夏はさっぱりと冷奴やさっぱり煮に、冬は鍋や水炊きに大活躍のポン酢。醤油や味噌に比べると、ポン酢は塩分が少ないイメージがありますね。
ポン酢は醤油などと比較して塩分量は少ないですが、量を気にせず使っても大丈夫なのでしょうか。この記事ではポン酢商品の塩分や他の調味料との比較、ポン酢の上手な減塩の方法などを解説します。
目次
ポン酢の塩分濃度はどのくらい?
ポン酢は肉料理や魚料理など様々な料理によく合い、和風にも洋風にもアレンジできる便利な調味料です。
ポン酢は「酢」の文字が入っているので日本語のように感じますが、実はオランダ語の「ポンス(柑橘の果汁)」が語源です。
オランダからやってきて日本の醤油と出会い、ポン酢は日本人に愛される調味料になりました。ポン酢の気になる塩分はどのくらいなのでしょうか、ポン酢の種類や他の調味料との塩分比較を見ていきましょう。
ポン酢には2種類ある
現在「ポン酢」として流通している調味料は「ポン酢(生ポン酢)」と「ポン酢醤油」の2種類あります。
【ポン酢(生ポン酢)】
黄色い半透明な見た目で、柑橘果汁と酢を足して作られた調味料です。
もともとオランダから江戸時代に日本に渡来したポン酢は、この黄色いポン酢でした。醤油など塩分のあるものは入っていないため、塩分量は0です。
【ポン酢醤油】
黒い醤油のような見た目で、柑橘果汁に酢や醤油、砂糖やだしを入れて味付けをした調味料です。昭和に入ってからミツカンによって商品開発された「味ぽん」が市販品のルーツとなっています。
ポン酢商品のシェアは圧倒的にポン酢醤油が多いため、現在では「ポン酢=ポン酢醤油」との認識が一般的です。醤油が入るため塩分が含まれます。
※この記事では黄色いポン酢を「生ポン酢」、黒いポン酢醤油を「ポン酢」として扱います。
ポン酢と醤油などの塩分比較
塩分控えめのイメージのあるポン酢ですが、実際の塩分量は他の調味料に比べてどのくらいなのでしょうか。ポン酢と一般的な調味料との塩分量を比較してみました。
主なポン酢と調味料の塩分比較
メーカー | 商品名 | 100mlあたり | 大さじ1 (15ml) | 小さじ1 (5ml) |
---|---|---|---|---|
ミツカン | 味ぽん | 8.3g | 1.2g | 0.4g |
ミツカン | だしまろぽん | 6.7g | 1.0g | 0.3g |
キッセイ薬品 | 減塩げんたぽん酢 | 4.3g | 0.6g | 0.2g |
キッコーマン | 特選しょうゆ | 16.0g | 2.4g | 0.8g |
マルコメ | 料亭の味(味噌) | 11.4g | 1.7g | 0.6g |
ブルドック | 中濃ソース | 6.7g | 1.0g | 0.3g |
カゴメ | トマトケチャップ | 3.3g | 0.5g | 0.2g |
キューピー | マヨネーズ | 2.0g | 0.3g | 0.1g |
減塩ポン酢以外はそれぞれの調味料ごとに、全国シェア1位のメーカーの商品をデータとして使いました。
醤油や味噌と比べるとポン酢は塩分が少ないですが、ソースやケチャップ、マヨネーズと比較すると思ったより塩分量が多いですね。
特にケチャップは味のイメージより塩分が少なく、塩分量の点からいうと優等生といえます。あまり出番がなく冷蔵庫に置きっぱなしになりがちなケチャップですが、減塩の点から見るともっと使ってもいいかもしれませんね。
一日に食べてもいい量はどれくらい?
厚生労働省が出している一日の塩分摂取量の目安は、男性が7.5g未満、女性が6.5g未満です。
一般的なポン酢は大さじ1杯に1.2gの塩分が含まれています。一食あたりの塩分量を2~2.5gとすると、大さじ1杯のポン酢の塩分だけで目標の半分の塩分量になってしまいます。
水炊きなどの鍋料理にポン酢を使うときには、味が薄くなるため何度も注ぎ足してしまいがちです。思ったより塩分をたくさん摂ってしまっていることもあるので注意が必要です。
ポン酢の塩分を上手に減らすコツ(2つ)
ポン酢は柑橘系の香りと酢のすっぱさで、夏も冬も幅広く料理に使える調味料です。醤油や味噌に比べると塩分量は少ないものの、減塩の点から見るとやはりまだ塩分の多い調味料と言えます。
ここからは減塩のために、ポン酢をどのように使ったらいいのかを見ていきましょう。
減塩のためのポン酢の使い方
ポン酢には減塩タイプが販売されているので、一番簡単な方法は減塩ポン酢を使うことです。しかし減塩ポン酢はちょっとお高いですね。
ご家庭にある一般的なポン酢を減塩するには、だしを足すのがおすすめ。昆布やかつお節でだしを取るのは大変という人は、だしの素などを水やお湯で溶かしてポン酢に混ぜましょう。
だしの素の中には塩分が入っているものがあるため、成分表示を確かめて塩分の入らないだしの素を使ってくださいね。
塩分量の調節には、自作のポン酢もおすすめです。美味しく手軽な作り方についてはこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
塩分なしの「生ポン酢」を使おう
生ポン酢は柑橘の果汁に酢を足したもので、塩分は0です。酸味が苦手でない人は、ポン酢の代わりに生ポン酢を使うことをおすすめします。
生ポン酢の味は「柑橘の香りのする酢」なので、酸味が苦手な人はそのままポン酢の代わりに使うのは難しいかもしれません。
すっぱさを和らげるために、醤油やめんつゆを少しだけ足しましょう。めんつゆは醤油やだし、砂糖が入っているので味が複雑になり、少量で満足感のある味になりますよ。
減塩を意識する方に!塩分控えめのポン酢4選
高血圧などで減塩をしている人にとって、少しの塩分量の違いも気になりますね。出来るだけ塩分を減らしながら、おいしい食事をしたいものです。
塩分を気にしている人のために、減塩ポン酢が各メーカーから販売されています。塩分を減らしてもおいしく食べられるよう工夫されており、満足感のある食事ができるのがうれしいですね。
ここからはネットで購入しやすい減塩ポン酢4種をご紹介します。
ミツカン【おいしい減塩ゆずぽん酢】
ミツカンは文化元年(1804年)に愛知県で創業した、お酢を中心とした調味料のメーカーです。
ミツカンの「おいしい減塩ゆずぽん酢」は100gあたりの食塩相当量が5.8gで、ミツカンの当社比で塩分を25%カットしています。
360ml入りの一般向け商品は製造終了し、業務用の1Lサイズのみ販売しています。減塩ポン酢の中ではコスパがいいため、たくさんポン酢を使う人におすすめです。価格は1本1Lで、648~800円で販売されています。
ニビシ醤油 【減塩ゆずぽん酢】
ニビシ醤油は大正8年(1919年)に福岡県で創業した、醤油などの食品メーカーです。九州では有名なメーカーで、「里ごころ」(合わせ味噌)や「うまくちしょうゆ」などのロングセラー商品を販売しています。
ニビシ醤油の「減塩ゆずぽん酢」は100gあたりの食塩相当量が5.3gで、ニビシ醤油の当社比で40%の減塩になっています。だしを利かせることで、減塩にありがちな「薄味で物足りない」を感じにくくしました。
価格は1本360mlで467円で販売されています。
日の出【糖質オフ・減塩 ゆずぽんず】
「日の出」は「キング醸造株式会社」が製造している調味料のブランド名です。キング醸造は明治33年(1900年)に兵庫県で創業した、お酒や調味料のメーカーです。
日の出の「糖質オフ・減塩 ゆずぽんず」は、かつおとあごのだしを効かせ、酸味を抑えたまろやかな味です。
100gあたりの塩分相当量が5.3gで、さらに糖質も100gあたり3.3gと、一般的なポン酢に比べて60%オフになっているのが特徴です。価格は1本360mlで429~540円で販売されています。
キッセイ薬品【減塩げんたぽん酢】
キッセイ薬品は昭和21年(1946年)に長野県で創業した、医薬品や特別用途食品のメーカーです。ゴールデンタイムにもテレビCMが放映されているので、ご存じの方も多いでしょう。
キッセイ薬品の「減塩げんたぽん酢」は、腎臓病食として開発された「減塩、低リン・低カリウム調味料」です。100gあたりの食塩相当量は4.3gと市販のポン酢の中では最も少ない量になっています。
たんぱく質も100gあたり1.8gと一般的なポン酢のたんぱく質が3.4~5g程度なのに比べ低く、塩分制限やたんぱく質制限のためのポン酢として使われています。
価格は1本360mlで604~681円で販売されています。
ポン酢は一工夫で塩分を減らそう
ポン酢は他の調味料に比べて塩分が少ないイメージがあり、減塩を心がける人たちに愛用されています。しかしよく調べてみると、想像していたより塩分濃度は高めであることがわかりました。
だしを使うことでポン酢の味を薄くせずに、おいしく減塩できます。ご家庭でも市販のポン酢にだしを入れて塩分の調節をしたり、減塩ポン酢を上手に使ったりして味の満足感をそのままに塩分量を減らしていきましょう。
美味しいポン酢の使い方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね!