岩塩を使って料理をしている人を見ると、それだけで料理が上手そうに見えますね。使おうと思って買ったり、いただいたりした岩塩をそのまま使わずに置いてあるご家庭もあるでしょう。
この記事では岩塩と普通の塩との違いや使い方、岩塩を使ったおすすめのレシピをご紹介します。
目次
岩塩の特徴と使い方
岩塩はヨーロッパやアメリカ、アジアや中東など世界中で採掘されており、世界の塩の流通量の2/3を岩塩が占めています。
ここでは岩塩と普通の塩との違いや岩塩の使い方について見ていきましょう。
岩塩と普通の塩との違い
現在日本で一般的に流通している食卓塩は、「精製塩」と呼ばれています。精製塩は海水から化学的な方法で塩分(塩化ナトリウム)を抽出した、塩化ナトリウム99%以上の塩です。
その他「粗塩」などの名称で売られている塩もあります。これは海水を煮詰めたり、長い時間をかけて日光で干したりして作られた天然の塩です。
岩塩も元々は海や湖が干上がって結晶化したものです。結晶化の際にマグネシウムやカルシウム、鉄やマンガンなど様々なミネラルが混入しているものが多く、精製塩よりもミネラルが豊富です。また岩塩には食卓塩よりも水に溶けにくい特徴もあります。
ヒマラヤ岩塩はほかの岩塩と違うの?
ヒマラヤ山脈はパキスタン、インド、チベット、ネパール、ブータンの5か国の国境にまたがる巨大な山脈です。日本で流通しているヒマラヤ岩塩は、パキスタンからの輸入が多いようです。
ヒマラヤ岩塩の一番の特徴はその色です。一般的な白い岩塩の他に、ピンクやローズ色、黒など様々な色の岩塩があります。ピンクの色を出しているのは含まれている鉄分で、黒い岩塩には硫黄が含まれています。
ほかの岩塩に比べて比較的安価に流通していることや、アジアで算出していることから日本ではヒマラヤ岩塩が多く取り扱われているようです。
ブロックタイプ(塊)の岩塩の使い方
岩塩は粉末の状態になっているものや粒状になっているものの他に、ブロックタイプ(塊)の状態で売られているものがあります。
ブロックの岩塩はアイスピックなどで細かく砕くか、おろし金を使ってすりおろして使います。またそのままおしゃれな容器に入れて飾ったり、盛り塩の代わりに使っている人もいるようです。
料理用として使うならブロックのものでなく、粒や粉状になった岩塩を選んだ方が使いやすいかもしれません。
クリスタルソルトと岩塩は違うの?
現在「クリスタルソルト」として販売されている塩には二種類あるようです。1つは岩塩の一種で、特に塩化ナトリウムの割合が高く透明度の高い岩塩を指している場合。これは世界でも採掘量が少なく、高価に取引されています。
もう1つは海水を太陽や風の力でゆっくりと結晶化させた、粒が大きく透明度の高い塩を指している場合。どちらも通常の食塩に比べて味がまろやかでうまみがあることが特徴です。
また、岩塩よりも溶けやすく、にがりのような苦みはあまりありません。
岩塩と相性のいい料理って?
岩塩はミネラル分が豊富で、食卓塩や粗塩などの海水塩に比べて溶けにくい性質を持っています。すぐ使うお肉の下ごしらえに使うと、なかなか岩塩が溶けないため味が沁みにくくあまり向いていないと言われています。
使うなら肉や魚を焼いた後に一振りしたり、サラダにかけたりするとまろやかな塩味を楽しむことができますよ。
ゆっくり溶けてしみこんでいく岩塩は、長い時間をかけて漬け込む料理に合っているようです。マリネや塩豚などに使えばしっかりと中まで味がしみ込んで、まんべんなく塩味が付きます。
岩塩の使い方【お料理レシピ】
様々な色や複雑な味があり、それぞれ個性豊かな岩塩。やわらかい味で、一度料理に使ったら病みつきになる人も多い調味料です。使い方を知って、ワンランク上のおいしい料理を目指してください。
食卓塩に比べて水に溶けにくい性質を持つ岩塩は、どのような料理に使えばいいのでしょうか。ここからは岩塩と相性のいい料理方法について見ていきましょう。
鶏肉の岩塩焼きは簡単で美味しい
鶏肉に岩塩でしっかりと下味をつけて焼くだけの、簡単おいしいレシピです。皮はパリッと肉はじゅわっとして、どんどん食べてしまいそう。
【材料】(1人前)
・鶏もも肉:1枚
・岩塩(粒またはパウダー):小さじ1/2杯
【作り方】
1.鶏肉は厚みのある所に包丁を入れて開き、均一の厚さにします。
2.岩塩を鶏肉全体にまぶしてラップでくるみ、2時間~1晩冷蔵庫に寝かせます。
3.ラップから出してフライパンを強火で熱し、皮目から焼いていきます。
4.皮目に焦げ目がついたらひっくり返し、蓋をして弱めの中火で蒸し焼きにします。
5.5~6分焼いて火が通ったら完成です。
【ポイント】
鶏肉はできれば一晩寝かせた方が味が締まっておいしいです。お好みでニンニクや香辛料を使うと、また違った味が楽しめますよ。
市販のパンで簡単塩パン風味
今ではどこのパン屋さんでも見かけるようになった塩パン。自宅でパンを手作りするのはハードルが高いという人は、岩塩と市販のパンを使って塩パン風の味にしてみましょう。
【材料】
・食パンやフランスパンなど:適量
・無塩バターまたはオリーブオイル:適量
・岩塩(粒タイプがおすすめ):適量
【作り方】
1.パンを食べやすいサイズにカットします。
2.パンにバターまたはオリーブオイルを塗ります。
3.岩塩をぱらぱらと表面にかけて、トースターでカリッと焼いたら出来上がりです。
【ポイント】
岩塩の味をしっかり感じるには、顆粒より粒が大きめのものがおすすめです。
ドレッシング代わりに【岩塩とオリーブオイル】
サラダにドレッシングもおいしいですが、シンプルに岩塩とオリーブオイルをかけても、さっぱりといただけますよ。
【材料】
・レタスやトマトなど:適量
・オリーブオイル:適量
・岩塩:適量
【作り方】
1.野菜を食べやすい大きさに切り分けます。
2.器に盛りつけた野菜にオリーブオイルをかけ、仕上げに岩塩を振りかけて完成です。
【ポイント】
先にオリーブオイルをかけて後から岩塩を振ることで、岩塩の塩味を感じやすく満足感が高くなります。
キャラメルのような味【岩塩生チョコ】
塩チョコには生地に塩を練りこんだものや、塩をトッピングしたものがあります。今回は岩塩を表面にトッピングして、ダイレクトに岩塩の味を楽しめるレシピにしました。
【材料】
・製菓用チョコレート:200g
・生クリーム:100g
・バター:10g
・岩塩:適量
【作り方】
1.チョコレートを小さく刻んでおきます。
2.鍋に生クリームを温め、沸騰直前で火を止めます。
3.鍋にチョコレートを入れ、しっかりと混ぜて溶かしていきます。
4.バターを加え、混ぜます。
5.バットや大きめのお皿に流し入れて、粗熱が取れたら上からぱらぱらと岩塩を振ります。
6.冷蔵庫で一晩冷やし固めて、食べやすい大きさに切れば出来上がりです。
【ポイント】
お好みでココアパウダーを振ってもOK。岩塩は粒の大きいものの方が、見た目や食べた時の食感が良いのでおすすめです。
【相性ばっちり】岩塩で塩豚を作ろう
おいしくて保存のきく塩豚の人気が高まっています。もともとはヨーロッパで保存食として作られていたものを、日本人好みにアレンジしたレシピが広まっているようです。
そのまま焼いて食べても絶品で、一度作ればいろいろな料理に応用ができるので塩豚にハマる人が続出しています。では岩塩を使って作る塩豚の基本の作り方や簡単な使い方のレシピを見ていきましょう。
岩塩と豚肉で作る塩豚
まずは塩豚の基本の作り方です。岩塩と豚肉さえあれば作れますので、気軽にチャレンジしてみてください。
【材料】
・豚肉ブロック(バラまたはロース):500g
・岩塩:大さじ1杯
【作り方】
1.豚肉に岩塩をまんべんなくまぶしてすりこみます。
2.ラップでしっかりと豚肉を包んで保存用のポリ袋に入れ、冷蔵庫で2~3日熟成させれば完成です。
【ポイント】
冷蔵庫で5日~1週間程度保存できます。冷凍庫なら、1か月程度を目安に保存してください。ロースやバラなどの、脂身がしっかりとした部位がおすすめです。
【シンプルで美味しい】塩豚のソテー
塩豚を作ったなら、一番シンプルな使い方はそのままソテーすることです。塩豚のおいしさを存分に味わいましょう。岩塩のうまみがしみ込んでクセになる味ですよ。
【材料】(1人前)
・塩豚:100g
・サラダ油:小さじ1杯
・胡椒:適量
・ニンニク(お好みで):1かけ
【作り方】
1.塩豚を1~2cmの厚さに切り分けます。
2.ボウルに水を入れて塩豚を入れ、10~20分塩抜きをします。
3.表面の水分をキッチンペーパーなどでふき取り、胡椒をかけます。
4.ニンニクをスライスし、油を熱したフライパンで弱火でカリッと香りが出るまで焼き、取り出します。
5.ニンニクの香りの出た油を使い、そのままフライパンに塩豚を入れて中火で片面3分くらいずつ焼いて完成です。
【ポイント】
ニンニクが苦手な人は、ニンニクを使わなくても大丈夫です。お好みで野菜を添えてどうぞ。
塩豚のスープは優しい味
塩豚と冷蔵庫の余り野菜を使って、おいしいスープを作りましょう。塩豚と野菜のうまみが溶けだした、ホッとする味わいの一品です。
【材料】(4人分)
・塩豚:100g
・冷蔵庫の余り野菜:適量
・水:500ml
・固形スープの素:1個
・胡椒:少々
【作り方】
1.塩豚は1cm幅の短冊に切り分けます。
2.野菜を食べやすい大きさに切り分けます。
3.鍋に水を入れ、固形スープを入れて沸騰させます。
4.塩豚を入れてひと煮立ちしたら、野菜を火の通りにくいものから順に入れます。
5.野菜に火が通ったら胡椒を少々振って完成です。
【ポイント】
塩豚から塩分が出るので、薄味が好きな人は固形スープを入れなくてもOK。また固形スープの代わりに岩塩や醤油で味を調えたり、カレー粉などで使い方を工夫していろいろな味を楽しめます。
まとめ~岩塩は上手な使い方で家中大活躍
岩塩は精製塩と違い、味に角がなくまろやかなうまみが魅力の調味料です。同じ岩塩でも、色の違いや産地の違いで味や香りが違っています。
精製塩に比べて溶けにくい岩塩は、仕上げに振るのがしっかりと塩味を感じられる使い方です。また、じっくりと時間をかけて味をしみ込ませる料理にも向いています。ゆっくりと岩塩が溶けていくことで、中までしっかり味が入っていきます。
色々な味や香りのある岩塩、ぜひお気に入りの岩塩を見つけておいしいお料理に使ってくださいね。