非常食の定番・乾パンの缶詰の中に入っている氷砂糖。
と疑問に思う方も多いと思います。
この氷砂糖、ただのおまけではなく、実は非常時に私たちを助けてくれる大きな役割を果たしているのです!ここでは乾パンに氷砂糖が入っている理由について詳しく説明していきます。
あわせて、非常時における乾パンと氷砂糖の効果的な食べ方についても解説していきます。地震・水害などの非常時に困らないよう、ぜひ最後までお読みください。
目次
非常食・乾パンに氷砂糖が入っている理由
非常食の定番・乾パンの一部製品には「氷砂糖」が入っています。普段私たちが氷砂糖を目にすることは少なく、なぜ氷砂糖が入っているのか疑問を持つ人も多いでしょう。ここではその理由について詳しく解説していきます。
氷砂糖をなめて唾液の分泌を促す
乾パンの一部製品に入っている「氷砂糖」。この「氷砂糖」は「なめて唾液の分泌を促す」ために入れられています。
非常時には水が手に入らず、水なしで乾パンを食べる状況が想定されます。乾パンはもともと硬くてパサパサした食べ物で、食べているだけで口の中の水分が奪われてしまいますよね。
氷砂糖をなめながら乾パンを食べれば、唾液が分泌されるので、水がなくても食べやすいという理屈です。
氷砂糖できちんと唾液の分泌を促すためには、かみ砕かずに、しっかりとなめる必要があります。かみ砕くことがないよう十分ご注意ください。
氷砂糖の主成分・ショ糖がエネルギー源になる
氷砂糖の主成分は「ショ糖」です。ショ糖は体内でブドウ糖と果糖に分解されます。そのうちのブドウ糖が、体内の各組織のエネルギー源となります。
各組織の中でも、特に脳はブドウ糖を主なエネルギー源としており、しかも脳はブドウ糖を蓄積することができないため、常にブドウ糖を補給しなければならないのです。
非常時に食事を摂るときは、あるものをとりあえず食べるしかありません。しかし、甘いもの(ショ糖を含むもの)を食べないと、途端に元気がなくなり動けなくなってしまいます。
乾パンに入っている氷砂糖をなめればショ糖を摂ることができ、簡単にエネルギー補給することが可能です。
氷砂糖ではなく金平糖が入っている乾パンもある
非常食・乾パンの中には、氷砂糖ではなく金平糖が入っている製品もあります。金平糖の効能は氷砂糖と同じです。「なめて唾液の分泌を促す」「体内の各組織のエネルギー源になる」ことが主な効能となります。
味の点では「金平糖の方がおいしい」という声をよく耳にします。色付きの金平糖は、グラニュー糖に少量の香料と着色料が加えられているものなので、その風味と見た目の美しさが好評のようです。
乾パンと一緒に入れる糖分として歴史が長いのは、金平糖のようです。1931年、乾麺麭 (昔の乾パン) の中に金平糖が入れられるようになりました。もともとは軍用食料でしたが、国民への普及を意図して生産されたものだそうです。
非常時に役立つ非常食~乾パンと氷砂糖の効果的な食べ方
氷砂糖入りの乾パンは高カロリーで、体を動かすエネルギー源となる食品で、非常時にとても役立ちます。
しかし、乾パンだけを食べていると栄養が偏り、体に問題が起きてしまいます。ここでは、非常時における乾パンと氷砂糖の効果的な食べ方について説明していきます。
腹持ちが良い乾パンは食糧が少ないときの強い味方!
非常時には高カロリー食品を摂り、効率的にカロリーを摂取したいですね。乾パンは高カロリー食品の代表格。乾パンは1缶 (100g) あたり393kcalほどで、これはポテトチップス1袋程度に相当します。
パサパサして食べにくく味も単調ですので、長い避難生活で、毎食の主食を乾パンにするのはおすすめできません。しかし、「腹持ちが良い」乾パンは、避難生活の後半戦で効果を発揮します。
食糧が残り少ない局面で「腹持ちが良い」乾パンを食べておくと、次の食事までお腹が空かずとても助かります。困ったときのために最後まで「乾パン」をとっておくことをおすすめします。
非常食として乾パンばかり食べているとどんな問題が起きる?
非常食として乾パンを準備しておくのはとても有効。しかし避難生活で乾パンばかり食べることはおすすめできません。
乾パンに含まれている主な栄養素は糖質です。糖質は体や脳を動かすエネルギー源となりますので、非常時を乗り切るための必須栄養素です。
しかし、乾パンばかり食べていると、立ちくらみに襲われ元気が出ないという問題が起きます。糖質しか摂取していないからです。
立ちくらみの原因は貧血と低血圧ですので、貧血解消のための鉄分補給のサプリメントや低血圧解消のための塩分が摂れる塩辛い食品が必要です。
また、元気が出ない原因はたんぱく質不足ですので、肉・魚の缶詰なども必要です。非常時に食べる非常食とはいえ、栄養バランスにも気を付ける必要がありますね。
自衛隊の戦闘糧食から学ぶ~乾パンとともに塩分を摂ろう!
自衛隊でも「乾パン」が食べられていますが、そこではどのように塩分不足等の問題を解消しているのでしょうか?ここでは自衛隊の演習で食べられている非常食・戦闘糧食からヒントを得てみたいと思います。
自衛隊演習用の非常食・戦闘糧食には「乾パンセット」と称されるセット食品があり、正式名称は「戦闘糧食Ⅰ型」といいます。
「乾パンセット」は、乾パン、金平糖、オレンジスプレッドのチューブ(唾液の分泌を促す)、ソーセージ缶のセットとなっています。ソーセージ缶は塩分補給のため塩辛い味付けです。
このことから、私たちが非常時に乾パンを食べるときには同時に魚の缶詰などを食べるとうまく塩分が摂取でき、栄養バランスが良くなることがわかります。
まとめ:乾パンと氷砂糖の効果的な食べ方
ここまでで、非常時における乾パンと氷砂糖の効果的な食べ方について説明してきました。
まず、乾パンだけを食べるのではなく、一緒に入っている氷砂糖をなめることが重要です。氷砂糖には「なめて唾液の分泌を促す」「体内の各組織のエネルギー源になる」という効能があるからです。
そして、いくら非常時だからといって、非常食として乾パンと氷砂糖だけを食べていると、体に大きな問題が起きてしまい、良くありません。
乾パンと氷砂糖だけを食べていて圧倒的に不足するのが塩分、たんぱく質、鉄分です。塩分・たんぱく質の不足を解消するためには肉・魚の缶詰、鉄分の不足を解消するためには鉄分補給のサプリを摂るといいでしょう。