醤油はいつ、どこから伝わった?海外にはどうやって広まったの?

醤油と言えば、和食に欠かせない調味料の一つですよね。日本の料理の調味料なのだから、醤油も当然日本で生まれたものだ!と、思ってはいませんか?

実は醤油の起源を辿っていくとそうではないことが分かります。そして、現在日本で使われている醤油が、海外のスーパーでも簡単に手に入るようになるまでにどのような歴史を歩んできたのか、学んでみましょう!

日本の醤油と海外の繋がり

中国から伝わった醤油づくり

醤油の起源は、中国の「醤(ジャン)」であると言われています。

中国の醤の製法が伝わる以前から、日本にも肉を塩漬けにした肉醤(ししびしお)や、魚を塩漬けにした魚醤(うおびしお)、そして野菜や果物を塩漬けにした草醤(くさびしお)などの、醤に近いようなものはあったとされています。

しかし、本格的に醤が製造されるようになったのは、大和朝廷の時代に中国から「唐醤(からびしお)」が伝わってからです。唐醤は、大豆を原料とした醤で、当時は塩・酢・酒と並ぶ大切な調味料だったそうです。

その醤が盛んに製造されるようになり、発展していく過程で誕生したのが、日本の醤油ということです。

江戸時代には始まっていた醤油の海外輸出

特に日本国内で醤油の製造が大きく進展したのが江戸時代とされています。江戸時代は、人々の生活が豊かになり、文化の発展は「食」の分野へも広がりました。

それまでは関西が食文化の中心でしたが、関東の人々の口に合う濃口醤油が作られるようになり、醤油の醸造がさらに盛んになっていきました。

そしてなんと、江戸時代にはすでに、日本の醤油は中国やオランダ、その他の国々へ輸出されていたのです。中国から伝わった醤が、日本で進化を遂げ、今度は日本の優れた調味料として輸出されるまでになったのです。

https://twitter.com/mutsumon_tenji/status/1371059883013996545?s=20

戦後、海外に進出したキッコーマンの醤油

アメリカでの醤油のデモンストレーションが大成功

さて、江戸時代から海外で一定の評価を受けていた醤油ですが、明治時代に入ってからは安価なアジア産醤油の台頭や、第二次世界大戦の影響により一時停滞の時期を迎えました

そうして戦後しばらくは、国内への醤油の供給に集中し、国内の復興が進んで人々の生活が安定してきた頃、海外への販路拡大を試みたのがキッコーマン醤油でした。

キッコーマンは醤油という調味料をアメリカに広めるにあたり、現地の料理に醤油が合うことをアピールしました。店頭で醤油をつけて焼いたお肉の試食をすると、多くのお客さんが商品を購入してくれたと言います。

和食の調味料として売り出すのではなく、何にでもオールマイティに使える万能調味料として売り出したことが現地の人々に受け入れられる要因となり、醤油はアメリカ全土へ普及していきました。

さらに広がる醤油の海外進出

1950年代にアメリカ進出を果たしたキッコーマンは、同様の手法で1970年代にはドイツをはじめとするヨーロッパでの販売も展開していきました。

1997年には、江戸時代から日本との貿易で醤油を輸入していたオランダに、ヨーロッパ初の工場が作られ、ますますヨーロッパ圏での存在感を示しています。

そして1980年以降、高温多湿という難題をクリアしてシンガポール工場を建設し、台湾企業と協力しながらアジア市場へ展開するなどして、日本の醤油の品質の高さを証明し、今ではキッコーマンの醤油は100か国以上の国で親しまれています

現在の世界への醤油の広がり

醤油産業の今

キッコーマンの海外進出により、約50年も前から、日本の醤油はアメリカをはじめとする世界各国へ広まっていきましたが、近年の醤油の人気はどうなのでしょうか?

実は、日本国内での醤油産業は、人口の減少や単価の下落、日本人の食の欧米化などによりあまり調子の良い状況にあるとは言えません。しかし、海外では逆に醤油の需要は高まっていると言います。

和食ブームが海外での醤油人気を後押し!

海外での醤油の需要の高まりを後押しをしているのが、世界に広がる「和食ブーム」です。

欧米の食事と比べてカロリーが低めで、栄養バランスの摂れた和食。嬉しいことに、これが健康志向の高まってきた海外の人々に注目され、好んで食べられるようになってきました

2013年に「和食」がユネスコの無形文化遺産として登録されたことも追い風となっています。

前述のキッコーマン株式会社は既に、海外の7か所に生産拠点を設け、アメリカを筆頭に世界各国で日本の醤油メーカーとしての確固たる地位を築いています。

中小の醤油メーカーも、独自の戦略で海外へ

それに対し、日本の伝統的な醸造方法を保ち、今も木樽を使って醤油を製造しているメーカーの一つ、柴沼醤油醸造は、まだ大企業の進出していない国に進出したり、飲食店ごとにカスタマイズした醤油を提供したりと、大企業には出来ないような工夫をして海外進出を進めています。

柴沼醤油醸造からの輸入を決めたトルコの飲食店では、それまでタイや中国の醤油を使っていましたが、より品質の高い日本の醤油に好感触を示しているようです。

まだ日本の食文化があまり広まっていないトルコですが、これからもっと人気が出てきそうです。こうした各メーカーの努力により、醤油は海外でも日常的に愛される調味料となっています。

まとめ:醤油は日本の誇るべき調味料!

いまや日本国内のみならず、世界中の食文化を支える調味料へと成長した醤油。中国から醤が伝わって以降、それぞれの時代で職人やビジネスマン達の思いと努力が、この醤油産業を支えてきたのでしょう。

海外ではまだまだ伸びしろのありそうな醤油産業ですが、国内での消費が減少傾向にあることは悲しいことです。ぜひ、我々日本人がもう一度醤油の魅力について見直してみませんか?

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