味噌を手作りするのに、材料の他に用意しなければいけない重要なものは漬け込む樽です。市販されている樽にはプラスチックや陶器製、木樽などさまざまな種類があります。どの樽を使うのがいちばんいいのでしょうか。
この記事では現在市販されている味噌用の樽のメリットとデメリット、おすすめの樽などを紹介します。
目次
味噌に使う樽の素材ごとの違いとは
味噌の仕込み容器は色々ありますが、プロの味噌蔵や工場では90%以上がステンレスの樽(タンク)が使われています。昔ながらの伝統製法を守っている蔵では木樽が多く使われます。
手作り味噌にはステンレスの樽は使わないのが普通です。プロ用と家庭用のステンレスは性能に差があって、家庭用は味噌の強い塩分などで錆びる場合があります。
では家庭で味噌用に使われる樽のそれぞれのメリットとデメリットについて見ていきましょう。
安価で使いやすい【プラスチック】
家庭で味噌を作るときに一番多く使われるのは、プラスチック製の樽です。
【メリット】
・値段が比較的安い。
・軽くて持ち運びしやすい。
・落としても割れにくい
・サイズが豊富でホームセンターなどで気軽に買える。
・初心者やお試しにおすすめ。
【デメリット】
・匂い移りが気になる人もいる。
・酸や塩に弱い製品がある。
・化学物質が溶け出す心配がある。
プラスチックの樽のデメリットについては、直接味噌を入れずに漬物用の厚手のポリ袋を入れて使うことで回避できそうです。
いきなり高価な樽を買って、一度きりで味噌作りをやめてしまったらもったいないですね。初めのうちは安価なプラスチックの樽で作ってみて、こだわりたくなった時点で別な樽に切り替えるのがおすすめです。
じわじわと人気【ホーロー】
最近では味噌専用のホーロー容器なども販売され、じわじわと人気が出ています。
【メリット】
・強度が高く塩や酸にも強い。
・匂い移りがしにくい。
・おしゃれな見た目の容器が多い。
・密閉度が高くそのまま保存容器として使えるものもある。
【デメリット】
・衝撃によって傷がつきやすく、そこから錆びることがある。
・重くて持ち運びに不便。
・値段が高価
おしゃれな料理上手の人が使うイメージのあるホーローの味噌樽。女性を中心に使う人が増えています。
扱いやすい【陶器の樽】
プラスチック容器が普及する前は、家庭では陶器の樽で味噌を作るのが一般的でした。
【メリット】
・外気温の影響を受けにくい。
・塩分や酸に強い。
・容器の劣化がなく管理がしやすい。
【デメリット】
・衝撃を与えると割れることがある。
・重くて持ち運びに不便。
・値段が高価。
中身が漏れることもなく匂い移りの心配がない陶器の樽は、味噌の味や風味の点から言うとかなり優秀です。家庭での味噌作りは女性が作業することが多いため、重さや割れやすさがネックになっています。
昔からの伝統【木樽】
市販の味噌で「こだわりの味噌」といえば木樽で作ったものが多いですね。
【メリット】
・使い続けるうちに菌が住み着き、自分だけの味になる。
・木のいい香りがする味噌になる。
【デメリット】
・水が漏れるなど管理が難しい。
・木樽が水を吸って硬い味噌になることがある。
・値段が高価。
味や香りは木樽で作るのが一番よさそうですが、知識のない人には扱いが難しそうです。木樽は一度購入すれば50年は使えるそうです。
味噌を毎年作り続けるようになって、おいしい味噌を作りたいと思ったら購入を考えるのがおすすめです。
味噌用の樽の選び方
味噌を作る樽には、それぞれメリットとデメリットがあります。どれを使ってもきちんと管理すればおいしい味噌は作れますが、目的に応じて使いやすい樽を選びましょう。
ここからは目的別にどの樽を使うのがおすすめか、選び方や注意点について見ていきましょう。
予算で選ぶなら
価格が安いのは、やはりプラスチックの樽です。プラスチックの樽は予算をかけずに気軽に始められるのが一番のポイント。味噌作りは意外と手間がかかるので、一度でやめてしまう場合もあります。
始めのうちはプラスチックの樽がおすすめです。ホームセンターなどで安く買うことが出来て、サイズも豊富にそろっています。
使い勝手で選ぶなら
使い勝手の良さで選ぶなら、プラスチックかホーローがおすすめです。プラスチックは何と言っても軽くて持ち運びが楽なのが魅力。
ホーローは重さがありますが、持ち手の付いているものが多いため、陶器製や木樽に比べると使いやすくなっています。
持ち運びのしやすさはお手入れのしやすさにも直結します。味噌作りが面倒にならずに管理がしやすいことを重視するなら、プラスチックやホーローを選びましょう。
味を重視するなら
味噌は口に入る物ですので、味や安全性を重視するなら木樽が一番です。陶器の樽やホーローも匂い移りがしないのでおすすめです。
木樽はある程度味噌作りになれて、樽の管理の仕方も勉強してから購入しましょう。木樽で味噌を作るようになったら、ある意味セミプロの域に達していると言えるかもしれませんね。
管理のしやすさでは陶器の樽やホーローが便利です。香りは木の樽ほどではありませんが、匂い移りがないので安定した味に仕上がります。
味噌の量と樽の大きさの関係
樽のサイズは作る味噌より大きめの容量のものを選びましょう。
ぎりぎりのサイズでも作れないことはありませんが、あとで水分が上がって来てあふれたり、発酵して味噌がふくれたりすることもあります。容器に味噌が8割くらい収まるくらいの大きさがおすすめです。
2kgの味噌を仕込むなら2.5~3Lの容量があれば安心です。作ろうと思っている味噌の量よりも十分に大きいサイズの樽を準備しましょう。
ネットで買える味噌用の樽おすすめ3選
最近は味噌作りが静かなブームになっていることもあり、大きなホームセンターに行くと様々な種類や素材の味噌用の樽が売られています。味噌専用でなくても、漬け物用の樽で味噌を仕込むことができます。
近所に大きな店がないなど、樽が手に入りにくい場合はネットで取り寄せしましょう。ここからはネットで購入できる人気の味噌用の樽を紹介します。
山源陶苑【ミニ壷】
「山源陶苑」は愛知県常滑市で1967年(昭和42年)に創業した常滑焼の窯元です。2013年に陶器の樽の大手メーカー「久松」が廃業してから、国産の陶器製の味噌樽は手に入りにくくなりました。
山源陶苑の「ミニ壷」は数少ない国産の陶器の樽です。サイズは0.8号で1.44Lの容量があります。価格は2,800~3,500円で販売されています。
おたまや【昭和本樽】
「おたまや(秋葉糀味噌醸造)」は山形県で1997年(平成9年)に設立した味噌や麹などの食品メーカーです。おたまやの「昭和本樽」は味噌を手作りする人のために作られた、本杉の木樽です。
熟練された樽職人の作った木樽で、本体は杉で竹を編んだもので固定しており金属などは一切使用していません。サイズは色々ありますが、ご家庭用ならNo.3が2~2.5kgの味噌を仕込むのにちょうどいい大きさです。
価格はNo.3が3,850円で販売されています。
野田琺瑯 【ラウンドストッカー】
「野田琺瑯」は東京で1934年に創業したホーローのメーカーです。日本で唯一、国内でホーロー作りのすべての工程を一貫生産しています。
野田琺瑯の「ラウンドストッカー」は人気のホワイトシリーズの一つで、白一色の清潔感のあるシンプルな容器です。フタは二重になっており、内ブタをしめることで密閉状態になります。
サイズはさまざまですが、18cmは4.5Lの容量で家庭で味噌を仕込むのに適した大きさです。価格は18cmサイズが4,950円で販売されています。
自家製味噌の樽は自分に合ったものを選ぼう
味噌汁などで毎日食卓に登場する味噌は、日本人の健康に欠かせない栄養豊富な食品として近年見直されてきています。
自分で手作りした味噌は安全安心で市販の味噌とは違う独特のおいしさがあり、一度作るとやめられない人も多いそうです。
味噌作りに無くてはならない樽ですが、それぞれに長所と短所があるので「今の自分にどの樽が合っているのか」を考えてそれぞれ比較して選んでくださいね。