ベーキングパウダーにコーンスターチ、ドライイーストなどなど…。お菓子やパン作りの際によく登場するこれらの違いをご存知ですか?
どれをどんな時に使うのか、意外と分からないという方が多いのではないでしょうか。筆者も昔、たまたま家にあったドライイーストをベーキングパウダーと間違えて使用してしまった、という経験があります。
そこでこの記事では、ベーキングパウダーとコーンスターチ、ドライイーストのそれぞれの成分や性質、使用用途などの違いを詳しくご紹介していきます。
お菓子作りの際の豆知識として、参考にしていただければ嬉しいです。
目次
ベーキングパウダーとは?
それではまずは簡単にベーキングパウダーとはどのようなものなのか?をご紹介していきます。
ベーキングパウダーの成分
ベーキングパウダーとは膨らし粉とも呼ばれており、その名の通りパンやお菓子などを作る際に生地を膨らませるために使われる膨張剤の一種です。
その成分はガス発生剤、酸性剤、遮断剤と呼ばれる三つの成分を混ぜ合わせたもの。ガス発生剤とは炭酸水素ナトリウム(重曹)のことでベーキングパウダーの基剤となります。
酸性剤はガス発生剤の分解を促進する酒石酸水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、ミョウバンなどのことを言い、遮断剤とは保存中などの際にガス発生剤と酸性剤が反応しないようにするための成分で、主にデンプンで構成されています。
よく似ていると言われるベーキングパウダーと重曹の違いについては、以下の記事で詳しくご紹介していますのでぜひチェックしてみてください!
ベーキングパウダーの性質
ベーキングパウダーとは生地を膨らませるために使うものであることをご紹介しましたが、ただベーキングパウダーを加えるだけで膨らむというわけではなく、水分に対して反応し、炭酸ガスが発生して膨らむという性質があります。
そのため、焼く前であっても水分が入っているものにベーキングパウダーを加えるとどんどん膨らんでしまいます。
ベーキングパウダーを使用してお菓子作りをする場合は、あまり生地を寝かせずになるべく早めに加熱することがポイントとなります。
ベーキングパウダーの使用用途
ベーキングパウダーとは水分に反応して生地を膨らませるもの。ということで、使用用途としてはクッキーやケーキのスポンジ作りへの使用が主となります。
クッキーに使用すればサクサクとした軽い食感となり、ケーキのスポンジに使用すればよく膨らんでふわふわとした食感に焼きあがります。
また、市販のホットケーキミックスには元々ベーキングパウダーが含まれているものがほとんどです。そのため牛乳や水などを加えて焼くだけでふんわりと膨らんだホットケーキが出来るのです。
その他にもカレーのお供のナンや肉まんの生地に使うとふっくらもちもちとした仕上がりになるのでおすすめですよ。
ベーキングパウダーとコーンスターチとの違いとは?
ベーキングパウダーと似ている「コーンスターチ」ですが、この二つにはどのような違いがあるのでしょうか?
ベーキングパウダーとコーンスターチの「成分」の違い
ベーキングパウダーとはガス発生剤、酸性剤、遮断剤の三つの成分からなることをご紹介しましたが、コーンスターチは名前にコーンが入っているとおり、とうもろこしから作られるデンプンでできています。
ベーキングパウダーの遮断剤はデンプンです。つまり、コーンスターチとはベーキングパウダーと似ているという以前に、ベーキングパウダーの成分の一つと言えるのです。
ちなみに私たちが普段食べているとうもろこしはスイートコーンという種類のとうもろこしで、糖分が多くデンプンはあまり含まれていないのでコーンスターチ作りでは使われておりません。
コーンスターチに使われているのはデントコーンという種類のとうもろこしで、デンプン量が非常に多いことが特徴のとうもろこしになります。
ベーキングパウダーとコーンスターチの「性質」の違い
ベーキングパウダーの性質とは水分に反応して膨らむこと。対してコーンスターチ単体での性質はデンプンということもあり「とろみ」を出すことなんです。
料理でとろみをつけたい時というと、片栗粉が使われることが多いですよね。しかし西洋料理ではとろみをつけたいソースにコーンスターチを使うことが多いのです。
このように、ベーキングパウダーとコーンスターチ単体ではその性質はかなり異なります。
ベーキングパウダーとコーンスターチの「使用用途」の違い
性質でご紹介した通り、ベーキングパウダーとは違ってコーンスターチは主に料理のとろみをつけたい時に使用します。
しかしそれだけではなく、揚げ物の衣として使われることもあります。コーンスターチはきめ細かな粒子のため薄くつけることができて油切れも良く、揚げ衣に使うと軽い食感を出すことができるのです。
ベーキングパウダーとドライイーストとの違いとは?
もう一つ、ベーキングパウダーに似ているものとして「ドライイースト」があげられます。この違いについてもご紹介していきます。
ベーキングパウダーとドライイーストの「成分」の違い
ベーキングパウダーと似ているドライイーストですが、その成分は酵母です。
ドライイーストの他に生イーストやインスタントドライイーストなどの種類があります。ドライイーストは生イーストを熱処理して加工したもの。インスタントドライイーストは酵母を乾燥させて顆粒状に加工したものです。
ベーキングパウダーとドライイーストの「性質」の違い
ドライイーストとはベーキングパウダーと同様に生地を膨らませる性質があります。
しかし化学反応を起こして生地を膨らませるベーキングパウダーと違ってドライイーストは酵母ですので、パンを作る際に使う小麦粉や糖分などを栄養として活動し、二酸化炭素を出すことで生地を膨らませたり風味を生み出すという根本的な違いがあります。
また、ベーキングパウダーはあまり時間を置かずに焼いた方が良いのに対して、ドライイーストは酵母の活動がゆっくりなのでベーキングパウダーとは反対に寝かせる時間が必要となります。
ベーキングパウダーとドライイーストの「使用用途」の違い
ドライイーストはパン酵母とも呼ばれるように、パン作りに欠かせないものです。しかしパンだけではなくマフィンやワッフル、ドーナツなどといった比較的パンに近いお菓子作りにも使われます。
ベーキングパウダーとの違いは性質でご紹介したように寝かせる必要があるため時間がかかること。また、糖分を栄養として使ってしまうため、生地自体に甘味が少なくても問題のないものを作るのに適しています。
ドライイーストをベーキングパウダーと間違えて使ってしまった場合
ドライイーストとベーキングパウダーは生地を膨らませる原理が違うため、間違えて使用してしまった場合は思い通りの効果を得られない可能性が高いです。
ベーキングパウダーだと思ってドライイーストを入れてしまうと、酵母が活動するための寝かせる時間が足りずにあまり膨らみませんし甘味も減ります。
逆にドライイーストだと思ってベーキングパウダーを入れて寝かせすぎると加熱する頃には効力を失ってやはり思ったような膨らみを得られなくなります。
使う前に間違って購入したことに気づいた、などであれば、それぞれの特徴を考慮して加熱するまでの時間や糖分の調整を行うことで食感は多少異なりますが使うことができますよ。
また、ベーキングパウダーの代用としてどんなものが使えるのか以下の記事でご紹介していますので、あわせてご覧ください!
まとめ:ベーキングパウダーはコーンスターチ等とは使い分けが必要
いかがでしたでしょうか?
ベーキングパウダーとコーンスターチ、ドライイーストはそれぞれお菓子やパン作りで使用しますし見た目も似ていますが、成分や性質、使用用途は意外と異なります。
より完成度の高い仕上がりにするにはどれでも使って良いわけではなく、やはりそれぞれの特徴をしっかり理解して使用用途に適したものを選ぶことがポイントです!