みなさんは「結晶」というと、何を思い浮かべますか?
雪の結晶は美しいですね。普段食卓で使う食塩にも結晶があるんですよ。食塩を水に溶かして蒸発させると、さいころのような形の結晶ができます。
きちんとポイントを押さえれば、きれいで大きな食塩の結晶を作ることができます。この記事では食塩の結晶の作り方や、食塩以外の物質で結晶を作る方法を解説します。
目次
【家で出来る!】食塩の結晶の作り方
食塩はしょっぱい味付けをするのに使う、白くてさらさらした粒状の調味料です。小学校の理科の実験や自由研究で取り上げられるテーマに、食塩の結晶を作ることが挙げられます。
白い粒のイメージの食塩を水に溶かして蒸発させると、現れた物質は普段見慣れた食塩とは違う姿をしています。
では食塩の結晶の作り方や、大きな結晶をどのようにして作るのかを見ていきましょう。
簡単に作れる食塩の小さい結晶
まずは一番簡単な、小さい食塩の結晶を作ってみましょう。ほとんど家にあるもので作ることが出来ますので、まずはここからチャレンジ!
【材料】
・食塩:40g~50g程度
・水:100ml
・コーヒーカップなど:1個
・平らな容器:1個
【作り方】
1.カップや容器をきれいに洗います。
2.カップに水を入れて少しずつ塩を溶かします。
3.塩が溶けきれずに下に沈むようになったら溶かすのをやめましょう。
4.出来た食塩水を平らな容器に入れます。
5.日当たりの良いところに置いて蒸発させると、塩の結晶が出来ます。
【ポイント】
食塩を溶かすときにはお湯を使った方が、たくさん食塩が溶けて結晶ができやすくなります。平らな容器は大きめの方が、早く水分が蒸発しますよ。
結晶の形を見てみよう
平らな容器を使って食塩の結晶を作ると、容器の底に小さい結晶がたくさんできます。これを集めて顕微鏡で観察してみると、透明できれいな立方体の形をしている様子が分かります。
結晶は一度水の中でバラバラにしたイオン同士が、規則正しく再結合される現象です。食塩は塩化物イオンとナトリウムイオンが1つずつ結合して出来ているため、規則正しく並べ直すと縦にも横にも正方形に伸びて行きます。
そのため出来上がった結晶の形は、立方体(正六面体)になるのだそうです。なんだかとても不思議な現象ですね。
大きい結晶の作り方
食塩の大きい結晶を作るには、小さい結晶を核にして育てていきます。大きい結晶を作るのは、ちょっとコツと根気のいる作業です。
【材料】
・核になる小さい食塩の結晶:1個
・糸やテグスなど:20~30cm
・透明なコップ:1個
・食塩を溶かすためのカップ:1個
・割りばし:1膳
・食塩:40g~50g程度
・水:100ml
・コーヒーフィルター:1枚
【作り方】
1.コップやカップ、テグスをきれいに洗います。
2.カップにお湯を入れて食塩を少しずつ入れ、溶けなくなるまでしっかり溶かします。
3.コーヒーフィルターで食塩水を一度こしてから、コップに入れます。
4.食塩の結晶を糸やテグスで結ぶか接着剤でくっつけ、もう一方の端を割りばしの中央に結び付けます。
5.コップの上に割りばしを置き、食塩の結晶が食塩水の中央に沈むように入れます。
6.ほこりが入らないように軽くフタをして、1週間~1か月ほどじっくりと結晶を育てます。
【ポイント】
ほこりが入るとほこりを核にして結晶が育つので、置き場所に気を付けて軽くフタをしましょう。完全にフタをすると食塩水が蒸発しないので、少しだけ隙間を開けます。
食塩水が減ったら、また同じ濃度の食塩水を作って継ぎ足してあげるときれいな形になりやすいです。
大きい結晶にならない原因は?
苦労して準備したのに食塩の結晶が大きくならない時は、いくつかの原因が考えられます。
一つは湿度が高いかフタをしっかりし過ぎて、食塩水が蒸発しなかった場合です。この場合はフタを少しずらしたり、日当たりのいい場所に置くなどするといいでしょう。
もう一つは結晶はできるけれど底にたくさんできたり、食塩水の表面に結晶が固まったりする場合です。これは食塩水の中に、ほこりや不純物が入ったことが原因です。
きれいな大きい結晶を目指すなら、3日に1回くらい食塩水をフィルターで濾して不純物を取り除くといいそうですよ。大きい結晶を作るのは、意外と大変な作業ですね。
食塩以外の物質を使う結晶の作り方
食塩の結晶づくりは思ったより気を使って大変ですが、大きくてきれいな結晶ができた時の喜びは苦労しただけのものがあります。
大きな結晶を作るのには時間がかかり、夏休みの期間だけでは間に合わないかもしれません。中には子供は飽きてしまって、大人が夢中になって手間をかけて結晶を育てているなんてこともありそうですね。
スーパーや薬局で手に入る物で、食塩以外にも結晶を作ることが出来ます。ここからは身近に手に入りやすい物質で、結晶を作る方法を見ていきましょう。
【形がきれい!】ミョウバンの結晶を作ってみよう
ミョウバンできれいな形の結晶を作ることが出来ます。ミョウバンというのは「硫酸アルミニウムカリウム」と呼ばれる長い名前の物質です。スーパーや薬局で購入できます。
漬物の色をきれいにしたり、あく抜きなどに昔から使われてきました。最近では消臭殺菌効果があるとして、ネットで話題になっているようです。
ミョウバンの結晶の作り方は、基本的には食塩の結晶の作り方と同じ方法です。溶けなくなるまでしっかりミョウバンを溶かした飽和水溶液を作り、浅い容器で核になる小さい結晶を作ります。
次に結晶を糸で縛り、飽和水溶液を入れたコップの中に入れてゆっくり育てていきます。うまく育てられるとピラミッドを2つくっつけたような、正八面体と呼ばれる形になりますよ。
きれいな正八面体に結晶を育てるのはとても難しいので、頑張ってチャレンジしてみてください。
ミョウバンにはスーパーなどで手に入る焼きミョウバンと、学校の実験などで使う結晶ミョウバンがあります。学校の実験で試した後に焼きミョウバンで結晶を作るときには、ミョウバンの量を半分くらいにしましょう。
尿素の針状結晶を育てよう
尿素の結晶は一晩であっという間に育ち、面白い形になるので飽きやすい小学生にもおすすめです。尿素は肥料として使われるほか、最近は保湿効果が注目されて化粧品の材料にもなっています。
尿素はホームセンターの肥料のコーナーや薬局で購入することができます。では作り方を見ていきましょう。
【材料】
・尿素:50g~80g
・お湯:50ml
・洗濯のり(PVA)と書かれたもの:1~2滴
・食器用洗剤:2~3滴
・カップ:1個
・使い捨ての皿:1枚
・コーヒーフィルターまたは厚手の和紙:1枚
【作り方】
1.コーヒーフィルターまたは和紙を好きな形に切ったり丸めたりします。木などの縦に直立する形にすると、きれいな結晶を観察できます。
2.カップにお湯を入れ、尿素を溶かします。
(尿素は溶ける時に周りの熱を奪う性質があり、水の温度が下がるので湯せんをしながら溶かしてください。)
3.尿素が溶けたら洗濯のりと食器用洗剤を入れてかき混ぜます。
4.皿に溶けた尿素を入れ、中央にコーヒーフィルターを置きます。
5.そのまま動かさずに一晩たてば、尿素の結晶が出現しています。
尿素の結晶は思わぬ方向に育っていくことがあるので、大きな紙やラップなどでテーブルをカバーしておくと後で掃除が楽です。
洗濯のりが余ったら、壊れにくいシャボン玉に挑戦してはいかがでしょうか。壊れにくいシャボン玉の作り方はこちらのページで詳しく解説していますので、是非併せてご覧ください。
食塩の結晶の作り方に使える顕微鏡3選
食塩やミョウバン、尿素などの結晶はすぐ作れるものや、何週間もかけて作るものがあります。
こつこつ作った結晶がどうなっているのか、詳しく見てみたいですね。自由研究なら拡大した写真を貼り付ければ、見た目の良い出来栄えになります。
顕微鏡を使って結晶を拡大して見ると、それまで気が付かなかった面白い発見があるかもしれません。ここからはネットで評判の良い、お子さんでも使いやすい顕微鏡3種をご紹介します。
ポケットに入れて持ち歩ける【ハンディ顕微鏡ZOOM】
小学生の自由研究に使うなら軽くてポケットに入れて持ち運べる、レイメイ藤井の「ハンディ顕微鏡ZOOM」がおすすめ。レイメイ藤井は熊本県で明治23年(1890年)に創業した、紙や文具の老舗メーカーです。
ハンディ顕微鏡ZOOMは、LEDライトが付いており暗い場所や夜でも観察できます。60倍から120倍まで倍率を変えられ、スマホで写真を撮影することも可能です。
面白いのはUVライトが付いていて、紫外線を当てて観察が出来ることです。郵便物やお札など様々なものに印刷されている、目に見えない印を発見するのも面白いですね。
ハンディ顕微鏡は「ZOOM」と「DX」の2種類が販売されており、「DX」は倍率250倍まで見ることが出来る上位機種になっています。
コスパ最強【マイクロスコープ 学習用けんび鏡】
ハンディタイプは便利で良いけれど、もう少し本格的に観察したい人には新日本通商の「マイクロスコープ」がおすすめです。新日本通商は東京都で昭和29年(1954年)に設立した科学玩具のメーカーです。
マイクロスコープは対象年齢8歳以上の、小学生用の顕微鏡です。通常の顕微鏡のように覗いて使うほか、マイクロスコープに投影して観察することで画像が大きくなり見やすくなるのが特徴です。
子供用で価格設定も手ごろにしてあるため、本体がプラスチックで出来ています。小学生が初めて使う入門用の顕微鏡としては、ぴったりではないでしょうか。
マイクロスコープには倍率が600倍までの「#600」と倍率が900倍までの「#900」の2種類があります。
ザ・顕微鏡【ミザール 学習顕微鏡 ML-1200】
たとえ子供用の商品でもきちんとした本格的な道具を使わせたい人には、ミザールの「ML学習顕微鏡」をおすすめします。ミザール(ミザールテック)は東京都で昭和27年(1952年)に創業した、天体望遠鏡など光学製品のメーカーです。
ML学習顕微鏡は観察に欠かせない、「メカニカルステージ」が標準装備されています。メカニカルステージは高級機種の顕微鏡にのみ付属する、プレパラートを自由に動かすための装置です。
接眼レンズが3つ付属しているため、100倍から1200倍まで8種類の倍率を選ぶことが出来ます。学習用と言っても、大人になってからでも十分使い続けることのできる上位商品です。
学習顕微鏡には「ML-1200」のほかに、最高倍率が900倍の「ML-900」もあります。
まとめ~食塩の結晶の作り方は大人も楽しめる
普段何気なく使っている食塩やミョウバン、尿素は化学の目線で見ると違った魅力のある物質であることがわかりました。それぞれ違った形に育っていく結晶は、子供だけでなく大人にも楽しみながら作ることができます。
大きくてきれいな形に育てるにはどうしたらいいのか、工夫したり考えたりするのも大事なことですね。大人も子供もハマる結晶作りに、ぜひ挑戦してみてください。