。これは有塩バターに含まれる食塩に小麦粉の粘りを生むグルテンの働きを強める作用があるためです。
グルテンの粘り気が出すぎてしまうとパン特有のふわっとした食感を損なってしまいます。
2.賞味期限は短め
食塩不使用バターは食塩が添加されていない分、日持ちがしないため賞味期限が短めに設定されています。
未開封であれば4ヶ月程度(有塩バターの賞味期限は約6ヵ月)、開封後は2週間を目安に使い切ることが推奨されています。
使い切れない分はできるだけ空気に触れないようにラップで包み、早めに冷凍保存しておくようにしましょう。
3.お値段は少しお高め
有塩バターと比較すると食塩不使用バターの方が100gあたり20円ほど割高な価格で売られています。
食塩不使用バターは生乳のみで作られているため、生乳よりも原材料費の安い食塩が添加されている有塩バターと比較すると価格は当然高くなります。
そのほかにも日本では料理に幅広く使える有塩バターの方が需要が高く製造・流通コストを抑えられることや、保存性に優れているため管理しやすいなどの理由により、相対的に食塩不使用バターの値段の方が高くなっています。
使い道に違いはある?
食塩不使用バターには食塩が含まれていないため主にパン作りやお菓子作りなどの製菓材料として使用するのが一般的です。
また、油脂を大量に必要とするレシピに使用しても食材のもともとの味を邪魔することがないのでオールマイティーに活躍します。
対して有塩バターは食塩が含まれるため、コクと風味を感じられるのが特徴です。
そのためソテーやパスタ料理で植物油脂の代わりとして使えば料理にコクと風味を加え、食材の味を引き立てる効果がありますよ。
使い間違えた場合はどうすればいい?
それぞれ役割の違う食塩不使用バターと有塩バターですが、パッケージから出してしまえば見分けが付かないのが厄介なところ。間違って使ってしまった場合、どうすればいいのでしょうか?
1.食塩不使用バターなのに有塩バターを使った場合
この場合、使用してしまった後のリカバリーがきかないので十分注意してください。使用したグラム数が多い場合は塩気の強い仕上がりになります。
少量の場合は味に大きく影響しないので(少しの塩味が加わることでより美味しく感じる場合も)、おうち用であれば問題ないでしょう。
2.有塩バターなのに食塩不使用バターを使った場合
食塩不使用バターに塩を加えれば有塩バターと同じように使用できるので問題ありません。使用している有塩バターの塩分濃度を確認し、追加する食塩の量を計算しましょう。
ただし、用途が製菓や製パンの場合は有塩バターに含まれる食塩と同量の食塩を後から加えたとしても生地の膨らみ方が違ってくるような繊細なレシピもあるので事前に確認しておきましょう。
食塩不使用バターを徹底活用!おすすめの使い道4選
製菓以外の使い道がイマイチ知られていない食塩不使用バター。塩が入っていないため料理の味を変えることなくコクやまろやかさを加えることができます。
自由自在に使いこなせば料理の幅もグッと広がること間違いなしです。
おすすめはフレンチ料理!塩加減で自分好みに
日本でこそ有塩バターの方が人気ですが、バター消費国の多いヨーロッパでは食塩不使用バターの方が主流なのはご存知でしたか?
後述するパンのお供としてはもちろん料理に日常的に使うのも食塩不使用バター。調味の際に塩や味噌、醤油など塩気のある調味料と組み合わせれば使い勝手は変わりません。
ポイントは塩使いにあります。いつもより少し強めかな?と思うくらいで塩味を調整してください。シチューやムニエル、パスタなど通常バターを使うレシピに有塩バターと同じ感覚で使ってみましょう。
実はパンとも好相性!?
通常トーストなどに塗るバターは有塩バターですが、パンの中でも比較的塩分の多いバゲットは食塩不使用バターと相性抜群です。
バター側に食塩が含まれていない分、食塩不使用バターに使われる生乳そのままの味わいと旨味を堪能することができます。
という方はお手持ちの岩塩(おすすめは輸入食料品店などで見かける少し値段のする塩)やトリュフ塩などのフレーバーソルトを柔らかくしたバターと軽く混ぜてオリジナルバターを作ってみるのもおすすめですよ。
お酒のアテにも大活躍!
食塩不使用バターがあれば、クラッカーやバゲットにのせれば大人数のパーティーにぴったりのお洒落なおつまみが簡単に作れますよ。
【材料】(2~3人分)
・食塩不使用バター:50g
・レーズン:20g
・素焼きくるみ:20g
【作り方】
1.耐熱ボールに入れたバターを電子レンジにかけ(600wで20秒)マヨネーズくらいの柔らかさにする。
2.レーズンとくるみを細かく刻み、1と混ぜ合わせる。
3.ラップで成形しながら棒状に包み、冷蔵庫で30分以上冷やす。
4.ラップを外し食べやすい厚さにスライスする。
お好みでメープルシロップやオレンジピールを加えればデザート風に、レーズンをラムレーズンに変えれば複雑な風味に、明太子など塩気のあるものを加えれば日常使いのフレーバーバターとしても使えますよ。
美味しいお菓子作りにはやっぱり不可欠!
食塩不使用バターを使って素材の味引き立つお菓子を作ってみませんか?チョコレートの風味をしっかり感じられる濃厚な味わいのガトーショコラレシピをご紹介します。
【材料】(直径15cmの丸型を使用)
・ミルクチョコレート:200g(お好みでブラックチョコレートを混ぜてもOK)
・食塩不使用バター:60g
・卵:2個
・グラニュー糖:60g
・ホットケーキミックス:50g
【作り方】
○事前準備
・バターと卵を常温に戻しておく。
・オーブンを180℃に余熱しておく。
1.チョコレートを細かく刻み、常温に戻したバターと一緒に湯煎にかける。
2.1にグラニュー糖を入れて泡立て器で混ぜ、溶いた卵を少しずつ加え混ぜ合わせる。
3.2にホットケーキミックスを加え、ゴムベラで粉気がなくなるまでさっくりと混ぜ合わせる。
4.生地を型に流し入れ、ある程度の高さから2、3回落とし空気を抜いたあと180℃のオーブンで約40分焼く。
5.型ごと冷まし、粗熱がとれたら型から抜く。お好みで粉砂糖を振りかける。
ラム酒をお持ちの場合は、生地を混ぜ合わせているときに小さじ2ほど入れると大人な雰囲気に仕上がります。
まとめ:使い道は無限大。食塩不使用バターを気軽に取り入れよう
製菓・製パン用とも思われがちな食塩不使用バター。それ以外にも活用できるレシピが実はたくさんあるんです。
食塩が入っていないことでかえって用途が限定されず、アレンジ次第で自分好みの塩加減、フレーバーにすることができるのは魅力的ですね。
日持ちがしない点には注意が必要ですが、日常の料理にもどんどん取り入れてバターのある暮らしを楽しんでみませんか?