そう思っている人も多いのではないでしょうか?豆乳の原料は大豆。
一から豆乳を作るとなると、作り方が難しくて手間もかかりそうというイメージが強いかもしれませんが、実は、豆乳は意外と簡単に手作りできてしまうのです。
この記事では、豆乳の作り方や失敗しないためのポイント、さらには、自家製豆乳を使って作れる簡単な豆腐の作り方などについてご紹介します。
目次
「豆乳メーカー」がなくても大丈夫!豆乳の作り方は意外に簡単!
自家製の豆乳は、新鮮で大豆本来の風味を味わえる濃厚な豆乳を作れることが最大のメリット。
専用の調理器具がなくても意外に簡単に作れてしまうのも嬉しいポイントです。作り方とあわせて、まずは必要な道具をチェックしていきましょう!
豆乳を作るために必要な道具
豆乳は、「豆乳メーカー」と呼ばれる専用の電気調理機器を使えば、スイッチひとつで簡単に作ることができます。
しかし、豆乳メーカーを使わなくても、家庭用のミキサーがあれば大して手間もかけずに簡単に豆乳を作れます。家で豆乳を作る場合に必要な器具は以下のとおりです。
・ミキサー
・ボウル
・ザル
・大きめの鍋
・計量カップ
・こし布(さらしやガーゼなど)
・ヘラ
こし布は豆乳をしぼる際に必要です。大判のさらし布がベストですが、大きなガーゼを2枚重ねにしたものや、日本手ぬぐい、洗える(破れにくい)キッチンペーパーなどでも代用できます。
さらしは、ドラッグストア、手芸店、通販などで入手できます。「しまむら」や「西松屋」にも売っているようです。そのままでも使えますが、頻繁に作るのであれば袋状に縫うと使いやすいですよ。
ミキサーなしやフードプロセッサーでも作れる?
ミキサーは吸水させてやわらかくなった大豆をすり潰すために使います。水といっしょに潰すのでミキサーを使う方法がいちばん便利で簡単です。
ミキサーがない場合はすり鉢ですり潰す方法がありますが、多大な労力と時間が必要になってきますよね。
また、フードプロセッサーでもできないわけではありませんが、基本的にフードおプロセッサーは液体やきれいなペーストにするには不向きなので、ミキサーの方がよいでしょう。
少量であれば、ブレンダーを使ってもよいですね。
豆乳作りは簡単4ステップ!失敗知らずの作り方のコツ
では、大豆から作る自家製豆乳の作り方とポイントを、順を追って詳しく解説していきましょう。
1.大豆を浸漬(しんせき)する
豆乳を失敗なく作るひとつめのポイントは、大豆にしっかりと吸水させることです。大豆の吸水には一晩以上かかるので、作る前日から水に浸しておきましょう。
【材料】(作りやすい分量:でき上がりで700~750ml)
大豆 250g
水 900ml
浸漬用の水 1000mlくらい
【浸漬方法】
1.大豆を洗う。ゴミなどを取り除き、水を2~3回換えてしっかりと洗う。
2.大きめのボウルに洗った大豆と浸漬用の水を入れて一晩くらい浸けておく。
大豆は水で戻すと2~2.5倍ほどの大きさになるため、大きめのボウルと大豆の4倍くらいの量の水を用意しましょう。
浸漬時間は、夏なら10時間程度、冬は15~16時間くらいが目安ですが、大豆の種類や状態、気温や水温によって左右されます。
元の大豆の大きさの2~2.5倍になっていたら半分に割ってみて、断面がパックリと平らに割れたら十分に吸水ができている合図です。
2.大豆を潰して「生呉(なまご)」を作る
大豆が十分に吸水していれば、次にミキサーで大豆をすり潰していきます。大豆をすり潰したペースト状のものを「生呉(なまご)」といいます。
水の分量は900mlとしていますが、基本的には戻した大豆と同じ量の水と考えるとわかりやすいですね。
1.浸漬した大豆をザルにあげてしっかりと水気を切る。
2.ミキサーに大豆と大豆の半量の水(450ml程度)を入れて、なめらかになるまでミキサーにかける。指でこすり合わせてみて固形が残らなければOK。
3.2を数回繰り返し、全量をペースト状になるまですり潰す。
基本的に、大豆を潰す際に加える水の量は戻した大豆の重量の半分程度です。例えば戻した大豆の量が200gなら100mlの水を入れるということになりますね。
水の量の目安は、大豆がひたひたに浸かる程度と覚えておくとよいでしょう。お好みで濃いめや薄めの豆乳を作りたい場合は、ミキサーに入れる水の量を調整してください。
また、大豆をしっかりと潰せるように、ミキサーにあまり多くの量を入れすぎないように注意してください。量が多い時は数回に分けて潰すようにしましょう。
3.すり潰した大豆に火入れをする
大豆をすり潰してできた生呉を加熱します。火入れは、大豆特融の不快な大豆臭(青臭さ)を和らげることがいちばんの目的です。
大豆臭は、大豆に含まれるリノール酸という脂質が酸化することによって発生します。大豆中に含まれている酵素が酸化を進みやすくするため、加熱によって酵素を失活させて青臭さを減らします。
1.すり潰した大豆を大きめの鍋に入れ、すり潰す際に使わなかった残りの半量の水(450ml程度)を加えて火にかける。
2.沸騰するまでは焦げないように絶えずヘラで混ぜながら中火~強火で加熱する。
3.沸騰してきたら弱火にして、ヘラでかき混ぜながら約10分加熱を続ける。
大豆をすり潰した呉はとても焦げやすいので、鍋底をヘラで絶えずかき混ぜ続けるようにします。沸騰すると泡が大量に出てくるので、吹きこぼれないように注意してください。
吹きこぼれそうになったら一旦火を止めて、収まってから再び火にかけるとよいでしょう。
4.大豆ペーストをこして豆乳とおからに分ける
最後に、煮上がった大豆のペーストをこして絞り、液体と固形に分けます。絞り出した液体が豆乳で、固形部分がおからです。
1.水に濡らして固く絞ったこし布をザルの上に敷き、煮上がった大豆のペーストを少しずつ入れてこしていく。
2.こし布に残った固形分は、木べらなどを押し付けて水分が出なくなるまでしっかりと絞り切る。
布に残った固形分を絞る際はとても熱いので火傷をしないように注意してください。豆乳を絞った後のおからは捨てずに料理などに活用しましょう。
手作り豆乳は保存が利きにくい
市販の四角いパックに入っている豆乳は殺菌した豆乳を無菌状態で充填しているため、未開封なら4~6ヶ月程度の保存が可能です。しかし、手作り豆乳の場合は作った日から1~2日程度しか日持ちがしません。
ですから、できるだけ1度に使い切れる分量の豆乳を作るようにしましょう。また、手作り豆乳は傷みやすいので、使う器具は使う前にしっかりと洗い、雑菌が混入しないようにしてください。
特に、火入れした後のペーストを絞る際は要注意です。ちなみに、豆乳の冷凍保存はあまりおすすめできません。分離したり風味が落ちてしまう原因となります。
豆乳のえぐみが気になる場合の対処法
大豆には独特のえぐみ(苦みと渋みが合わさったような味)があります。市販の無調整豆乳でも独特のえぐみがあるので苦手な人も多いようですが、豆乳を手作りするとえぐみが気になるという話もよく聞きます。
このえぐみの正体は大豆サポニンという成分です。すり潰した大豆を加熱すると大量に泡が出てきますが、この泡が大豆サポニンです。そのため、火入れの時に出てくる泡を取り除いてしまえばえぐみは軽減されます。
ただし、大豆サポニンには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去する効果があることがわかっていて、動脈硬化を予防する効果が期待されている成分でもあります。
えぐみを減らすか健康効果を取るか、悩ましいところですね。
おいしい豆乳作りには作り方+材料選びも大切!
手作りの豆乳の材料は大豆と水だけでそれ以外の余計なものは一切入っていないので、素材の味が豆乳のでき上がりにダイレクトに影響します。
ですから、おいしい自家製豆乳を作るには、作り方以外に材料にこだわってみるのもひとつの方法です。
豆乳におすすめの大豆は?どれを選べばいい?
豆乳作りに適している大豆は、たんぱく質とショ糖が多く含まれている品種が適していると言われています。自家製豆乳におすすめの大豆には次のような品種があります。
自然な甘さとバランスの良さなら「フクユタカ」
九州から東海地方で栽培されていて、国内で最も生産量の多い大豆です。たんぱく質とショ糖の含量が高く、ほのかな甘みが特徴で、豆腐に最も適した品種とも言われています。
市販の大豆の多くは産地が記載されているので、九州から東海地方産の大豆はフクユタカである可能性が高いですね。
甘さ豊かな「北海道とよまさり」
「ユキホマレ」、「トヨムスメ」、「トヨコマチ」など7品種で構成される北海道を代表する大豆の銘柄です。
たんぱく質含量や脂質の割合はフクユタカよりも少なめですが、ショ糖の含量がとても高い特徴(フクユタカのショ糖含量が約6.5%であるのに対し、とよまさりは7.8程度)があります。
そのため、豆乳のおいしさの指標でもある甘さが豊かな豆乳を作るのに適している銘柄です。
北海度の大豆の全国シェアは約4割で、その北海道を代表する銘柄であるため、市販の北海道産の大豆はとよまさりである可能性が高いと言えます。
とよまさりに次ぐ甘味が自慢「タマホマレ・オオツル」
中国四国・近畿地方で主に栽培されている大豆で、北海道とよまさりに次いでショ糖含量が高い品種です。
タマホマレで作った豆腐は甘みが強くてコクがあり、風味が豊かであると言われているので、豆乳にしても甘くてコクのある風味を味わえますね。
また、オオツルもタマホマレ同様に中国四国・近畿地方で主に栽培されていて、甘みが強いことが特徴の品種です。
良質な水にもこだわりを!
乾燥した大豆に水を吸わせると約2.5倍に膨れます。多量の水を吸収するので、おいしい豆乳を作るためには水にもこだわりたいものですね。
大豆を浸漬する水やすり潰す際に入れる水は水道水でもかまいませんが、できるだけ良質の水を使うと、豆乳のおいしさにつながります。
ミネラルウォーターを使う場合は軟水を使い、アルカリイオン水や硬水は避けるようにしましょう。
大豆をしっかりと洗えば浸漬する水をそのまますり潰す際に使っても問題ありませんが、できるだけきれいな新しい水を使うことをおすすめします。
また、こだわる人は、大豆を洗う際にも良質の水を使う人も多いようです。
参考までに、筆者が使っているのはこちらの水です。完全国産の富士山の地下水で、硬度も32mg/Lと飲んでもおいしくおすすめです。
自家製豆乳を使った豆腐や湯葉の作り方を紹介!
手作りをした豆乳は、市販の無調整豆乳と同等かそれ以上に大豆固形分が多めです。ですから、自家製豆乳を使って豆腐や湯葉などを作ることもできます。
豆腐や湯葉を作る豆乳は大豆固形分が11~14%程度が望ましいとされているので、豆乳を作る際に水の量をあまり増やさないようにしましょう。
レンジで超簡単!自家製豆乳を使った豆腐の作り方
自家製豆乳と市販のにがりを使うと、混ぜてレンジで加熱するだけで簡単に豆腐が作れます。
【材料】(3~4人分)
自家製豆乳 300ml
にがり 3ml
【作り方】
1.自家製豆乳ににがりを加えて、泡立たないように注意して混ぜる。
2.1を耐熱容器に2~3等分し、ラップをふわっとかけて600Wの電子レンジで1分~1分半程度加熱する。
3.ラップをしたまま5分程度蒸らす。
【ポイント】
・豆腐はにがりを入れるとすぐに固まり始めるので、混ぜる時は手早く10回くらいを目途に混ぜるようにしてください。
・レンジで加熱してもまだ固まっていないようであれば、様子を見ながら加熱時間を追加してください。
にがりに関する注意点
にがりは主成分が塩化マグネシウムの海水から海水から取れる液体ですが、マグネシウム含量に関する定義がはっきりと決められていません。
そのため、マグネシウムの含有量は銘柄によってまちまちで、大阪府消費生活センターが行ったテストでは約17倍の差があったそうです。
原液タイプのにがりの場合だとマグネシウム含量は100gあたり4000~5000mg程度で、豆腐を作る場合に必要な量は豆乳に対して約1%が基本です。
しかし、にがりの商品によってはマグネシウム含量が低いタイプもあるので、購入する際はマグネシウム含量や商品に書かれている使用例を確認するようにしてください。
ホットプレートで汲み上げ湯葉も簡単に作れる!
自家製豆乳を使うと作りたての汲み上げ湯葉も簡単に作れます。作り方はとても簡単!豆乳を温めると表面に膜が張ってくるのを待つだけです。
湯葉は大豆のたんぱく質が固まったものなので、だんだんと固まりにくくなってきますが数回は湯葉を作れます。
湯葉を作る際の豆乳の温度は90℃前後が適していて、沸騰させないようにすることが大切です。逆に温度が低いと膜が張って来ないので温度管理に注意しましょう。
土鍋やフライパンでも作れますが温度管理がなかなか面倒なので、ホットプレートを使うと簡単に湯葉を作れます。温度は140℃程度のいちばん低い温度に設定しましょう。
湯葉を作り終えた後の豆乳は、好きな具材を足して麺つゆなどで味付けをして麺類やスープにするとよいですね。
自家製豆乳が青臭くて飲みづらい時の対処法
大豆をすり潰して絞っただけの自家製豆乳は大豆成分がそのまま入っているため、大豆特有の青臭さやえぐみを感じることがあります。大豆臭が苦手で飲みづらい場合は、甘みをプラスすると飲みやすくなります。
ハチミツや砂糖を少し入れるだけでもずいぶんと飲みやすくなるはずです。また、豆乳はどのような味にも合いやすいので、コーヒー、紅茶、ココア、ジュースなどを入れて飲んでもよいでしょう。
ハチミツとレモンを入れる飲む方法もおすすめです。レモンの酸で豆乳のたんぱく質が固まってヨーグルトのような風味になります。
まとめ:ポイントを押さえれば作り方は簡単!手作り豆乳を作ってみよう!
豆乳を大豆から手作りすると難しくて手間がかかりそうと思いがちですが、実際に作ってみると思っていたよりも簡単です。
大豆を浸漬する時間は一晩程度必要ですが、あとはミキサーで大豆を潰して10分程度加熱するだけ。ポイントさえ押さえていれば、失敗することもほとんどありません。
大豆から手作りした豆乳は濃厚で新鮮!豆乳として飲むだけでなく、濃厚は豆腐や湯葉も作れます。必要な材料や器具も比較的手に入りやすいものばかりなので、ぜひ挑戦してみてくださいね。