黒糖焼酎の『喜界島』は、その名が示す通り「喜界島酒造」の代表銘柄です。モンドセレクションをはじめ、多くの品評会での受賞歴があるという『喜界島』とは、どのような黒糖焼酎なのでしょうか。
黒糖焼酎『喜界島』の特徴やおすすめの飲み方についてご紹介します。
目次
黒糖焼酎『喜界島』を造っている喜界島酒造とは?
最初に、黒糖焼酎の『喜界島』を製造している、喜界島酒造の歴史やこだわりなどについてご紹介します。
「くろちゅう」の喜界島酒造とは?
喜界島酒造は、社名からもわかるように喜界島にある黒糖焼酎の酒造会社です。
黒糖焼酎は、酒税法によって奄美群島の5つの島にある酒造会社だけが製造を許されています。喜界島酒造は、現在黒糖焼酎を製造している26の酒蔵のなかのひとつで、同じく喜界島にある「朝日酒造」に次いで歴史の長い蔵です。
喜界島酒造の創業は1916年(大正5年)。石川すみ子氏が旧喜界村(現喜界町)の赤連(あがれん)で酒造所を始め、1973年(昭和48年)に、「石川酒造」から現在の喜界島酒造に社名が変更されました。
現在では、喜界島酒造が造る黒糖焼酎は「くろちゅう」という愛称で親しまれていて、『喜界島』をはじめ、国内外の品評会で受賞歴のある数々の黒糖焼酎を世に送り出しています。
喜界島酒造のモットーは?
喜界島酒造は、「喜びの島が育む 喜びの酒」をモットーとして、黒糖焼酎造りを行っています。1916年の創業以来、「自然に逆らわず自然を生かす酒造り」を実践してきました。
大きなタンクや装置で大量に生産するようになった現在も、その理念は変わりません。
もろみを造る工程では、30分から1時間おきに熟成温度や状態を確認するなど、喜界島でしか造れないただひとつの黒糖焼酎を目指して、ひとつひとつの工程をていねいに行っています。
黒糖焼酎『喜界島』のこだわり
喜界島の自然の力を最大限に利用して、オンリーワンの黒糖焼酎造りを目指す喜界島酒造の代表銘柄が、黒糖焼酎『喜界島』です。『喜界島』にはどのようなこだわりと特徴があるのでしょうか?
喜界島酒造の水へのこだわり
喜界島酒造のこだわりのひとつが水です。多くの焼酎は仕込み水に軟水を利用していますが、喜界島酒造は喜界島の地下から湧き出る硬水で黒糖焼酎を仕込んでいます。
喜界島は隆起サンゴ礁の島。現在も隆起を続けている世界的にも珍しい島です。そのため、岩盤が柔らかい石灰質でできていて、地下には無数の水脈が走っています。
喜界島酒造では、約2km離れた山間部の地下30mの水源から地下水を汲み上げ、仕込み水に利用しています。
石灰質の水脈を走ってきた地下水はミネラルがとても豊富です。このサンゴ礁の地下水のミネラル分がもろみの発酵を促す栄養分となり、そして、黒糖焼酎『喜界島』のスッキリとした味わいを生み出すのです。
蒸留方法に対するこだわり
喜界島酒造のもうひとつのこだわりが蒸留方法です。
黒糖焼酎を造るには、米に種麹を混ぜて熟成させた米麹に、溶かした黒糖液を加えて10~14日ほど発酵・熟成させます。その後、できたもろみを蒸留して、さらに数ヶ月から数年間、貯蔵・熟成をした後に出荷されます。
黒糖焼酎の蒸留方法には、常圧蒸留と減圧蒸留があり、最近では、スッキリと軽い口当たりの焼酎を造るために、減圧蒸留を行う黒糖焼酎も増えています。
しかし、喜界島酒造では、黒糖の持つクセや旨味を引き出せる、昔ながらの常圧蒸留に敢えてこだわっているのが特徴です。
そして、蒸留を終えた喜界島酒造の黒糖焼酎は、まろやかでより深い味わいにするために1年以上貯蔵・熟成を行ってから出荷されます。
黒糖焼酎『喜界島』の熟成方法は?
黒糖焼酎『喜界島』は、自社栽培や沖縄産など(足りない分は海外産を使用)の黒糖を、タイ米と白麹と地下水を熟成させて造った米麹で仕込んでいます。
蒸留が終わると、貯蔵タンクで1年以上貯蔵・熟成を行い、『喜界島』の原酒が完成します。 そして、でき上がった原酒に、数年間貯蔵・熟成している長期熟成酒をさらにブレンドします。
その後、軟水化した喜界島の地下水を加えてアルコール濃度を調整しています。長期熟成酒をブレンドすることで、『喜界島』がより深みのある味わいの黒糖焼酎になるのです。
黒糖焼酎『喜界島』の味の特徴
『喜界島』は、常圧蒸留によって、黒糖そのもののコクや旨味、甘い香りなどにこだわった黒糖焼酎です。
仕込みに白麹を使っていることや、1年以上かけてじっくりと貯蔵・熟成していることによって、とてもまろやかな喉越しを楽しめます。
そして、もうひとつの特徴は、サンゴ礁のミネラルをたっぷりと含んだ硬水を仕込み水に利用しているため、後味がスッキリとしていることです。
そのため、黒糖の甘さが前面に出てくることはなく、ドライな飲み口のなかにほんのりとした甘さを感じられるという特徴があります。
黒糖焼酎『喜界島』の口コミは?
実際に『喜界島』を飲んだ人は、どのような感想を持っているのでしょうか?
SNSやオンラインショップの口コミなどを見ると、辛さと甘さが同居している印象を持つ人が多いようです。
とは言え、甘ったるい感じではなくスッキリした甘さ、ほんのりと香る甘さなので、甘口のお酒が苦手な人でも楽しめますね。また、黒糖の香りが強いという感想も多く見られます。
黒糖焼酎『喜界島』の口コミや感想には次のようなものがありました。
・ほんのりと優しく香る黒糖が心地いい
・飲み口が優しい
・おいしいけど、香りは少し強めかな
・まろやかだけど辛くて甘い。私が飲める数少ない甘めの酒
・熟成を感じる味わい
・黒糖焼酎というだけあって少し甘さはあるけれど、結構スッキリとした甘さ
・まろやかで飲みやすい
・滑らかで飲みやすくて爽快感がある
・黒糖独特の甘み、香りをさわやかに感じる
黒糖焼酎『喜界島』のラインアップとおすすめの飲み方
次に、黒糖焼酎『喜界島』のラインアップをご紹介します。『喜界島』は、1年以上熟成された後、喜界島の地下水を軟水化した水で割水をし、3種類のアルコール度数に調整して販売されています。
『喜界島』 25度
『喜界島』のなかでも、最もオーソドックスなアルコール度数が25度のものです。2021年度をはじめ、過去に8回以上モンドセレクションの金賞を受賞しています。
『喜界島』の特徴である、ほんのりと甘い黒糖の風味や、まろやかな喉越しとスッキリとした後味をしっかりと味わえるので、『喜界島』を初めて飲む人は25度から飲んでみると良いでしょう。
ロックや水割りの他、ソーダ割り、お湯割り、ストレートなど、どのような飲み方にも合う黒糖焼酎です。
『喜界島』 30度
アルコール度数が少し高めの30度の『喜界島』は、黒糖のコクや旨味をしっかりと味わえるのが特徴です。25度の『喜界島』よりも、黒糖のコクや甘さをダイレクトに味わえます。
黒糖焼酎らしい少しクセのある芳醇な香りを楽しみたい人や、どっしりとした濃厚な味わいが好きな人は30度の『喜界島』を飲んでみると良いでしょう。
また、アルコール度数が30度あり、価格も比較的安価のため、自家製梅酒のベース酒としても人気があります。
黒糖焼酎を使った梅酒の作り方と黒糖焼酎の飲み方については、こちらの記事で紹介していますので、併せてご覧ください。
『喜界島』 20度
軽めの口当たりのお酒を好む人や、黒糖焼酎を初めて飲む人におすすめなのが、20度の『喜界島』です。
スッキリと軽めの飲み口であるにもかかわらず、黒糖の風味をしっかりと味わえるのが特徴で、黒糖の甘みとまろやかさと旨味をバランスよく感じられます。
口コミでも、「軽くて飲みやすい」、「20度の割には香りがしっかりしている」と評判です。冷たく冷やしたストレートやロックで飲むのがおすすめですが、ソーダ割りや水割りでも楽しめます。
喜界島 荒濾過(あらろか) 黒糖
一般的な焼酎は、原酒に含まれている雑味やフーゼル油という成分を取り除くために、蒸留後に冷却・濾過を行います。
フーゼル油とは、発酵中に生成されるアルコール類やエステル類の混合物で、蒸留後も原酒に残っている成分です。
多すぎると特有の臭いを発するので、濾過によって取り除くのが一般的ですが、実は焼酎の旨味成分のひとつでもあります。
『喜界島 荒濾過 黒糖』は濾過を控えめにすることで、フーゼル油を完全に取り除かずに敢えて残しています。そのため、黒糖焼酎が本来持つコクや旨味をより一層感じられるのが特徴です。
『喜界島 荒濾過 黒糖』の芳醇な旨味を楽しむには、ロックやお湯割りで飲むのがおすすめです。
まとめ:黒糖焼酎『喜界島』で黒糖本来の風味を味わおう!
昔ながらの常圧蒸留と1年以上の貯蔵・熟成によって、黒糖焼酎『喜界島』のおいしさが造られます。ドライでスッキリとした辛さのなかに、ほんのりと香る黒糖の甘さとまろやかな喉越しが特徴の『喜界島』。
黒糖焼酎ファンのみならず、他の焼酎が好きな人もすんなりと受け入れられそうな味わいです。20度、25度、30度とでは、風味が変わるため、お好みの味わいを見つけてみてください。