そんな疑問に答えます。
レシピを見ると、必ずといっていいほど書かれている、『ニンニクの芽を取ります』という工程。あの小さな芽を一つ一つ取り除くのはちょっと面倒ですよね。
この記事では、ニンニクの芽に毒はないのか、また発芽してしまったニンニクの毒性や、安全な下処理の方法などについて詳しく解説していきます。
目次
ニンニクの芽に『毒がある』はホント?
私たちがニンニクとして食べているのは球根の部分です。“ニンニクの芽”とは、その中の芽や茎になる胚芽という部分。“芯”や“中心部”と呼ばれることもあります。
ジャガイモの芽には毒があるので、それと一緒で、
という、疑問をよく耳にします。また、レシピにも取るように書かれているので、そのように思う人が多いのでしょう。
しかし、ジャガイモと違って、ニンニクの芽に毒は全くありません。そのまますりおろしたり、刻んだりしても食べることができます。ニンニクを丸ごと使ったメニューが人気の飲食店もあるくらいです。
ニンニクの芽を取るのはなぜ?
では、毒がなく食べられる部分なのに、なぜニンニクの芽を取り除くのでしょうか?主な理由は4つ程あります。
・調理の時に焦げやすく、苦みがでてしまう
・あくが強く、えぐみの原因になる
・辛味が強い
・あくが強いため、食べすぎると、お腹を壊すことがある
炒め物やオーブン料理はニンニクの芽が焦げやすいので、下ごしらえで取り除いた方がいいでしょう。また、特に生食では辛味が強いので取り除きます。
丸ごと、じっくり加熱する料理の場合は、取り除かなくても味への影響は少ないと思います。
ニンニクの芽は小さく、そんなにたくさん食べることはないので、めったにお腹を壊すことはありません。しかし、小さいお子さんや胃腸が弱い方がいる場合は、取ってしまった方が安心ですね。
簡単な『ニンニクの芽』の下処理方法!
ニンニクの芽の下処理は、3つの方法を覚えるだけでほとんどの料理は大丈夫。料理によって、使い分けてみてくださいね。
半分に切って取る方法
ニンニクの皮をむいたら、お尻の部分をカットし、縦に半分に切ります。その後、包丁の柄に違い部分の角を使って、えぐるように取り除きます。
スライスして、取る方法
皮をむいたニンニクを、先にスライスします。スライスしたニンニク、一枚一枚の芯を、楊枝や竹串を使って押し出します。
丸ごと、押し出す方法
皮をむいたニンニクのお尻と頭の部分を少しずつ、カットします。お尻の部分から、楊枝や竹串を使って芯を押し出します。
それでも、1回1回芽を取るのが面倒という場合は、まとめて下処理をして冷凍保存しておくと便利です。使う分量ずつ分けて、ラップで包み冷凍します。
※ニンニクの皮むきについてはこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
発芽したニンニクの芽は大丈夫?毒はない?
発芽前のニンニクの芽には毒がないことが分かりましたが、発芽後のニンニクの芽はどうなのでしょうか?
発芽したニンニクの芽・茎は食べても大丈夫
発芽によって、ニンニクの芽や球根部に毒性が出るということはありません。
また、球根部がやわらかくなってしまったり、中心部が硬くなってしまったり、ということがありますが、通常通りの調理法で食べることができます。
芽が出たニンニクの栄養価は、通常のニンニクより、鉄分や亜鉛、カルシウムなどが多く、「ニンニクスプラウト」として栽培する農家がでてきているくらいです。
なんと、発芽した芽も食べることができ、香りはマイルドで食べやいそうです。
発芽したニンニクは根っこの部分を水に浸しておくと、さらに茎が伸びてきます。なんと、その茎も食べることができるのです。発芽した芽や茎は、中華風の炒め物や和え物にするとおいしく食べられます。
芽が出てもおいしく食べられ、栄養価も高いニンニク、捨てるなんてもったいないですね。
ニンニクの芽が出るのは安全な証拠
いくら毒がないとはいっても、できれば芽を出さずに保存できる方がいいと思いますよね。
実は、保存中のニンニクが発芽するようになったのは、この10年ほどのこと。それ以前は収穫後、発芽抑制剤によって芽が出ないニンニクが作られていたのです。
しかし近年になって、この発芽抑制剤に発がん性が指摘され、日本国内では使用が中止されました。これは、国産のニンニクに限ったこと。輸入ニンニクには規制がなく、芽が出ないものが多いようです。
国産ニンニクだからといって、すぐに芽が出てしまうわけではありません。生産者の工夫によって、発芽抑制剤を使わなくても、芽が出にくいニンニクが出荷されています。
ニンニクの芽が出てしまうのは自然なこと。芽が出ても上手に利用していきたいですね。
食用として売られている“ニンニクの芽”との違い
「ニンニクの芽」と聞くと混同しやすいのが、スーパーなどでもよく見かける細長い形状の「ニンニクの芽」。これは、これまで解説をしてきた、ニンニクの中心部(ニンニクの芽)とは別物です。
実は、“芽”ではない、ニンニクの芽
スーパーで、ニンニクの芽という名前で売られている食材。中華料理でよく見かけますよね。生のニンニクにはほとんど含まれていない、ビタミンAを豊富に含み、油料理ととても相性がよいです。
別名を“茎ニンニク”といい、ここまで紹介してきたニンニクの中心部にある芽とは、異なります。
ニンニクの茎の部分を長く育てたもので、つぼみができて花が咲く、“花茎”と呼ばれる部分です。そこから、茎ニンニクと呼ばれることもあります。
一般的に売られているニンニクの芽(茎ニンニク)のほとんどが中国産です。つぼみから先を切り落とし、茎だけの状態で販売されており、冷凍品もあります。また、種類も異なり、ニンニクの芽のために品種改良されたものだそう。
まれに国産のニンニクの芽も見かけます。旬は5月ごろ。つぼみがついた状態で売られていることもあり、中国産と比べて細めです。冷凍品であれば国産品でも1年をとおして販売されていますよ。
ニンニクの芽の食べ方・下処理のコツ
生のニンニクの芽(茎ニンニク)の下ごしらえの方法を紹介します。炒め物など、加熱して食べるときも、下茹でをします。そのまま炒め物に使うこともできますが、下茹でをするとあくが抜け、食べやすくなるからです。
また、調理の時に斜めに細く切ると、繊維が残りやすい冷凍品でも、やわらかく食べることができます。
下処理のコツ
ニンニクの芽の根元の固い部分を切り落とし、半分くらい、長めに切る。つぼみがついている場合は、つぼみの部分を別に分けておきます。
※ニンニクの芽についている「つぼみ」も食べられますよ!
下茹でのポイント!
沸騰したお湯に塩を加え、ニンニクの芽を入れます。茹で時間は2~3分。お湯を切ったら、すぐに氷水に落とします。
冷えたらすぐにザルにあげて水気を切っておきましょう。つぼみの部分は、火が通りやすいので15秒ほどで取り出してください。
下茹でした、ニンニクの芽を冷凍保存することもできます。冷凍保存する場合は、茎の部分の茹で時間は短め、1分程度。硬めに茹でたニンニクの芽の水分をしっかりとって、ラップや袋に入れ、密閉して冷凍します。
※茎ニンニク(ニンニクの芽)も非常に栄養価の高い食品です。こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ本記事とあわせて参考にしてみてくださいね。
まとめ:ニンニクの芽の毒は適切に対処すれば安全
ニンニクの芽と一言で言っても、ニンニクの茎の部分だったり、発芽したものだったり。
また、味も、含まれる栄養も違うことがわかりましたね。
発芽してしまったニンニクの芽にも栄養があり、食べられるというのは面白い発見でした。どのニンニクの芽も、毒の心配は全くないので、最後までおいしく頂きたいものですね。