料理酒と日本酒、なんとなく料理に使うお酒は料理酒で、日本酒は飲む用とかで区別していませんか?でもその区別の仕方、本当に正しいのでしょうか?
料理酒と日本酒の違いを正しく知ることで上手に使い分けることができ、料理がより美味しく仕上がるかもしれませんよ。
目次
料理酒と日本酒の大きな違いは「塩分」
料理酒と日本酒、その大きな違いは『塩分の有無』です。そして塩分の有無により飲む・飲めないという違いがあります。
料理酒には塩分が含まれていて、飲むことを目的としていません。そのため料理酒は飲料ではなく発酵調味料に分類されています。
対して日本酒は塩分なし、酒類に分類されています。美味しく飲むために作られているので、その芳醇な香りや味に魅了されている方もいるのではないでしょうか。
料理酒:米、麹、醸造アルコール、糖類、アミノ酸、塩
日本酒:米、麹(醸造アルコール)
料理酒は塩以外に糖類やアミノ酸などで味を調えています。
それ以外の原材料は日本酒と大きく変わりません。飲む・飲めないで言うなら、飲めないというより飲んでも美味しくないというのが正しいかもしれませんね。
料理酒と日本酒の用途の違いって?
料理酒と日本酒、料理に使う時の用途に大きな違いはありません。料理酒でも日本酒でも、同じように使えます。
料理酒と日本酒の大きな違いは塩分。塩分のあり・なしは料理の味や仕上がりにも影響がでそうだし、本当に同じ用途でいいのかなって思いませんか?
料理酒と日本酒では用途に違いはありませんが、効果には少し差が出てしまいます。
料理酒・日本酒を料理に使う効果は?
料理酒と日本酒が、料理に対してどのような効果を及ぼすのかを見てみましょう。意外な効果もあるのではないでしょうか。
生臭さを消す
共沸効果と呼ばれる効果で、料理酒・日本酒に含まれているアルコールが揮発する時に、肉や魚などの生臭いにおいも一緒に飛ばします。よく知られた効果ですね。
煮崩れを防止する
料理酒・日本酒には食材が煮崩れしにくくなる効果があります。料理酒・日本酒に含まれるアルコールが、食材の細胞壁の結びつきを強くしてくれるからです。
味をまろやかにする
調味料から感じる味のカドを取ることで、料理をまろやかに仕上げます。カドとは舌を刺すような刺激・違和感のこと。これが柔らかくなるんですね。また、味に複雑さを持たせる効果もあります。
香りづけ
料理を美味しく仕上げるには、香りも重要なファクター。料理酒・日本酒に含まれるアミノ酸などを加熱することで、料理に風味をもたらします。
味の染み込み
料理酒・日本酒に含まれるアルコールは、もともと食材に浸透する速度が速いのですが、浸透する際に他の調味料の成分も合わせて浸透させてくれます。
食材を柔らかくする
食材を柔らかくするには、食材の保水力を保つことが必要。料理酒・日本酒に含まれるアルコールには、保水力をアップさせる力があります。
料理酒に向かないのはこの2つ!
料理酒・日本酒の効果としてご紹介した6つのうち、「味の染み込み」と「食材を柔らかくする」の2つは、料理酒にはちょっと苦手なんです。理由は料理酒に含まれる塩分。
食材に塩分が入り込んでしまうと、甘味が染み込みにくくなります。料理酒には塩分が含まれているため、場合によっては味が染み込むのを邪魔してしまうんですね。
また塩分には、食材の水分を抜く作用があり、アルコールの持つ保水力の邪魔になることも。食材を柔らかくするという効果が半減してしまう可能性があります。
ポイントは『料理のさしすせそ』
「味の染み込み」「食材を柔らかくする」ことに料理酒が全く使えないかというとそうではありません。ポイントは『料理のさしすせそ』です。
味を染み込ませいた時は…料理酒(塩分)を加える前に砂糖を加えましょう
食材を柔らかくしたい時は…食材の保水力を保つ砂糖をまぶしてから料理酒に漬けてください
『料理のさしすせそ』を守り、先に砂糖(甘味)を使うことで、料理酒が苦手とする2つにも十分効果を発揮できます。
レシピに「酒」とあったらどっちを使う?
お料理レシピに特に指定なく『酒』とだけ記載されている場合は、塩分なしの日本酒を使う方がよいでしょう。
ただし、『料理酒は絶対ダメ』ではありませんよ。料理酒に含まれる塩分を考慮して、調味料の分量や使うタイミングを調整すれば料理酒でも十分美味しく仕上がります。
レシピに『料理酒』と記載されていたら日本酒は使えないかというとそうではなく、味を見ながら塩分などの調味料を調整すれば代用できます。
料理酒の塩分を活かした料理もある
塩分を含んだ料理酒だからこそできる、超スピード料理です。他の調味料は一切必要ないから、失敗なしですよ!
砂抜きしたアサリ200g~300gを流水でよく洗い、お鍋にイン。
料理酒70mlを入れ、蓋をして加熱。沸騰したら弱火にし、アサリの口が開いたら完成です。お好みで三つ葉や小口ネギを添えるとよいですね。
料理酒に含まれる塩分や雑味が酒蒸しの味わいにふくよかさをもたらし、コクが出るという利点があります。早速今晩の夕食にいかがですか。
他にもある!料理酒と日本酒の違い
料理酒と日本の大きな違いは『塩分』ですが、塩分が含まれることで、大きく違う部分が他にもあるんです。
料理酒には酒税がかからない
酒税というのは、酒類にかかる税金のことです。アルコール度数が1%以上の飲料は酒類に分類されるので、飲用に作られた日本酒には酒税がかかります。
対して、料理酒のアルコール度数は約13%ですが、料理酒に酒税はかかりません。なぜなら、料理酒は飲用に適さないためです。料理酒の方が少し安く購入できる分、惜しみなく使えそうですよね。
料理酒と並ぶ調味料であるみりんには、酒税がかかります。みりんはアルコール度数約14%、飲用も可能な酒類調味料に分類されるからなんですね。(みりん風調味料はのぞく)
みりんは飲んでも美味しいんです↓↓
日本酒は販売に許可が必要
料理酒と日本酒では、販売店にも違いがあります。料理酒はアルコール度数約13%ですが飲用できないという前提があり、販売に特別な許可は必要ありません。
一方、日本酒の販売には酒類小売事業免許が必要です。日本酒を購入するなら、酒類小売事業免許を持ったお店に足を運ばなくてはなりません。
最近は酒類を扱うスーパーやコンビニが増えているためどこでも購入できるように思いますが、実はこういった違いがあるんですね。
料理酒と日本酒の違いを知って使いこなそう
料理酒と日本酒の大きな違いは塩分。塩分の有無は料理の仕上がりに影響しやすいので、使うタイミングに気を付けたり、上手に使い分けたりすることが大切です。
料理酒と日本酒は、酒税がかかるか、かからないかによって価格にも差があります。バランスよく使うことは、家計にも役立ちますね。