どのご家庭にも必ずと言っていいほど常備されているバター。乳脂肪分が高く保存性に優れているため賞味期限をあまり気にせずに使っている方も多いのでは?
この記事を読めばバターの種類や保存状態別の賞味期限の目安や、バターを美味しく長持ちさせる保存方法のコツが分かりますよ。
目次
バターの賞味期限はいつ?目安はどれくらい?
みなさんバターを買う際に賞味期限は確認していますか?
牛乳や生クリームよりもはるかに脂肪分の高いバター。ほとんど油のかたまりのようなものなので腐りにくそうなイメージもありますよね。
確かにほかの乳製品と比べて日持ちしますが、バターにも「賞味期限」はあるんですよ。
賞味期限と消費期限は違うもの
そもそもどうしてバターには「消費期限」ではなく「賞味期限」が記載されているのでしょうか。
例えばサンドイッチやケーキ、カット済み野菜など傷みやすい食品には、この年月日以内であれば安全に食べられますよという意味で「消費期限」が記載されます。
対して、スナック菓子やカップ麺、バターと同じ乳製品の牛乳やチーズなど製造日からおおむね6日以上期限のある傷みにくい食品については、美味しく飲食できる期限として「賞味期限」が記載されます。
バターは比較的保存がきく食品に分類されるので、おいしさの目安「賞味期限」が設定されているというわけです。
賞味期限の目安はどれくらい?
食品は開封した瞬間から賞味期限へのカウントダウンが始まっています。特に開封後バターの賞味期限は気になりますよね。
また、ひとくちに「バター」と言ってもさまざまな種類がありますが、賞味期限はどれくらい違ってくるのでしょうか。
未開封バターの賞味期限
「未開封」とはバターを箱から出していない状態のことを指します。
メーカーによってばらつきはありますが、有塩バターであれば6か月、無塩バターは食塩が添加されていない分保存性が低くなるので4か月~6か月が目安です。
また、高級バターでおなじみのエシレバターやボルディエバターのように海外から輸入されたものは輸送期間が長いため賞味期限は商品到着後約2週間と短めに設定されています。
上記の目安はあくまでメーカー推奨の保存方法(たとえば「要冷蔵10℃以下で保存」など)で正しく保存した場合。
特に夏場、購入後常温で放置していたというようなことがあれば未開封であっても1週間を目安に早めに使い切るようにしましょう。
開封後バターの賞味期限
バターの種類にかかわらず、ほとんどのメーカーが開封後2~3週間以内を目安に早めに使い切ることを推奨しています。これは開封によってバターが空気に触れ、酸化が始まるためです。
バターに含まれる不飽和脂肪酸は酸化に弱いため、風味が落ちる、ほかの食品の匂いが移るなど味にも影響が出てきます。
また、酸化によって「過酸化脂質」という物質が増え、一度に大量摂取すると下痢や嘔吐、腹痛を引き起こすこともあります。
開封後でも保存状態が良ければ2~3カ月は問題なく食べられるとも言われていますが、美味しく食べるなら賞味期限に関わらずできるだけ早めに!を意識した方がよさそうですね。
手作りバターの賞味期限
手作りバターの場合は酸化防止剤や食塩などの添加物が入っていないため、賞味期限はできれば当日中、長くても2~3日が目安です。
市販のバターよりも水分が多く含まれるため、傷みが早く、時間の経過とともに油脂内に含まれる水分が酸化を引き起し風味が落ちてきます。
保存の際もバター作りに使用した容器のままではなく、空気に触れないようにラップできっちり包んでから冷蔵保存しましょう。どうしても食べきれない場合はあらかじめ冷凍保存すれば1カ月ほど持ちますよ。
手作りバターは出来立てのフレッシュさが醍醐味だと思うので、必要な分だけ作るようにすると良いですね。
バターの正しい保存方法と賞味期限を延ばすコツ
バターの正しい保存方法を調べたことがある人は意外と少ないのではないでしょうか。スーパーでは冷蔵の食品棚に置かれているから、とりあえず冷蔵庫に入れる。もしそうだとしたら賞味期限を縮めている可能性も!
保存前のひと手間や冷蔵庫内の置き場所を意識するだけで美味しさが長持ちしますよ。
バターの基本は「冷蔵保存」
バターの適切な保存温度は「要冷蔵10℃以下」とされています。ですのでバターの種類に関わらず基本的に冷蔵庫で保存するようにしましょう。保存の際のポイントは次の5つ。
1.温度変化の少ない冷蔵庫奥に置く(ドアポケットは温度変化が激しいためNG)。
2.匂いの強い食品の側は避ける。
3.開封後はバターの表面が空気に触れないようラップを密着させて包む(銀紙の再利用は避ける)。
4.小分け保存する場合も一つずつラップで包む、もしくは個包装タイプがおすすめ。
5.トーストなど少量ずつ使う場合は密閉できる専用ケースを使う。
バター専用ケースの中にはデザイン性に優れたものや、バターを入れて蓋をするだけで小分けにカットされるものなど種類も豊富です。バターの使用頻度や用途に合わせて選ぶのも楽しいですよ。
常温に戻す際は使う30分~1時間前に冷蔵庫から取り出しておきましょう。急ぎの場合は電子レンジの低いワット数で様子を見ながら加熱してください。
長期保存なら冷凍がおすすめ
実はバターは冷凍保存も可能。未開封・開封後に関わらず使い切れない分は速やかに冷凍保存しておくと風味も長持ちしますよ。
未開封であれば銀紙の上からラップで包んでフリーザーバックに入れておけば1年ほど賞味期限を保たせることができます。
開封後の場合は銀紙をはがし、使いやすい分量に小分けにして保存すると便利ですよ。ラップの上からさらにアルミホイルで包めば光による酸化も防げるので半年ほど保存可能です。
料理に使うのであれば凍ったまま直接フライパンに入れてもOK!お菓子作りなど常温に戻す必要がある場合は一度冷蔵庫に移して解凍してからにしましょう。
一度解凍したバターは再冷凍できないので2週間以内を目安に使い切ってくださいね。使いきれるサイズの個包装バターを活用するのもおすすめです。
これで長持ち!取り扱いの注意点
開封後のバターをバターケース等の専用保存容器で保存する場合、冷蔵庫からの出し入れや蓋の開閉で結露の発生や空気に触れやすいため、賞味期限内であっても次のような注意が必要です。
1.切り分ける際は乾いた清潔なナイフを使う。
2.バターナイフをケースに入れっぱなしにしない。
3.食卓に出したまま放置しない。
バターは脂肪分が多いため比較的腐りにくい食品ですが、切り分けの際に使用するナイフに水分やパンくず、ほかの調味料が付着しているとそこから雑菌が繁殖しカビが発生する可能性があります。
バターナイフも都度取り出し、常に清潔を心がけましょう。
また、朝食のトーストなどに塗る場合も必要な分だけ先に取り出し、使用後は速やかに冷蔵庫にしまってくださいね。
賞味期限切れバターは食べてもいいの?
開封後のバターは賞味期限に関わらず2週間以内に使い切ることが推奨されていますが、バターは値段もそこそこするので賞味期限が過ぎたからと言って簡単に捨てられませんよね。
基本的に賞味期限切れした食品を食べることはおすすめしませんが、実際のところ、どの程度の賞味期限切れであれば食べられるのでしょうか。その目安と、判断基準についてご紹介します。
【日数別】このバター食べられる?食べられない?
賞味期限が過ぎたバターを使っていいのか悩んでいる方はぜひこちらの目安表(冷蔵保存時の目安)を参考にしてみてください。
ただし、賞味期限切れの日数や保存状態に関わらず「おかしいな?」と感じたらすぐに使用をやめてください。
賞味期限切れ日数 | 未開封 | 開封後 |
---|---|---|
1カ月以内 | 正しい保存方法であればOK | 見た目・匂いの変化を要確認 |
2カ月~3カ月 | 見た目・匂いの変化を要確認 | 傷み始めている場合も |
半年以内 | 廃棄 | 即廃棄!腹痛など健康被害の可能性も |
ちなみに、冷凍保存かつ未開封(+正しく保存)の状態であれば、賞味期限切れ後1年ほど経過してしまっていても、見た目・匂いに問題なければ大丈夫なことが多いです。
冷凍保存であっても開封済み(小分け保存など)の場合は劣化し始めている恐れもありますので、必ず食べる前に見た目や匂いの変化を確認するようにしてくださいね。
このサインが出たら要注意!傷んだバターの見分け方
比較的賞味期限の長いバターですが、保存の仕方や取り扱いによっては劣化が早まったり、カビが生え腐敗が進んでいる場合もあります。劣化が進んだバターは見た目や匂いに次のような変化が見られます。
・表面が乾燥し、濃い黄色に変色している。
・古い油のようなにおいや他の食品の匂いがする。
さらに腐敗が進んでくると次のような変化が!迷わず廃棄してくださいね。
・バターの一部もしくは全体が水っぽい。
・カビが生えている。(白カビは見分けづらいので要注意!)
・酸っぱいにおいなど明らかな異臭がする。
カビが生えている場合(表面が白っぽくなっている)はその部分だけを削っても中まで腐敗が進んでいるため食べられません。
賞味期限切れしているかどうかに関わらず、特に放置していたバターを使う場合は様子をよく確認してからにしましょう。
賞味期限切れバターの大量消費レシピ
うっかりしてたら賞味期限過ぎてたよ…なんてことはありませんか?賞味期限切れのバターは風味がガクッと落ちているため加熱料理やお菓子作りに利用して早めに使い切ってしまいましょう!
どちらもバターをたっぷり使うのであっという間に消費できますよ。
バターたっぷりホワイトソースのクリーム煮
多めに作ればグラタンにドリア、クリームパスタとリメイク料理にも重宝するレシピです。野菜やお肉から旨味が十分に出るので、風味の落ちた賞味期限切れバターでも気にならない美味しさに仕上がりますよ!
【材料】(2人分)
・鶏もも肉1枚
・白菜1/8カット
・玉ねぎ1/4個
・バター20g
・小麦粉大さじ1
・牛乳150ml
・生クリーム大さじ3
・顆粒コンソメ小さじ2/3
・塩胡椒少々
【作り方】
1.鶏肉は一口大、玉ねぎと白菜はざく切りにしておく。
2.中火で温めたフライパンにバターをひき、鶏肉と玉ねぎを炒める。鶏肉全体の色が変わったら、白菜も加えて炒める。
3.小麦粉を全体にまぶして、焦げないように炒め合わせる。
4.牛乳とコンソメを加え、ひと煮立ちさせる。とろみがついたら塩胡椒で味を調える。
【ポイント】
バターと具材を先に炒めることで手軽にホワイトソースを作ることができます。
牛乳→豆乳にすればあっさりとした味わいに、コンソメ→味噌にすればコクが増しますよ。鶏肉以外に牡蠣やホタテ、鮭など魚介類もおすすめです。
アレンジ自在!バター香るパウンドケーキ
お菓子作りのあとに残りがちな無塩バターを一気に消費するならパウンドケーキがおすすめ!バターをたくさん使うのでしっとりとした食感に。おうちにある材料ですぐに作れるレシピです。
【材料】(18cmのパウンド型)
・小麦粉100g
・砂糖100g
・卵(Mサイズ)2個
・無塩バター90g
・ベーキングパウダー小さじ1
・お好みでバニラオイルまたはラム酒 適量
【事前準備】
・バターと卵を常温に戻しておく。
・小麦粉とベーキングパウダーを合わせてふるっておく。
【作り方】
1.バターを泡だて器でクリーム状になるまで混ぜ、砂糖を加えてさらに混ぜる。
2.溶いた卵を5~6回に分けて少しずつ加え混ぜる。(分離に注意!)
3.ふるった粉類を入れさっくりと混ぜ合わせる。(バニラオイルやラム酒を入れる場合は2と3の間)
4.生地を型に流し入れ、上から数回落として空気を抜く。
5.170℃で予熱したオーブンで40~45分焼く。
6.焼き始めから10~12分後、表面が軽く固まり始めたら一度取り出し真ん中に切れ目を入れる。
7.型からはずし粗熱が取れたらラップできっちりくるむ。
【ポイント】
バターが逆に足りない場合は半量で作ってマフィンカップで焼くこともできます。その際は焼き時間を調整してください。
一番シンプルな基本のレシピなのでチョコチップやオレンジピールを加えてアレンジしてくださいね!
保存方法を工夫しながら賞味期限内に使い切るのがベスト◎
バターの芳醇な香りとリッチな味わいを楽しむのであれば、賞味期限を守って開封後はできるだけ早めに食べきるのがおすすめです。
保存する際は空気に触れないようにラップで包む、長期保存の場合は冷凍庫に入れるなどちょっとした工夫で美味しさを損なわずに使い続けることができます。
ただし、乳脂肪分が高いとはいえ賞味期限が過ぎたバターは傷んでいる可能性もあるので表面の様子や匂いをよく観察してから使うようにしましょう。
小分け保存や個包装タイプ、専用の保存容器などを活用して料理やお菓子作りに手軽に使えるようにしておきたいですね。