そんな疑問にお答えします。
筆者は阪神淡路大震災と東日本大震災の両方を経験したこともあり、防災意識を持って災害に備えておくことの重要さは身にしみて感じています。
そのため、日ごろからローリングストック法を活用して、普段の生活をしつつ非常時にも対応できるようにしています。
この記事では、ローリングストック法のやり方やコツなどについて、詳しく解説していきます。
目次
非常食の賞味期限切れを防ぐローリングストック法とは
まずは、ローリングストック法がどういったものなのか、という点や非常食の賞味期限管理をする上でのローリングストック法の活用メリットなどについて解説をしていきます。
『ローリングストック法』ってどんなもの?
ローリングストックという言葉は聞いたことはあっても、内容はよく分からないという方も多いかもしれません。非常食とどう関係しているのでしょうか。
『ローリングストック法』とは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が備蓄されている状態を保つという方法です。
「蓄える→食べる→補充する」を繰り返し、言葉のとおりストック(備蓄)をローリング(回転)させることで、食品を普段から使用しつつ、災害時には非常食として利用することができるのです。
ローリングストック法を活用するメリットは?
ローリングストックを使うメリットは大きく分けて3つあります。
非常食の賞味期限切れ、食品ロスの防止
非常食というと、誰もが「災害時に使うもの」と考えますよね。そのため、長期間備蓄したままになっていて、気がつくと大幅な賞味期限切れで全部廃棄した…といった失敗が起こりがちです。
ローリングストック法は日常の食品を多めに買い、賞味期限切れ前に食べて、買い足すという行為を繰り返し、常に家庭に新しい食品が備蓄される方法です。食品ロス防止にもなります。
食べ慣れた食品を備蓄できる
一般に非常食といわれるものには、普段食べ慣れないものが多くあります。
乾パンやアルファ化米など、もし一度も食べたことがなければ、いざ災害時に使おうと思っても、食べ方が分からない、味が好みでなかった…という困った事態になりかねません。
普段から食べているものを備蓄するローリングストック法であれば、食べ慣れたものが災害時の食卓に並び、安心して食事をとることができます。アレルギーなどにも対応した、家族に合った食品を揃えておくことができますね。
低コストな非常食を取り入れられる
賞味期限の長い災害用非常食は、高い保存性を実現するために様々な工夫がされています。そのため日常品より高価になりがちで、備蓄するのに費用がかさんでしまいます。
ローリングストック法で、使い慣れた食品をセールなどを利用して多めに備蓄し、賞味期限切れ前に普段の食卓で食べていくようにすれば、低コストで非常時にも備えられるため、節約になります。
ローリングストックで非常食を備えよう!
何日分の非常食を備えればいい?
ローリングストック法を始める前に、まずは、非常食を含む食料備蓄がどのくらいあればよいのかおさえておきましょう。
平成23年3月に発生した東日本大震災では、物流の混乱等により、満足に食料を調達できたのが発災後3日目以降という地域があったり、電気の復旧に1週間以上、水道の復旧に10日以上かかった地域もありました。
大規模な災害や、新型インフルエンザ等の新型感染症の発生時には、食料供給の減少が予想されるほか、保存性の高い食料品を中心に食料品の需要が一時的に集中し、一部の食料品が品薄状態や売り切れ状態になるおそれがあります。
非常時には、買いたいと思っても物が買えない状況になってしまうのです。こうした事態に備えるため、日頃から最低でも3日分、できれば1週間分程度の食料品の備蓄に取り組みましょう。
3日分の非常食の内訳や人数別の備蓄品の揃え方等については、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
非常食などの備蓄食品の賞味期限はいつまで?
せっかくの備蓄食品を賞味期限切れにしないために、非常食等の賞味期限がいつまでなのか、知っておくのも重要です。
非常食として販売されているアルファ化米、水、缶入り乾パンは、賞味期限約5年のものが多いです。缶詰は2年〜3年。レトルト食品は、1年〜2年程度となっています。
最近では非常食セットなども人気がありますので、防災用として3日分の非常食セットを備蓄しているという方もいるかもしれません。
備蓄食品は、大きく分けて『非常食』と『日常食品』の2種類があります。『非常食』は、災害時の備えとして用意し、主に災害時に使用するもの。『日常食品』は、日常から使用し、かつ災害時にも使用するものとなります。
ローリングストック法は、後者の『日常食品』を回転させながら非常時に備えるというやり方ですが、賞味期限の長い従来の『非常食』の備蓄と、『(非常食にもなる)日常食品』のローリングストックの両方を上手に活用して、災害に備えたいですね。
ローリングストックすべき「非常食にもなる日常食品」の内容と分量
ローリングストック法では、普段自分が使っている食品を少し多めに買い置きすればよいのですが、とはいっても、どんなものをどれくらい準備したらよいか、なかなか分かりづらいですよね。
農林水産省の『災害時に備えた食品ストックガイド』の備蓄例(1週間分/大人2人)では以下のように紹介されています。
・水2L×6本×4箱 ※1人1日およそ3L程度(飲料水+調理用水)
・カセットコンロ、ボンベ×12本 ※1人1週間およそ6本程度
・米2Kg×2袋
・乾麺:そうめん2袋(300g/袋)、パスタ2袋(600g/袋)
・カップ麺類×6個
・パックご飯×6個
・その他(適宜):LL牛乳、シリアルなど
・レトルト食品:牛丼の素、カレー等18個、パスタソース6個
・缶詰(肉・魚):お好みのもの18缶
・日持ちする野菜類:たまねぎ、じゃがいも等
・調味料:砂糖、塩、しょうゆ、めんつゆ等
・梅干し、のり、乾燥わかめ等
・インスタントみそ汁や即席スープ
・野菜ジュース、果汁ジュース等
・チョコレートやビスケットなどの菓子類
例を参考に必要な物や量をリストアップして、早速ローリングストックを実践してみましょう。必要量になるよう食品を買い足して、家族に合った分量が常にストックできている状態になれば安心です。
災害時の食事は、体はもちろん心の健康にも大きく関わります。レトルトやカップ麺など、普段よく食べている商品を備蓄しておけば、災害のときもお好みの味が食べられてほっとしますね。
ローリングストックを続けるための3つの「見える化」
ローリングストックを無理なく続けて大事な非常食を確保しておくためには、3つの「見える化」が必要です。
家族に見える化を
キッチン、リビング、寝室、子ども部屋など、家のいろいろなところに食料と水を分散して備蓄し、その場所を家族で情報共有します。
こうすることで、万が一どこか一部が崩壊した場合、また大人がいない場合でも、別の場所に備蓄した非常食を取り出すことができます。
賞味期限の見える化を
普段使いしている食品とはいえ、備蓄量が多いと管理がしきれず、賞味期限切れになってしまう場合があります。いざというときに賞味期限切れで食べられなかった…ということは避けなければなりません。
賞味期限切れを防ぐため、賞味期限がいつまでかひと目でわかるように油性ペンで大きく日付を書いたり、賞味期限が近づいているものを取り出しやすい位置に収納するなどの工夫をして、古いものから使って備蓄を上手に循環させましょう。
食べ方の見える化を
災害が起きたとき、非常食の食べ方がわからない、口に合わない、となっては折角備蓄をしているのに勿体ないですよね。
非常時に家族みんなが作れるよう実際に一緒に作ってみたり、ガスや電気が止まっている災害時を想定して、そのような中でどのように食べるか試したりしておきましょう。
非常食のローリングストックにおすすめの商品
ローリングストックするものは、いつもの食べ慣れた食品が一番です。ただ、災害時に非常食にもなるという観点からは、災害時に食べやすいもの、適しているものが多いほうがよいですよね。
そこで、ローリングストックにおすすめの商品をご紹介します。ローリングストックに適した食品の中で、好みに合うものが見つかれば、食料備蓄がより充実するでしょう。
カゴメ:野菜一日これ一本
1つめの非常食にもおすすめのローリングストック食品は、カゴメの野菜ジュース「野菜一日これ一本」です。
大きな災害時には野菜不足からビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素がとれず、便秘や口内炎に悩んだという声も聞かれます。そんなとき、非常食に野菜ジュースがあればビタミン等の補給ができてありがたいですね。
トマトをベースに緑野菜をバランスよくブレンドした濃厚な野菜の味わいを楽しみながら、不足しがちな野菜と野菜由来の栄養を手軽に補う事ができるので、ローリングストックにおすすめです。
カゴメの公式サイトで、『野菜ジュースでアルファ化米をおいしく食べる!』食べ方が載っていました。水ではなく、野菜ジュースでアルファ化米を戻せば以下のようなメリットが期待できそうです。
・水が節約できる
・同時に野菜の摂取もできる
・ジュースの風味が加わっておいしい
筆者も実際に作ってみました!作り方は簡単2ステップです。
1.アルファ化米に野菜ジュースを入れる
・アルファ化米を開け、脱酸素剤、スプーンなどを取り出し、袋の底をよく広げる。
・野菜ジュースを入れる。
2.混ぜて待つだけ!
すぐに混ぜて、チャックを閉じて待つ。80分以上経ったら、よく混ぜて食べる。
野菜ジュース色の鮮やかなご飯が出来上がりました。そのお味は…ケチャップライスのようで、筆者は気に入りました。味がついているので、おかずがなくてもそのまま食べられます。
ただ、味の好みは分かれるところですので、備蓄しているアルファ化米の賞味期限切れ前に実際に試してみて、この方法を災害時に採用するかどうか考えてみてください。
大塚製薬:カロリーメイト
2つめの非常食にもおすすめのローリングストック食品は、大塚製薬の「カロリーメイト」です。バランス栄養食の「カロリーメイト」、みなさんご存知ですよね。
朝食や夜食に利用したり、部活や職場に持っていったりしたことがあるかもしれません。そんな手軽なカロリーメイトですが、非常食にも適しているんです。
・非常時でも体に必要な5大栄養素をバランスよくとれる
・開けてすぐに食べられる
・備蓄にも、携帯にも便利なサイズ感
・いろんな味があるから食べ飽きない
筆者もカロリーメイトを常備しています。場所を取らないですし、賞味期限切れが迫ったら朝食やおやつにそのまま使えるのでとても便利です。もしお口に合うようでしたら、ローリングストックに加えることをおすすめします。
森永製菓:ホットケーキミックス
3つめの非常食にもおすすめのローリングストック食品は、森永製菓の「ホットケーキミックス」です。
ホットケーキはおいしくて、お子さまにも大人気です。日頃から親しみのあるホットケーキミックスですが、実は、災害時の非常食にも適しているんです。
ホットケーキミックスは、砂糖やふくらし粉などが絶妙に配合されていて調理がしやすく、食材の限られる非常時にも頼れる存在となります。レンジがあれば蒸しパンも作れますよ!
【材料】(3カップ分)
・ホットケーキミックス:150g
・水:100ml
【作り方】
1.ポリ袋に材料を入れる
2.混ぜる(手で揉む)
3.マグカップに3等分して入れて、電子レンジ(600W)で1分30秒加熱する
※電子レンジの機種により加熱時間は多少異なります。
電気はガスより復旧が早いことが予想されます。水を加えて、電子レンジで手軽にお菓子が作れたら、ほっとできるひとときが持てるでしょう。
まとめ:メリット多数!ローリングストック法で非常食の備えをしよう
ローリングストック法は、非常食の賞味期限切れを防ぎ、食品ロスを減らせるだけでなく、低コストで備蓄でき、災害時も食べ慣れた味で安心できるというメリットがあります。
いざというときでもできるだけ普段どおりの食生活が送れるよう、ローリングストック法を活用して、非常食にもなる日常食品を上手に備えていきましょう。