ポン酢のポンとは何だろう?語源や由来など、ポン酢のルーツをご紹介
そういえばポン酢のポンってどういう意味なんだろう。何に由来してるのかな?

そんな疑問に答えます。

冬のお鍋のイメージが強く、和風な調味料としてのイメージが強いポン酢ですが、実は歴史は長く、そしてグローバルなんです!

ポン酢の名前の由来は、NHKの番組『チコちゃんに叱られる!』でも、人気のグルメ漫画『美味しんぼ』でも話題になったことがあるんですよ。

この記事では「ポン酢」の名前の由来とその語源についてご紹介していきます。

ポン酢のポンの名前の由来とは?

ポン酢のポンの名前の由来とは?

何気なく使っている「ポン酢」という単語ですが、この名前の由来を調べていくと、とてもグローバルな世界が広がっています

江戸時代に日本にもたらされたポン酢について、そこにたどり着くまでの言葉の歴史をたどっていきます。

ポン酢を「ポン+酢」と分けて考えるのは間違い

ポン酢はカタカナと漢字の組み合わせから、無意識に「ポン+酢」と分けられるとイメージしがちです。

さらに、柑橘系の果汁が加えられたスッキリとした味わいの調味料ということもあり、「ポン」は「ポンカン」から来ているのかなと想像する方も多いのではないでしょうか。

そんな冬のお鍋の定番の「ポン酢」ですが、語源をたどっていくと「ポン+酢」と分けるのは間違いということが判明します。具体的にはどのような変遷があったのか、ポン酢の名前の由来を掘り下げてみていきましょう。

ポン酢の名前の由来はオランダ語

「ポン酢」の元となる「ポンス」という単語が、日本にもたらされたのは江戸時代。鎖国をする中で一部のヨーロッパ人と交流をしていた時代に、オランダ人の商人が「ポンス」をもたらしたと言われています。

現代のポン酢は調味料として使われていますが、江戸時代に日本にやってきた「ポンス」は飲み物でした。オランダの言葉で「ポンス(Pons)」とは、混ぜ合わせた飲み物という意味です。

ちなみにオランダ語の「ポンス」が、イギリスにたどり着き「ポンチ」に変わりました。

これが、小さいころに一度は食べたことのある「フルーツポンチ」です。みかんやナシ、さくらんぼなどをシロップやスパイスと一緒に”混ぜ合わせた”ものですね。

『ポン酢のポンス』のルーツはヒンドゥー語

『ポン酢のポンス』のルーツはヒンドゥー語

オランダ語に由来する「ポン酢のポンス」ですが、そのルーツをさらにさかのぼるとインドの「ヒンドゥー語」につながっていきます

ここでは、さらなるポン酢のルーツについてご紹介をしていきます。

語源をたどるとポン酢は胃腸薬だった!?

「ポンス」という単語のルーツはインドのヒンデゥー語「パンチャ」という言葉だと言われています。

「パンチャ」とはヒンドゥー語で「5」を意味するのですが、当時は5つの材料を混ぜ合わせた胃腸薬のことを「パンチャ」と呼んでいたそうです。

この時代の「パンチャ」は、紅茶・レモン汁・水・砂糖・塩・スパイスなどを調合していて作っていたそうで、香辛料貿易の拠点であったインドらしい薬と言えるでしょう。

ヨーロッパから来た商人たちが、自分の国に持ちかえったことで、インドの「パンチャ」がじわじわと世界に向けて広がっていくことになります。

ポン酢の由来はヨーロッパのアルコール飲料

5つの材料を混ぜ合わせた胃腸薬であった「パンチャ」は、ヨーロッパに渡るとアルコールが追加されて「ポンス」という名前に変わりました。

さすが蒸留酒の製造を早くから行っていた地域という感じですが、ラム酒やブランデーなどの蒸留酒にレモン汁や砂糖を混ぜ合わせた飲み物として楽しまれるようになっていきました。

この頃には、もともとの胃腸薬ではなく食前酒として人々に広がります。食事の前に強いお酒を飲む文化のあるヨーロッパらしい発想です。

江戸時代に日本にもたらされた最初の「ポン酢」

ポン酢のルーツとなる飲み物が日本にたどり着いたのは江戸時代。当時日本は鎖国をしていましたが、中国とオランダとの交易はあったため、オランダ人商人たちは上陸を許されていました。

そんなオランダ商人たちが自国では定番の食前酒である「ポンス」を持ち込んだことが最初と言われています。

ただし、当時の日本では強いお酒を楽しむことはもちろん、食前酒という文化がありませんでした。そのため「ポンス」そのものは広まらなかったのでしょう。

代わりに「ポンス」の原材料であるレモン果汁の方に目を付け「柑橘系果汁」のことを「ポンス」と呼ぶようになりました。江戸時代までの食文化において、柑橘系の果汁はあまり使われていなかったようです。

そんな中、外国人のもたらした文化の一部を切り取り、自分たち独自の調味料として「柑橘系果汁」を使い始めたことがキッカケとなり、「ポン酢」が生まれました。

まとめ:『ポン酢のポン』探ると興味深いポン酢の語源

まとめ:『ポン酢のポン』探ると興味深いポン酢の語源

普段はあまり気にすることのない「ポン酢」の名前の由来ですが、調べていくと言葉と調味料のルーツは遠い国にまで繋がっていました。

インドの胃腸薬バンチャが、ヨーロッパの食前酒ポンスになり、そして日本では柑橘系果汁の調味料となったのです。

意識しないで「美味しい美味しい」と食べていることの多い調味料ですが、ふと立ち止まってルーツ探しの旅に出てみると、思わぬ発見があって面白いものです。

次にポン酢を食べる機会があるときは、少しだけヨーロッパやインドのことを想像してみては如何でしょうか。いつもと少し違った食事が楽しめるかもしれません。

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