そんな疑問にお答えします。
日本の伝統的な食べ物であるぬか漬けですが、イメージするのは”毎日混ぜて手間がかかる””初心者では失敗すると聞くし、手が付けにくい”ではないでしょうか?
ですが、実際はポイントを押さえれば案外簡単。ぬか漬けにすることで身体にいい効果も期待できますよ!
目次
にんにくのぬか漬けとぬか床の作り方
お酒のおつまみにもピッタリのにんにくのぬか漬けの作り方を紹介します。漬かるのに時間はかかりますが、難しい行程はありません。ぬか漬けにすることで栄養価もアップするので是非挑戦してください。
一から手作り!ぬか床の作り方
今では簡単にぬか漬けが出来るように市販の”発酵ぬか漬け”も売っていますが、初心者でも簡単に”米ぬか”から作れる方法もありますので紹介します。
家庭によって作る量は変わってきますが、にんにくは小さいのであまり大きな容器を必要としないでしょう。今回は、家庭にある蓋付きタッパーや密閉式保存用ポリ袋を使用する方法で紹介したいと思います。
【材料】
・米ぬかを入れるタッパーか密閉式保存用ポリ袋
・米ぬか(”生ぬか”か”炒りぬか”):500g
・粗塩:50g
・水:250mℓ
・生姜(皮付き):1かけ
・昆布:1枚(5cm角)
・唐辛子:1本
・野菜のくず:30g×2回分(アクの無い鮮度の良いもの)
【作り方】
1.米ぬかと塩を容器に入れ、水を少しずつ加えながら混ぜます(ベチャベチャにならないように注意)
2.ぬか床がかたまりになったら水を入れるのを止め、唐辛子・昆布・生姜を加えます
3.2に野菜のくずを混ぜ込み、平らに整えて一日漬けます(タッパーの場合カビの原因になるので縁を綺麗に拭き取ってください)
4.翌日、前日入れた野菜のくずを捨て、新しい野菜くずを混ぜ込みます
5.ぬか床を毎日混ぜ、1週間~2週間で完成です
【ポイント】
基本的に直射日光の当たらない場所(20~25度)に常温で保存していて大丈夫ですが、夏場や室温が高い時は冷蔵庫で保存してください。
野菜のくずは、葉物に乳酸菌が多いのでキャベツの外側や大根の葉・人参のヘタ・きゅうりなど水気の多いものを使用して下さい。
じゃが芋・玉葱・トマト・茄子は不向きです。昆布は旨味を付けるため、唐辛子は防腐効果の為なので必ず入れて下さい。
ぬか床は生き物のような存在であり、新鮮な空気が無ければ死んでしまいます。夏は1日2回、冬は1日1回混ぜてぬか床に空気を入れてあげてください。
混ぜずに放置するとカビが発生したり、ニオイの原因になります。毎日混ぜられない、という方は冷蔵庫で保管し、少なくとも1週間に2.3度は混ぜてください。
にんにくのぬか漬けの作り方
用意するもの
・にんにく:1玉
・ぬか床(手作り)
※手作りが難しい場合、市販の発酵ぬか床を使えば、手間なく初心者でも簡単にぬか漬けが作れますよ。
作り方
・にんにくを1片ずつにし、皮を剥きぬか床に入れる
・10日ほどで美味しく召し上がれます(身が透き通っていれば大丈夫)
スライスして漬けても美味しいですし、薄い分早く漬かります。
ぬか漬けにすることでにんにくに含まれるビタミンB1が大幅にアップします。にんにくの主要成分である”アリシン”と一緒に摂ることで、疲労回復・肌荒れに効果があると言われています。
市販の発酵ぬか床で作る場合は?
市販の発酵ぬか床だと、手作りのぬか床と違い1週間~2週間発酵を待つこと無く、買ってきてすぐに漬けることが出来ます。
チャック付きもあり、容器も必要としないことも人気の1つです。さらに、メーカーごとに味が違うので自分の好みの味を探すことも出来ます。
ぬか床ににんにくを入れると少量(1ヶ程度)なら旨味アップになりますが”にんにくのぬか漬け”を作る目的でにんにくを大量に入れると、ぬかににんにくの風味が移り他の野菜にも影響が出ます。
他の野菜も漬けたい場合はにんにくと用器を分けてください。
市販のぬか床なら「みたけのぬか床」が安定
みたけ食品は、埼玉県に本社を構える製粉メーカー。その中でも、発酵ぬか床はかなり有名です。
雑菌の繁殖を抑える効果の高い乳酸菌で発酵させているので、週に1回のかき混ぜでよく、容器をそのまま使えるので、メンテナンスが楽な点もポイントが高いです(筆者も何度か使ったことがあります)。
始めの2~3回は酸味が強いですが、それ以降はよく馴染んで美味しいぬか漬けになります。
ぬかが少なくなってきたら補充用の小さめのぬかも売っていますので、グラム単位で補充できます。値段もそれほど高くないので手を出しやすくなっています。
ちなみに無印良品に売っているぬか床は製造元が”みたけ食品工業”になっており、中身は同じなのだそうです。
にんにくのぬか漬けの漬け時間
にんにくの食べごろの漬け時間
にんにくの大きさにもよりますが、およそ10日から美味しく食べることが出来ます。粒が大きいにんにくは長めに漬けておいた方が辛さが無くなります。
1~5日程度ではまだまだ硬さと辛さが残っていて、とてもではないですが食べることはできません。きちんとぬか床を手入れしていれば1か月間漬けていても美味しく食べられます。
食べる時の注意点
ぬか床のぬかは付いたまま食べてもいいのか迷う方もいると思いますが、”ぬか”は玄米を精製する時に出るカスなので舌触りもよくありません。
栄養分は全て食材に染み込んでいますので、綺麗に洗い流して食べてください。にんにくをぬか漬けにすると緑色になることもあります。
カビではなく栄養成分”アイリン”と”鉄分”の結合によるものであり、人体に影響はないので食べても大丈夫だそうです。しかし、鮮度は落ちているので気になる方や体調の悪い場合は控えてください。
にんにくのぬか漬け失敗時の対処法
ぬか漬けはぬか床の中に生きている乳酸菌や酵母菌などの微生物の働きによって美味しく仕上がります。
この微生物たちは生きているので、日々のお手入れを怠ってしまうと、色々な問題が発生します。原因別に対処法を紹介します。
ぬか床の失敗時の原因別対処法
ぬか床がベチャベチャしている場合
水分が多いと腐敗菌が増殖してしまいます。対処法は以下の3つです。
・足しぬかをする。ただし、塩分濃度が下がると腐敗菌が増えてしまうので、足しぬかをする際には、100gの米ぬかに7gの塩分も足してください
・切干大根や干し椎茸・干し昆布を足して水分を吸わせる(ぬか床に旨味がプラスされ、そのまま食べられます)
・水分が浮いている場合はキッチンペーパーで取り除くか、水抜き(ぬか床に穴を空けて次の日、穴に溜まった水を取り除く)をする
カビが生えてしまった場合
ぬか床のかき混ぜ不足、温度が高い(25度以上)、塩分不足、水分が多いとカビが繁殖します。カビはフワフワしており、表面にポツポツと生えるのが特徴です。色付きのカビは全て危険なので破棄してください。
・少量のカビならカビが生えた部分より大きめに取り除く
・全体的にカビがいきわたっていたら、破棄してください
白い膜が張っている場合
白い膜はカビではなく”産膜酵母”と呼ばれる酵母菌の一種です。白い膜は酵母菌がきちんと育っている証拠です。善玉菌ですが増えすぎるとニオイや腐敗の原因になるので気を付けてください。
・気付いた時点ですぐに上下を逆さにするイメージで混ぜる
・塩分を足して温度を20~25度に保って保管する
シンナー臭(セメダイン臭)がする場合
ぬか床を作ったばかりでまだ不安定な時期に起こることが多いようです。原因としては、かき混ぜ不足・塩分不足・温度が高すぎることです。
・塩を足し発酵のスピードを落とし、毎日かき混ぜる
・それでもニオイが消えない場合、ぬかと塩をもう少し足してみる
・冷蔵庫に入れるなど20~25度を保つことで改善されることも
食べると酸味がきつかった…という場合
ぬか床が酸っぱくなってしまう原因は乳酸菌が増えすぎて、過剰発酵が進んでしまったからだと思われます。
乳酸菌は嫌気性で塩分の少ない所で増殖します。よって、ぬか床のかき混ぜ不足・塩分が少ない・水分が多いことが原因で酸味がきつくなると考えられます。
・しっかりと混ぜてぬか床を2~3日休ませてみる
・水分が多い場合はぬかを足すかキッチンペーパーで余分な水分を取り除く
・青菜類(小松菜など)を漬ける(酸味を抑えてくれる働きをします)
・ぬかに漬けている野菜を全て取り出し、酸味調整からしを大さじ1入れ、1日2~3回混ぜ3日ほど野菜を漬けずに休ませる
・日本酒やビールを100ccほど加え、足しぬかをして数日休ませる(蒸留酒のみ使用してください)
・よく湯がいた卵の殻を薄皮を剥いてしっかりと乾燥させ、もみほぐしたらぬか床に混ぜる
【注意点】
鶏卵にはサルモネラ菌が付着しています。食中毒の原因になりますので、卵の殻を入れる場合には、75度で1分以上加熱した上で使うようにしてください。
塩辛い場合
ぬか床自体が塩辛い場合は、ぬか床の熟成不足か塩の入れすぎです。
・キャベツ、大根など水分の多い野菜を捨て漬けする
・ぬかがゆるい場合は足しぬかをして塩分濃度を薄め、2~3日休ませてから漬ける
・ぬかがかたい場合は水を足して塩分濃度を下げてください
腐敗臭が酷い場合やカビが全体にいきわたってしまった場合は、1から作り直すことをオススメします。
まとめ:栄養アップのにんにくのぬか漬け
今回はにんにくのぬか漬けを紹介しました。今では家で簡単に始めることが出来ますし、ぬか漬けにすることでにんにくに含まれるビタミンB1が大幅にアップし、疲労回復など身体にいい効果をもたらしてくれます。
ちょうどいい塩加減とぬかのいい香りがお酒のお供にピッタリなので是非挑戦してみてください。