ヤングコーンはベビーコーンとも言われ、その名の通り、とうもろこしの赤ちゃんです。実は、ヤングコーンは家庭でも栽培できるんですよ。
今回は、ヤングコーンの栽培方法や栽培のコツ、収穫したヤングコーンの保存方法をご紹介します。
目次
【ヤングコーンの栽培】まずは生育環境を整えよう!
とうもろこしは1株にいくつかの実を付けますが、美味しいとうもろこしにするためには1本~2本を残して摘果する必要があります。その摘果した実がヤングコーンなんですね。
ヤングコーンの栽培を始める時期
ヤングコーンの栽培を始める時期は、3月~5月です。約2か月間の間、いつでも植えていいのかと言うと、そういうわけではありません。
栽培する地域の気候や栽培方法によっても、栽培始める時期は変わってきます。ヤングコーンは寒さに弱いので、寒冷地の場合は4月後半~5月ごろがよいでしょう。
寒冷地で早めに栽培を始めたい場合は、ポットに種をまき、温かい場所で苗を育ててから畑に植え替えをするとよいですね。
ヤングコーンの栽培に適した環境
ヤングコーンは比較的栽培しやすい作物ですが、やはり美味しいヤングコーンのためにはヤングコーンに適した環境づくりが大切です。ヤングコーンに適した環境とは、どんなものなのでしょうか。
- 日当たり:良好
- 気温:20度~30度
- 発芽適温:25度~30度
- 土壌酸度:pH 6.0~pH 6.5
とうもろこしは夏野菜なので、暖かな日差しと温暖な気候が大好きです。ヤングコーンを栽培するなら、日当たりがよい場所を選びましょう。
また、土づくりも大切です。ヤングコーンの栽培に適した土壌酸度は、pH 6.0~pH 6.5。やや酸性寄りの土が適しています。
土が酸性かアルカリ性かを示す指数。pH7.0が中性でそれより低ければ酸性、高ければアルカリ性です。土壌酸度は、pH値測定計で測定できます。
土壌酸度が低い場合は、苔土石灰・消石灰・有機石灰などを土に入れ、調整します。高い場合は、酸度未調整のピートモス(改良用土)を土に混ぜましょう。
いずれも、使い過ぎると酸度が偏るので、使う量には注意してください。
ヤングコーンの栽培方法は3つ!
ヤングコーンの栽培には、3つの方法があります。栽培地の気候や栽培場所、環境に合わせて栽培しやすい方法を選びましょう。
露地栽培
屋外の畑で作物を栽培することを露地栽培と言います。自然に近い状態で旬の作物を栽培できます。
露地栽培につきものの雑草や害虫の被害が心配な時は、畑の表面をフィルムなどで覆うマルチ栽培もおすすめ。地温を上げる効果もあるので、気温が低い地域でも作物の成長に影響が出にくいです。
ハウス栽培
ビニールやガラスでハウスを作り、栽培する方法です。
雨に影響されない、気温を保ちやすいなど天候の影響を受けにくく、管理しやすいのが最大の特徴。寒冷地や日照時間が少ない地域でも栽培しやすいのがハウス栽培です。
気温(室温)や日照時間、水やりの調整ができるため、ヤングコーンの栽培時期をずらし早めの収穫するのも可能。ただし、家庭菜園用のビニールハウスでも、10,000円~50,000円程度の費用が掛かります。
プランター栽培
初めて作物を栽培する時や、栽培したいのに適切な場所がない時はプランター栽培がおすすめです。ベランダなどでも栽培できるので、マンション住まいの方もチャレンジできますよ。
栽培用の土も、ホームセンターなどで購入しそのまま使用できるので、土づくりの心配もいりません。
そのまま使える土壌酸度6.5の土です↓
【ヤングコーンの栽培】種の植え付け~生育時の注意点
栽培場所が決まり、土づくりが終わったら、いよいよ種を植えましょう。とうもろこしにはいろいろな品種がありますが、同時に栽培するのは1種類だけ。
複数を同時に栽培すると、受粉の際にそれぞれの品種が交じり合うため、美味しい実になりません。
種を植える場所を決めよう
種は、畑に直まきする方法と、ポットに植えて育苗してから畑に苗つけする方法があります。気温が低い、安定しないなどの心配がある時は、ポットに植えて育苗するとよいでしょう。
まずは直まきとポット、どちらに種を植えるか決めましょう。
直まきの場合
直まきの場合、種植えの時期は気温が安定する4月~5月ごろがおすすめです。日当たり・風通しを考えて南北に畝を作りましょう。
マルチ栽培をするなら、種植えの5日前までにマルチで覆い、地温を上げておきます。畝は2条にすると、とうもろこしが受粉しやすいです。
種はとがった方を下向きに、30センチ間隔で3つずつ植えましょう。発芽し、15センチくらいになったら、間引いて1つの株にします。
ポットに植える場合
ひとつのポットに種を3つ、種のとがった方を下向きに、深さ1センチ程度のところに植えます。軽く土をかけたら、水をたっぷりあげましょう。
発芽に適した温度は、25度~30度。気温が低いと発芽しにくくなるので、簡易ビニールなどで温度を保つようにしましょう。
発芽し、苗が15センチくらいに育ったら、直まきの時と同じように畝を整えた畑に苗つけします。
土寄せと追肥で土づくり
土は自然のものなので、状態は日々変化します。そのため、ヤングコーンの栽培中は2回程度追肥し、土に栄養を与えてあげましょう。
追肥1回目の目安:草丈50cm
草丈が50cm程度、本葉が5~6枚になったころが、1回目の追肥のタイミングです。ヤングコーンのヒゲにあたる雌穂が出てくる前に行いましょう。株元の土寄せも、この時に行います。
追肥2回目の目安:先端に雄穂が見えたころ
株が成長し、先端に雄穂が見えてきたら、2回目の追肥のタイミング。雌穂からヒゲが出てくる少し前で、とても栄養が必要な時期です。草丈も高くなっているので、倒れないようにしっかり土寄せを行いましょう。
美味しいヤングコーンのためには、土の栄養に気を配らなくてはいけません。また、株に土を寄せる土寄せを行うことで、成長を促し、株が倒れてしまうのを防いでくれます。
害虫「アワノメイガ」から守る
ヤングコーン(とうもろこし)には天敵とも言える害虫がいます。それは「アワノメイガ」です。蛾の仲間で、幼虫が茎や実の中に入り込みます。
アワノメイガは、とうもろこしの雄穂に集まってくるので、受粉が終わる時期を待って雄穂を切り取ってしまえばある程度の被害を防げます。
雄穂を切り取り、人工的に受粉させることで受粉が完全に終わる前に雄穂を切り取ることもできます。アワノメイガが集まる雄穂の数を減らせるので、被害の拡大を防げます。
人工授粉のやり方
受粉のやり方は簡単。雄穂を切り取り、雌穂のヒゲ部分をさするように花粉をつけます。人工的に受粉させてしまえば、雄穂を切り取ることができ、アワノメイガの害虫被害を防げます。
ヤングコーンの栽培に受粉は必要ありませんが、受粉しないと美味しいとうもろこしになりません。ヤングコーンのその先も楽しむために、しっかり受粉させておきましょう。
暑くなり過ぎないようにする
ヤングコーンは暑さに強い作物ですが、気温が高すぎる日が続くと、虚弱に育ってしまう軟弱徒長や、品質が劣化する高温障害などの原因になります。
特に、ハウス栽培では気を付けたいポイントです。風通しを良くするなどし、気温が高くなり過ぎないように注意しましょう。
害虫対策などでネットを張る場合も、風通しが悪くなり熱がこもって実が傷んでしまう場合があるので、時折外して風通しの良い環境を作ってあげましょう。
暑いと土が乾燥しやすく水切れを起こすこともあるので、きちんと水やりをするのも重要です。
【ヤングコーンの栽培】収穫時期と保存のコツ
土づくりから始まり、数カ月間愛情込めて育てたとうもろこしの苗。いよいよお待ちかね、ヤングコーンの収穫です。
雌穂が出てから1週間後が目安!
ヤングコーンの収穫時期は、とうもろこしの株に雌穂が出てきてから1週間程度が目安です。
雌穂は突然のように出てきて、急成長するので見逃さないようにしましょう。目安としては、種まきをしてから2ヶ月くらい経ったころ、株の先端の雄穂が出てから1週間くらいです。
雌穂のヒゲの下にある実が、5cm~10cmに成長したころが、収穫に適しています。
雌穂の2番目以降の実を収穫する
ヤングコーンはとうもろこしの実を摘果したものです。1株のうち一番大きい実は残し、2番目以降の実を収穫しましょう。
ヤングコーンはとても繊細なので、収穫の際に折れてしまうこともしばしば。収穫する時は折れないように房全体を包むように持ち、根元から茎の反対方向にもいでください。
栽培したヤングコーンはどのくらい保存できる?
収穫したての新鮮なヤングコーン。ヤングコーンは収穫して時間が経つほど美味しさが損なわれてしまうので、すぐ調理するのがおすすめ。
ですが、なかなかそうもいかない時や、食べきれないという時もありますよね。ヤングコーンはどのくらい日持ちするのか、どんな保存方法があるのかを見てみましょう。
新鮮なヤングコーンは日持ちしない
ヤングコーンはとても傷みやすいため、保存は冷蔵庫が基本。ヒゲ・皮がついたまま、濡れた新聞紙などで包んで冷蔵庫で保存しましょう。この状態で保存すると、2~3日は美味しさをキープしつつ保存できます。
すでに茹でてしまったヤングコーンは、皮つきのヤングコーンよりも日持ちせず、保存期間は1~2日ほど。しっかり水気を切って、密閉容器に入れて冷蔵しましょう。
どちらにしても、ヤングコーンの美味しさを味わうためには早めに食べることをおすすめします。
ヤングコーンは冷凍保存できる
収穫したヤングコーンは冷凍保存も可能です。冷凍の場合は1カ月程度持つので、長く楽しみたい場合は冷凍保存するとよいでしょう。
茹でたヤングコーンの水気をしっかり切り、1回で使用する量ずつに分けて密閉できる容器に入れて冷凍しましょう。冷凍したヤングコーンを使用する時は冷蔵庫で自然解凍してから使用すると、味が劣化しにくいです。
ヤングコーンを栽培して新鮮なまま味わおう!
とうもろこしを栽培する時の副産物とも言えるヤングコーンですが、新鮮なヤングコーンは自分で栽培したからこそ味わえる旬の味覚です。
ヤングコーンを栽培して、缶詰とは違う、ヤングコーンのフレッシュな食感、雑味のない味わいを楽しんでみませんか。旬のヤングコーンを味わうことで、夏の訪れを感じることができるでしょう。