日本ではあまり知られていないことですが、今、世界中でパーム油の生産に関連する問題に危機感を募らせ、それを解決するための動きが活発になっています。
パーム油の問題点とはどのようなものなのでしょうか。そして、それに対して国内の食品業界はどのように取り組んでいるのでしょうか。
私たちの生活に直結するパーム油の問題点や現状、それに対する取り組みについてわかりやすくご紹介します。
目次
日本では認知度の低さが問題?!パーム油っていったい何?
パーム油は私たちの生活に欠かせない油ですが、食用油としてスーパーに売っていないことや、原材料表示などに「パーム油」と書かれていることは少ないため、一般消費者の認知度はあまり高くありません。
では、パーム油とはどのような油なのでしょうか。そして、なぜ世界的な規模で問題となっているのでしょうか。
パーム油って何だろう?
パーム油とは、アブラヤシの実から搾った油のことです。
アブラヤシは熱帯林地域に生育するヤシ科の植物で、一房に3cmほどの実が数百個から2000個くらい付いていて、その重さは30~40kgほどにもなるそうです。
アブラヤシの果肉から搾った油がパーム油、種子から搾った油がパーム核油と呼ばれています。
パーム油は約8割がマーガリン・ショートニングや加工食品などの食用として利用され、残りの約2割が洗剤、口紅、塗料、バイオマス燃料(動植物から作る燃料)などに利用されています。
加工食品用としては、カップ麺、レトルト食品、カレーやシチューのルー、チョコレート、アイスクリーム、スナック菓子、クッキーやビスケット、パン、ケーキなど非常に幅広く使用されています。
また、調理用のパーム油は主に業務用で、フライドポテト、フライドチキン、ドーナツなどの揚げ油として使われています。
パーム油は世界でいちばん消費量が多い植物油
日本では、植物油というとキャノーラ油(菜種油)、大豆油、オリーブオイル、ごま油などを思い浮かべますが、実は、世界で最も多く生産・消費されている植物油がパーム油です。
USDA(アメリカ農務省)の統計によると、2021/22年の世界のパーム油の年間生産量は約7,560万トンで、全植物油生産量の1/3以上を占めています。
それに対し、2021/22年の全世界のパーム油の年間消費量は約7,380万トンなので、1年間に生産したパーム油のほぼすべてが消費されていることがわかりますよね。
パーム油は、他の植物より安価であること、用途が広く使い勝手が良いこと、健康への懸念があるトランス脂肪酸を含んでいないことなどからパーム油の生産量および消費量はどんどん増え、ここ20年で約3倍になっているそうです。
そして、今後も需要はさらに伸びると予想されています。
パーム油の生産国と日本での消費量
パーム油の主要生産地域は東南アジアで、インドネシアとマレーシアで約85%が生産されています。
農林水産物の輸出入統計によると、日本における2022年のパーム油の輸入量は約68万トンで、ほぼすべてをインドネシアとマレーシアから輸入しています。
そのうち、家庭で消費されているパーム油は60~65万トン。菜種油に次いで2番目に多い使用量で、単純計算で国民1人あたり年間で約5kgのパーム油を消費していることになります。
普段あまり馴染みがないため、パーム油と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、私たちは知らず知らずのうちにかなり多くのパーム油を消費していることがわかりますよね。
生活や地球の未来に直結?!パーム油が抱える問題点とは?
パーム油は世界中の需要の増加に伴い生産量も年々増え続けていますが、それにより、環境破壊や人権侵害などの問題が深刻になってきています。
パーム油が抱える問題点にはどのようなものがあるのでしょうか。
パーム油の生産が及ぼす環境破壊
インドネシアやマレーシアなどでは、パーム油を搾油するために大量のアブラヤシを栽培しています。
認定NPO法人ボルネオ保全トラスト・ジャパンが発行する『パーム油白書2021』によると、インドネシアにおけるアブラヤシの栽培面積は1467.8万haで、20年前の約7倍。
アブラヤシ栽培面積の急激な増加によって、深刻な環境破壊が進んでいるのです。
農地開発のための伐採による熱帯林の大幅な減少
この20年間で約7倍の面積になったというインドネシアのアブラヤシ農園は、熱帯林を伐採して開発されたものです。
つまり、アブラヤシの栽培が増えれば増えるほど、熱帯林は伐採されて大幅に減少していることになりますよね。
国際NGOのWWFジャパンの資料によると、インドネシアのスマトラ島では1985年には島の全面積の約60%あった熱帯林が、2016年には24%にまで減少しているそうです。
熱帯林の減少による野生動物への影響
熱帯林には、多種多様の野生動物が生息しています。熱帯林が伐採されることで野生動物の棲み処やエサがなくなり、動物たちの数が減っています。
例えば、インドネシアには約500種類の哺乳類が生息しているといわれていますが、そのうちスマトラトラ、スマトラオランウータン、スマトラサイ、スマトラゾウをはじめとする184種類が絶滅危惧種に指定されている野生動物です。
棲み処やエサを失った野生動物たちは、エサを求めて人の生活圏に出没するようになり、アブラヤシや農作物を荒らし、時には家畜や人の命まで奪うこともあります。
その結果、害獣として殺処分するしかなくなり、ますます野生動物が減っていしまうという負の連鎖を引き起こしてしまうのです。
森林火災と泥炭地の破壊によるCO2排出問題
泥炭地とは、枯れた植物が分解され切れないまま堆積した湿地のことで、インドネシアやマレーシアにも広く分布しています。
泥炭地は大量の炭素を含んでいますが、アブラヤシ栽培地の開拓や火災などによって乾燥すると、二酸化炭素など大量の温室効果ガスを放出します。
インドネシアやマレーシアでは、法律で禁止されているにもかかわらず、費用や手間をかけずに行える農地整備のための野焼きが後を絶ちません。
野焼きによって泥炭地が乾燥すると地表に炭素が出て燃えやすくなり、広大な面積の森林火災につながります。
森林火災が発生すると、次の雨期が来るまで消火が困難なため何ヶ月も燃え続け、さらに大量の温室効果ガスを排出するという悪循環に陥るのです。
パーム油生産によるインドネシアやマレーシアでの社会問題
パーム油の生産が及ぼす影響は環境破壊だけではありません。パーム油の二大生産国であるインドネシアやマレーシアでは、パーム油生産に伴うさまざまな社会問題も発生しています。
・児童労働、違法な時間外労働や強制労働、最低賃金以下の低賃金や厳しいノルマなどの劣悪な労働環境
・周辺住民や先住民への強引な手段による強制退去、違法な農薬による健康被害など
・アブラヤシ農家やパーム油生産企業と地域住民との土地紛争や土地開発権にかかわる汚職
労働条件や農地の開拓・大規模農場の操業等に対する法律はあるものの、政府の対策が追いついておらず、違法労働や違法操業、汚職などが横行している状況です。
パーム油製造に関する問題が社会に及ぼす影響とは?
パーム油生産に伴うさまざまな問題は、単にインドネシアやマレーシアなど生産国だけの問題ではなく、世界中に大きな影響を及ぼします。
もちろん、私たちの生活にとって無視できない問題もあります。パーム油問題は全世界にどのような影響を及ぼす可能性があるのでしょうか。
地球温暖化による気候変動を助長
地球温暖化の原因のひとつに森林伐採があります。特に、熱帯林は温帯林の2倍程度の二酸化炭素を吸収するため「地球の心臓」とも呼ばれています。
アブラヤシ農地開拓に伴う大規模な熱帯林の減少や泥炭地火災などによる大量の二酸化炭素の排出しは地球温暖化に拍車をかけています。
地球温暖化による気候変動は日本でも深刻な問題です。猛烈な台風の増加、大雨、夏の酷暑・熱帯夜の増加、ゲリラ豪雨などもすべて地球温暖化の気候変動によるものです。
大きな災害だけでなく、農業や漁業への影響、熱中症など健康への影響、光熱費の増加など、私たちの生活にも多大な影響を及ぼしています。
物価上昇など世界経済に与える影響も
インドネシアとマレーシアは世界のパーム油生産量の約85%を占めているため、この二か国の動向が世界経済に大きな影響を及ぼすことがあります。
2022年のロシアによるウクライナ侵攻に伴う植物油高騰の影響で、パーム油の需要が増えて価格が高騰しました。また、コロナ禍でも移民労働者の入国ができず、人手不足で生産量が減少し価格が高騰しています。
さらに、インドネシアが国内供給を優先させるためにパーム油の輸出を一時停止したため、パーム油価格が乱高下して世界市場が混乱しました。
日本でもパーム油高騰のあおりで加工食品が軒並み値上げされたことは記憶に新しいところですよね。
このように、パーム油の生産や輸出状況によって、世界経済が左右されることは珍しいことではありません。
RSPOによるパーム油問題解決のための世界的な取り組み
現在、世界的な取り組みとして、国際的な環境保護団体を中心とした『RSPO』という組織がパーム油問題を解決するために活動しています。
パーム油の問題を解決するための世界基準となりつつあるRSPOの取り組みについてご紹介します。
持続可能なパーム油の生産のために『RSPO』を設立
パーム油生産がかかえる諸問題を受け、WWF(世界自然保護基金:約100ヶ国で活動している環境保護団体)の呼びかけで、2004年に『RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)』という国際NPOが発足されました。
RSPOは日本語では「持続可能なパーム油のための円卓会議」と呼ばれています。
RPOSは”持続可能なパーム油の生産と利用の促進”を目的として活動を行っています。2023年3月時点の会員数は、世界100ヶ国の5,495団体。
パーム油の生産者をはじめ、製油業、メーカー、商社、小売業、社会NGOや環境NGOなど、パーム油の生産と利用に関わる企業などによって組織され、毎年11月に世界的な会議が開かれています。
パーム油生産を減らすことは解決策にはならない
パーム油生産に伴う問題点を解決するなら、生産量自体を減らせばよいという意見もありますが、それでは根本的な解決にならないということがRSPOの考えです。
パーム油の利点は、同じ面積で採れる油の量が他の植物油と比べて桁外れに多いという生産効率の良さです。
そのため、パーム油を他の植物油で補うとなると、さらに広大な土地と多くの人手が必要になります。すると、環境破壊や劣悪な労働などの問題が他の地域で起こる可能性が否定できません。
また、パーム油生産に携わる人たちの収入源が絶たれ、新たな貧困を招くことにもつながります。
大切なことはパーム油の生産を止めることではなく、環境や人権を守りつつ生産を続けること、つまり、持続可能な生産であるとRSPOは主張しています。
パーム油の問題を解決するためのRSPO認証制度
パーム油の生産に伴う環境破壊や人権侵害などの問題は、違法な農地開拓や開拓権をめぐる汚職、法律を無視したアブラヤシ農園やパーム油工場の操業などが原因となっています。
RSPOでは、これらの問題点を排除して、熱帯林や生息する生物たち、そして労働者や現地住民の権利を守りながら、将来的に持続可能なパーム油の生産を目的とした認証制度を設けています。
・P&C認証:
アブラヤシ農園や搾油工場に対する認証制度で、持続可能な生産のためにRSPOが定めた基準に基づいて生産を行っているかどうかを評価する
・サプライチェーン(SCCS)認証:
P&C認証を受けたパーム油(認証パーム油)を使用した製品に対する認証制度で、製造、加工、流通段階において基準を満たしているかどうかを評価する
WWFジャパンの公式サイトによるとRSPOのビジョンは、”RSPOは持続可能なパーム油が標準となるよう市場を変革する”こと。
つまり、環境破壊、労働者の人権侵害、現地住民の土地権侵害のない状況で生産されたパーム油のみが市場に流通することで、問題の解決になると考えています。
RSPO認証制度の現状と課題
2022年10月時点でP&C認証を受けているアブラヤシ農園は101。インドネシアだけでも2,500以上の農園があるので、ごくわずかであることがわかりますよね。
また、P&C認証を受けたパーム油は、全パーム油生産量の2割ほどしかありません。設立から18年が経ちますが、パーム油問題への対策はあまり進んでいないのが現状です。
これらの背景として、インドネシアやマレーシアで大半を占める中小規模の農園にRSPOの認証制度が浸透していないことや、中小規模の農園にとって認証を受けるには高いハードルがあることなどがあげられます。
熱帯林や泥炭地の破壊の大きな要因が中小規模農園の無理な開拓にあることから、RSPOでは基準を見直すなどして認証取得の促進を目指しています。
RSPOに否定的な意見も
RSPOの認証制度は世界の「持続可能なパーム油」の基準になりつつあります。
その一方で、農地拡大防止やパーム油の需要を減らす対策を取っていないこと、小規模農園を救済する措置が取られていないことなどから、根本的解決にはならないという否定的な意見もあります。
また、RSPOと会員企業との間で、認識や方向性の相違が原因のトラブルも少なからず起こっています。
会員企業のなかには、RSPOよりも細かい独自の基準を作って問題解決に取り組んでいる企業も多くあります。
RSPOの設立メンバーであるスイスのユニリーバー社もそのひとつで、RSPO認証は数ある手段のひとつであるが、すべての環境・社会問題に対する解決策にはならないとして、独自基準を加えた取り組みを行っています。
日本の食品業界におけるパーム油問題への取り組み
日本では、パーム油の問題やRSPO認証制度の認知度は非常に低く、特に一般消費者にはほとんど浸透していませんが、ここ数年でパーム油の問題に積極的に取り組む企業が増えています。
では、日本の食品業界ではどのような取り組みを行っているのでしょうか。
RSPOの会員企業数が急増!
日本では、2004年に「三菱商事株式会社」と「不二製油株式会社」がRSPOに加入しています。
その後、日用品メーカー、化粧品メーカー、製油業を中心に会員企業が徐々に増えていきました。そして、ここ数年でRSPOの会員企業は急増しています。
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
77 | 110 | 171 | 220 | 257 | 292 |
加入企業数が急増した背景には、2020年にRSPOの東京大会が開かれたことが大きな要因としてあります。
2023年3月時点で正会員数は、アメリカ、ドイツ、イギリスに次いで世界第4位となっています。正会員のうち、サプライチェーン認証を取得している企業は、2022年10月時点で104社です。
食品業界・小売業界の企業の動向
食品業界では、2011年に「株式会社J-オイルミルズ」が、2012年に「味の素株式会社」が正会員として加入しています。
また、小売業界では、2017年に「日本生活協同組合連合会」が、2018年に「イオン株式会社」が正会員として加入したことがはじまりです。
2021年12月時点でRSPOの正会員である一般消費者向け食品メーカーと小売業のリストは以下の通りです。
一般消費者向け食品メーカー | 小売業 | |
---|---|---|
(株)亀田製菓 | タカナシ乳業(株) | (株)セブン&アイ・ホールディングス |
(株)ロッテ | 日清食品HD(株) | パルシステム生活協同組合連合会 |
日世(株) | エスビー食品(株) | 日本生活協同組合連合会 |
マルハニチロ(株) | ハウス食品グループ本社(株) | イオン(株) |
アサヒグループHD(株) | 森永乳業(株) | |
(株)ブルボン | 雪印メグミルク(株) | |
江崎グリコ(株) | (株)不二家 | |
森永製菓(株) | キューピー(株) | |
(株)やまひろ | ニチレイ(株) | |
カルビー(株) | スジャータ めいらく(株) | |
山崎製パン(株) | 東洋水産(株) | |
カゴメ(株) | 日本食品(株) | |
フジパングループ(株) | 筑野食品工業(株) | |
日本ハム(株) | 合同酒精(株)オノエングループ | |
(株)明治 | (株)J-オイルミルズ | |
ピジョン(株) | 日清オイリオグループ(株) | |
日本水産(株) | 理研ビタミン(株) | |
(株)北海道フーズ | 太田油脂(株) | |
(株)ポテトフーズ | (株)カネカ | |
山芳製菓(株) | 昭和産業(株) | |
味の素(株) |
2022年にはさらに多くの企業が正会員としてRSPOの活動に参加しています。
『JaSPON』の設立
RSPOに参加する企業が急増したことを受け、日本国内でもパーム油の問題の解決に積極的に関与していこうという動きが出てきました。
そのようななか、2019年4月に設立された組織が『JaSPON(ジャスポン:持続可能なパーム油ネットワーク)』です。
2021年11月時点での参加企業は46とまだそれほど多くありません。JaSPONに参加している一般消費者向けの食品メーカーや小売業には以下の企業があります。
味の素(株) | エスビー食品(株) |
---|---|
日清食品ホールディングス(株) | スジャータめいらく(株) |
明治ホールディングス(株) | キユーピー(株) |
キリンホールディングス(株) | (株)創健社 |
(株)不二家 | イオン(株) |
マルハニチロ(株) | 日本生活協同組合連合会 |
森永製菓(株) | オイシックス・ラ・大地(株) |
JaSPONでは、国内市場において「持続可能なパーム油」の調達と消費を促進するための活動や、情報共有や意見交換を通して、パーム油生産がかかえる問題の解決を目指しています。
「持続可能なパーム油」に対する企業の取り組み
RSPOに参加している多くの企業では、近い将来、原料として使用しているすべてのパーム油を、RSPOの認証パーム油、もしくは、アブラヤシの生産者や搾油工場までの流通経路を追跡できるパーム油に切り替えることを目標に掲げています。
例えば、RSPOのサプライチェーン認証を取得している「日清食品」では、”持続可能であると判断できるパーム油”の調達をグループ全体で2030年度までに100%にすることを目標に掲げています。
そして、2021年の実績は、認証パーム油の使用実績が36%、搾油工場までの追跡ができるパーム油の使用実績は100%であると発表しています。
食品業界の「持続可能なパーム油」の現状
2018年頃から、RSPOの正会員になってパーム油の問題解決に向けて取り組む企業が急増したものの、日清食品のように「持続可能なパーム油」への切り替えが進んでいる企業はほんのごく一部です。
食品業界は日本が輸入しているパーム油の約8割を利用しているにもかかわらず、石鹸などの日用品メーカーや化粧品メーカー、製油業などと比べるとかなり遅れていると言えますよね。
ましてや、一般消費者にいたっては多くの加工食品にパーム油が使用されていることすら知らない人が大半ですよね。
RSPOの正会員数が世界4位になったと言えども、国内ではパーム油の問題はほとんど浸透していないと言えるでしょう。
パーム油の問題の解決に向けて消費者ができることとは?
インターネットで消費者ができることを調べてみると、「RSPOの認証マークが付いている商品を選びましょう!」と書かれています。
しかし、食品においては、RSPO認証マークが付いている商品はまだほとんどありません。
スーパーで探してみても、2023年3月時点でRSPO認証マークが付いている食品はごくわずかです。
・日清食品 『カップヌードル』
・カルビー 『ポテトチップス』シリーズのうすしお味・コンソメパンチ・のりしお・コンソメWパンチ
・創健社 『べに花ハイプラスマーガリン』、『発酵豆乳入りマーガリン』
RSPO認証マークを表示した食品は今後増える可能性はありますが、まだまだ時間はかかりそうです。
現時点で、パーム油の生産による環境破壊や人権侵害の解決に向けて私たち消費者が少しでもできることがあるとするならば、先ほどご紹介したRSPOやJaSPONに参加している企業の商品を選ぶことになるでしょうか。
また、多くの食品メーカーや小売業などのホームページには、パーム油の問題に対してどのように取り組んでいるかについて書かれています。
「サステナビリティ」や「自社の取り組み」などといったページに記載されていることが多いので、読んで知ることもひとつの方法です。
まとめ:パーム油の問題は私たちの生活にも大きく関わっている!
パーム油の需要は世界中で需要が年々増え続けていますが、パーム油の生産シェアの約85%がインドネシアとマレーシア。
つまり、世界中で必要なパーム油のほとんどすべてをインドネシアとマレーシアで生産していることになります。
それだけのパーム油を作るためには広大なアブラヤシ農地と人手が必要なため、現地では農地開拓による環境破壊や労働者や住民の人権侵害が問題になっています。
これらは現地だけの問題ではなく、私たちの生活や地球の未来にも大きく関わっています。
近年は日本の市場でもパーム油の問題を解決するために「持続可能なパーム油」への変換が進められようとしています。
私たち消費者にできることはまだまだ限られていますが、少しでもパーム油の問題の現状を知って意識することが大切と言えるでしょう。