そんなあなたにおすすめなのが、ブランデーで仕込む黒糖梅酒です。ブランデーと黒糖は相性がとても良いので、まろやかでコクのあるおいしい梅酒を作れます。
この記事では、ブランデーと黒糖で仕込む手作り梅酒の作り方や材料の選び方、失敗しない方法などについてご紹介します。
目次
ブランデーベースの黒糖梅酒の作り方~材料編~
ブランデーを使った黒糖梅酒の材料は、梅、黒糖、そしてブランデーの3つです。それぞれ、どのようなものを選べば良いのでしょうか?材料の特徴や選び方についてご紹介します。
梅酒作り初心者には青梅がおすすめ!
梅は成熟具合によって、青→黄色→赤と変わっていきます。スーパーなどで梅酒用の梅として売られているものは、青梅か黄色の梅が一般的です。
青梅で仕込んだ梅酒はさわやかな酸味のある梅酒になり、黄色く熟した梅で仕込んで梅酒は、芳醇な香りでまろやかな味わいの梅酒になります。
ブランデーで仕込む黒糖梅酒を作る場合、どちらの梅を選ぶかはお好み次第なのですが、黄色く熟した梅は実が柔らかく潰れやすいので、取り扱いには注意が必要です。
梅が潰れてしまうと発酵や腐敗の原因になってしまうので、梅酒作りに慣れていない人は青梅か少しだけ黄色っぽい固めの梅を使う方が良いでしょう。
ブランデーで仕込む黒糖梅酒に良い梅の選び方
青梅の収穫時期は産地によって異なりますが、早いところで5月下旬、一般的には6月上旬から6月中旬頃までで、黄色い梅の収穫時期は6月中旬から7月上旬頃までです。
ブランデーで仕込む黒糖梅酒を作るための梅を選ぶ際は、ツヤやハリのあるみずみずしい梅が最適です。大きなかさぶた状のものや生傷があると発酵や腐敗の原因になるので、できるだけ傷の少ないものを選びましょう。
大きい梅の方が果肉や果汁が多くおいしい梅酒を作れるので、2Lサイズ(3.7cm~4.1cm未満)以上の大きな梅を選ぶようにするのがおすすめです。
青梅は未熟果に注意!
梅酒を作る場合に注意したいのが、未熟果の存在です。未熟果とはまだ成熟していない梅の実のこと。青梅は緑色ですが梅の実としてはしっかりと成熟しています。
見ただけでは青梅との違いがわかりにくいですが、青梅は数日放置すると黄色っぽく熟していくのに対し、未熟果は黄色くならずにシワシワになります。
未熟果はまだ梅の実に成りきっていないので、未熟果で梅酒を漬けてもおいしい梅酒にはなりません。
成熟した青梅は木に振動を与えると落下するので、一般的に木を揺らして落ちてきた青梅を収穫しますが、まれに、未熟果が紛れていることがあります。
早い時期に出回っている青梅には未熟果が紛れている可能性があるので、できれば避けた方が無難です。
南高梅と青梅は違うの?
6月になると、スーパーでも「青梅」と書かれた梅と「南高梅」と書かれた梅をよく見かけます。そのため、「青梅と南高梅の違いは何?」と疑問を持つ人も多いようです。
「青梅」は黄色くなっていない梅の実の総称です。それに対し、「南高梅」は300種類以上あると言われる梅の品種のひとつで、和歌山県みなべ町原産のブランド梅です。
南高梅の全国シェアが60%以上と非常に高いので、スーパーなどでもよく出回っています。
南高梅は種が小さく果肉が厚いのが特徴で、完熟した南高梅で作る梅干しは最高品質だと言われています。
果肉が厚くジューシーなので梅酒用としても最適。価格的にも手頃なので、ブランデーと黒糖で仕込む手作り梅酒にはおすすめの品種です。
黒糖で仕込む梅酒の特徴と黒糖の選び方
梅酒を漬けるには、氷砂糖を使うのが一般的ですが、黒糖を使って仕込んだ梅酒は、氷砂糖で仕込んだ梅酒よりも、コクが深くまろやかな甘みのある梅酒になるのが特徴です。
手作りの梅酒をブランデーと黒糖で仕込む場合は、パウダー状のものよりも固形の黒糖を使うようにしましょう。
梅酒を作る時は、糖液の浸透圧を利用して梅のエキスをアルコールに抽出させますが、この時、少しずつじっくりとエキスを抽出させる方がおいしい梅酒になります。
そのためには、糖液の濃度を少しずつ上げることがポイントとなるため、一気に溶けやすい粉状よりも、少しずつ溶け出す固形状の黒糖の方が、梅酒作りには適しているのです。
黒糖梅酒にブランデーを使うメリット
ブランデーは、ブドウなどの果物を原料として醸造してできたお酒を蒸留し、さらに2年以上熟成しているため、フルーティーで芳醇な香りとまろやかなコクのある味わいが特徴です。
果物由来のブランデーと梅や黒糖との相性はとても良く、ブランデーをベースにして作った黒糖梅酒は、芳醇な香りでコクが深く、まろやかな甘さになります。
ホワイトリカー(甲類焼酎)をベースにした梅酒は半年~1年くらい熟成させたものが飲み頃ですが、ブランデーはもともと2年以上熟成させているお酒なので、3ヶ月~半年ほどで飲み頃になります。
熟成期間が短くてすむ分、フレッシュな梅の香りを同時に味わえるメリットもあります。
黒糖梅酒のベースにするおすすめのブランデー
黒糖梅酒のベースにするブランデーは、高級なものである必要はありません。リーズナブルなブランデーでも、十分においしい黒糖梅酒を作れます。黒糖梅酒のベースとしておすすめのブランデーを3点ご紹介します。
サントリー 果実の酒用ブランデーV.O
フルーティーなV.Oブランデーの原酒をブレンドした果実酒用のブランデー(アルコール度数:35度)です。果実の風味を引き出すことで、コクのある果実酒を作れます。
チョーヤ ブランデーV.O果実の酒用
そのまま飲んでも十分に楽しめるくらい、豊かな香りでまろやかな果実酒用のブランデー(アルコール度数37度)です。
梅酒メーカーであるチョーヤが作っている果実酒用のブランデーなので、梅酒に合わないはずはありませんよね。
サントリー ブランデーV.O
リーズナブルな価格ながら、フルーティーな風味を味わえるアルコール度数37度のブランデーです。
なめらかな口当たりと華やかでフルーティーな香りを味わえる理由は、原料にマスカットを使用しているため。梅のさわやかな香りを見事に引き出してくれます。
ブランデーベースの黒糖梅酒の作り方~レシピ編~
では、ブランデーと黒糖を使った自家製の梅酒の作り方・レシピをご紹介しましょう。失敗なく作るためには、下準備をていねいにすることが大切です。手を抜かずにしっかりと下準備をしましょうね。
梅酒を漬ける瓶の下準備
梅酒を漬ける瓶の大きさは、漬ける梅の量の4倍が目安です。500gの梅を仕込むなら2L、1kgの梅を仕込むなら4Lの瓶を用意しましょう。
梅酒の腐敗を防ぐために、瓶はていねいに洗って消毒し、しっかりと乾かす必要があります。
消毒は煮沸消毒をすると確実ですが、瓶が大きいのでなかなか難しいですよね。煮沸消毒が難しいのであれは、洗剤でていねいに洗った後に、熱湯を入れて消毒した後、しっかりと乾かすようにしましょう。
最後に、消毒用エタノール(アルコール濃度70~80%)を瓶の中や蓋の内側にスプレーすると、より確実に消毒ができます。
梅の下準備はていねいに!
梅の表面に傷が付くと、発酵や腐敗の原因になってしまいます。ですから、梅を下準備する際は傷付けないようにていねいに行いましょう。
1.梅を大きめのボールに入れ、傷付けないように、1粒1粒ていねいに水洗いをする。
2.梅をたっぷりの水に漬け、1~2時間程度放置してアク抜きをする。
3.梅を傷付けないように水を切り、ザルやタオルなどの上に広げて放置して完全に乾燥させる。
4.梅のおへその部分にある黒いヘタを、竹串や爪楊枝の先をクルリンと回すようにして取る。
【ポイント】
・梅を洗う段階で、梅の表面が傷付いている梅や大きめのかさぶたがある梅は取り除いておきましょう。
・梅に水分が残っていると腐敗の原因になります。できれば数時間放置して、完全に乾かすようにしてください。ただし、天日で干したり、何日も干したりするのはNGです。
ブランデー黒糖梅酒の材料毎の分量と作り方の手順
ホワイトリカーをベースにして梅酒を作る場合は、梅の量の5~8割程度の糖類を仕込むのが一般的です。
しかし、ブランデーを梅酒のベースにする場合は、ブランデー自体にコクのある甘い風味があるので、糖類の量を控えめにするとちょうど良い甘さになります。
【材料】(2Lの瓶用)
梅 500g
黒糖 300~400g
ブランデー 750~900ml前後
【作り方】
1.瓶に、黒糖→梅→黒糖→梅と、黒糖と梅の層が3~4段になるように交互入れていく。
2.上からブランデーを静かに注ぎ、蓋をして冷暗所で保存する。
3.週に数回、瓶を軽く揺すって全体を混ぜる。
【ポイント】
・黒糖の風味はやわらかい方が好みであれば、黒糖と氷砂糖を半々くらいにすると良いでしょう。
・漬け込んでから3ヶ月くらい経って琥珀色になったら飲み頃です。熟成期間が長くなると、より深みのあるコクが出ます。
作り方を失敗した?!ブランデーベースの黒糖梅酒の気になる事例
ブランデーベースの黒糖梅酒を作る場合、ポイントを押さえてていねいに作ると、あまり失敗することはありません。ここからは、ありがちな失敗事例や気になるポイントについて解説します。
アク抜きで長時間水に漬けたら梅が茶色になった!
痛んでいない新鮮な青梅の場合、アク抜きのために長時間水に漬けても茶色くなることはありません。
数時間水に漬けて茶色くなるのは、梅が痛んでいるのが原因です。梅を洗う時に、梅に傷がないか、痛んでいないか、しっかりと確認するようにしましょう。
また、適期に収穫された青梅ならアクはそれほど多くないので、アク抜きは1時間程度でも問題ありません。また、黄色くなった梅を使用する場合は、アク抜きをしなくても大丈夫です。
梅や梅酒の表面にカビが生えた!
梅酒を熟成させている途中でカビが生える原因としては、以下のようなことが考えられます。
・ベースのお酒のアルコール度数が低い
・梅の実が痛んでいた
・梅を漬ける前の水切りが十分でなかった
なかでも最も大きな要素はアルコール度数が低いことです。ブランデーはアルコール度数が35度以上あるので、カビの心配はあまりしなくても良いかと思います。
しかし、梅の痛みや水切り不足はブランデーベースの黒糖梅酒の濁りなど品質の低下につながるので、痛みのチェックや水切りはしっかりするようにしましょう。
発酵している?!泡が出てくる!
黒糖を使って梅酒を仕込むと、泡が出てくることがあります。
発酵しているんじゃないかと心配になるかもしれませんが、これは、純度の高い氷砂糖と違って、黒糖には不純物やアクが含まれていることが原因です。また、梅に含まれる酵母が原因で軽く発酵することもあります。
しばらく放置しておくと、泡はだんだんと出なくなるので心配はいりませんが、泡がたくさん出るようであれば、時々蓋をゆるめてガス抜きをすると良いでしょう。
漬け込んで間もないのに梅酒が濁ってしまった!
熟成途中の梅酒が濁る原因としては以下のような点が考えられます。
・ベースのお酒のアルコール濃度が低い
・梅の水切りが不十分だった
・梅に大きな傷があった、もしくは、仕込み段階で皮が破れてしまった
・やわらかい完熟梅を使用した
・瓶の消毒が不十分だった
ブランデーベースの黒糖梅酒はアルコール濃度が高めなので、梅や瓶の下準備をしっかりしていれば、それほど心配はいりません。
また、使用する黒糖の量が多いと、黒糖のアクや不純物の影響で濁って見えることもあります。濁っていても、異臭がしなければ飲んでも問題はありませんが、気になる場合はペーパーフィルターで濾すと良いでしょう。
漬けてから間もないのに梅の実が急激にシワシワになった!
梅酒を漬けると、浸透圧の関係で梅のエキスが少しずつベースのお酒の方に移っていきます。梅酒のエキスがゆっくりと抜けるのに伴って、梅の実のシワも少しずつ増えていきます。
もし、梅酒を仕込んでから間もない時期であるにもかかわらず、急激に梅がシワシワになってしまった場合は、梅のエキスが急激にベースのお酒に移行してしまったことが考えられます。
そのようになる原因は、瓶を揺すり過ぎたことで黒糖が一気に溶け、周りの糖液の濃度が急激に上がってしまうためです。
梅のエキスが急激に移行すると、おいしい梅酒に仕上がりません。黒糖が一気に溶けてしまわないように、瓶を揺する頻度は、週に数回程度に抑えるようにしましょう。
3ヶ月経っても琥珀色にならない!
ブランデーをベースにした黒糖梅酒を仕込んだ場合、その熟成具合は、材料の割合や熟成の環境によって異なります。
ですから、3ヶ月経って色が薄い場合でも、熟成が進むとだんだん琥珀色になってくるのでもう少し待ってみましょう。
しかし、色づきが極端に遅い場合は、熟成温度が低すぎる可能性があります。ブランデーベースの梅酒の場合、アルコール濃度が高いので、夏場でも冷蔵庫に入れなくても大丈夫です。
直射日光はNGですが、冷暗所で保存とは言っても、冷たい場所で保存する必要はありません。あまりの暑さで心配な時は一時的に冷蔵庫に入れても構いませんが、基本的には室温で保存しても問題ありません。
まとめ:作り方は簡単!ブランデーベースの黒糖梅酒を作ってみよう!
ブランデーベースの黒糖梅酒は、ホワイトリカー&氷砂糖で仕込んだ梅酒よりも、まろやかな甘さでコクの深い梅酒になります。また、ブランデー独特の風味も和らぐので、想像以上に飲みやすいのではないかと思います。
ポイントさえ押さえておけばそれほど難しくはないので、ぜひ一度作ってみてくださいね。