ラカントって知っていますか?
”0(ゼロ)”の赤文字がやたらと目を引くパッケージで、どうやら、カロリーゼロの甘味料のようなのですが、その正体はいったい何なのでしょうか。
この記事では、ラカントとはいったいどのような甘味料なのか、そして、健康への影響は本当にないのか、ラカントについて気になる点を解説します。
目次
ラカントとはいったい何?成分や砂糖との違いを解説!
ラカントとはいったいどのような製品なのでしょうか。また、パッケージには”カロリー&糖類ゼロ”と書かれていますが、砂糖とはいったい何が違い、どのような成分が入っているのでしょうか?
ラカントってどんな商品なの?ラカントシリーズ4種をご紹介
ラカントシリーズは、「サラヤ株式会社」が製造販売している”糖類ゼロ、カロリーゼロ”の甘味料です。主力商品の『ラカントS顆粒』をはじめとした4種類が販売されています。
ラカントS顆粒
エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)、ラカンカエキス、甘味料(ラカンカ抽出物)
ラカントS顆粒はさらさらとしたナチュラルブラウンの顆粒で、黒砂糖のような風味があります。
天然甘味成分の「エリスリトール」に、砂糖の300倍の甘さという「ラカンカエキス」を配合して、砂糖と同程度の甘さに調整しているため、砂糖と同量を振り替えて同じように使えるということを売りにしています。
ラカントSシロップ
エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)、ラカンカエキス/増粘多糖類、甘味料(ラカンカ抽出物)、保存料(ビタミンB1)、pH調整剤
ラカントS顆粒は高温でないと溶けづらく、冷たいものに入れると溶け残ってしまったり、高温で溶かしても冷めると再結晶化してしまったりするというデメリットがあります。
そこで、ラカンカS顆粒を使いやすいシロップタイプにした商品が「ラカントSシロップ」です。ラカントS顆粒と同じように砂糖と同量を置き換えて使えます。
ラカントホワイト
エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)、甘味料(ラカンカ抽出物)
ラカントS顆粒の色はナチュラルブラウンで、黒砂糖に似た独特のある風味があるため、入れる料理や飲み物によっては色や風味が気になることがあります。
そのような時におすすめの商品が「ラカントホワイト」です。
高純度のラカンカエキスではなく、甘味成分だけを抽出した「ラカンカ抽出物」を配合することで色を白くしてラカンカのクセのある風味も抑えています。
ラカントホワイトには持ち運びに便利なスティックタイプもあります。
ラカント ロカボスイートナー
エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)/甘味料(ラカンカ抽出物)
高純度のラカンカ抽出物を使用することで砂糖の2倍の甘さに調整した商品で、ラカントホワイトの半分の量で同じ甘さを味わえることが特徴です。
ラカントホワイトと同様に白色でクセも抑えられています。持ち運びに便利なスティックタイプも販売されているので外出先でも使えますね。
甘味料とはそもそも何のこと?添加物ではないの?
ラカントシリーズはカロリーゼロの甘味料ということですが、そもそも甘味料とはいったいどういうものなのでしょうか。
甘味料と聞くと食品添加物をイメージするかもしれませんが、添加物ではないのでしょうか?
甘味料とは食品に甘味を付けるための調味料のことを言います。つまり、砂糖もはちみつも甘味料の一種ということになりますよね。
これらのなかには食品を製造する際に甘味を付ける目的として、厚生労働省によって食品添加物の「甘味料」に指定されているものもあります。
ラカントS顆粒に含まれている「ラカンカエキス」は食品に分類されますが、「ラカンカ抽出物」は食品添加物に指定されている甘味料です。
ラカントと砂糖との違いは?栄養成分に違いはあるの?
では、ラカントは砂糖とどのような点が違うのでしょうか。栄養成分を比較してみましょう。
砂糖(上白糖) | ラカントS顆粒 | |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 391 | 0 |
たんぱく質(g) | 0 | 0.2 |
脂質(g) | 0 | 0 |
炭水化物(g) | 99.3 | 99.8 |
(炭水化物のうち) 糖質(g) | 99.3 | 99.8 |
(炭水化物のうち) 食物繊維(g) | 0 | 0 |
灰分(g) | ごく微量 | ごく微量 |
ラカントS顆粒と上白糖の栄養成分を比較してみると、どちらもほぼ糖質であることがわかります。
残りの成分は砂糖が水分とごく微量のミネラルで、ラカントS顆粒はわずかなタンパク質とごく微量のミネラルが含まれています。
ラカントS顆粒と上白糖の決定的な違いはエネルギーです。上白糖のエネルギーは100gあたり391kcal(大さじ1杯分に換算すると35kcal)ですが、ラカントS顆粒のエネルギーは0kcalです。
ラカントにはどんな成分が入っているの?
ラカントS顆粒は、約99%のエリスリトールと約1%のラカンカエキスおよびラカンカ抽出物からできています。
エリスリトールは砂糖の70%程度の甘さしかないので、砂糖の300倍のラカンカエキスで砂糖と同じくらいの甘さになるように調整しています。
ラカンカエキスは、中国南部の桂林市という地域でのみ栽培されている羅漢果というウリ科の果物を原料としています。
「保護植物」として持ち出しが禁止されているため、サラヤが現地研究機関と共同で製造法を開発し、現地でエキスを製造しているそうです。
ラカントがカロリーゼロの理由とは?安全性についても解説
栄養成分を見るとわかるように、ラカントの糖質は99.8%ですが、高糖質であるにもかかわらずゼロカロリーの理由はどこにあるのでしょうか。
また、カロリーゼロの他にもメリットやデメリットはあるのでしょうか。
主成分のエリスリトールってどういうもの?
ラカントシリーズの主成分であるエリスリトールは、自然界にも広く存在している成分です。きのこ類、メロンやぶどうなどの果物の他、ヒトや牛などの体液にも含まれています。
また、糖を微生物で発酵させる際にできる「糖アルコール」の一種なので、味噌、しょうゆ、清酒、チーズ、ワインなどの発酵食品にも多く含まれている成分です。
工業的には、とうもろこしに酵素と水を加えて取り出したブドウ糖を酵母で発酵させて造られています。
高糖質なのにカロリーゼロの理由とは?
エリスリトールは糖質のなかでも体内でほとんど消化吸収されない「糖アルコール」というものに分類されます。パッケージに”糖類&カロリーゼロ”と書かれているのはこのためです。
でんぷんや糖類を食べると体内で最終的にブドウ糖の形に変わり、体のエネルギーとして利用されます。
しかし、私たち人間はエリスリトールを分解する酵素を持っていないので、エリスリトールを食べても体内でブドウ糖になることはありません。
そのままの形で小腸に吸収され、そのほとんどが尿といっしょに排泄されるのです。
ほとんど体のエネルギー源にならないため、エリスリトールは糖質の一種なのにゼロカロリーというわけです。
また、ラカンカエキスは体内に吸収されずに排泄されるため、こちらもエネルギー源になることはありません。
エリスリトールやラカンカエキスの安全性は?
エリスリトールの工業的生産技術は、1980年代後半に農林水産省食品総合研究所の佐々木堯氏らによって世界に先駆けて開発されました。
毒性の動物試験やヒトによる臨床試験などで安全性が確認され、日本での生産が認められました。
さらに、1997年にはアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局:日本の厚生労働省に該当する政府機関)のGRAS(一般に安全と認められる)物質として認定され、2003年にはEUのSCF(食品科学委員会)でも、エリスリトールの食品への利用は安全であるとの結論が出されました。
国際的にも安全性が広く認められるようになり、現在では世界60ヶ国以上の政府機関に、安全に使用できる調味料や添加物として認証されています。
ダイエットに有効?おいしい?ラカントのメリットとデメリットとは?
ラカントシリーズはゼロカロリーの甘味料ですが、ラカントシリーズを使用することによるメリットとデメリットはどのようなところにあるのでしょうか。
ラカントシリーズの3つのメリット
ラカントシリーズには、主成分であるエリスリトールの効果による以下の3つのメリットがあります。
メリット1:ダイエット中のカロリー制限を助ける!
エリスリトールは体内で分解されずに約9割は尿とともにそのまま排泄されます。残りの約1割は大腸で発酵されて一部はエネルギー源となりますが、その量はごくわずかで0.2kcal/g程度です。
そのため、厚生労働省ではエリスリトールのエネルギー換算係数(※)を0kcal/gとしています。
また、ラカンカエキスやラカンカ抽出物は体内に吸収されないためカロリーはゼロ。つまり、ラカントシリーズは0カロリーの甘味料ということになりますよね。
ですから、ラカントを使用すればダイエット中に甘いものをガマンしなくてもカロリー制限ができるということになります。
※エネルギー換算係数:エネルギーとして利用される1gあたりの量。炭水化物のエネルギー換算係数は4kcal/g。
メリット2:血糖値が上がらない!
血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことです。炭水化物を食べると体内でブドウ糖となり、血液中に入ります。
しかし、エリスリトールは体内でブドウ糖になることはないため、血糖値には影響しません。そのため、血糖値管理が必要な糖尿病の人でも安心して食べることができます。
また、血液中にブドウ糖が増えるとインスリンというホルモンが分泌され、余ったブドウ糖を中性脂肪に変える働きを促します。
食後に血糖値が上昇すると太りやすくなるのはこのためです。
エリスリトールとラカンカエキスからできているラカントは体内でブドウ糖に変わることもなく、基本的にはインスリンの分泌にも影響しないので、食べても中性脂肪に変わることはほとんどないとされています。
メリットその3:虫歯になりにくい
虫歯になりにくい糖としてキシリトールが有名ですよね。ラカントシリーズの主成分であるエリスリトールには、キシリトールと同じように虫歯になりにくい効果が期待できます。
虫歯は、口の中の細菌が栄養源となる糖を分解して、乳酸や歯垢の原因となるグルカンという物質を作り出すことで起こります。
エリスリトールは細菌の栄養源にはならないため、虫歯の原因にはなりません。
日本ではキシリトールの方が一般的ですが、アメリカでは虫歯になりにくい甘味料としてエリスリトールが多くの商品に使用されています。
ラカントにデメリットはないの?
カロリーゼロで糖質制限にも使える、ダイエットの味方になる、糖尿病の人も使えるなどと、メリットの多いラカントシリーズですが、デメリットをあげるとすれば以下の2つになります。
デメリットその1:価格が高い
サラヤの公式通販でのラカントS顆粒の1kgの価格は税込で3,555円(2023年5月時点)。
それに対し、スーパーで上白糖を購入すると税込で200~250円くらいなので、ラカントS顆粒の価格は上白糖の15~16倍前後ということになりますよね。
ラカントS顆粒は砂糖と同量を置き換えることが基本なので、上白糖と同じように使うと約16倍のコストがかかってしまうことになります。
これだけ高いと、砂糖の代わりに使うとするとかなりお金がかかってしまいますよね。
デメリットその2:風味に独特のクセがある
ラカントS顆粒は黒砂糖に似た風味があります。
この風味は羅漢果を焙煎してエキスを取っているためですが、口コミを見ているとこの独特の風味が黒糖のようで好ましいという人がいる反面、クセが気になるという人も少なからずいるようです。
また、ラカントS顆粒は砂糖の味に近付けているとはいえ、甘味の度合いの感じ方は、砂糖よりも甘いと感じる人、砂糖よりも甘さが控えめと感じる人、後に引く甘さが気になるという人など、甘さの感じ方は人それぞれです。
砂糖と同じように使えるかどうかは人によって異なるようなので、使う際は少量で試してからの方が良さそうですね。
ラカントに危険性にまつわる噂は本当?健康への影響を解説!
ラカントの主成分であるエリスリトールは、世界各国でその安全性が認められています。
その一方で、エリスリトールが健康に与える影響も報告されています。ラカントの健康への影響は本当に問題ないのでしょうか?
下痢をしやすいって本当?
エリスリトールは糖アルコールの一種です。一般的な糖アルコールは消化が良くないため下痢を引き起こしやすいと言われています。
エリスリトールは他の糖アルコールに比べると下痢は生じにくいですが、それでも多量に摂取すると一過性の下痢を引き起こすことがあります。
エリスリトールを開発した佐々木氏らの試験によると、下痢が起こらないエリスリトールの摂取量は、体重1kgあたり成人男性で0.66、女性で0.8gでした。
これは、体重65kgの男性と50kgの女性の場合約40gに相当します。
これだけの量を一度に摂取することはまずないのでそれほど心配はないと思いますが、人によっては下痢を引き起こす可能性もないとは言えないので、一度に多量に摂取しないように注意しましょう。
もしも下痢になってしまったらどうする?
糖アルコールが原因で下痢が起こった場合は、一度摂取を中止した後に少量から再開して1~2週間かけて少しずつ量を増やしていくと、同じ量でも下痢を引き起こしにくくなるという報告があります。
これは、腸内環境がエリスリトールに適応するようになるためということです。
全てに人に当てはまるかどうかははっきりとわかりませんが、もしもラカントシリーズでお腹の調子が悪くなってしまった場合は参考にすると良いかもしれませんね。
アレルギーの可能性があるって本当?
エリスリトールでアレルギー症状を引き起こしたという報告は、国内外で少なからずあるようです。
少し古いデータですが、消費者庁が2012年に行った実態調査では、回答数875件中エリスリトールが原因とみられるアレルギー症例は15件あったそうです。
割合にすると約1.7%。厚生労働省によると日本人で何等かの食物アレルギーを持っている人は1~2%程度とのことなので、エリスリトールによるアレルギーも決して稀であるとは言えないですよね。
エリスリトールがアレルギー反応を引き起こす経緯は明らかになっていませんが、アナフィラキシーショックを起こした例もあるようなので、万一、アレルギー反応が出た場合には使用を中止し、病院で相談するようにしましょう。
心筋梗塞や脳卒中の原因になるって本当?
2023年3月にアメリカの研究チームが、エリスリトールが血栓症による心臓発作や脳卒中の危険を高める可能性があるという論文を発表して話題になりました。
これは、糖尿病や肥満など心臓疾患につながる持病がある人の場合、エリスリトールの血中濃度の高い人は、低い人に比べて心筋梗塞や脳卒中を引き起こすリスクが2倍になるというデータを得られたというものです。
ただし、エリスリトールが心筋梗塞などのリスクが高まることが証明されたわけでなく、あくまでも可能性を示唆しただけで、本当にリスクがあるかどうかは今後さらなる研究が必要ということです。
また、アメリカと日本では食生活が異なるため、日本人への影響の研究も待たれるところですね。
かえって太りやすくなるって本当?
サッカリンなどの人工甘味料は、血糖をほぼ上昇させないため太りにくいとされていました。
しかし、近年の研究で、血糖値が上がらないことから飢餓状態になっていると脳が勘違いをして、かえって食欲が増して太りやすい可能性があることが報告されています。
また、甘味を感じるセンサーは舌だけではなく腸にも存在することがわかってきています。
腸で甘味を感じるとインスリンの分泌を促すホルモンが出され、血糖値が上がらなくてもインスリンが分泌されて、血中のブドウ糖を中性脂肪に変えやすくなる可能性があることもわかってきました。
エリスリトールも血糖値を上げないので、人工甘味料と同じような影響がある可能性も考えられますが、詳しいことはまだわかっていません。
妊娠中に取ると胎児に影響が出るって本当?
サラヤの公式HPのよくある質問では、妊娠中にラカントを摂取しても問題はないと記載されています。
「エリスリトール」は、単回経口投与、反復経口投与、生殖毒性、変異原性・抗原性試験(アレルギー性試験)、および代謝試験などが実施されており、安全性は証明されておりますのでご安心ください。
https://faqsystem.jp/saraya_cc_faq/article/94
ただし、妊娠中は普段食べ慣れている食品でも体調の変化を引き起こすことがあるため、心配な場合は医師に相談するように、とのことです。
まとめ:ラカントは天然由来のゼロカロリー甘味料!
サラヤのラカントシリーズは、約99%のエリスリトールに約1%のラカンカエキスおよびラカンカ抽出物を混ぜたゼロカロリー甘味料で、どちらも天然由来の原料から作られている成分です。
カロリーがゼロ、血糖値に影響しない、虫歯になりにくいというメリットがあります。
これまでに安全性は確認されていますが、アレルギー症状を引き起こす原因になることや、大量に摂取すると下痢をする可能性があることも覚えておいた方がよいでしょう。
また、最近では健康に影響を及ぼす可能性があるという研究結果も報告されているので、今後の動向を見守りたいものですね。