チョコレートを手作りするには、市販のチョコレートを溶かしてアレンジするか、カカオマスに砂糖やミルクなどを混ぜて作る方法が一般的ですよね。
しかし、おいしく作るためにはチョコレートの適切な温度管理が必要で、これがなかなか難しく、失敗も多い作業です。
そこで、ココナッツオイルとココアパウダーを使うと、初心者でも簡単に手作りチョコレートが作れてしまいます。
この記事では、ココナッツオイルを使ったチョコレートの作り方やアレンジレシピをご紹介します。
目次
どうしてココナッツオイルでチョコレートが作れるの?
ココナッツオイルを使うと簡単に手作りチョコレートが作れると言われても、ココアと油を混ぜるだけで本当にチョコレートができるかどうか疑問に感じてしまいますよね。
これは、チョコレートができるまでの工程を押さえておくと理解しやすいですよ!
市販のチョコレートの原料と製造工程
市販のチョコレートの原料や大まかな製造工程がわかると、ココナッツオイルとココアパウダーからチョコレートが作れるという理由がわかってきます。
まずは、チョコレートの原料や作り方について簡単に見てみましょう。
チョコレートも純ココアも原料は同じカカオマスです。カカオマスとは、カカオ豆の皮を取り除いたカカオニブをすりつぶしてペースト状にしたもの。
チョコレートは、カカオマスに砂糖やミルク、少量のココアバター(カカオバター)などを加えて作ります。
一方、ココアはカカオマスから油脂分であるココアバターを分離した後に、残ったココアケーキを粉砕したものです。
チョコレートにはココアバターの油脂分が多く含まれていますが、ココアは含まれている油脂分が少ないことがわかりますよね。
油脂分をココナッツオイルで置き換える
チョコレートに艶があり口の中でさっと溶けるのは、チョコレートに含まれるココアバターの粒子がきれいに並んでいて安定した状態にあるからです。
しかし、チョコレートを溶かすとココアバターの粒子がバラバラになり、そのまま固めると粒子がバラバラの状態で固まるために、艶がなくザラザラとした口溶けの悪いチョコレートになってしまいます。
なめらかな口溶けのチョコレートにするには、温度調節をしながら攪拌することで、ココアバターの粒子を安定した構造の結晶にする「テンパリング」という作業が必要です。
しかし、テンパリングは1℃単位の温度調節が必要なため、初心者には簡単にできるものではありません。
そこで、テンパリングが必要なココアバターを使わずに、代わりに温度が下がると固まる性質のあるココナッツオイルを使うことで、簡易版のチョコレートを作ってしまおう!というわけです。
言ってみればインスタントチョコレートのようなものですね。
カカオ分には純ココアを使用
チョコレートの味わいの決め手となるのがカカオ分ですよね。チョコレートの主原料はカカオマスですが、市販チョコの多くには、風味やなめらかさなどをよくする目的でココアバターやココアパウダーも加えています。
市販のチョコレートにも「カカオ分〇%」と書かれた商品がありますが、このカカオ分というものは、カカオマス、ココアバター、ココアパウダー全ての含有量を表しています。
ココナッツオイルでチョコレートを作る場合は、カカオ分としてココアパウダーを使用します。ココアパウダーは、国が定める食品の規格によって以下の2種類に分けられます。
・純ココア(ピュアココア):
ココアバターが22%以上、水分が7%以下で、バニラ系香料以外のものを含まないもの
・調整ココア:
純ココアに、砂糖、乳製品、ナッツ、麦芽などを加えて飲みやすくしたもの
このうち、ココナッツオイルで作るチョコレートには、純ココアパウダーを使用します。なかには紛らわしい商品名も存在するので、購入する際は上記の基準を満たしているかどうかを必ず確認するようにしてください。
ココナッツオイルチョコレートは普通のチョコとどう違う?
ココナッツオイルと純ココアで作るチョコレートは普通のチョコレートと比べてどのような特徴の違いがあるのでしょうか?
一般的なチョコレートとは口溶けが違う!
ココアバターは25℃くらいまでは固体の状態ですが、25℃を超えると溶け始めて30℃を超えると一気に溶け出し、35℃くらいで完全に溶ける性質があります。
ですから、室温では固形の状態ですが、口に入れると一気にとろりと溶け出し、溶けることで固体の中に閉じ込められていた風味が口の中に一気に広がります。
一方、ココナッツオイルの融点は約24℃。20℃くらいから溶け始め、25℃くらいになると完全に溶けてさらさらとした透明な液体になります。
できあがったチョコレートは、20~25℃くらいの室温ではペースト状になってしまいますので、冷蔵庫で保管する必要があります。
また、25℃で完全に溶けてさらさらした状態になるので口に入れるとすっと溶けて、一般的なチョコレートのようにとろりとした食感はほとんど味わえません。
しかし、その分カカオの風味や甘さをダイレクトに味わえることが特徴です。
一般的なチョコレートとの風味の違い
一般的なチョコレートは、カカオ分が35%以上(または、カカオ分21%以上でカカオ分と乳固形分の合計が35%以上)で、ココアバターの割合が18%以上と決められています。
一方、純ココアパウダーは、カカオ分は100%ですがココアバターの割合は22~24%程度です。
ですから、ココナッツオイルと純ココアで作ったチョコレートのカカオ分の割合は20~30%程度でココアバターは5~8%程度。特にココアバターの割合が一般的なチョコレートよりもかなり低くなります。
そのため、ココアバターの特徴であるまろやかさや甘い香りが弱めで、ビターなチョコレートになる傾向があります。
はちみつなどでまろやかな甘さを出す工夫を!
ココナッツオイルと純ココアでチョコレートを作ると、まろやかさや甘い香りが控えめになる可能性があるので、使う材料を工夫してまろやかさや甘い香りを出すと、おいしく仕上がります。
例えば、ココナッツオイルはクセのない精製オイル(RBDココナッツオイル)ではなく、甘い香りのあるバージンココナッツオイルを使うようにするとよいでしょう。
また、甘味は砂糖でも良いのですが、はちみつやメープルシロップを使うと、まろやかな甘さになるだけでなく、甘い香りもプラスできます。
また、乳製品やバニラの香りを加えても、まろやかさや甘い香りがより引き立つチョコレートになります。
ココナッツオイルで作るチョコレートの簡単レシピ4選
では、ココナッツオイルと純ココアパウダーで作る自家製チョコレートのレシピを4つご紹介します。
材料3つで超簡単!基本のココナッツオイルチョコのレシピ
ココナッツオイルと純ココアパウダーで作るチョコレートの基本のレシピです。生クリームを使わないにもかかわらず、生チョコのような味わいを楽しめます。
【材料】(7~8cm四方くらいの大きさ分)
ココナッツオイル 60g
ココアパウダー 30g
はちみつまたはメイプルシロップ 40g
【作り方】
1.ココナッツオイルを湯煎かレンジで溶かしておく。
2.ボウルにココアパウダーを入れ、はちみつ・メイプルシロップを加えてよく混ぜる。
3.溶かしたココナッツオイルを少しずつ加え、ダマにならないようによく混ぜ合わせる。
4.ラップやクッキングシートを敷いたタッパーなどに流し入れ、冷蔵庫で2~3時間冷やし固める。
5.型から外し適当な大きさに切り分ける。
【ポイント】
・はちみつ・メイプルシロップの量はお好みで加減してください。また、お好みでナッツを混ぜてもよいでしょう。
・粘度が低い状態だと粉類が沈殿しやすいので、ややペースト状になるまで混ぜながら冷まし、ペースト状になってから型に入れるとよいでしょう。
生クリーム不使用!ピーナッツ風味の生チョコ風トリュフ
生クリームを使わずに作れる生チョコ風のトリュフです。ピーナツバターを入れることで香ばしさがプラスされます。
【材料】(6~8個分)
ココナッツオイル 60g
メープルシロップ 30g
ココアパウダー 25g
無糖ピーナッツバター 15g(大さじ1杯程度)
ココアパウダー(コーティング用) 適量
【作り方】
1.ココナッツオイルは湯煎かレンジで溶かしておく。
2.ボウルにココアパウダー、メイプルシロップ、ピーナツバターを入れてよく混ぜる。
3.溶かしたココナッツオイルを加えてなめらかになるまでよく混ぜ合わせる。
4.でき上がったチョコレート生地を6等分、もしくは8等分にし、ラップでひと口大に丸める。
5.ココアパウダーをまぶし、冷蔵庫で1~2時間冷やし固める。
【ポイント】
・チョコレート生地がやわらかくて手で丸めることが難しい場合は、冷蔵庫で5分程度冷やしてから丸めてください。
・タッパーなどに入れて冷やし固めてから、ひと口大にカットしてココアをまぶしてもよいでしょう。
小腹の足しに!フルグラで作る簡単チョコバー
小腹の足しになるような食べ応えのあるチョコバーも、市販のフルグラを使うと簡単に作れます。
【材料】(約10個分)
ココナッツオイル 40g
ココアパウダー 15g
はちみつ・メイプルシロップ 20~25g
フルーツグラノーラ 40g
【作り方】
1.ココナッツオイルは湯煎かレンジで溶かしておく。
2.ココアパウダーにはちみつ・メイプルシロップをよく混ぜる。
3.溶かしたココナッツオイルを少しずつ加えて、なめらかになるまで混ぜ合わせる。
4.フルーツグラノーラを入れて、ざっくりと混ぜ合わせる。
5.ラップかクッキングシートを敷いたバッドなどに入れて、冷蔵庫で30~1時間程度冷やし固める。
6.しっかりと固まったらお好みの大きさに切り分ける。
【ポイント】
・ココナッツオイルで作ったチョコレートは触っただけで溶けてくるので、ひと口サイズに切るとよいでしょう。
抹茶ホワイトチョコの生チョコ風
純ココアパウダーの代わりにバターミルクパウダーを使うと、ホワイトチョコレートのようなココナッツオイルチョコレートも作れます。
【材料】(7~8cm四方くらいの大きさ分)
ココナッツオイル 60g
バターミルクパウダー 25g
砂糖 35g
抹茶 10g
【作り方】
1.ココナッツオイルは湯煎かレンジで溶かしておく。
2.ボウルにバターミルクパウダー、砂糖、抹茶を入れ軽く混ぜる。
3.溶かしたココナッツオイルを少しずつ入れて、なめらかになるまでよく混ぜる。
4.ややペースト状になってきたらラップなどを敷いたタッパーなどに流す。
5.冷蔵庫で2時間くらい冷やし固める。
【ポイント】
・ココアパウダーを使う場合よりもさらに粉類が沈殿しやすいので、型に入れる前にややペースト状になるまで混ぜながらしっかりと冷ましましょう。
・抹茶の代わりにきな粉やイチゴパウダーなどを入れると、別のフレーバーも楽しめます。
まとめ:ココナッツオイルを使うと手作りチョコレートが簡単!
カカオマスや市販のチョコレートを使って手作りチョコレートを作ると、テンパリングに手間がかかり失敗してしまうことも珍しくありません。
しかし、代わりにココナッツオイルと純ココアパウダーを使うと、テンパリングをする必要もなく、自家製チョコレートを簡単に作れます。
材料の割合を多少変えても失敗することはほとんどないので、手軽にいろいろなアレンジも楽しめます。ぜひ一度、チャレンジしてみてください。