このように思っている人も少なくないのではないでしょうか。確かに、圧力鍋は使い方が難しそうなイメージがありますよね。
しかし、実際は基本さえ押さえておけば使い方は意外に簡単ですし、正しい使い方をしていれば危険なこともありません。
この記事では、圧力鍋の使い方がわからない人や、圧力鍋をうまく使いこなせていない人のために、圧力鍋の基本の使い方を動画とともにわかりやすく解説します。
↓圧力鍋の選び方については、こちらの記事を参考にしてくださいね。
目次
圧力鍋の使い方がわからない人も仕組みを知ればわかりやすくなる!
名前からして、圧力鍋は圧力をかけて使う鍋らしいということは何となくわかりますよね。
圧力鍋はどのように圧力がかかって、その結果どのようになるのかということがわかれば、圧力鍋の使い方も自然とわかるようになってきます。
まずは、圧力鍋の使い方がわからない人のために、圧力鍋の仕組みを簡単に解説します。
圧力鍋の原理とは?
水を加熱すると100℃で沸騰しますよね。1気圧の時は水の沸点は100℃ですが、圧力が1気圧よりも高くなると水の沸点も高くなります。
この原理を利用している調理器具が圧力鍋です。圧力が上がると水の沸点が高くなる原理は、次の動画でわかりやすく解説されているので、参考にしてくださいね。
食材を茹でたり煮込んだりする調理法は、100℃という水の沸点を利用した方法。つまり、100℃で食材を加熱して調理をしていることになります。
圧力鍋で圧力をかけて調理をすると、中の気圧が上がって水の温度も110~120℃前後まで高くなります。
ですから、圧力鍋で調理をすると、通常よりも高い温度で茹でたり煮込んだりすることができ、その結果調理時間が短くなったり、食べ物の組織が壊れやすくなって柔らかく仕上ったりするのです。
圧力鍋の構造は?
圧力鍋は、内部に圧力をかけられるフタと、冷めにくい鍋とでできています。
鍋を密閉して圧力をかけることで内部の温度を110~120℃くらいまで上げ、冷めにくい鍋で100℃以上の高温を長時間持続させることができるというわけです。
そうは言っても、圧力や温度が高くなりすぎると危険ですよね。ですから、圧力が高くなりすぎるのを防ぐために、圧力鍋には圧力調整装置が付いています。
圧力鍋の圧力が上がりすぎると中の蒸気を外に逃がすことで、110~120℃前後をキープできる仕組みです。
圧力鍋での調理の仕組み
これまで解説したことを、実際に圧力鍋での調理に当てはめてみましょう。
フタを密閉する
↓ (火をつける)
中の温度が上昇して空気が膨張し、水蒸気も大量に発生するため鍋の中の圧力が上がる。
圧力が上がると沸騰しているお湯の温度が110~120℃くらいになる。
↓(ゆっくりと加熱を続ける)
調整弁で蒸気の量を調整し、中の圧力と温度(110~120℃くらい)が上がりすぎないようにキープする。
↓ (火を止める)
加熱が止まり、中の圧力と温度がゆっくりと下がっていき、最終的には1気圧に戻る。
圧力鍋の中の圧力が1気圧に戻ると、沸騰している水の温度は100℃まで下がり、普通の鍋で調理した場合のコンロの火を消した直後と同じ状態になります。
圧力鍋は、安全を考慮して内部が1気圧になるまで、フタを開けられないしくみになっています。
仕組みを簡単に覚えておくと、圧力鍋の使い方がわからない!ということもなくなりますし、間違った使い方で危険な状態になることも避けられるので、ぜひ頭に入れておいてくださいね。
圧力鍋の使い方がわからない人のための基本の使い方講座
圧力鍋の仕組みがわかっても、実際の圧力鍋の使い方は、まだよくわからないですよね。次に、圧力鍋どのように使えばいいのか、基本の使い方を解説します。
圧力鍋の基本的な使い方
まずは、下の動画を見てみましょう。圧力鍋の使い方がよくわからない人に理解しやすいように、圧力鍋の基本的な使い方の一連の流れが紹介されています。
動画を見てわかるように、食材と水を入れて鍋のフタをしっかりと閉め、強火にかけ、圧力がかかったら火を弱めてしばらく加圧し、火を止めて圧力が下がるのを待ってからフタを開ける、という方法が一連の流れです。
では、圧力鍋の使い方がわからない人でも理解しやすいように、圧力鍋の使い方の過程をひとつひとつ詳しく見ていきましょう。
基本の使い方その1:準備編
まず、準備するものは取扱説明書。基本的な使い方は同じですが、圧力鍋の種類によって構造や操作方法が変わるので、初めて使う場合は取扱説明書を必ず読むようにしてください。
圧力鍋を使う前に、説明書に従ってフタにパッキンを正しく取り付けます。パッキンの裏表や装着する位置などを間違えると、蒸気が漏れて圧力がかからないので注意してください。
次に、取扱説明書に従って、蒸気口、圧力調整装置、おもりや蒸気ノズルなどに汚れや目詰まりがないかを確認しましょう。目詰まりがあると蒸気がうまく抜けなくなり、中の圧力が上がりすぎるので危険です。
また、安全ロックピンや安全弁などの安全装置がスムーズに動くかどうかも必ず確認しましょう。
ティファール「クリプソ ミニット圧力鍋」の点検方法の動画があるので、参考にしてみてくださいね。
基本の使い方その2:材料を入れる
圧力鍋の準備ができたら、食材と水を鍋に入れます。
圧力を適正にかけるには水の量が重要です。少なすぎると圧力がかかりにくくなりますし、逆に多すぎると蒸気口や蒸気ノズルから煮汁が吹き出したり目詰まりしたりして、危険な状態になってしまう恐れがあります。
圧力鍋それぞれに最大調理量や最小調理量が決められていますので、必ず守るようにしてください。最小調理量がわからない場合は最低でも250~300ccの水分を入れることを目安にするとよいでしょう。
基本の使い方その3:フタを閉めてロックをする
食材を入れたら、圧力鍋にフタをしてロックをかけます。
最初にご紹介した動画中の圧力鍋は、上部に付いているロックボタンを押してフタを固定するタイプでしたが、他にも、フタを回して固定するタイプ、ハンドルを手動で回して固定するタイプなど、圧力鍋によってさまざまなロック方法があります。
いずれの方法も、しっかりとロックがかからないと加熱しても圧力がかからないようになっているので、取扱説明書にしたがってしっかりとロックをするようにしましょう。
また、低圧と高圧の2段階の調整ができる圧力鍋の場合は、火にかける前に使いたい圧力にセットするようにしてください。
基本の使い方その4:加熱して圧力をかける
圧力鍋のフタのロックと高圧か低圧かを確認したら、いよいよ加熱をしていきます。
最初は強火で加熱します。最初の動画にもあったように、ガスコンロの場合は鍋の底から火が出ないくらいの大きさにしてください。IHの場合は1200~1500Wくらいを目安にするとよいでしょう。
その後、蒸気が上がり圧力鍋が加圧されていることが確認できたら弱火にします。一度圧力がかかると、弱火にしても圧力が下がることはないので、この状態になったら加圧時間を測り始めます。
弱火にして加圧時間をスタートさせるタイミングの見極め方は、圧力の調整方法によって変わります。
おもり式の場合
おもり式の圧力鍋とは、フタの上にゆらゆらと揺れるおもりや、蒸気口のあるおもりが乗ったタイプ。最初にご紹介した「圧力鍋の使い方(基本の基本)」に出てくる圧力鍋のようなタイプです。
最初にご紹介した動画にあるとおり、おもり式の場合、加熱して蒸気が出始めるとまず安全ロックピン(フロートなどという名前のこともある)が上がります。
その後、さらに加熱を続けると、おもりの周辺から蒸気が出始めます。揺れるおもりの場合はおもりが揺れ始めます。
安定して蒸気が出るようになったら(おもりが揺れるようになったら)、圧力がかかっている合図です。どのくらいの蒸気の量が適当であるかは、下の動画を参考にしてください。
スプリング式の場合
スプリング式の圧力鍋は、蒸気口に付いているバネで圧力を調整します。おもり式のように蒸気は外に出てきません。
スプリング式の圧力鍋を加熱して蒸気が出始めると、フタに付いている圧力表示が少しずつ浮き上がってきます。
圧力表示には数本の線が引いてあります。特定の線が見えると圧力がかかっている合図なので、弱火にして加圧時間を計り始めましょう。どの線が合図になるのかは取扱説明書で確認してください。
基本の使い方その5:消火と2通りの減圧方法
必要な加圧時間が経過したら火を止めます。ここで注意すべき点は、この段階ではまだ高圧状態であること。フタを開けるには、ロックピンや圧力表示が完全に下がるまで減圧する必要があります。
圧力鍋を減圧する方法は主に2つあります。ひとつは、そのまま放置しておく方法、そしてもうひとつが、強制的に減圧する方法です。
おもり式の場合、強制的に減圧する場合は蒸気口から蒸気を抜く方法もありますが、火傷や突沸の危険があるので流水をフタにかけて冷やす方法がおすすめです。
その際、蒸気口や部品のすき間から水が中に入らないように注意しましょう。
圧力鍋は危険?使い方がわからない人の不安や疑問を解消!
ここまで、圧力鍋の基本的な使い方や注意事項を解説してきました。圧力鍋の使い方がわからない!という基本的な不安はかなり減ったのではないでしょうか。
そうは言っても、圧力鍋で事故が起こるという噂も聞くし、まだまだ不安もあるのではないかと思います。そこで、もう少し踏み込んで、具体的な使い方がわからないという不安を解消していきましょう。
事故が起こると聞くけど、圧力鍋は危険じゃないの?
圧力鍋による事故が起きていることは事実です。消費者庁の統計によると、2008年から2021年の3月までの間に、圧力鍋による事故が231件報告されているそうです。
しかし、事故の原因は、量の入れすぎや圧力が下がる前にフタを開けてしまうなど、誤った使い方が原因になっています。事故を防ぐには、取扱説明書をよく読んで、正しい使い方をすることが重要です。
使う度に毎回点検をするのは面倒じゃない?
圧力鍋には必ず安全弁が取り付けられていて、万一何らかの原因で中の圧力が高くなりすぎた場合に強制的に蒸気を逃がす構造になっています。しかし、安全弁が正常に作動しないと危険な事故につながる恐れがあります。
また、蒸気口やノズルの目詰まりが原因で安全弁が作動した場合、思わぬところから蒸気が出て火傷をしてしまうこともあります。事故を防ぐためにも、使用前の点検は毎回必ず行うようにしましょう。
加圧時間はどのくらいにすればいいの?
圧力鍋の基本的な使い方は何となく理解しても、実際に何分くらい加圧したらいいのか、よくわからないですよね。
圧力鍋の加圧時間は、メーカーや種類などによって変わってきます。例えば、同じ材料でカレーを作ったとしても、ティファールは6分、フィスラーは3分という具合に加熱時間もまちまちです。
ですから、加圧時間は一般的なレシピに示されている加圧時間ではなく、必ず使っている圧力鍋に付いているレシピ集で確認するようにしましょう。
もし、レシピに作りたい料理がない場合は、似たような料理の加圧時間を参考にしてください。
また、作る量が変わっても加圧時間は同じと考えてよいでしょう。ただし、量が増えると圧力がかかり始めるまでの時間は長くなります。
調味料はいつ入れるの?
圧力鍋で料理をする際、調味料をいつ入れるのかわからない、という声もよく聞きます。
調味料を入れるタイミングは使う調味料によって異なります。基本的に、調味料は圧力をかける前に他の材料といっしょに入れても大丈夫です。
ただし、カレーやシチューのルー、とろみを付けるための片栗粉や小麦粉などを加圧前に入れると、蒸気口やノズルの目詰まりの原因になる危険があります。粘度が高くなる調味料は加圧後に入れるようにしましょう。
圧力鍋では味が浸みこみにくいと聞いたことがあるけど?
圧力鍋で煮込み料理を作ると通常よりも温度が高い状態で調理をするので、短時間で柔らかく作ることができますが、味がよく浸み込むのかというと、実はそうではありません。
逆に調理時間が短くなるため、味は浸み込みにくくなると言えます。
味は冷める時に浸み込みやすくなるので、しっかりと味を浸み込ませるには、加圧時間が終わった後に中身がしっかりと冷めるくらいまで放置して、再度加熱する方法が効果的です。
また、料理によっては加圧後にフタをしないでさらに煮込んで水分を飛ばし、味を調整する必要があるものもあります。
圧力をかける調理法と、一般的な煮込み方法を併用して、うまく味を調整するようにするとよいでしょう。
まとめ:圧力鍋の使い方がわからないからと悩まなくても大丈夫!
圧力鍋の使い方がわからないと、便利だとわかっていても使うことを躊躇してしまいますよね。でも、圧力鍋の使い方は意外と簡単!基本的な使い方さえ間違えなければ、危ないこともありません。
加圧時間や味付けは難しい面もありますが、使っているうちにだんだんとコツも掴めてきます。これを機に、ぜひ圧力鍋に挑戦してみてくださいね!