一味唐辛子や七味唐辛子を普段から料理に使っていますか?
蕎麦屋や牛丼屋、焼き肉屋など飲食店には必ずと言っていいほど常備されている調味料ですよね。ご家庭で使用されている方も多いはずです。そんな私たちの食卓を陰で支えてくれている一味や七味ですが、
こんな風に思っている人は意外と多いのではないでしょうか。
実は両者には明確な違いがあり、それを知ることで一味や七味をより引き立たせる使い方が出来てしまうんです!
わき役と思われがちな一味や七味ですが、知れば知るほど奥の深い調味料であることが今回の記事でお分かりいただけると思います。
目次
一味と七味の違いは何?実は辛さや使い方にもそれぞれ特徴が!
一味と七味、名前からして似ている2つの調味料ですがいったい違いはどこにあるのでしょうか?
・原材料
・辛さ
・使い方
・地域性
・お互いに代用は可能なのか
今回は大きくこの5つに分けて、一味と七味の違いに迫ってみましょう。
一味と七味の原材料の違いはどこにある?
一味と七味の大きな違いは原材料が唐辛子のみか、もしくは別の素材が入っているか、という点にあります。
一味の原材料はシンプルに唐辛子のみです。乾燥させた唐辛子を細かく粉末状にした調味料の総称で、レッドペッパーやチリペッパーとも呼ばれ世界各国で親しまれている調味料です。ピリッとした辛味がダイレクトに伝わる点が特徴ですね。
一味には様々な種類の唐辛子が使われていて、種類によって辛さも大きく変わっていきます。鷹の爪や赤唐辛子、ハバネロやハラペーニョなどが有名どころでしょうか。
反対に七味は唐辛子の他に、香辛料や薬味を混ぜ合わせた粉末状の調味料のことをさします。七味という名前はあくまでブレンドスパイスの総称で、調合されている香辛料や薬味に決まりはありません。
七味という名前ではありますが7種類必ずしもスパイスを使う必要はなく、各お店やメーカーによってそのバリエーションは様々です。スパイスがたとえ5種でも9種でも七味と呼ばれるそうですよ。
・山椒
・麻の実
・ケシの実
・白ごま
・黒ごま
・陳皮(乾燥させたみかんの皮)
・しそ
・青のり
・生姜
唐辛子以外のスパイスが入ることで一味のような辛味に加え、豊かな風味や香りを楽しめる点が七味の大きな特徴といえます。
※七味の各原材料については以下の記事で解説をしていますので、併せてご覧ください。
一味と七味はどっちが辛い?
一味と七味を比べた時にどちらがより辛いのでしょうか?
もし同じ唐辛子を使用して作ったとした場合、やはり唐辛子のみで作られた一味の方が辛味は強くなります。七味は原材料が一味に比べて多いので、その分唐辛子の割合が少なくなりますから一味より辛味は抑えられますよね。
しかし唐辛子の種類によって辛さは大きく変わります。唐辛子の最少の辛さと最大の辛さの幅は、何と約200倍もの違いがあるんだそうです。
仮に七味の原材料に辛味の強い唐辛子を使用すれば、一味より辛味の強い七味があっても不思議ではありませんよね。
一味と七味の使い分けはどうしたらいい?
一味は唐辛子の辛味をダイレクトに感じられる調味料ですので、シンプルに料理に辛味を加えたい時に使用するのがベストです。
例えば煮物や炒め物のアクセントに、もしくはピザやカレーなど和洋中どの料理でも辛味を加えたいときに使用してみて下さい。
七味は辛味を加えるのはもちろんですが、より風味を増したり味に奥行きを出したい時に使ってみるのがオススメです。
日本発祥の調味料ということもあり、和食との相性は抜群ですよ。牛丼、親子丼、豚汁やきんぴらごぼうなどにぜひ合わせてみて下さい。
もしくは味が単調になりやすい蕎麦やうどんなどの麺類のアクセントに使うのもいいですね。七味は加熱すると風味が飛んでしまいますので、調理後の薬味として使用して下さい。
地域によって好みの違いはあるの?
一味と七味のエリア別売上構成比を見てみると、とても面白い違いが見えてきます。
一味の売上構成比が高い地域は、北海道。北国である北海道では体を温める効果のある唐辛子をより多く摂取したい、ということの表れなのでしょうか。
次いで九州が続きます。濃い味付けが好まれる地域ですので、一味の辛味も人気があるのかもしれませんね。
逆に七味の構成比率が高い地域は京浜地区。これは七味が東京(江戸)で生まれた調味料だということも関係しているのかもしれません。また七味に含まれる素材の配合も、地域によって様々です。
江戸時代に庶民の間で人気になった七味は、次第に江戸から京都へと広がっていきました。その間にその土地その土地の食文化に適した独自の素材を使用した七味が生まれていったんですね。
たとえば江戸時代の各地にみる食文化の大きな違いといえば、蕎麦とうどんの違いが上げられます。関東では濃い口醤油味の蕎麦文化が、関西では薄口醤油味のうどん文化が一般的でした。
その文化に合わせて関東では濃い味に負けない辛味を強調した七味が、関西では薄味に合う香りを重視した七味が好まれるようになったと言われています。
七味と一味は互いに代用することはできる?
こんな時、一味や七味はお互いに代用ができるでしょうか?一味も七味も唐辛子が主な原材料ですので、基本的には代用が可能です。とはいえ、それぞれ味の特徴を忘れてはいけません。
一味はシンプルに辛味を加えることはできますが、七味のように香りを加えることはできません。七味の代用として使った場合、風味アップどころかただただ料理が辛くなってしまうこともあるでしょう。
逆に七味は唐辛子以外の素材が含まれている分、辛味は控えめなことがほとんどです。何より七味は風味付けが主な役割ですから、一味の代用品として料理に使用すればその風味が仇となり料理の味が変わってしまう可能性もあります。
欲を言えば両方持っておいて、その都度使い分けるのが1番です。ですが使う量も少ないので、「どちらか1つ家にあればいいかな」と思う方も多いですよね。
調理中に辛味を加える場合⇒一味
料理の仕上げに風味をアップさせる場合⇒七味
自分がより頻繁に使う方を常備し必要であれば代用する、というパターンでいいのではないでしょうか。
一味や七味には塩分は含まれる?減塩効果にも着目!
もともと体を温める効果や食欲増進効果のあった一味は、食用というよりは薬として江戸時代では扱われていたようです。
ただあまりにも辛いのでなかなか世間一般には広まらず、もっと身近なものにできないかとの思いから試行錯誤が繰り返されました。
そして漢方薬に着想をえて、一味に7種類の素材を配合した七味が開発されたんです。漢方薬をお手本に作られただけあって、実は一味や七味は健康に有効な成分が多く含まれているんですよ。
ここでは一味・七味の減塩効果や、そもそも塩分が含まれるのか?という点について解説をしていきます。
一味や七味には塩分は含まれている?
一味や七味には塩分は含まれていません。辛味を加えるその他の調味料に含まれる塩分を見てみましょう。
・タバスコ…小さじ1に対して塩分は30㎎
・カレー粉…小さじ1に対して塩分は1g
・豆板醤…小さじ1に対して塩分は1g
余分な塩分を加えない、という意味では一味や七味はとてもヘルシーな調味料といえますね。
一味や七味には塩分を減らす効果もある!
一味や七味は辛味や風味を加える調味料、と考えている人は多いと思います。しかし最近では一味や七味のようなスパイスを、塩分を減らすために活用することも多いんです。
健康のために塩分を減らそうと努力している人が最近は増えていますよね。食事の塩分を抑えると、どうしても味がぼんやりして物足りなさを感じてしまいます。
そんな時に一味や七味を料理に加えると、辛味・香り・風味・うま味が増加して味の物足りなさをカバーしてくれるんです。塩分を抑えた料理でも味にメリハリがつきますので、薄味でもより満足感を得ることができますよ。
まとめ:一味と七味はそれぞれの個性を生かして食事に使おう!
名前や見た目も似ている一味と七味ですが、原材料には大きな違いがあります。それぞれの特徴や個性を知ることで、今まで以上に料理の味を引き出せる使い方ができるのではないでしょうか。
さらに一味や七味は薬や漢方薬から生まれた調味料ですので、私たちの健康維持にも役立ちます。一日にたくさん摂取することは出来ませんが、料理を美味しくしてくれて尚且つ健康的な調味料なら使わない手はありませんよね。
ぜひご家庭の食事にも一味や七味を取り入れてみて下さいね。