料理のベースとなる味わいを決める大切なブイヨン。せっかくなら、ブイヨンも家庭で作ってみませんか。ポイントさえ抑えれば、ブイヨンの作り方は特別難しいものではないんです。
今回は野菜ベース・お肉ベース・魚介ベースのブイヨンの作り方をご紹介します。野菜くずを使った作り方やブイヨンを取った後の具材の活用法もお見逃しなく!
目次
【ブイヨンの作り方】野菜ベースの本格派ブイヨン
野菜のみで作るブイヨンは、用途が広く使い勝手がよいのが特徴。素材の味を引き出し料理の味を深めてくれる万能ブイヨンです。
白ワインを抜けば離乳食にも使える便利なブイヨンなので、多めに作ってストックしておきたいですね。小分けにして冷凍しておけば、1カ月程度保存可能です。
本格派!ブイヨン ド レギューム
ブイヨン ド レギュームとは、野菜の出汁のこと。さっぱりとしているのにコクを感じる、野菜の旨味を濃縮したブイヨンになります。
どの野菜を使うのかに決まりはないですが、トマトを入れることで輝くような黄金色になるので、トマトは是非使ってほしい野菜の一つ。
鍋から直接ざるに流し込んで濾すのではなく、お玉などですくいながら濾すことで濁りのない透き通ったブイヨンに仕上がります。手間はかかりますが、是非実践してみてください。
材料(作りやすい分量)
- トマト…5個
- 玉ねぎ…1個
- 人参…1/2本
- セロリ…1/2本
- パセリ…1枝
- にんにく…1かけ
- 白こしょう…小さじ1
- ローリエ…1枚
- 水…2リットル
- 白ワイン…150ml
作り方
1.野菜をざっくりカットする
2.鍋に1と水、白ワイン、にんにく、パセリ、白こしょう、ローリエを入れて
火にかける
3.丁寧に灰汁をすくいながら30分ほど煮込む
4.ブイヨンの色を見て加熱時間を追加
5.お玉などを使ってブイヨンをすくい、目の細かいざるで濾す
ポイント
- 加熱時間は概ね30分~45分です。ブイヨンの色味を見て決めましょう
- 濾す時は鍋から直接流し込まず、お玉などですくいながら濾してください
- 灰汁を丁寧に取ることで濁りのない澄んだ味になります
残った野菜はどうする?
旨味を引き出したブイヨンを取った後に残った野菜は、ローリエを取り出してからまとめてミキサーにかけてしまいましょう。
トロトロになった野菜は、カレーやパスタソースなどにアレンジできます。そのまま味付けをしてポタージュとしても味わえますよ。
野菜くずで美味しいブイヨン
捨てるしかないような野菜くずからもブイヨンは作れます。基本的にどんな野菜くずでもOKですが、おすすめは以下の野菜です。
- 玉ねぎの皮
- 人参の皮
- じゃがいもの皮
- 大根の皮
- トマトのヘタや皮
- セロリの葉
- ネギの青い部分
鍋にこれらの野菜くずとにんにくを入れて30分ほど煮込むだけで、黄金色のブイヨンが出来上がります。玉ねぎの皮は、旨味だけでなくきれいな色に仕上げるのに一役買ってくれるので、是非使ってほしい野菜くずです。
入れない方がいい野菜
どんな野菜くずでもいいですが、入れない方がいい野菜くずもあります。
それは、ナスや紫玉ねぎなどアントシアニンを豊富に含んだ野菜。アントシアニンの色が強く出て、紫色っぽくなってしまいます。黄金色に仕上げたいなら、避けた方がよいでしょう。
【ブイヨンの作り方】お肉ベースのチキンブイヨン
チキンのコクがたまらなく美味しいチキンブイヨン。スープにしてもいいし、リゾットやポタージュなど様々な料理に深い味わいを与えてくれるブイヨンです。
ストックするなら小分けにして冷凍し、1カ月程度で使い切るようにしましょう。
鶏ガラでこっくりチキンブイヨン
鶏ガラで取ったブイヨンは、染みわたるようなコクを感じます。大切なコツは、鶏ガラの下処理。血合いや汚れをしっかり取り除くことで、臭みのない味わいに仕上がります。
鶏ガラを煮込み続けるとブイヨンが白濁しますが、これは鶏ガラの骨髄が溶けだすためで、失敗ではありません。コクと旨味を凝縮した美味しいブイヨンということです。
材料(作りやすい分量)
- 鶏ガラ…1キロ
- 玉ねぎ…1個
- 人参…2/3本
- セロリ…1/2本
- にんにく…1かけ
- ローリエ…1枚
- 塩…適量
- 黒こしょう…5g
作り方
1.鶏ガラを流水でよく洗い、血合いや汚れを取り除く
2.野菜は繊維を断ち切るようにざっくりカットする
3.1に水、塩を入れて火にかける
4.灰汁を丁寧に取りながら20分程度中火にかける
5.野菜とにんにくを入れ、引き続き灰汁を取りながら煮込む
6.ローリエ、粗くつぶした黒こしょうを入れて2時間煮込む
7.こし器にキッチンペーパーを乗せて濾す
ポイント
- 臭みを取り除き、きれいな色に仕上げるために灰汁は丁寧に取りましょう
- 流水で洗った鶏ガラをサッと茹でると、汚れが取り除きやすくなります
- 鶏ガラに身が残っている場合は削いでスープの具にするのもおすすめ
鶏むね肉でさっぱりチキンブイヨン
鶏むね肉でもブイヨンは取れます。作り方は鶏むね肉と野菜などを鍋に入れ、30分程度煮込むだけ。灰汁は丁寧に取ってくださいね。鶏ガラのブイヨンよりも手軽で、時間もかかりません。
鶏ガラよりもあっさりした風味に仕上がるので、使い道も色々。幅広く使えるから、ストックするブイヨンとしても優秀です。
ブイヨンを取った後の鶏むね肉は、細かく裂いてサラダなどに使用できます。その場合、鶏むね肉はブイヨンの中でじっくり冷まして。そうすると鶏むね肉特有のパサつきが抑えられますよ。
【ブイヨンの作り方】お魚ベースのフュメ・ド・ポアソン
フランス版魚介出汁、それがフュメ・ド・ポアソンです。お魚から出る海の香り、濃厚だけど重くないふわりとした味わいは料理の味の幅を広げてくれますね。
工程が多いので、一度にたっぷり作ってストックしておくとよいでしょう。冷凍で1カ月程度保存できます。
白身魚のあらで海の香ブイヨン
あっさりしつつもコクのある白身魚を使ったブイヨンは、リゾットやパエリアとの相性が抜群。白身魚の優しく深い味わいは、ホッと一息つきたくなるような安心感がありますよ。
材料(作りやすい分量)
- 魚(タイなど)のあら…2匹分程度
- 玉ねぎ…1/2個
- セロリ…1本分
- にんにく…3かけ
- パセリなどの香草…適量
- ローリエ…1枚
- 白ワイン…300cc
- 塩…少々
- 粒白こしょう…10粒程度
- 水…3リットル
作り方
1.お湯を沸かした鍋に酢(分量外)を加え魚のあらを入れ1分ほど加熱する
2.1をざるに上げ、流水で血合い・汚れなどを洗い流す
3.鍋に2を入れて、水と白ワイン、塩を入れ火にかける(強火)
4.沸騰したら中火に落とし灰汁をすくう(沸騰させすぎない)
5.野菜・香草・白こしょうを入れて20分ほど煮込む
6.お玉などですくいながら目の細かいざるで濾す
7.ブイヨンをざるで濾したら具をざるに入れる
8.そのまましばらく放置し、具からブイヨンが落ち切るのを待つ
ポイント
- あらは白身魚のあらを使いましょう。青魚などは向きません
- ブイヨンはお玉などで丁寧にすくって濾しましょう
- 具をざるに置いて放置することで残った旨味を搾り切ります
- 常備したい方には、スティックタイプの市販品もおすすめです
甲殻類の殻で濃厚ブイヨン
エビやワタリガニの殻は、優秀なブイヨンの材料。しっかり下処理することで、臭みのない濃厚なブイヨンになります。ビスクにしても美味しく、パスタソースとしても活躍しますよ。
材料(作りやすい分量)
- エビの殻…10尾分程度
- ワタリガニ…3杯程度
- 玉ねぎ…1/2個
- セロリ…1/2本
- パセリ…1枝
- 白ワイン…30ml
- ブランデー(あれば)…10ml
- ローリエ1枚
- 白こしょう…10粒程度
- オリーブオイル…適量
- 水…2リットル
甲殻類の下処理
エビの殻は味噌を取り除き、ぬめりを洗い流し、水が濁らなくなるまでよく洗う
ワタリガニも同様にぬめりが取れるまでよく洗う
水分をふき取ったエビの殻とワタリガニを100度のオーブンで40分程度、しっかり乾燥するまで加熱する
作り方
1.野菜をざっくりカットする
2.鍋にオリーブオイルを引き火にかける
3.下処理したエビの殻とワタリガニの殻を砕きながら炒める
4.白ワインを入れて、に詰まったらブランデーを入れ引き続き炒めます
5.野菜を入れて炒め、油が回ったら水を入れます
6.灰汁を取りながら煮込み、ローリエ、パセリ、白こしょうを入れる
7.沸騰し過ぎないようにしながら2時間煮込む
8.7をざるで濾す。濾す時に具を押しつぶすようにして旨味を搾り散る
9.8を再度濾し、エビの殻や破片を取り除く
ポイント
- エビの殻はよく洗うことで濁りや臭みを取り除きます
- ブランデーを使うと香りとコクが抜群に上がります
ブイヨンの作り方は自由に!ストックもできる!
ブイヨンは野菜や魚、お肉など選ぶベースは自由、材料はスーパーで手に入りやすいものばかりです。ポイントはいくつかありますが、作り方は難しくありません。灰汁をしっかり取ることは忘れないでくださいね。
毎回ブイヨンを取るのは大変という時は、多めに作ってストックしておくのがおすすめ。ブイヨンのストックがあれば、夕食にあと1品という時にもサッと使えて役立ちますよ。