味噌汁はだしに味噌を入れるだけでおいしくなりますが、味噌鍋は味噌を入れるだけでは今一つ味が決まりませんよね。味噌鍋の味が物足りない場合、コクが足りないと感じることがほとんどです。
味噌鍋にコクを出すのは意外に簡単!ちょっとした手間でコクを出すことができて味噌鍋がぐんとおいしくなります。この記事では、味噌鍋にコクを出す方法についてご紹介します。
目次
味噌鍋のコクを出すにはどうすればいいの?
料理の味で「コクが足りない」とよく言いますが、そもそもコクとは何なのでしょうか?
コクの正体がわかれば、味噌鍋にコクを出すヒントが見えてきそうです。まずは、コクとは何か?という点から解説していきましょう。
そもそもコクって何?コクの正体は?
コクというのは人間の感覚的な要素に過ぎません。味、香り、食感などの要素がバランスよく合わさった場合にコクとして感じられます。コクと同じような表現として、「味の深み」や「味の広がり」という言葉もあります。
料理におけるコクとは、ひと言で言うならば「味の複雑さ」です。
料理の味は、味覚として感じる五味(甘味・うま味・塩味・酸味・苦味)の他に、辛味や渋味などが混ざり合うことで決まります。また、味のバランスだけではなく、香りもコクを出すための重要な要素です。
つまり、味噌鍋もそうですが、料理のコクを出すということは、味や香りや食感などによる複雑な味わいを作り出すということになりますね。
味噌鍋のコクを出すための味の要素は?
例えば、カレーのコクを出す場合、砂糖やハチミツなどの甘味を加える方法があります。
しかし、スパイスカレーの場合は、甘味ではなく塩味を加えるとコクが出ます。このように、コクを出す要素は料理によって変わります。
一般的に、料理にコクが足りない場合、甘味・うま味・塩味・酸味・苦味のどれかが足りていない可能性が高いと言われています。
味噌鍋のコクが足りない場合、考えられる要素として、うま味、塩味、甘味のどれかが足りていない可能性が高そうですね。
つまり、うま味と塩味と甘味のバランスが取れていれば、コクのある味噌鍋の味を作り出せるということになります。
味噌鍋のコクを出すにはどんな味噌・具材を使えばいいの?
味噌鍋のコクを出すためには、うま味と塩味と甘味のバランスの取れた、複雑な味わいを作り出すのがポイントですが、さらにもうひとつ欠かせない要素があります。それが、味噌の香りです。
では、味噌鍋に複雑な味わいと香りを出すためには、具体的にどのような調味料や食材を使えばよいのでしょうか。
味噌鍋に合う味噌は?
味噌鍋に欠かせない調味料といえば味噌ですよね。味噌は、大豆に麹を混ぜて発酵・熟成させて作りますが、使う麹の種類によって、米味噌、豆味噌、麦味噌に分けられます。
味噌の色や味も、淡色味噌、赤味噌、白味噌、辛口の味噌、甘口の味噌とさまざまな種類の味噌があります。
味噌によって調理方法が変わることはあるものの、基本的に味噌鍋にはどのような味噌も使えます。
ですが、特にコクを出す(複雑な味を作り出す)のであれば、複数の味噌を混ぜて使ったり、2種類の味噌を混ぜてある市販の「合わせ味噌」を使ったりする方法がおすすめです。
味噌鍋に合うベースのスープは?
鍋料理に使うベースのスープには、昆布だし、かつおだし、鶏ガラスープなどがありますが、どれを使っても味噌鍋のベースとしてよく合います。
味噌鍋にコクを出すポイントは複雑な味わいを作ること。ですから、スープについても1種類だけを使うよりも複数のだしやスープを組み合わせた方が、コクを出しやすくなります。
手間をかけずに簡単に味噌鍋を作りたい場合は、だしパックや顆粒だしなどを使うとよいでしょう。その場合も、1種類だけを使うよりも、複数のだしやスープを混ぜて使う方が、コクのある味噌鍋を作れます。
味噌鍋に合う具材は?
鍋料理のおいしさの秘密は、肉や魚、野菜などの旨味がスープにたっぷりと浸み出すことですよね。
ですから、塩ベースや醤油ベースのあっさりとしたスープであっても、たくさんの種類の肉や魚、野菜を入れると、しっかりとコクのある鍋になります。
味噌鍋はスープ自体も塩ベースや醤油ベースの鍋よりもコクは強めですが、さらにたくさんの種類の具材を入れると味わいが複雑になり、コクがより強くなるのが特徴です。
基本的に味噌鍋には、どのような具材を入れてもよく合います。より強くコクを出すには、肉類、魚介類、昆布などの海藻類、野菜類、きのこ類など、うま味成分を多く含む食材を、数種類組み合わせて使うようにするとよいでしょう。
味噌鍋にコクをプラスする調味料と隠し味
味噌鍋にコクを出すためには、複雑な味を作り出すことがポイントとなりますが、つい忘れがちなのが甘味系の調味料です。
煮物に砂糖が欠かせないように、味噌鍋も甘味系の調味料が入っていないとコクが出にくくなります。少量の砂糖やみりんなどを忘れずに入れるようにしましょう。
また、味が物足りない場合や、もっと強いコクを出したい場合は、隠し味を入れるのもおすすめです。味噌鍋にコクを出す隠し味には、次のようなものがあります。
香辛料・薬味系:にんにく、しょうが、柚子胡椒など
乳製品:バター、チーズ、牛乳、ヨーグルト
調味料:豆板醤、甜面醤、オイスターソース、トマトケチャップ、マヨネーズなど
その他:ごま油、昆布茶、練りごまなど
ただし、隠し味はあくまで「隠し味」。隠し味が全面に出てしまうと全体の味のバランスが崩れてしまうので、入れすぎないように注意しましょう。
コクを出すにはどっちがおすすめ?煮込む味噌鍋と煮込まない味噌鍋
味噌鍋のコクを出すためには使用する材料も大切ですが、調理方法もポイントになります。次に、味噌鍋の調理方法の違いがコクを出すことにどのように影響するのかについて解説します。
味噌鍋には煮込むタイプと煮込まないタイプがある
味噌鍋の作り方には、大きく分けて2通りの方法があります。
ひとつは、味噌を溶いたスープで肉や野菜などを煮込んでいく方法です。名古屋名物の「味噌煮込みうどん」や「味噌煮込み鍋」など、中京圏でよく食べられる味噌鍋はこの方法で作ります。
もうひとつが、だしやスープで肉や野菜などを煮込み、材料に火が通ってから最後に味噌を溶かす方法です。味噌汁や豚汁と同じような作り方ですね。
北海道の「石狩鍋」、山梨県の「ほうとう」、広島県の「牡蠣の土手鍋」など、全国の味噌鍋の多くがこの方法で作られています。
大きな違いは味噌を入れるタイミングと味噌の量
中京圏の味噌鍋と、それ以外の地方の味噌鍋の大きな違いは、味噌を入れるタイミングと味噌の量です。
「味噌煮込みうどん」や「味噌煮込み鍋」は、生の肉や魚や生野菜などを味噌味のスープで煮込みます。材料から水分が出て薄まることを想定して作るので、スープの味噌味はやや濃いめです。
また、味噌を入れた後に沸騰させて材料を煮込むので、沸騰しても風味が消えてしまわない味噌を使うことがポイントとなります。
一方、材料を味噌味のスープで煮込まないタイプの味噌鍋は、材料が煮えてから最後に味噌を溶かして作るので、入れる味噌の量はやや少なめ。味噌を入れた後は味噌の風味が消えないように、沸騰させないことが重要です。
煮込む味噌鍋は豆味噌を使うのがポイント
豆味噌とは、主に愛知・岐阜・三重の東海三県で作られている味噌で、有名な八丁味噌も豆味噌の一種です。
一般的な味噌のように米や麦の麹は使わずに、豆と塩と水だけで作られている味噌のこと。味は濃いですが塩分は他の味噌よりも少なめで、麹を使用していないため甘味はあまりありません。
熟成期間は1~3年程度と米味噌や麦味噌よりも長いため、うま味成分が多くコクも深いのが特徴です。そして、豆味噌の特徴でもあるうま味やコクは、煮込むことでさらに強くなります。
煮込むことによる香りの変化もあまりありません。そのため、味噌味のスープで肉や野菜などを煮込む、味噌煮込み鍋に向いているのです。
煮込む味噌鍋の基本レシピ
豆味噌を使った味噌煮込み鍋のレシピをご紹介します。味噌を溶いたスープで肉や野菜を煮込んで作ります。豆味噌は甘さが少ないので、通常の味噌鍋よりもみりんや砂糖の量を増やしているのがポイントです。
【材料】(4人分)
だし 1000cc
☆豆味噌 大さじ5(90g)
☆みりん 大さじ2~3
☆砂糖 小さじ2
☆酒 大さじ3
☆おろししょうが 小さじ1
豚肉うす切り 400g
白菜 1/8個
大根 1/4本
にんじん 1/2本
生しいたけ 1パック
しめじ 1/2パック
長ねぎ 1本
ニラ 1/2束
木綿豆腐 1丁 など
【作り方】
1.☆の調味料を合わせてよく混ぜ、だしを少しずつ入れて味噌を溶き、味噌味のスープを作る。
2.大根、にんじんはうす切り、長ねぎは斜め切り、その他は食べやすい大きさに切る。
3.鍋に1のスープと大根、にんじん、長ねぎ、きのこを入れて火にかける。
4.沸騰したら肉を入れて火を通し、最後に豆腐、ニラを入れて火が通ればでき上がり。
【ポイント】
・具材の量や種類はお好みで加減してください。
・シメはうどんがおすすめです。
・合わせ調味料を多めに作っておいて、野菜の水分でスープが薄まってきたら少しずつ追加してもOKです。
米味噌や麦味噌を使った味噌鍋は煮込まないのがポイント
米味噌や麦味噌は、大豆に米麹や麦麴と塩を合わせて発酵・熟成させて作られています。塩や麹の量によって、甘口の味噌や辛口の味噌ができ上がります。味噌鍋に使う時はお好みで、辛口か甘口かを選ぶとよいでしょう。
豆味噌は煮込んでも味噌の風味はそれほど損なわれませんが、米味噌や麦味噌は揮発性のため沸騰させると、香りが飛んで風味が落ちてしまいます。
ですから、米味噌や麦味噌を使って味噌鍋を作る場合は、味噌は具材が煮えてから最後に味噌を加えるのが、おいしく作るポイントです。
また、豆味噌のように煮込んでコクを出すことができないので、コクを出すには他の調味料や調理方法を工夫する必要があります。
煮込まない味噌鍋の基本レシピ
米味噌や麦味噌を使った味噌鍋のレシピです。味噌の風味が損なわれないように、味噌は最後に入れます。
【材料】(4人分)
☆だし 1000cc
☆鶏ガラスープの素 小さじ1
☆酒 大さじ2
☆みりん 大さじ2~3
★ごま油 大さじ2
★おろししょうが 少々
★おろしにんにく 少々
★豆板醤 小さじ1/2~1
味噌 大さじ5(90g)
豚肉うす切り 400g
白菜 1/8個
大根 1/4本
にんじん 1/2本
ごぼう 1本
白ねぎ 1本
しめじ 1/2パック
生しいたけ 1パック
ニラ 1/2束
豆腐1丁 など
【作り方】
1.大根、にんじんはうす切り、ごぼうはささがき、その他は食べやすい大きさに切る。
2.長ねぎの白い部分を斜め切り、青い部分はみじん切りにする。
3.鍋に★とねぎの青い部分を入れて弱火で炒め、香りが立ってきたらごぼうを加えてさらに炒め、☆を加える。
4.土鍋に4とニラ以外の野菜を入れて、沸騰したら豚肉、豆腐を入れる。
5.材料に火が通ったらニラを入れて火を消し、最後に味噌を溶く。
【ポイント】
・コクを出すために、最初に香辛料、ねぎ、ごぼうをごま油で炒めて香りをしっかりとスープに移していきます。
手間をかけずにコクを出す!おすすめの市販の味噌鍋スープ
味噌鍋のスープを作るのが面倒な時や時間がない時などは、市販の味噌鍋の素を使うと便利です。通販で購入できるおすすめの味噌鍋の素をご紹介します。
まつや 『とり野菜みそ』
石川県かほく市の食品会社「まつや」が製造している味噌鍋の素で、地元石川では知らない人はいないくらい有名な商品です。
『とり野菜みそ』のとりは鶏肉のことではなく、野菜から栄養をたくさん「とる」というところから来ているそうです。
その名のとおり、野菜たっぷりの味噌鍋によく合う、コクがある味わい深い味噌の風味が特徴の味噌鍋の素で、1人分あたり50gの味噌を200~250ccの水に溶くだけで、簡単に味噌鍋のスープを作れます。
寿がきや 『ふくろう監修 辛みそ鍋つゆ』
名古屋に本社を構える加工食品メーカーの「寿がきや」が、愛知県や岐阜県で人気ラーメン店「からみそラーメン ふくろう」とコラボして作った鍋つゆです。
「ふくろう」の看板商品である「からみそラーメン」をイメージした鍋つゆで、魚介ベースのスープにブレンドした2種類の米みそと辛みそを加えて作られています。
コクの深い味わいが特徴で、たっぷりの野菜や肉を入れて食べるのがおすすめ。しめはもちろんラーメンがよく合います。
もへじ 『海老仕立て味噌鍋つゆ』
エビのエキスがたっぷり入ったスープがベースのストレートタイプの味噌鍋つゆで、カルディの人気商品です。
エビの濃厚な風味と芳醇な味噌の香りを楽しめる濃厚な味わいであるのが特徴で、ストレートタイプなので簡単に味噌鍋を作ることができます。
魚介類はもちろん、鶏肉や豚肉とも相性が良く、特に白身魚や鶏だんごなどの淡泊な魚や肉とよく合います。
野菜をたっぷり入れると野菜の甘味やコクが加わってさらに味わい深くなります。しめは卵を入れた雑炊がおすすめです。
まとめ:味噌鍋のコクを出すには材料と作り方がポイント
味噌鍋を作ったものの、どうも味が物足りない、味噌汁みたいになってしまった、という場合は、調味料や作り方を工夫することで簡単にコクを出すことができます。
味噌鍋のコクを出すコツは、いろいろな食材や調味料を使って複雑な味わいを作り出すこと。特に甘味がポイントとなります。
にんにくなどの香辛料やバターなどを加えるだけでもコクが深くなるので、ぜひ試してみてくださいね。