塩麹は話題の発酵食品。腸内環境を整え、基礎代謝をアップさせるなどうれしい健康効果も期待できます。
塩麹に漬け込んだお肉や魚は、柔らかく風味もアップします。また、野菜を漬けたり、ドレッシングにしたりすることもできますね。
そんな塩麹、実はお家でも作れるんですよ。今回は、塩麹の基本的な作り方や、失敗したくない時の便利なアイテムをご紹介します。
塩麹の作り方の基本を押さえよう!
麹は生き物なので、いつも思い通りに完成するとは限りません。まずは塩麹の作り方の基本を押さえていくことが大切です。
塩麹を手作りする時に準備するもの
塩麹は時間をかけて麹を発酵させて作るので、清潔な道具が必要です。特に、熟成させるための容器は煮沸消毒して清潔にしておきましょう。
- ボウル
- スプーン
- 計量カップ
- 蓋つきの保存容器
- クッキングスケール
- 料理用温度計★
塩麹はニオイ移りしやすいので、蓋つきの保存容器はガラス製がおすすめです。料理用の温度計は時短で塩麹を作りたい時に役立ちます。
塩麹を手作りする時の基本的な分量
塩麹の作り方で重要なのは分量のバランス。このバランスが悪いと、失敗につながったり、風味が悪い仕上がりになったりします。
生麹の場合
- 生麹…200g
- 塩…60g
- 水…200ml
乾燥麹の場合
- 乾燥麹…200g
- 塩…60g
- 水…300ml
分量の割合は、生麹の場合10:3:10、乾燥麹の場合は10:3:15と覚えておくとよいでしょう。
生麹と乾燥麹はどう違う?どっちがいい?
麹とは、米などに麹菌を付着、培養させたもの。これが生麹です。対して、乾燥麹は麹を乾燥させているので、生麹より保存が効きます。
生麹の保存期間…冷蔵庫で1週間~2週間
乾燥麹の保存期間…常温で半年~1年
生麹と乾燥麹に、栄養的な違いはほとんどないと言われていますが、生麹の方が風味良く仕上がるという声もあります。
ですが、塩麹を作る場合は、どちらを選んでも仕上がりにそれほど大きな違いはありません。麹の使用頻度や好みで選んでもよいですね。
ちなみに、生麹は1kg、2kgといったちょっと大きい単位で売られていることが多いのですが、通販なら500g程度の中容量のものも販売されていますよ。
基本の塩麹の作り方
まずは基本的な塩麹の作り方を見てみましょう。塩麹の一般的な作り方だと出来上がりまでに1週間ほどかかります。余裕をもって取り掛かってくださいね。
材料(作りやすい分量)
- 生麹…200g
- 塩…60g
- 水…200ml
作り方
1.ボウルに生麹と塩を入れて、かたまりがなくなるまでスプーンでよく混ぜる
2.1に水を入れ、塩が溶けるまでさらによく混ぜる
3.蓋つきの容器に2を入れ、軽く蓋を閉める
4.20度~30度の常温に置き、1日に1回よくかき混ぜる
5.麹が水に浸かってる状態を保てるように水が減って見える時は水を足す
6.1週間~10日をめどにバナナのような甘い香りがしてきたら完成の合図
7.麹の粒を指で潰して軽くつぶれれば完成
ポイント
- 水はミネラルウォーターがおすすめです
- 粒が気になる時はブレンダーなどで潰しましょう
時短も可能!失敗を回避できる塩麹の作り方
完成までに1週間から10日、冬場などは2週間以上かかることもある塩麹作り。
管理が大変そうだし失敗してしまうのも怖い、と思ってしまいます。でも、失敗を回避しつつ、時短もできる作り方があるんですよ。
※所用時間は目安です。
炊飯器を使う【所要時間5~6時間】
使うのは、炊飯器の保温機能。一定の温度を保ってくれる保温機能は、塩麹の安定した発酵に役立ちます。
まず、60度前後のお湯を用意してください。塩をお湯に溶かしたら、ほぐした麹とよく混ぜ、保温状態の炊飯器にセット、濡れ布巾をかぶせてください。
蓋は5~10センチ程度浮くようにして閉めます。完全に閉めると、炊飯器内が高温になってしまい、発酵の妨げになるので注意が必要。
途中で2回ほど大きくかき混ぜ、水分が足りないようなら60度程度のお湯を足してくださいね。そのまま5~6時間保温すれば、塩麹の完成です。
ヨーグルトメーカーを使う【所要時間6~10時間】
ヨーグルトメーカーとは、その名の通りヨーグルトを作る道具のこと。一定の温度を一定時間保ってくれる便利なアイテムです。
ヨーグルトメーカーはヨーグルトを手作りするだけではなく、塩麹や納豆などの発酵食品、鶏ハムなどの低温調理もできちゃうんですよ。
ほぐした麹に塩・水を加えてよく混ぜたら、60度6時間に設定したヨーグルトメーカーにセットします。
2時間ごとによく混ぜ、水分が減っていないかチェック。足りないようなら水を追加してくださいね。
安価なヨーグルトメーカーなら2,000円程で買えますので、なかなか手軽でおすすめですよ!
スープジャー・水筒を使う【所要時間8~10時間】
スープジャーは麹を入れる前にしっかり温めておいてください。70度くらいのお湯に塩を溶かし、温度が60度程度に下がったらほぐした麹とよく混ぜます。
この時、全体の温度が下がるので、軽く加熱して60度前後にします。70度を超えると麹菌の働きが弱くなったり死んでしまったりするので注意してくださいね。
あとはスープジャーに入れて蓋をしてください。2時間おきくらいによく振って完成を待ちましょう。
保温力に優れたスープジャーで塩麹を作るポイントは、温度管理です。料理用の温度計を使って、温度チェックをしながら調理するのがおすすめです。
調理中の温度チェックに役立ちます↓↓
作り方失敗した?塩麹が美味しくない原因は?
麹は生き物なので、毎回同じような仕上がりになるとは限りません。気候や環境によって、思わぬ仕上がりになることも。
「失敗しちゃった!」とあきらめてしまう前に、本当に失敗なのか、失敗を防ぐにはどうしたらよいかを見てみましょう。
すっぱい・またはアルコールのようなにおいがする
すっぱい香りやアルコールのような香りは完全に失敗ではないので、廃棄する必要はありません。ですが、塩麹の風味には影響します。
もし、アルコール臭がする塩麹が出来上がってしまった時は、加熱調理に利用すれば美味しく消費できますが、できれば防ぎたいですよね。
すっぱい香りやアルコールの香りは、麹に入り込んでしまった乳酸菌や、発酵のし過ぎが原因だと考えられます。
- 塩と水、麹のバランスを守る
- 室温30度を超えないようにする
- 1日に1回はよくかき混ぜる
これらに気を付けることで、過発酵や、入り込んでしまった乳酸菌の増殖を妨げますので、試してみてください。
白いカビのようなものが浮いている
「塩麹の中に白いカビみたいなものが出てきた!」と思っても慌てないで。ふわふわしてカビのように見えますが、実は酵母菌なんです。
食べても全く問題ないので、ふわふわしたものが見えたら塩麹にそのまま混ぜ込んでしまうか、量が多いならその部分だけ捨てましょう。
白いふわふわは、よくかき混ぜることで予防できるので、かき混ぜるのを忘れないようにしてください。
塩麹が2層になる・ブクブク泡立つ
『塩麹が2層に分かれる』『ブクブク泡立つ』という状態になったら、さすがに失敗だ、と思っちゃいますよね。でもこれは、酵母発酵が活発すぎるため起こる現象なんです。
発酵が活発になるならいいんじゃないの?と思いますが、このまま放置しておくとアルコール臭がする塩麹になってしまいます。
活発な発酵を抑える方法はひとつ『冷蔵庫に入れる』です。低温になれば、発酵は落ち着くので、ブクブクした泡が出てきたらすぐ冷蔵庫に入れましょう。
塩辛い・とろみがない
塩麹がサラサラしてとろみがない、味見したらなんだか塩辛い。これは塩麹が熟成しきれていないことが原因。
通常、1週間ほどで完成する塩麹ですが、気候や室温によっては2週間以上かかることもあります。
発酵の進みが遅いな、と感じたら60度くらいのお湯につけるなどし、周囲を温めてみてください。ただし、あまり熱すぎると酵母菌が死んでしまうので気を付けてくださいね。
全体的に色が変わった
塩麹の色が全体的にベージュっぽい、もしくは灰色っぽいとなっても、心配はいりません。塩麹は、使う麹や塩によって薄く色づくことがあるんです。
原因としては、たんぱく質などの成分が反応しあって起こるメイラード反応や、塩などに含まれるミネラルの影響が考えられます。
いずれも、全体的に色が変わった場合、味や香りに異変がなければ全く問題はありません。安心して食べてくださいね。
【失敗例】こういう時は絶対食べないで!
「失敗した!」と思っても意外と失敗していない塩麹ですが、それでも『絶対食べてはいけない』場合もあります。絶対に食べてはいけない失敗例をご紹介します。
生ゴミのような強いニオイ
塩麹が腐ると、強烈な生ゴミ臭がします。明らかに腐敗しているので、食べてはいけません。
塩麹の一部だけが変色している
塩麹が全体的ではなく、一部だけ変色してしまうのは雑菌が原因です。腐敗している可能性があるので、食べてはいけません。
色のついたふわふわが混ざっている
塩麹についているふわふわが、白ではなく黒や赤など色がついていた場合、それはカビです。絶対に食べてはいけません。
塩麹の作り方は発酵をコントロールするのが重要!
塩麹の作り方で重要なのは『いかに発酵をコントロールするか』ということ。難しいことはなく、麹・塩・水の分量と温度に気を付け、かき混ぜる時に状態を見ておくだけ。
それでも「難しそうだな」と思ったら、炊飯器やヨーグルトメーカーなどを使って時短調理しちゃいましょう。今日から美味しい発酵食品生活ができますね。