菜種油粕
菜種油粕って土づくりにいいの?どんな肥効があるのかな?

菜種油粕とは、アブラナの種である菜種から油を搾り取った後に残った粕のこと。菜種油は酸化しにくく熱に強いため加熱調理に向いている油として広く普及していますね。

 

では、粕に使い道はないのでしょうか。いいえ、菜種油粕は古くから肥料として重宝されているのです。

 

菜種油粕はどんな肥料?どんな肥効がある?

畑を耕す人

菜種油の搾りかすである菜種油粕は、有機肥料です。ゆっくりと効果を発揮する緩効性肥料で、効果が持続しやすいのも特徴。土づくりに欠かせない肥料と言えるでしょう。

 

菜種油粕は、植物の成長に欠かせない三大栄養素である窒素・リン酸・カリ(カリウム)が豊富。そのため、農家の方のみならず、家庭菜園、ガーデニングをしている方にも好まれているわけです。

 

1.植物が大きく育つ

土づくりがうまくいかないと、葉物は大きく育たず、頼りない茎から伸びる根もあまり元気とは言えない、そんな植物になってしまうかもしれません。

 

菜種油粕に含まれる窒素やリン酸は、植物を大きく育てる肥効があり、これらを多く含んだ土からは葉が大きく元気な植物が育ちます。花も同様に、美しく開花します。

 

ですが、多ければ多いほどよいかというとそうではなく、バランスは大切

窒素が多すぎると葉は大きいが薄い、茎は長いが細く頼りないなど、悪く作用することがあります。また、病気や害虫に侵されやすくなるため、注意が必要です。

 

2.野菜や果実が美味しく育つ

菜種油粕で土づくりをすると、糖度が高くなり甘くて美味しい果実が生ります。とうもろこしやトマト、スイカなどを作るのに向いた土になるのですね。

 

また、キャベツや白菜などは葉がうまく巻いて見た目にも綺麗に、ナスやブロッコリーも実が大きく生るなどの効果があります。

 

発酵?未発酵?どっちの菜種油粕がいい?

菜種油粕

菜種油粕には、搾りかすを乾燥させただけの未発酵タイプと、発酵させたものの2種類があります。それぞれの特徴を見て、より目的に合ったものを選ぶとよいでしょう。

 

未発酵菜種油粕のメリットデメリット

メリット

  • 土をゆっくり活性化してくれる
  • 効果が長く続く

デメリット

  • 発酵の過程で悪臭がする
  • 効果が出るまで時間がかかる
  • コバエなどが発生しやすい

未発酵の菜種油粕は、肥料として土にまいてからすぐ効果があるわけではありません。

約3週間ほどかけて土の中で発酵することで、効果を発揮するのです。即効性を期待する場合には向きません。

 

ゆっくりじっくりと土に作用し、その効果が長続きするため最初の土づくり、元肥として使う方がよいでしょう。

 

発酵が始まると悪臭がしてきます。なかなか強烈なニオイなので、苦手な方もいるでしょう。この時期に作物を植えてはいけません。作物が発酵途中のガスに触れると、根腐れなどを起こします。

 

発酵菜種油粕のメリットデメリット

メリット

  • 未発酵に比べ効果が現れるのが早い
  • 未発酵に比べニオイが少ない
  • 成分が補填されている商品もある

デメリット

  • 値段が高い
  • 発酵具合が未熟な商品もある

発酵済みの菜種油粕は、未発酵の菜種油粕に比べて早く効果が現れます。そのため、後から肥料を追加する追肥におすすめ。

 

菜種油粕だけでは補えない成分が補填されている商品もあるので、よく確認して購入するとよいでしょう。

 

未発酵の菜種油粕に比べてメリットが多い分、価格が高いのが特徴。しかし、ニオイや虫の発生は未発酵に比べて軽減されるとはいえ、全くないわけではありません。

 

よく聞くボカシってなに?菜種油粕とは違う?

『ボカシ』は、ホームセンターでも売られているポピュラーな肥料です。ボカシは油かすや骨粉、鶏糞など様々な材料を混ぜ、発酵させて作った肥料。その材料として菜種油粕が使われることがあります。

 

成分のバランスは基本的に『窒素3%・リン酸5%・カリ1%』で、窒素の多い菜種油粕とは異なります。用途や土の状態によって、菜種油粕と使い分けるのがよいでしょう。

 

菜種油粕の上手な使い方は?

畑に肥料をまく人

菜種油粕を肥料として効果的に使うなら、どのように使えばよいでしょうか。

 

種や苗を植える前の土づくりに

土づくりのための元肥に使用するなら、少なくとも種や苗を植える3週間前に使用しましょう。発酵途中で植えてしまうと、発酵過程で発生するガスが根などに悪影響を与えます。

 

元肥の場合は1㎡につき菜種油粕100gを目安にしてください。深い位置ではなく、浅めに混ぜる方がよいですが、未発酵の菜種油粕の場合、ニオイには注意が必要です。

 

菜種油粕を土全体に混ぜると、ゆっくりと発酵分解されます。育成期間の短い野菜を育てる場合は、層状になるようにまくとよいでしょう。

 

土に栄養を送りたい時の追肥に

菜種油粕は、植物を育てている過程で、土に栄養を補給するための追肥にも役立ちます。追肥はある程度即効性があるとよいので、発酵済みの菜種油粕がおすすめです。

 

1㎡当たり50g程度の菜種油粕をまき、その上から土をかぶせるようにしましょう。土寄せをする際に行うとスムーズですね。

 

葉や根が枯れてしまう肥料焼けを防ぐために、菜種油粕は植物に直接触れないよう離してまいてください。

 

液肥にすれば使いやすい

液肥とは、そのまま液体の肥料のことを指し、粉末の肥料の成分を液体に溶かしたものも含めます。速攻性があり使いやすく、自分でも作れるという利点があります。

 

液肥の作り方

用意するもの

  • 1.5リットル~2リットルペットボトル
  • 未発酵タイプの菜種油粕…100g程度
  • 1晩汲み置きした水…1リットル

 

作り方

1.ペットボトルに菜種油粕を入れる

2.水を入れ、蓋をしてよく振る

3.蓋を緩めて冷暗所に3週間~4週間置く

発酵過程で悪臭がするので、保管場所には気を付けてください。また、ガスが発生する場合があるので、蓋は緩めておきましょう。

 

完成した液肥は、10倍~50倍程度に薄めて、植物に直接かからないように土に散布してください。

 

菜種油粕の保存方法は?難しくない?

市販の菜種油粕を未開封のまま保存する場合は、あまり日が当たらず、気温が高すぎない場所を選びましょう。雨が当たらない乾燥した場所ならもっといいですね。

 

開封した菜種油粕の保存は、密封がおすすめ。菜種油粕を開封したまま放置すると、ハエが入り込みウジ虫が発生する場合があるので注意です。

 

開封した菜種油粕を保存する場合は虫が入り込まないようにしっかりと密封して、雨などが当たらない乾燥した場所に保存してくださいね。

 

万が一ウジ虫が発生したら…?

万が一、菜種油粕にウジ虫が発生してしまった場合は、菜種油粕を新聞紙などに広げ、日光に当ててよく乾燥させましょう。そうすることで、ウジ虫は死滅します。

 

初めてでも使いやすい菜種油粕3選

菜種油粕

これから家庭菜園を始めたい、土づくりをしっかりやりたいという方に、初めてでも使いやすいおすすめの菜種油粕をご紹介します。

 

【未発酵】EMぼかし肥料 純正菜種油粕 1kg

有機JAS適合の純正菜種油粕です。原料は菜種から油を搾ったかすのみなので、とても良い香りがします。

 

1kgと少量から購入できるので、プランター栽培などに少しだけ使いたいという時にも便利。ぼかし肥料の材料としても大変優秀で、質の良い有機肥料を作りたい方におすすめですよ。

 

窒素5.3%
リン酸2.0%
カリ1.0%

【未発酵】菜種油粕 5kg

有機100%の肥料で、園芸全般に使用できる肥料です。ゆっくりと作用するので元肥として土づくりに使うのがおすすめですが、追肥としても使えますよ。

 

草花ならばより色鮮やかに、野菜や果物は艶やかに育成してくれる万能な菜種油粕です。

 

窒素5.0%
リン酸2.0%
カリ1.0%

【発酵】野菜専用 有機ボカシ肥料 3kg

菜種油粕だけでなく米ぬかや魚粕、カニガラなど7種類の天然有機質を混ぜ、半年かけて発酵させたボカシ肥料です。

 

リン酸が多いため野菜作りに向いていて、トマトやキュウリ、ナス、などの果菜類、人参や大根などの根菜類の土づくりにパワーを発揮しますよ。

 

窒素3.8%
リン酸4.9%
カリ1.5%

菜種油粕を使った土づくりで家庭菜園を楽しもう♪

苗を植えた畑

油を搾った後の菜種油粕は、廃棄することなく肥料として使うことで次の作物を育てます。今目標とされるSDGsの精神が根付いていると言えます。

 

ニオイなどの問題もあるため、ハードルが高く感じるかもしれません。ですが、植物を育てるために、菜種油粕を使ってみませんか。

 

綺麗な花が咲き、大きくて甘い実が生る、元気な植物が育つことでしょう。

 

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