近頃スーパーで当たり前に見かけるようになったこめ油。少し前まではサラダ油の隣はオリーブ油かごま油だったのに、今はこめ油が何種類も並んでいることも珍しくないですよね。
実は筆者もここ2、3年もっぱらこめ油ユーザーであります。
そんなわけで(?)、こめ油の使い方・特徴から健康効果まで、なんとなくこめ油を使っている筆者が徹底調査してみました!
目次
使い方色々!こめ油ってこんな油
最近注目のこめ油。実は江戸時代から製造され、素麺の伸ばし油などの使い方で親しまれてきた油ということをご存じの方は少ないはず。
こめ油は学校給食に使用される油の4割を占めており(文部科学省「学校給食栄養報告」)スナック菓子の揚げ油としても使用されている身近な油なんです。
原料はお米、ではなくお米よりもさらに栄養価の高い玄米の精製過程で出る米ぬかです。輸入原料に頼るほかの植物油とは異なり、国産原料から作られる貴重な油でもあります。
クセが少なく様々な料理に活用できる
こめ油は味にクセがなくごま油やオリーブ油のような特有の匂いもありません。
そのため素材の持ち味を邪魔することなく、繊細な味わいを楽しむ使い方ができるのが魅力です。国籍を問わずあらゆるジャンルの料理となじみがよく、調理法も選ばない優等生のこめ油。
ごま油や亜麻仁油の使い方と同様に、食材に生のままかけるのもよし、耐熱性に優れているためサラダ油と同じような感覚で加熱調理に使うこともできます。
特にこめ油には抗酸化成分が豊富に含まれるため、炒め物や揚げ物の調理におすすめです。開封後も味や匂いが劣化しにくく風味が損なわれにくいため日常的に気軽に使える油なんですよ。
からだにいい優しい栄養成分がたっぷり
こめ油はどんな使い方でも食材の持ち味を引き立たせてくれる万能調理油というだけでなく、からだにいい効能を期待できるヘルシーな油でもあります。
ここではこめ油を使うことによる健康へのメリットについて解説します。
理想的な脂肪酸のバランス
こめ油の脂肪酸は血中コレステロールを低下させるオメガ6系のリノール酸と悪玉コレステロールを低下させるオメガ9系のオレイン酸が主成分として構成されています。
脂肪酸の理想的な摂取比率がオレイン酸4:リノール酸3とされる中、こめ油はオレイン酸42%:リノール酸37%と理想に近い数値です。
これに対して、サラダ油やコーン油に多く含まれるのはリノール酸。適度な摂取は体にいいのですが、過剰摂取は動脈硬化のリスク等があるので摂り過ぎに注意したいところ。
使い方を工夫しながらこめ油を日常的に取り入れることで、毎日の食事でからだをケアすることができます。
ダイエットや美容にもおすすめ
こめ油にはからだを整えるだけでなく、美肌やダイエットに効果的な成分もたっぷり含まれています。
その中でも特に優れた栄養素がビタミンEとトコトリエノール(通称スーパービタミンE)。2つともアンチエイジングに欠かせない抗酸化物質であり、細胞の健康維持効果が高く美肌効果が期待できます。
ビタミンEの約50倍の抗酸化作用を持つといわれるトコトリエノールは、ほかの植物油と比べると圧倒的に豊富に含まれています。
また、こめ油に含まれるガンマオリザノールは自律神経を整える働きがあり、スムーズな代謝を促進してくれます。
ちょっとびっくりな使い方も。
皮膚の乾燥が気になる箇所にこめ油を薄く塗ることで保湿効果も期待できます。こめ油には肌の皮脂に含まれる成分が多く含まれているため、肌なじみがよく潤いを閉じ込めてくれますよ。
食べてもよし、塗ってもよしのこめ油、いろんな使い方で自分磨きに取り入れてみたいですね。
危険という噂はホント?デメリットはある?
ここまでこめ油の使い方とメリットについてお話してきましたが、
と気になる読者さまも多いはず。
もちろんこめ油にもデメリットはあります。
価格が若干高いことが多い
すでにお気づきの方も多いかもしれませんが、サラダ油などの植物油に比べてこめ油は少し高めの値段で売られています。
スーパーで手に入る一般的なサラダ油は1Lあたり350円前後、対してこめ油は安いものでも1Lあたり650~700円で売られているので2倍近くします。
それもそのはず、こめ油の原料米ぬかに含まれる油分は約20%、玄米100kgから採れるこめ油はわずか1kgと貴重な油なのです。
日常的に使うには高い!という方は揚げ物はサラダ油で、そのほかはこめ油を使うなど使い方を工夫すると取り入れやすいですよ。
こめ油が危険という噂は?
この噂は1968年に北九州市で起きたカネミ倉庫株式会社のこめ油を食べた人に皮膚の異常や内臓疾患(カネミ油症)が見られたという公害に端を発したもの。
実際にはこめ油そのものではなく製造過程で有害化学物質が混入したことが原因でした。
しかし、海外でも大きく取り上げられたほどの食品業界の大事件だったため、特に当時を知る世代を中心に「こめ油=危険」という誤った認識につながったようです。
こめ油の選び方のコツ
日常使いできるこんないい油があるなら早速スーパーで見てみようと思った読者の皆さん、選ぶ際は次の2つをチェックしてみてください。
同じこめ油、同じ使い方でも栄養価が全然違ってきますよ。
ポイント1.抽出方法
スーパーで手に入るこめ油の多くは大量生産を目的としているため、米ぬかから薬品を使って抽出されています(「溶剤抽出法」)。
製造・精製の工程が多く、抽出に使用した薬品を取り除くために高温処理が施されるため、実は栄養素が大きく失われているんです。
こめ油の栄養を最大限摂取したいという方には断然「圧搾法」で抽出したこめ油がおすすめ。
物理的に米ぬかに圧力を加える昔ながらの製法なので安全性が高く栄養素の損失も最小限。ビタミンや抗酸化成分などの天然栄養素が多く残ります。
薬品を使う方法よりも採油量が少ないので当然価格は高くなりますが、より健康効果を実感したい方におすすめです。
ポイント2.栄養表示
最近は大きめのスーパーであれば2~3種類のこめ油が売られています。
試しに、よく見かける「築野食品工業」と「ボーソー油脂」でこめ油特有の栄養素の含有量を比較してみましょう。(栄養成分はパッケージ側面もしくは裏面に記載の栄養成分表示参照)。
含有量比較 大さじ1杯(14g)あたり | 築野食品工業 | ボーソー油脂 |
---|---|---|
植物ステロール | 168mg | 150g |
ガンマオリザノール | 30mg | 14mg |
トコトリエノール | 7.7mg | 6.3mg |
大さじ1杯あたりの違いはわずかですが、毎日摂取することを考えると意識したいところですね。
ネット通販では特定の栄養素を強化したこめ油や抽出法にこだわることで天然栄養素を多く残したこめ油も売られています。
例えば上で比較した築野食品工業からは圧搾法と原料にこだわったこめ油も出ており、抗酸化成分のガンマオリザノールが通常の7倍も含まれています。
このようなこめ油はお値段も高めなので健康を気遣う方への贈答用などの使い方もできますよ。
こめ油マイスターがおすすめ!美味しい使い方4選
どんな料理や素材とも馴染みがよく、からだにいい成分たっぷりのこめ油。さっそく毎日のお料理に取り入れたいと思った方も多いはず。
せっかくなのでこめ油の良さがきらりと光るおすすめの使い方を伝授します!
おなじみの使い方から、え!?と驚く意外な用途までこめ油を自由自在に使えるようになればいつものお料理がワンランクアップしますよ。
揚げ物や炒め物に
こめ油の良さを一番実感できる使い方が揚げ物や炒め物などの加熱調理です。
1.油切れよくカラッと揚がる。
2.サラダ油よりトランス脂肪酸含有量が少ない。
3.油特有のいやな匂いがなく、調理時の油酔いや胃もたれを起こしにくい。
4.使い終わった油を繰り返し使える。
5.さらっとした油だから簡単に洗い落とせて片付けが楽ちん。
豊富に含まれる抗酸化成分のおかげで熱に強く、酸化しにくい特徴を持つため揚げたてはもちろん時間がたっても美味しさはそのまま!
揚げ油として使用する場合、一般的な直径24cmのフライパンで深さ3~3.5cmに必要なこめ油の量は約800ml。揚げ物を頻繁にする方は大容量サイズで安いこめ油を検討してもいいかもしれませんね。
こめ油にはコレステロール値を下げる効果が期待できる植物ステロールも豊富に含まれるので、コレステロール値が気になる方も揚げ物を楽しむことができますよ。
手作りドレッシングやマヨネーズに
優しい風味が特徴のこめ油、生食の使い方もマスターしましょう!和の食材を使用したからだに優しいドレッシングをご紹介します。
【材料】
・調整豆乳:100cc
・こめ油:大さじ3杯
・米酢:大さじ2杯
・砂糖:小さじ1杯
・塩こしょう:適量
【作り方】
1.こめ油以外の材料をボウルに入れてよく混ぜる。
2.こめ油を少量ずつ加えさらに混ぜ合わせる。
(少量ずつ加えることでサラダとの絡みの良いトロっとしたドレッシングに仕上がります。)
食べ合わせのおすすめはβカロテンを含むニンジンやリコピンを含むトマト。
油分と摂取することで吸収率がぐんとアップし、こめ油の抗酸化成分との相乗効果で高い美肌効果が期待できますよ。
ごはんにちょい足し
テレビでプロの裏技として紹介されたちょっと意外なこめ油の使い方がこちら。
研いだお米を水加減したあと、こめ油をひとさじ入れます(米2合に対して小さじ1/2目安)。ふっくらツヤツヤでお米の美味しさをぐっと引き立たせてくれますよ。
実はこの方法、こめ油業界では昔から知られていた使い方なんです。こめ油もごはんも由来が同じなので相性がいいのは納得ですね。
冷めてももちもちがキープされるのでお弁当のごはんにもおすすめです。
お菓子やパン作りにも
料理以外の使い方も。
こめ油はサラッとしていてクセがないので、お菓子やパン作りの油脂としても大活躍。植物性油脂なので軽い食感とさっぱりした味わいのヘルシーなお菓子に仕上がりますよ。
ふんわり触感を出すためにサラダ油が使われることの多いシフォンケーキやスポンジケーキ、蒸しパンに使うのもおすすめ。
こめ油にはからだにいい成分がたっぷり含まれているので、お菓子やパンを食べながら健康を気遣うことができるのも嬉しいですね。
さらに製菓・製パン用のこめ油を使えば、豊富に含まれるガンマオリザノールが乳化作用を強化するため、卵などの液体と混ざりやすくホイップ時間も短縮できますよ。
まとめ:使い方は様々!健康なからだづくりにこめ油を活用しよう
使い方を選ばない万能オイルのこめ油、クセのない味と香りから素材の持ち味を引き立たせまろやかな風味を加えてくれます。
からだにいい成分もたっぷり含んでいるので油を摂取しながら高い健康効果が期待でき、美肌やアンチエイジングも叶ってしまうのは驚きですね。
安い価格帯の多いサラダ油などの植物油に比べ少し割高ですが、500mlで500円程度から1.5ℓで1000円前後で手に入ります。
スーパーでの品揃えは限られていますが、ネット通販ではいろんな価格帯や効能の異なるこめ油が入手できるので比較してみるのもいいですね。
健康を意識するなら決して高くはないこめ油、さっそく日々のお料理に取り入れてみてはいかがでしょうか。