世界の各地で愛されるにんにく。滋養強壮や、料理の風味を高めてくれるなくてはならない食品です。このにんにくを、自家製で栽培できたら便利と思いませんか?
にんにくは一度育てる環境さえ整ってしまえば、難しくはありません。もし家庭菜園のスペースがあるのなら、または畑がなくても、ベランダやキッチンなどでも栽培することは可能です。
今回はそんな色々なにんにくの栽培について、何からはじめたらいいの?どんな場所が必要?育て方は?期間ってどのくらい?など、にんにくの家庭菜園から、プランターでのコンテナ栽培、またスプラウトにんにくの水耕栽培までご紹介します。
目次
にんにく栽培をはじめる前に 知っておきたい“にんにく”のこと
さてはじめに、これからにんにくを栽培して行くのに必要なにんにくの知識を確認しておきましょう。にんにくには様々な部位と機能があり、これらのしくみが分れば栽培もうまくいきます!
鱗茎(りんけい) と 鱗片(りんぺん)
「りん茎」とは、普段私たちが食べている地下で育つ球のにんにくのことです。「りん球(りんきゅう) 」とも呼ばれます。
ひと球のにんにくは、花茎(かけい)という茎を中心に一片ずつの「りん片」が集まってできています。形のイメージ大丈夫でしょうか?念のため下図でご確認ください。
そしてりん片は、一つずつ「保護葉」と呼ばれる薄皮で包まれています。この薄皮を剥くと私たちが食用としている白く、いわゆる実の部分「貯蔵葉」の中に緑色をした「発芽葉」という芯の部分があります。
この発芽葉が伸びて葉っぱに育って行きます。また貯蔵葉は、にんにくの子孫のためのたくさんの栄養を蓄え、抗菌作用の成分を含んでいます。
根
りん茎の底から生えます。
とう または 花茎(かけい)
にんにくの茎の部分で、普段“にんにくの芽”と言って食べている部分です。春になると長く伸び先端に総苞(そうほう)をつけ花を咲かせます。花茎は伸びてきたら摘んでしまうので花は咲きません。
総苞(そうほう)
花茎から伸びて先のとがった袋状のものです。総苞の中には花や珠芽(しゅが)と呼ばれるものがたくさん入っていますが、食用のにんにくを育てる際は、栄養を持って行かれてしまうため摘んでしまいます。
葉 と 葉鞘(ようしょう)
「葉」は葉っぱで、“葉にんにく”として食べることができます。「葉鞘」は、花茎を包んでいる部分です。
因みににんにくのりん茎は根の太ったもののように見えますが、実は葉が変化したものといえます。茎を葉鞘が何重にも取り巻いて厚くなったものが、りん茎です。そのためにんにくは葉菜類に分類されています。
にんにくの品種と栽培方法の基本
にんにくの生育過程
にんにくは植え付けてから収穫までの栽培期間は一般に8~9か月と長くかかる植物です。球が大きくなって葉が枯れた後、品種にもよりますが夏の8月~9月まで休眠します。
そのためにんにくは、休眠から覚めた秋に植え付けます。植え付け後、根が伸びて2週間から1か月程度で地上に芽が現れ、そして葉っぱになります。冬の間は生長がとまり、また春から生長し収穫をします。
この休眠や生長期にあわせて、畑に栄養を与え育てて行きます。
〇寒地での生育過程の例
10月上旬・・・植え付け
10月下旬・・・発芽
1月~3月・・・冬眠
3月下旬・・・茎葉の成長時期
5月から・・・りん茎肥大時期
6月上旬・・・茎摘み
6月下旬・・・収穫
にんにくには寒地系の品種、暖地系の品種があり、地域に適した品種を育てることがとても重要です。
例えばにんにくは冬の間冬眠しますが、暖地系品種は冬眠しないものもあります。そしてその品種を寒地で育てれば冬期の寒さに耐えられずに枯れてしまったりします。
在来種と呼ばれ、地方で古くから作り続けられてきた品種がありますが、これらはその地方の気候や土壌条件に適応しその土地で育てることで優れた品質になります。
寒地系、暖地系いずれも植え付けは一般には秋に行います。
にんにくの品種
にんにくには、その品種によってりん茎の外皮の色が白、淡褐色、紫色など異なります。りん片の数も6個程度のものや中には20個程度のものまで様々です。そこで、国内のにんにくの寒地系、暖地系それぞれの主な品種をご紹介いたします。
寒地系の品種
福地ホワイト6片
ニンニクの一大生産地、青森で栽培される品種です。粒が大きく外皮は白です。太っていて重く、身は引き締まり味は濃厚です。
ニューホワイト6片
福地ホワイト6片の選抜種から作られた比較的新しい品種です。白さ・玉の大きさ・耐病性にも優れ、ホクホクと美味しいにんにくです。
富良野
ラベンダーでも有名な富良野のにんにくです。大きさや形は、ホワイト6片と似ていますが、りん片は赤紫がかり、風味、辛みが強めのにんにくです。葉にんにく、茎にんにくの栽培にも適します。
暖地系の品種
遠州極早生(えんしゅうごくわせ)
球は福地ホワイトに比べて小さく、色は赤紫色です。球のしまりは良く、りん片の形は細く軽いです。茎が長く伸びるので茎にんにくとしても収穫できます。
壱州早生
長崎県・壱岐市が発祥の品種。外皮は白色に近い淡褐色で、りん片の数は7~12個程度が多く、茎は40~70センチと良く伸びます。球のしまりも良く揃いも良い品種です。
沖縄早生
“島にんにく”ともよばれ古くから栽培されています。球は白く、りん片は薄いピンク色をしています。りん片の数は10~18個と数が多く、葉が柔らかいので葉にんにくにも適します。
極めて温暖な気候ではジャンボにんにくを育てることが可能です。手のひらサイズのとても大きなにんにくです。ただし厳密にはにんにくではなく、リーキ(西洋ネギ)という野菜の仲間です。
にんにくの生育環境、快適な土壌等の栽培条件
にんにくの生育環境
にんにくは栽培期間が長いので、しっかりした生育環境をつくってあげることがポイントです。
Q にんにく作りに適した場所は?日照や土は?
Q ニンニクは連作しても大丈夫?
Q ニンニクには肥料って必要?どんなものを使うと良いの?
にんにくの生育適温は、15~20℃です。比較的冷涼を好む植物で耐寒性も強くはありません。暑さに弱く25℃では生育は停止し夏は枯れて休眠に入ります。
多少の日陰にも耐えられますが、日照を好み、水捌けが良く、風通しも良い場所が良いです。
そのため、もし雨が降ったときに水浸しになるような場所や、日陰しかないなどの場合は、無理して地植えをするよりも、テラスやベランダなど日当たりと水捌けを確保した環境でプランターや鉢を用いたコンテナで栽培などを検討しましょう。後半でご紹介していきます。
にんにくの快適な土壌
「排水(水捌け) 」「保水」「通気性」の3つの条件があると、土の中が水や空気で満たされ、にんにくが育ちやすい環境になります。
これを簡単に確認するのであれば、適度に湿った土を手にとって握ってみて固まったら保水性が良いといえます。また、固まった土を指で軽く押して崩れたら水捌けも水もちも良い土と判別できます。
更に野菜にはそれぞれ適した土壌の酸性度があり、にんにくはph5.5-6.0の弱酸性が好適です。日本の土壌は酸性に傾きがちで根の伸びが悪くなるので、苦土石灰を使用して酸性度を調整します。
作物ごとの好適phを確認したい場合には農林水産省「作物別最適pH領域一覧」や、その他インターネット上でも確認できます。
もし土のph値を計ってみたい場合にはこのような測定機器を使って確認できます。
その区画にどんな植物が生えているかによって、ある程度の判別はできます。例えば、オオバコやスギナなどが生えていれば酸性質の土壌といえます。
その他、雑草がたくさん生えていた畑は、雑草のタネが畑にこぼれていたり、雑草の根が残っていたりするので、その後の草取りが必要になったりするので注意しましょう。
しかし、草丈の低い雑草がたくさん生えるような畑は良い土壌であるといえます。逆に雑草さえ生えないような土地は避けた方が良いです。
もう一つ、連鎖障害といって、同じ場所で同じ科の野菜を続けて育てると、その野菜特有の病害虫が発生しやすくなります。
市民農園などを借りる場合などあると思いますが、前にどんな野菜をつくっていたか確認しておけると良いです。
にんにくは連作障害の起きにくい植物ですが、3年目以降は出やすくなります。玉ねぎやニラ、らっきょうなど、にんにくと同じ科の野菜を育てていた場所は控えるようにしましょう。
【家庭菜園編】にんにく栽培の肥料の使い方と植え付け方法
にんにく栽培の土づくり
以上のことを確認したら土づくりです。畑や庭先の土にいきなりは植えられませんので育ちやすい栄養のあるふかふかの土をつくります。
やわらかく、にんにくが広く深くしっかりと根をはることができる有機質に富む肥沃な土を作りましょう。
大まかには、最初にスコップやクワなどで畑を耕しておき、植え付けの2週間前くらいまでに畑全体に苦土石灰で土の酸性度を調整します。そして1週間前くらい前までには堆肥と肥料を撒いて土の状態を整えておきます。畝をつくりポリフィルムで覆えば完成です。
土の酸性度の調整をします。1㎡あたり150g程度の苦土石灰を撒き、土と良くまぜます。
次に土に肥料を撒き土づくりをしていきます。肥料は畑全体に堆肥を中心に化成肥料も施してつくります。堆肥にも様々ありますが、にんにくには完熟堆肥を使います。撒く量は、1㎡あたり2㎏程度です。
完熟堆肥を選ぶ理由は、堆肥が完熟していないと土の中で腐りはじめ、根を傷つけるアンモニアなどのガスを発生させたり、土の中の病原菌を増やす原因となるためです。更に完熟した堆肥は土を柔らかくしたり、適当な湿り気を保つのに役立つので、にんにくが良く育ちます。
化成肥料は、肥料の3要素「チッソ、リン酸、カリ」を含む「緩効性」のものを使います。撒く量は、1㎡あたり100~140gを目安にします。緩効性が良い理由は、にんにくは育てる期間が長いので、ある程度の期間肥料効果を持続したいためです。
苦土石灰、堆肥、化成肥料は園芸店やホームセンターで購入できます。
さて、苦土石灰と肥料で畑の土がつくれたら、畝をつくりポリフィルムで覆います。
畝は幅65~70センチ程ですと、にんにく2列を効率的に植えることができます。高さは10センチ程にし、畝の上面はできるだけ平らにして太陽があたるようにしておきます。
マルチング
マルチングとは、この畝をポリフィルムなどで覆うことをいいますが、様々な目的と効果があります。
〇土の乾燥を防止する
〇雨が直接土にあたるのを防ぐことによって、土壌や肥料分が流れ出すのを防ぐ
〇土壌の温度をできるだけ一定に保つ
〇水分の蒸発を抑える
〇雨による土の跳ね返りを防いで病気の発生を抑える
〇雑草が生えるのを抑制する(黒、緑色のマルチ)
〇銀色のマルチならキラキラと光りを反射するのでアブラムシなどを寄せつけない
にんにくは長期間の栽培になるので、マルチビニールを張っておくと草取りの手間も省けます。
にんにくの植え付け
Q 薄皮を剥いてそのまま植えてもいいの?
Q 大きいにんにくに育てるにはどうしたらいいの?
Q スーパーの国産にんにくでも栽培できるでしょうか?
さて、これからにんにくが育つ畑が準備できました。にんにくの植え付けのタイミングや植え付ける種球の選び方、植え付け時のポイントをご紹介します。
にんにくは、夏の間は休眠しています。休眠から覚める9月下旬から10月初旬が植付けの適期です。暖地では10月中旬頃まで可能です。寒地での植え付けは、遅れるほど温度が不足し発芽しにくく育ちが悪くなります。
一方早すぎると土の中で腐ったり、また寒さに耐えられず枯れたりするので、品種、地域にあった時期に植え付けをします。
種球の選び方ですが、にんにくは、球をばらしたりん片を植えます。普段スーパーなどで買うにんにくは発芽しないよう化学処理されていることが多いので、植えても芽が出ないことがあります。
発芽しそうな有機栽培のにんにくを購入するか、または園芸店などで入手します。また、大きい種を植えれば大きいにんにくが、小さい種なら小さいにんにくができます。痩せたり、へこんだり、傷んだりん片は使わず、大きく張りのある種球を選びましょう。
どの品種を植えるかは、地域にあったものを選ぶことはにんにく栽培の鉄則ですので、必ず確認しておきましょう。さて、いよいよ植え付けます。
通常にんにくは皮をつけたまま植えるとされていますが、薄皮を取る場合も多いです。
りん片を覆う薄皮は種球を保護し、水分をはじく役割がありますが、植え付けにはあまり関係がないなので、ひと手間かかりますが、皮を剥いて植えると、発芽を早め生長を良くしてくれます。さらに殺菌成分のアリシンが土の中ににじみ出てくれるので病原菌の繁殖を防ぐことにも効果が期待できます。
薄皮を剥くのは、乾燥を防ぐため、植え付けの半日前から当日の朝などにしましょう。また種球に傷がつくと生育に影響がでるので丁寧に扱いましょう。
種球をりん片の大きさごとにある程度分けておき、植え付けていきます。15cm程の間隔でりん片の太さと同じくらいの幅の穴をつくり、細く尖った方(芽の方)を上にして5~7cmの深さに植え付けます。
斜めに入れると芽が出る際にマルチの下になり芽が腐ったり、発芽の遅れや病気の影響を受け、生育も貧弱なものになるので、まっすぐに植えこむことがポイントです。
植え付け時の水やりは基本的には不要です。植え付け後、乾燥が何日も続くようであれば、たっぷりと水やりをします。
【家庭菜園編】にんにく栽培の管理(選別・追肥・収穫)
発芽と芽かき
りん片を植えると2週間程で発芽します。場合によっては発芽までに1か月かかることがあります。もしマルチの下に芽が隠れている場合は、傷つけないようにそっと芽を出してあげましょう。
にんにくの芽の丈が10センチ程になった頃、1か所から2つ芽が出ている場合には、大きい方を残して芽かき(優良な芽を選別する作業です)をします。重さが15g以上ある大きなりん片に出やすくなります。
芽が割れている場所を確かめ、大きい方の芽の株元をしっかり押さえながら、小さいほうの芽を抜き取ります。うまく抜き取れない場合はナイフなどを使います。
追肥 <葉っぱの目標は冬までに?>
にんにくの追肥は土壌の状況や葉の色、枚数など生育の状況を見ながら行います。追肥の時期は、発芽後根がしっかりしてきた10月下旬頃と、春先冬眠から覚める2~3月頃の2回を基本とします。
そして、大きくりっぱなにんにくの収穫に近づけるためのにんにくの生育目標として冬までの葉っぱの枚数を設定します。寒地で2~3枚。暖地で4~5枚。これを目指し生育状況をみながら追肥をします。
春先は、それまでの葉が一旦枯れて新しい葉っぱが生長する時期です。追肥をすると吸収も良いです。尚、冬眠中は栄養を吸収しないので追肥しても効果はあまりないでしょう。追肥には、チッソとカリをふくむ化成肥料を1㎡あたり20g程度を目安に全体に撒きます。
追肥の際はマルチをめくって施すか、マルチの上に粒状の肥料をバラバラとかけ、後日雨が降ったときにマルチの穴から溶けて土に染みてくれるよう施す方法があります。
収穫 <にんにくの芽・にんにくの収穫! >
Q 茎の頂先に花・蕾のようなものがついています。
Q 葉がかれてきたら収穫とのことですが良く分かりません。
さて、にんにくを育てて初の収穫になるトウ摘みです。トウ摘みとは、春になると茎の先端からトウ(花茎)が伸びてきます。トウは球に栄養を集中させたいため早めに摘み取ります。
暖地では4月はじめ、寒地では6月のはじめ頃です。品種によっても伸びが変わりますが、一番上の葉先と同じくらいの長さに伸びてきた頃に根元から手でつまんでポキっと折って摘み取ります。
摘み取った花茎は“にんにくの芽”として食べましょう。炒めると美味しいです。
最終の収穫まであと少しです!トウ摘み後、生長が落ち着いたかと思うと今度は葉っぱがどんどんと枯れてきます。葉っぱが株全体の半分から2/3程枯れてきたら試しに抜き、球の肥り具合を見て収穫します。その時球の底の部分が盤茎部(根が出る部分)とほぼ平らになっていれば大丈夫です。
また、抜くときにはスっと引き抜けないようであれば、まだ根が張っているのでもうしばらく様子を見ます。収穫時期が遅れると球が割れてしますので注意しましょう。
収穫は雨の日に行うと腐る原因になります。晴天が何日か続いた晴れた日に行うと良いです。収穫したらすぐに根は切ります。
生にんにくとして掘りたてのにんにくを是非味わってください。普段食べる乾燥させてにんにくと違って一層美味です。カツオと一緒ににんにくの刺身はどうでしょう!
翌年度のにんにく栽培の準備
収穫したにんにくは、大きな球を選び、乾燥して保存すれば、秋に植え付けまた翌年収穫することができます。冷蔵保存したにんにくは種球と植え付けてもうまく生長できません。
収穫後に、葉、葉鞘、茎は水分を含んでおりカビてしまうので、切り落とした方が良いでしょう。吊るして乾燥させる場合は頭から20センチほど残して切り落とし、吊るさない場合は4~5センチを残して切り落とします。
にんにく5~10本程度を束にして、または収穫ネットに入れ、陽の当たらないよう風通しの良い場所で乾燥させます。
陽にあたると球の色が茶色になったり、りん片の中が焼けあめ色になってしまうので、注意しましょう。乾燥前のにんにくの重さより30%程軽くなるまで乾燥させれば完了です。長期保存でき、また翌年の種球にできます。
【プランター編】ベランダで育てるにんにく
プランターと土の準備
Q プランターはどのようなものを用意すると良いでしょうか
Q 土はどうしたらいいでしょうか。
畑がなくても勿論ベランダなど身近な場所でにんにくは育てることができます。地植えの収穫と比べると球は小さく収穫量も限られてしまいますが、キッチンとつながる菜園ともいえるので、コンテナ栽培の良さもたくさんあります。
プランターはにんにくが根を張りやすいよう深さ25センチ以上の横長のものを用意します。65センチの標準サイズであれば、にんにくを2列で合計10粒程度植え付けることができる大きさです。底に穴のある水はけの良いもの、また水やりで重くなるので移動できるよう軽いものを選びましょう。
水捌けが悪いと根が弱まるのでプランターの底に、ネットに入れたボラ土や、または鉢底石を入れておくようにします。プランターに入れる土は、野菜用の培養土を園芸店などで入手しておくとラクにできます。また、にんにくは過湿に弱いので、水はけのよい土を選ぶのがポイントです。
プランターの置き場所は出来るだけ日当たりの良い場所に置いてあげてください。冬でも外に置いておいて大丈夫です。
プランターに培養土を入れます。このときスレスレまで土を入れ過ぎないようフチから3~4センチ程はあけておくようにします。その後、化成肥料(窒素、リン酸、カリ)を軽く一握り30~40グラムを全体に入れておくと良いでしょう。肥料は土と均等に混ざるよう良くかき混ぜます。
植え付けから収穫まで
植え付けは地植えと同様9~10月に行います。植え付ける種球は、にんにくをばらし、りん片を準備します。薄皮は付けたままで大丈夫ですが剥くと早く生長します。
りん片のとがった方を上にして、3センチ程度の深さを目安に、ふかふかの土にギューッと押し込むようにして植え付けます。間隔は10cm程あけます。その他の注意点は家庭菜園の場合と同じですので確認してみてください。
植え付けたらたっぷり水を与えます。プランターにもポリフィルムのマルチ、または麻袋などを利用し被覆してあげます。防寒、また保水性があがり、地温も高くなって芽が良くでるようになります。
追肥
植え付け後2週間程で芽が出てきます。その後はあまり変化がなく、2月頃になると葉っぱの枚数が増えてきます。
追肥はその生長期の2月と、さらにその1か月後の3月の2回を基準に生育の様子をみながら施します。65cm幅のプランターの場合、粒状の化成肥料であれば20g程度。液肥でも良いです。
4月頃、花茎が伸びてきたら根元から摘み取り花を咲かせないようにします。摘み取った花茎は炒め物などにして美味しく食べましょう。育てている間の水やりは、土を3センチ程度掘ってみて、表面と同じように乾いたら、たっぷりと水をやるようにしてください。
水やりは、晴れた日の朝から昼前に行うようにします。遅い時間にかけると余分な水が残り病気が出やすくなります。また根が腐るので水のやり過ぎには注意しましょう。収穫は5月から6月にかけて、株全体の葉が下の方から2/3程度枯れて黄色くなってきた頃です。土から抜いて収穫します。
もし、室内で育てる場合には、葉にんにくをおすすめします。球にんにくとの育て方の違いは、葉にんにくは、葉が柔らかいうちに収穫して食べた方が美味しいので、草丈が30㎝程、茎の長さが15㎝程になったら収穫します。
葉ニンニクには小さなりん片を植え付けると良いです。りん片の小さいものは、縦、横それぞれ4センチ間隔。中くらいのものは5センチ、大きいものは6センチ程度の間隔で植えます。
にんにくの水耕栽培:スプラウトにんにく
最後に、スプラウトにんにくって聞いたことありますか?同じにんにくでも、一つのりん片から芽と根を伸ばして丸ごと食べます。このスプラウトにんにくは、お水だけで簡単に育てられます。
スプラウト=新芽 発芽野菜を指して言います。このとおりスプラウトにんにくは発芽状態を食べるもので、その栄養的な特性は素晴らしく、鉄分、亜鉛、カルシウム等のミネラルが凝縮して詰まっています。また一般のにんにくに比べて、匂いは残りにくいという違いがあります。
手軽に育てられ丸ごと料理に利用できて美容、健康効果が高い!のでチャレンジしてみる価値はありますよね。栽培方法はとても簡単です。水耕栽培キットなども販売していますが、キットがなくても水を貼れる容器や卵のパックなどを使っても大丈夫です。
タネとなるにんにくは、発芽しやすそうな産地直送など有機栽培のものや、園芸店で購入できます。スーパーなどで売っているものは、やはり発芽しないように処理された物が多いので避けた方が良いでしょう。
にんにくの皮を剥いてばらし薄皮も剥いてください。次に、それらのりん片を容器に並べて、根の部分がつかるよう水を入れてあげれば、あとは置いておくだけ。
ただし育てる場所は直射日光は避けて、明るい場所に置いてください。暗い場所ですと育ちが悪くなります。
水は濁ってきたら適宜交換してあげましょう。数日で根が生えてきて、植え付けから1週間から10日程度で芽が伸びてきます。
人気のレシピはやはり素揚げしょう!
無農薬でお水だけでこんなに手軽に育てられるとは、何と手間いらず。伸びてきた芽だけをきって食べればまた芽が伸びてくるので再収穫もできます。
まとめ:にんにく栽培の仕方 地植え、コンテナ栽培、水耕栽培
さて、にんにくの栽培方法をご紹介しました。たくさん栽培しても保存もきく食品で、葉や茎、芽も食べられます。初心者の方でもきっと楽しみながら育てられる野菜です。
自分の手で育てたにんにくは、その栄養価にも増して一層の喜びがありますね。ペペロンチーノもひときわ美味しくなりそうです!
是非ご自身の地域にあった品種を調べてにんにく栽培をはじめてみるのはいかがでしょう?