サラヤ株式会社の「ラカントS」は、パッケージを見ると、『カロリーゼロ&糖類ゼロ』と書かれています。
しかし、インターネットで検索すると、糖質が高いという記事を見かけたり、逆に低糖質と書かれてあったりしますが、はたしてどちらが本当なのでしょうか?
また、ラカントは太るのか太らないのかいったいどっちなのでしょうか?
この記事では、ラカントの糖質とカロリーの関係についてわかりやすく解説します。
目次
ラカントは糖質高い?低糖質?いったいどっちなの?
炭水化物(糖質)が多いとカロリーも高いということは周知の事実ですよね。
その概念からすると、カロリーがゼロだと低糖質であると思いがちですが、それは少し違います。「低カロリー=低糖質」という図式が成立しない理由を詳しく解説します。
ラカントSの糖質はなんと99.8%!
ラカントSのパッケージの裏の栄養成分表示には、以下のように書かれています。
熱量 0kcal
たんぱく質 0.2g
脂質 0g
炭水化物 99.8g
糖質 99.8g
糖類 0g
食物繊維 0g
食塩相当量 0g
これを見ると、なんと糖質が99.8%!ラカントSはほぼ糖質であることがわかりますよね。
カロリーゼロなのに糖質は99.8%ということに多くの人が疑問を抱くと思いますが、そのヒントが成分表示のなかにあります。
炭水化物 99.8g
糖質 99.8g
糖類 0g
食物繊維 0g
この部分は、炭水化物の内訳を示した数字です。これを見ると、100gのラカントSの炭水化物のうち糖質が99.8gで、糖類と食物繊維が0gであることがわかりますよね。
確かに、パッケージにも”糖類ゼロ”と書いてあります。炭水化物の内訳として糖質、糖類、食物繊維が書かれていますが、それぞれ何が違うのでしょうか?
炭水化物と糖質と糖類は何が違う?
普段、米やパンや麺類など主食になる食べ物のことを「炭水化物」と呼ぶことが多いですよね。しかし、栄養学上では、糖やでんぷんや食物繊維などを全部ひっくるめて炭水化物といいます。
炭水化物を大きく分類すると、糖質と食物繊維に分けられます。さらに糖質を細かく分類すると、糖類、多糖類、糖アルコールに分けられます。
つまり、ラカントSの先ほどの成分表示は、「炭水化物のなかでも糖類や食物繊維は含まれていないけれど、それ以外の糖質が99.8%含まれていることを示している」、ということがわかりますよね。
ラカントSに含まれている糖質とは?ラカントの成分を解説!
ラカントSには糖類でも食物繊維でもない糖質が含まれていることになりますが、具体的にはどのような糖質が入っているのでしょうか。
ラカントSに含まれている成分とは?
ラカントSにどのような糖質が含まれているのかは、原材料表示を見るとわかります。
エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)、ラカンカエキス、甘味料(ラカンカ抽出物)
原材料を見ると、砂糖は一切使われていませんよね。主成分はエリスリトールという甘味料です。
ラカントSには、約99%のエリスリトールと約1%ラカンカエキスおよびラカンカ抽出物が入っています。
ラカントホワイト・ラカントシロップの成分も同じ?
ラカントシリーズの商品には、ラカントSの他に「ラカントホワイト」や「ラカントSシロップ」という商品も人気がありますが、これらの成分も同じなのでしょうか?
エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)、甘味料(ラカンカ抽出物)
エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)、ラカンカエキス/増粘多糖類、甘味料(ラカンカ抽出物)、保存料(ビタミンB1)、pH調整剤
ラカンカシロップにはシロップの品質を安定させるための食品添加物が入っているものの、どちらも、エリスリトールが主成分であることがわかります。
主成分の「エリスリトール」ってどういうもの?
エリスリトールは先ほどの糖質の分類で言うと、糖アルコールに含まれます。
ブドウ糖を酵母で発酵させた「ブドウ糖発酵甘味料」で、ラカントのエリスリトールはとうもろこしのでんぷんを原料としています。
天然のエリスリトールは自然界にも多く存在していて、きのこ類、メロン、ぶどう、梨などの果物の他、ヒトや牛の体液にも含まれている物質です。
エリスリトールはでんぷんを酵母で発酵させて作られるため、チーズやワインなどの発酵食品にもたくさん含まれています。
特に、しょう油、味噌、日本酒や焼酎など酵母による発酵食品を日常的に食べている日本人は、普段からエリスリトールを頻繁に摂取していることになりますよね。
エリスリトールの2つの特性
エリスリトールには、私たちの体に影響する特性が2つあります。
カロリーゼロ
普段、私たちが「炭水化物」と呼んでいるでんぷんや砂糖などの糖類は、体内で消化酵素によって最終的にブドウ糖になり体のエネルギーとして利用されます。
ブドウ糖は1gで4kcalのエネルギーになるので、でんぷんや糖類のカロリーは4kcalということになります。
一方、エリスリトールはほとんどが小腸で吸収されますが、人間はエリスリトールを分解する酵素を持たないため、体内でエネルギーとして使われることなくそのまま尿といっしょに排泄されます。
そのため、厚生労働省が定める難消化性の糖質のエネルギー換算係数(体に利用される1gあたりのエネルギーの量)も0kcalとなっています。
虫歯の原因にならない
虫歯は、口の中にいる細菌が栄養源となるブドウ糖を取り込んで代わりに乳酸などの酸を出し、その酸が歯の表面を覆っているエナメル質を溶かすために起こります。
また、虫歯菌はブドウ糖からグルカンというネバネバの物質を作り出し、グルカンは歯にこびりついて歯垢(プラーク)となります。
歯垢の中にはたくさんの細菌が存在しているので、歯垢が増えると細菌が作り出す酸も増えて虫歯になりやすくなります。
エリスリトールは虫歯菌が栄養源として利用しないので、虫歯の原因になりません。
日本では同じような甘味料としてキシリトールが使われていますが、アメリカではエリスリトールも虫歯になりにくい甘味料として使用が認められています。
ラカンカはどういう成分なの?カロリーはどのくらい?
ラカントSには、エリスリトールの他にラカンカエキスと甘味料であるラカンカ抽出物が含まれています。
ラカンカ抽出物とは、中国の桂林という地域に自生する羅漢果の実から抽出された甘味料で、砂糖の300倍の甘さがあります。
また、ラカンカエキスは、サラヤが独自に製造方法を開発した羅漢果1kgから10gしか取れないという高濃度のエキスで、こちらも砂糖の300倍の甘さです。
ラカンカの甘味成分であるテルペングリコシド配糖体という物質は、糖質の分類で言うと「その他」の糖に該当します。
ラカンカエキスやラカンカ抽出物は小腸で吸収されずにそのまま排泄されるため、体のエネルギー源として使われることはありません。
そのため、ラカンカエキスやラカンカ抽出物もカロリーゼロの甘味料であると言えますね。
”ロカボ糖質ゼロ”ってどういうこと?
ラカントSのパッケージを見ると、”カロリー&糖質ゼロ”の他に、”ロカボ糖0g”と書かれています。
ラカントSの糖質は99.8%のはずなのに、”ロカボ糖質ゼロ”とはいったいどういうことなのでしょうか。
「ロカボ」とは、『一般社団法人 食・楽・健康協会』が提唱する緩やかな糖質制限のことです。
糖質の量を1食あたり20~40g、間食やデザートの糖質は10g以下で1日の合計が70~130gになるように糖質を抑えることで、糖質を摂らない極端な糖質制限よりも肥満になりにくい、という考え方に基づいた緩やかな糖質制限です。
ロカボマークの横に書かれている”ロカボ糖質〇g”という数字は、この数字を足していくとロカボの糖質量が計算できるよ、という意味の数字です。
ラカントSの場合はロカボ糖質量が0g。これは、ラカントSには糖類が入っていないので、ロカボの糖質量の計算に入れなくても良いという意味です。
あくまで、ロカボの1日に70~130gの糖質量には含めなくてよいという意味の”ロカボ糖質量0g”であって、ラカントに含まれている糖質の量が0gという意味ではないので注意してくださいね。
高糖質は太るけど…カロリーゼロのラカントは本当に太らない?
高糖質の食べ物は太るというイメージがありますよね。ラカントSはカロリーはゼロですが高糖質です。ラカントは本当に太る原因にはならないのでしょうか?
ラカントは本当に太る原因にはならないの?
でんぷんや糖類は体内でブドウ糖に変わり、その後、ブドウ糖がたくさん集まったグリコーゲンという形になって肝臓や筋肉内に蓄えられます。
しかし、グリコーゲンの形で貯蔵できる量には限りがあるので、余ったブドウ糖は中性脂肪に合成されて脂肪細胞に貯蔵されます。これが体脂肪です。
ラカントに含まれるラカンカエキスは体に吸収されないので体脂肪に変わることはありません。
また、小腸で吸収されたエリスリトールの約10%は排泄されずに大腸で短鎖脂肪酸に変わってエネルギー源になりますが、その数はごくわずかなので、エリスリトールも体脂肪に変わることはほぼないといえるでしょう。
短鎖脂肪酸には腸内環境を整えたり脂肪の蓄積を防いだりする効果が期待できるので、体にとってはむしろありがたいと言えるかもしれませんよね。
血糖値を上げないって本当?
食後に血糖値が急激に上がると太りやすいと聞いたことはありませんか?血糖とは血中のブドウ糖の量を示す数値です。食後、血中にブドウ糖が増えるとインスリンというホルモンが分泌されます。
インスリンにはブドウ糖を筋肉などの細胞に取り込ませる働きがあると同時に、余ったブドウ糖から中性脂肪への合成を促す、つまり、体脂肪を増やす働きがあるのです。
ラカントの主成分のエリスリトールを食べると速やかに小腸で吸収されて血中に入りますが、エリスリトールがブドウ糖に変わることはないので血糖値には影響しません。
つまり、ラカントSがインスリンの分泌に影響を与えることはないと言えますよね。
ラカントを使うと糖質制限になるの?ダイエットには有効?
ラカントはカロリーがゼロで、体脂肪を作りにくい甘味料であることはわかりましたが、ラカントを砂糖の代わりに使うとダイエットになるのでしょうか?
ラカントは糖質制限に使える?
ダイエットや健康のために糖質を控えている人がラカントを使う上でいちばん気になることが、ラカントはカロリーはゼロだけど糖質は99.8%ということではないでしょうか。
糖質制限の”糖質”は体のエネルギー源になるでんぷん、砂糖や果糖(果物に含まれる糖)などの糖類のことを指します。
しかし、ラカントの糖質はエネルギー源にならない糖質なので、糖質を制限したい場合も問題なく使えます。
ただし、極端な糖質制限は、体の不調を招くのはもちろん、基礎代謝量が落ちてかえって太りやすくなるためおすすめできません。
適度に炭水化物を取りつつも、過剰な糖質摂取を抑えたい時などにラカントを使うとよいでしょう。
砂糖の代わりに使うとどれくらいのカロリーを抑えられる?
ラカンカSを砂糖の代わりに使うと摂取カロリーをどのくらい抑えられるのでしょうか?
上白糖は大さじ1杯で約9g、小さじ1杯で約3gです。砂糖1gあたりのカロリーは4gなので、上白糖大さじ1杯では36kcal、小さじ1杯では12kcalとなります。
ラカントはカロリーゼロなので、砂糖の代わりにラカントを使うとその分のカロリーがそのまま抑えられることになります。ラカントに置き換えることで抑えられるカロリーの目安は以下のとおりです。
大さじ1杯 | 小さじ1杯 | |
---|---|---|
上白糖(三温糖) | 36kcal | 12kcal |
グラニュー糖 | 48kcal | 16kcal |
黒砂糖 | 32kcal | 10kcal |
はちみつ | 69kcal | 23kcal |
例えば、一般的なレシピで1人分のパウンドケーキに使用する砂糖の量は約12g。その分をラカントSに置き換えると、48kcalも抑えられることになりますよね。
摂取カロリーを減らすと痩せられるの?
カロリーはあくまでも目安で、ラカントSで摂取カロリーを減らしたとしても痩せられるとは限りません。
例えば、糖質制限や食事制限などでエネルギーやたんぱく質が不足すると、筋肉を分解してエネルギーやアミノ酸を得ようとします。
すると、筋肉量が減って基礎代謝量が下がるので痩せにくい体になってしまいます。筋肉を減らさないためには運動も必要です。
また、カロリー不足で体が飢餓状態になると普段よりも脂肪を貯め込もうとしますし、ビタミンやミネラルが不足すると、せっかく取った栄養素を有効に使えなくなります。
ダイエットはカロリーオーバーを防ぐことだけではなく、バランスのよい食事をして、しっかりと運動をすることが大切です。
糖質の摂取カロリーを減らすためのラカントの有効的な使い方は?
サラヤ株式会社によると、ラカントSは主成分のエリスリトールに高濃度のラカンカエキスを混ぜることで、砂糖に近い味わいを実現しているそうです。
甘さの度合いも砂糖とほぼ同じということなので、ダイエット中で砂糖の摂取量を減らしたい場合にラカントSを使うとよいでしょう。
砂糖の代わりに料理に使う
甘いものだけでなく、料理にも砂糖を使うことは多いですよね。砂糖の摂取カロリーが気になる場合は、料理に使う砂糖をラカントに置き換えてみましょう。
砂糖をよく使う料理といえば、和食や中華料理やエスニック料理ですよね。
例えば、煮物1人分で5g~9g程度の砂糖を使うので、それをラカントSに置き換えると20~36kcalのカロリーを抑えられます。
ただし、ラカントの主成分であるエリスリトールの特性上、照り焼きには使えないので注意してくださいね。
手作りおやつやドリンクで砂糖の摂取量を減らす
ダイエット中にカロリーを摂りすぎてしまう原因は市販のお菓子や飲料にありますよね。例えば、市販のカフェオレーやミルクティーの糖質の量と糖質分のカロリーを比較してみましょう。
商品名 | 糖質量 | 糖質分の カロリー |
---|---|---|
スターバックス キャラメルマキアート Sサイズ | 17.0g | 68.0kcal |
マウントレーニア カフェラッテ 240ml | 19.2g | 76.8kcal |
らくのうマザーズ カフェオレ 250ml | 23.3g | 93.2kcal |
セブンプレミアム カフェラテ レギュラー 240ml | 17.1g | 68.4kcal |
スターバックス アール グレイ ティー ラテ | 24.5g | 98.0kcal |
リプトン CREAMY 紅茶ラテ 240ml | 21.8g | 87.2kcal |
セブンプレミアム ロイヤルミルクティー 240ml | 21.7g | 86.8kcal |
上白糖小さじ1杯が4gなので、かなりの量の砂糖が含まれていることがわかりますよね。カロリーもそれだけ高くなります。
ダイエット中は市販の飲料を控え、代わりに手作りをしてさらに砂糖をラカントSに置き換えると、カロリーをかなり抑えることができますよね。
お菓子も同様で、ラカントSを使ってケーキやクッキーなどの甘いお菓子を手作りすると、カロリーを抑えることができます。
ラカントSのホームページの情報によると、ケーキなどをうまく膨らませるためには砂糖と混ぜて使うとよいそうです。
例えば、パウンドケーキやクッキーは砂糖の30〜50%分を、スポンジケーキは15〜30%分をラカントSに置き換えると良いようですよ。
用途によってはラカントホワイトとラカントSシロップもおすすめ!
サラヤのラカントシリーズには、ラカントSの他に、ラカントSシロップとラカントホワイトも販売されています。
・ラカントS:エリスリトールに高濃度羅漢果エキスとラカンカ抽出物(※)を配合して、砂糖の甘さに近付けた甘味料。
・ラカントSシロップ:ラカントSをシロップ状にした甘味料。甘みや風味はラカントSに近い
・ラカントホワイト:エリスリトールにラカンカ抽出物だけを配合することで、ラカントSの雑味を取り除いた甘味料。
※ラカンカ抽出物:羅漢果の甘味成分だけを抽出した甘味料
どの製品も基本的な成分は同じで、糖類とカロリーはゼロ、そして砂糖と同じくらいの甘さなので、砂糖に置き換えて使用できます。
ラカントSシロップは溶け残りの心配がないので、冷たい料理や飲み物などに使うと便利です。
また、ラカントホワイトは雑味がないので、ホットコーヒーや紅茶などの飲み物や、風味を損ないたくない繊細な料理に向いています。
まとめ:ラカントの糖質は太らない!糖質制限にも使えるゼロカロリー
サラヤ株式会社のラカントSは、カロリーがゼロなのに糖質が99.8%!この事実に驚いたり混乱したりする人も多いのではないでしょうか。
「高糖質=太る」と思いがちですが、実は糖質にも体脂肪のもとになる糖質と体脂肪にならない糖質があるのです。
ラカントSに使われている糖質は、体のエネルギーにもならず、体脂肪にもならない糖質です。カロリーはゼロで食後の血糖値にも影響しないので、糖質制限中でも使えます。
天然由来成分で甘さも砂糖と同じくらいであることもメリットのひとつです。砂糖の摂取カロリーが気になっている人は、一度試してみてはいかがでしょうか。