このような不安を感じたことはありませんか?
食物アレルギーはとても複雑でわかりにくいですよね。食材には注意を払っていても、オイスターソースなどの調味料は見落としがちなのでよけいに気を付けなければなりません。
そこで、この記事では、オイスターソースはアレルギーの原因になるのかどうかや注意すべき点を解説するとともに、市販のオイスターソースのアレルギー情報もまとめてご紹介します。
目次
牡蠣アレルギーの人はオイスターソースを食べられないの?
オイスターソースのオイスター(oyster)とは、英語で牡蠣のことですよね。牡蠣にアレルギーがある人はオイスターソースを食べることはできないのでしょうか?
まずは、オイスターソースと牡蠣、そしてアレルギーとの関係性について解説します。
オイスターソースの主原料は牡蠣!
まず、オイスターソースの主力商品の『S&B李錦記 オイスターソース』の原材料表示を見てみましょう。
カキエキス、砂糖、食塩、小麦粉/調味料(アミノ酸)、増粘剤(加工デンプン)、カラメル色素、(一部に小麦を含む)
原材料表示を見ると、オイスターソースが牡蠣のエキスに砂糖や食塩などを加えた調味料であることがわかりますよね。ほとんどのオイスターソースは、牡蠣のエキスにさまざまな調味料を加えて作られています。
「かきエキス」とは、牡蠣の成分を取り出して凝縮したエキスのことです。商品によっては、原材料表示に「かき汁」や「かき煮汁」と書かれていることもあります。
オイスターソースにアレルギー物質は入ってる?
牡蠣アレルギーの原因は、牡蠣に含まれる「トロポミオシン」というたんぱく質の一種です。
牡蠣エキスは、生牡蠣や凍結した牡蠣から成分を取り出して凝縮したものなので、多くの場合、成分を取り出す時に「トロポミオシン」もいっしょに取り出されてしまいます。
また、「トロポミオシン」は加熱しても壊れにくい構造のため、エキスを凝縮したりオイスターソースを作る過程でもアレルギー活性が低くなることはありません。
つまり、オイスターソースにもアレルギー物質の「トロポミオシン」は入っているものと考えておいた方がよいでしょう。
牡蠣アレルギーの人はオイスターソースを控えるべき?
すべての牡蠣アレルギーの人が、必ずしもオイスターソースに反応するわけではありません。実際に、牡蠣アレルギーの人でも、オイスターソースは大丈夫という人もいます。
しかし、牡蠣などに含まれる「トロポミオシン」は、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こしやすいアレルギー物質であることがわかっています。
ですから、アレルギー症状が出るとは限らないとは言っても、万一症状が出た場合に重篤になってしまうリスクが高いため、牡蠣アレルギーがある人は、オイスターソースも避けた方が無難です。
過去に牡蠣で食当たりをした人は注意が必要!
牡蠣は食中毒を起こしやすいことでも有名です。2018年にウェザーニュースが独自で行ったアンケート調査によると、アンケートに回答した9,191人のうち22%が、「過去に牡蠣にあたったことがある」と回答したそうです。
牡蠣による食中毒の原因は、主にノロウイルスや腸炎ビブリオという細菌ですが、実は、牡蠣アレルギーでも食中毒と同じように、嘔吐や下痢、腹痛などの消化器症状が出ることが少なくありません。
実際に、「牡蠣にあたったと思っていたけど、調べてみると牡蠣アレルギーだった!」という人もかなりいるようです。
過去に何度か牡蠣にあたったことのある人は、念のため、オイスターソースにも注意した方がよさそうですね。
甲殻類・軟体類・ダニアレルギーの人も要注意!
エビやカニなどの甲殻類や、タコやイカなどの軟体類、牡蠣以外の貝類のアレルギーの原因物質も、牡蠣と同じ「トロポミオシン」です。
そのため、甲殻類や軟体類、牡蠣以外の貝類にアレルギーのある人は、牡蠣にも反応してしまう場合があります。
日本人では、甲殻類アレルギーの2割くらいの人が、軟体類や貝類にもアレルギー反応を示すことがわかっています。
また、「トロポミオシン」はダニなどの昆虫にも含まれていまれているため、ダニアレルギーの人が甲殻類、軟体類、貝類に反応することもあります。
甲殻類アレルギー、軟体類アレルギー、貝アレルギー、ダニアレルギーがある人は、オイスターソースにも反応する可能性があるので注意しましょう。
そして、万一オイスターソースを食べた後に異変を感じたら、アレルギーを疑ってすぐに受診するようにしてください。
オイスターソースに牡蠣以外のアレルギー物質は入ってる?
オイスターソースには、主原料の牡蠣以外にもアレルギー物質が含まれている場合があります。
オイスターソースにどのようなアレルギー物質が入っているのかを知るには、商品パッケージの裏面などに書かれている原材料表示をチェックしましょう。
原材料表示を見てみると、カッコ書きで(〇〇を含む)もしくは(〇〇由来)と書かれている部分があります。これが、アレルギー物質です。
オイスターソースの原材料表示を見てみよう!
例として、2種類のオイスターソースの原材料表示を見てみましょう。
カキエキス(カキ(広島県)、食塩)、砂糖、醤油(大豆・小麦を含む)、食塩、みりん、でん粉、魚醤(いかを含む)、レモン
かきエキス、砂糖、還元水あめ、醤油、酵母エキス、小麦粉、(一部に小麦・大豆を含む)
赤字で示したように、カッコ書きで(〇〇を含む)と書いてあるのがアレルギー表示です。「大豆」・「小麦」・「いか」がアレルギー物質であることがわかりますね。
書き方には2種類あって、前者のように、原料ごとに含まれるアレルギー物質が個別に書かれている場合と、後者のように、複数のアレルゲン物質を最後にまとめて記載してある場合があります。
アレルギー表示に「牡蠣(カキ)」が入っていないのはなぜ?
オイスターソースの主原料のカキエキスには、アレルギーを引き起こす可能性のある牡蠣が使われているのに、「カキエキス(カキを含む)」とは書いていません。
これは、国が定めているアレルギー表示が必要な物質に、牡蠣が含まれていないからなのです。
現在(2021年8月時点)のところ、アレルギー表示の対象になるのは、表示が義務付けられている「特定原材料」7品目と、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」20品目のみです。
「特定原材料」7品目
卵、乳、小麦、そば、落花生(ピーナッツ)、えび、かに
「特定原材料に準ずるもの」20品目
いくら、キウイフルーツ、くるみ、大豆、バナナ、やまいも、カシューナッツ、もも、ごま、さば、さけ、いか、鶏肉、りんご、まつたけ、あわび、オレンジ、牛肉、ゼラチン、豚肉
牡蠣は上記に含まれていないため、現時点では、牡蠣はアレルギー表示をしなくてもよいルールになっているのです。
※これらの内容は約3年ごとに見直されるそうですので、今後牡蠣が追加される可能性は考えられます。
オイスターソースではこの成分に要注意!
オイスターソースでよく使われる、アレルギーを引き起こす可能性のある成分には、どのようなものがあるのか、アレルギー表示義務(または表示推奨)の27品目と、表示の必要のない原料に分けて見てみましょう。
オイスターソースによく含まれているアレルギー物質(表示対象の27品目)
・小麦:とろみを付けるための原材料、または、醤油などの原料として含まれている
・ゼラチン:とろみを付けるための原材料として使われている
・大豆:醤油などの原料として含まれている
・えび、かに、いか、あわび、さけ、さば、いくら:原材料そのもの、または、魚醤(※)やエキスの原料として使われている
(※魚醤:魚介類と塩を発酵させた調味料)
オイスターソースでよく使われる表示の必要がないアレルギー物質
・牡蠣
・27品目以外の青魚、甲殻類、軟体類、貝類
・魚醤
・たんぱく加水分解物 など
いずれも、オイスターソースの原材料として使われているケースと、魚醤やエキスに含まれているケースがあります。
例えば、アレルギー表示は特にないけれども「魚醤」と書かれている場合は、表示対象の27品目以外の魚介類を原料としている可能性が高いと言えますね。
たんぱく加水分解物とは、たんぱく質に加水分解処理を行って抽出した旨味成分のことで、まれにアレルギー症状が出る人もいるようです。
オイスターソースで起こりうるアレルギー症状とは?
オイスターソースが原因でアレルギー反応が起こった場合、どのような症状が見られるのでしょうか?
こんな症状が出たら要注意!
オイスターソースによるアレルギーはほとんどの場合は「即時型」で、食べた直後から2時間以内に症状が現れます。具体的な症状として、次のようなものがあります。
・消化器症状:腹痛、嘔吐、下痢など
・粘膜症状:唇・口の中・喉の腫れやかゆみ、目の充血やかゆみなど
・皮膚症状:発疹、かゆみ、蕁麻疹、赤く腫れるなど
・呼吸器症状:喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)、くしゃみ・鼻水・鼻詰まり、咳、息苦しさなど
上記のような症状が見られたらアレルギーを疑い、早めに受診するようにしてください。
危険なのはアナフィラキシーショック!
アレルギー症状がひどい場合はアナフィラキシーショックといって、呼吸困難・チアノーゼ(唇が紫色になる)・血圧低下・意識障害などの症状が起こり、危険な状態になることがあるので注意が必要です。
呼吸器症状・皮膚症状・呼吸器症状の程度が強く、全身に渡っていたり複数の症状が見られたりした場合は、アナフィラキシーショックを起こしている可能性があります。すぐに救急車を呼びましょう。
運動誘発型のアナフィラキシーショックにも注意!
まれに、食べた直後は症状がなくても、数時間以内に運動(入浴が原因になることも)をすることでアナフィラキシーショックを引き起こす場合があります。
「食物依存性運動誘発アナフィラキシーショック」と呼ばれる症状で、10~20代に初めて発症するケースが多く、特に男子に多い(中学生男子の発症頻度は6000人に1人)と言われています。
頻度は少ないですが、進行が早く重篤になりやすいという特徴があります。食後の運動中や入浴中などにアナフィラキシーショックの症状が見られたら、直ちに救急車を要請してください。
【まとめ】アレルギー物質を含む/含まないオイスターソース一覧
市販のオイスターソースで、アレルギー物質を含むオイスターソースにはどのような商品があるのでしょうか。
代表的な市販のオイスターソースのなかから、アレルギー物質を含むオイスターソースと含まないオイスターソースをご紹介します。オイスターソースを選ぶ際の1つの参考にしてください。
「小麦」を含むオイスターソース
「小麦」を含むオイスターソースとして、エスビー食品の『李錦記』シリーズがあります。
・S&B 『李錦記 オイスターソース』
・S&B 『李錦記 特製オイスターソース』
・S&B 『李錦記 パンダブランドオイスターソース』
・S&B 『李錦記』 オイスターソース化学調味料無添加
・S&B 『李錦記』 貝柱入りオイスターソース
これらは、いずれもとろみを付けるために小麦粉が使用されています。牡蠣アレルギーはもちろん、小麦アレルギーのある人も避けるようにしましょう。
「大豆」を含むオイスターソース
「大豆」を含むオイスターソースには、次の商品があります。
・トップバリュ 『カキのうまみをいかした オイスターソース』
こちらの商品は、カキエキスの原料として大豆が使われています。原材料表示には、「たんぱく加水分解物(大豆を含む)」の表示もあります。
また、アレルギー表示対象ではありませんが、魚醤が使われているので牡蠣以外の甲殻類・軟体類・貝類にアレルギーのある人は、念のため注意をしてください。
「小麦」と「大豆」の両方を含むオイスターソース
「小麦」と「大豆」の両方を使用しているオイスターソースも複数あります。
・味の素cookdo オイスターソース:一部に小麦、大豆、ゼラチンを含む
・キッコーマン オイスターソース:しょうゆ(大豆・小麦を含む)
・ヒカリ オイスターソース:醤油(大豆・小麦を含む)、魚醤(いかを含む)
・石渡商店 気仙沼完熟牡蠣のオイスターソース:一部に小麦・大豆を含む
・倉敷味工房 オイスターソース:原材料の一部に小麦、大豆を含む
・コーミ オイスターソース:醤油(小麦・大豆を含む)
小麦アレルギーと大豆アレルギーがある人は、上記の商品を避けるとよいでしょう。
その他のアレルギー物質として、『ヒカリ オイスターソース』には、魚醤の原料として「イカ」も含まれています。
また、『コーミ オイスターソース』は、エキスではなく牡蠣の身そのものをすり潰したオイスターソースです。牡蠣アレルギーの人は特に注意をしてください。
アレルギー物質が含まれていないオイスターソース
次に、表示対象27品目のアレルギー物質が含まれていないオイスターソースを4つご紹介します。
牡蠣アレルギーや甲殻類アレルギーなどがある人は注意が必要ですが、小麦アレルギーや大豆アレルギーの場合は問題なく食べられます。
ユウキ 化学調味料無添加オイスターソース
かきエキス(国内製造)、砂糖、食塩、醸造酢、酵母エキスパウダー/増粘剤(加工デンプン、キサンタン)
小麦や大豆など表示対象27品目のアレルギー物質と、牡蠣以外の魚介類などアレルギーの可能性のある原料は含まれていません。貝類・甲殻類・軟体類にアレルギーがある人以外は、安心して食べられそうですね。
テーオー オイスターソース
オイスターエキス、たん白加水分解物、食塩、砂糖、アサリエキス/ソルビット、調味料(アミノ酸等)、増粘剤(加工デンプン、キサンタンガム)、香料、酸味料
小麦や大豆など表示対象27品目のアレルギー物質は含まれていません。表示対象でないアレルギーを引き起こしやすい材料として、牡蠣、アサリ、たんぱく加水分解物が含まれています。
牡蠣とアサリの両方が含まれているので、特に貝アレルギーの人は避けた方がよいかもしれませんね。
セブンプレミアム オイスターソース
かき汁(かき(韓国・国産)、食塩)、砂糖、食塩、タンパク加水分解物、/調味料(アミノ酸等、増粘剤(加工でん粉、キサンタン)、カラメル色素、アルコール
小麦や大豆などの27品目のアレルギー物質は、こちらのオイスターソースも含まれていません。また、それ以外でアレルギーを引き起こす可能性のある原料として、牡蠣とたんぱく加水分解物が入っています。
また、添加部として保存性向上のためにアルコールが添加してあります。アレルギーとは少し違いますが、お酒が弱い人や子供は加熱してから食べることをおすすめします。
メガシェフ オイスターソース
かき、砂糖、食塩、コーンスターチ
「メガシェフ」というタイのブランドのオイスターソースです。原材料はとてもシンプルで、牡蠣以外は27品目のアレルギー物質も、それ以外にアレルギーの可能性のある原料も一切含まれていません。
ですから、貝類・甲殻類・軟体類にアレルギーがある人だけでなく、添加物が気になる人にもおすすめのオイスターソースです。
アレルギーのある人はオイスターソースの原材料を確認しよう!
オイスターソースの主原料の牡蠣には、一部の人のアレルギー反応を引き出す原因物質が含まれています。
ですから、牡蠣アレルギーの人をはじめ、甲殻類アレルギー、軟体類アレルギー、貝類アレルギーの人は注意が必要です。
その他のアレルゲンとしては、小麦や大豆などが含まれていることがあります。アレルギーのある人は、原材料表示をしっかりと確認してから食べるようにしてくださいね。