このようなケースはよくありがちですよね。黒酢は一般的な食酢よりも価格が高いので、家に常備していない人も多いのではないかと思います。
でも、わざわざ買いに行くのも面倒だし、何か他の調味料で代用はできないのでしょうか。この記事では、黒酢の代用品となる調味料や、代用品を使ったレシピなどをご紹介します。
目次
黒酢を他の調味料で代用することはできる?
結論から言うと、黒酢を他の調味料で代用することは可能です。もちろん、同じ味を作り出すことは難しいかもしれませんが、似たような味に寄せることができたら助かりますよね。
まずは、黒酢の味の特徴と、似たような味を作り出すポイントについて解説します。
黒酢の味の特徴を知ると代用品を探しやすい!
黒酢の主原料は玄米と大麦です。ですから、黒酢は穀物酢のひとつに分類されますが、一般的な穀物酢や米酢と大きく違う点は含まれているアミノ酸の量です。この点が適切な黒酢の代用品を探すうえで重要なポイントになります。
黒酢は一般的な穀物酢に比べて熟成期間が長いため、原料に含まれるタンパク質がじっくりとアミノ酸に分解されてアミノ酸の量が多くなります。
製品にもよりますが、黒酢は他の穀物酢比べて、数倍から10倍ほどのアミノ酸を含んでいるといいます。
黒酢にはグルタミン酸など旨味成分となるアミノ酸も豊富に含まれているため、一般的な穀物酢よりも旨味成分が多いということになりますね。
また、長時間熟成させることで、カドが取れて柔らかい酸味になり、まろやかでコクの強い味わいになるのが特徴です。
代用品で黒酢の味に寄せるポイントは?
料理に酸味を付けるだけなら、一般的な穀物酢や米酢などで代用すればよいですよね。
しかし、先ほど説明したとおり、黒酢には一般的な穀物酢や米酢と比べると、旨味成分が多く、酸味がまろやかで、コクが深いという特徴があるので、単に酸味を付けるだけでは黒酢に風味には近づきません。
黒酢の代用として他の食酢を使って、なおかつ黒酢のような風味に寄せるには以下の方法があります。
・酸味をまろやかにする
・旨味を足す
・コクを足す
つまり、食酢を使用して黒酢の風味に近づけるには、上記の3つのポイントをクリアすればよい、ということになりますよね。
普通の酢で黒酢の風味に近づける具体的な代用方法
穀物酢や米酢などの普通の酢を使って黒酢に似た風味を作り出すには、酸味をまろやかにし、旨味やコクを足すとよいわけですが、具体的にはどのような代用方法があるのでしょうか?
ここでは具体的な代用法について解説していきます。
食酢の酸味をまろやかにする方法
黒酢の代用時のポイント1つ目「酢の酸味を抑える」には、以下の3つの方法がおすすめです。
酢を加熱する
食酢の酸味のもととなる成分は酢酸です。酢酸に含まれるツーンとする香りの成分は揮発性のため、加熱するとツーンとする香りが揮発してまろやかな風味になります。
ただし、酢酸の沸点は118℃と水よりも高いため、加熱しすぎると水がどんどん蒸発して酢酸の濃度が濃くなってしまうので注意しましょう。
ハチミツやみりんを加える
ハチミツやみりんに含まれているオリゴ糖には、酸味の刺激となる酢カドを和らげる効果があることで知られています。
そのため、ハチミツやオリゴ糖を少量加えることで、酸味のカドを取ってまろやかな味わいにすることが可能です。
オリゴ糖は玉ねぎにも多く含まれているので、すりおろした玉ねぎを加えてもいいですね。また、オリゴ糖でなく普通の砂糖で甘味を加えても、味の抑制効果で酸味が少し抑えられます。
旨味成分を加える
イノシン酸をはじめとする旨味成分にも、酢カドを和らげる働きがあることで知られています。特に、カツオだしに含まれるイノシン酸やシイタケに含まれるグアニル酸などが効果的です。
そのため、カツオだしや麺つゆなどを料理に加えることで、酢のツーンとする酸味を抑えられます。
食酢にコクを足す方法
料理においては、この「コク」というものがもっとも わかりづらい味の要素ではないでしょうか。
コクを別の言葉で言い換えるとするなら、「深み」でしょうか。一般的に、料理にコクを加える味覚は、後から風味を感じる要素の強い、苦味、甘味、旨味であると言われています。
例えば、市販のルーで作ったカレーにコクを与える方法として、インスタントコーヒーやココア、チョコレート、飴色に炒めた玉ねぎなどがよく知られていますよね。
洋食なら、最後にバターを加えることでもコクがアップします。黒酢の代用においても同じことが言えます。
また、同じ甘味でも、もともと深いコクを持つ黒糖を使ったり、砂糖を焦がしたカラメルを使ったりすることでコクを加えることもできます。
食酢に旨味を足す方法
黒酢の風味に近づけた代用を行う用途で普通の穀物酢や米酢・果実酢などに旨味を足すには、次のような方法があります。
・カツオや昆布などのだしを加える
・味噌や醤油などの発酵調味料を加える
・オイスターソース、ウスターソース、トマトケチャップなどを加える
カツオや昆布などの和風だしには、イノシン酸、グルタミン酸などの旨味成分が含まれていることはよく知られていますよね。
そして、味噌や醤油などの発酵調味料は、タンパク質から分解されたアミノ酸がたくさん含まれているので、旨味成分もたっぷりと入っています。黒酢の「旨味」を再現する代用法ととても相性がいいですよ。
また、オイスターソースやウスターソース、トマトケチャップなどは発酵調味料ではありませんが、牡蠣や野菜・果物など原料由来の旨味成分がたっぷりと含まれています。
黒酢の代用として使える調味料の組み合わせ
穀物酢や米酢など一般的な酢を使って、黒酢の風味に寄せる方法をいろいろと解説してきましたが、家にある調味料を黒酢の代用品として使う場合、どのようにすれば簡単にできるのでしょうか?
おすすめは『普通の酢+オイスターソース』
黒酢の持つ、まろやかな酸味、旨味、コクという3つの味の特徴を出すためにおすすめの代用調味料は、「一般的な酢+オイスターソース」という組み合わせです。
普段、料理に使う酢は穀物酢か米酢が多いですよね。これらのお酢は、黒酢よりもツーンとする酸味が強く、逆にコクや旨味が足りません。これらを補うのにおすすめの調味料がオイスターソースです。
市販のオイスターソースの原料は、牡蠣エキス、砂糖、うま味調味料、砂糖、食塩など。酸味をまろやかにしたり、旨味やコクを加えたりする成分が全部入っていると言えますよね。つまり、家にある穀物酢や米酢にオイスターソースを少し足すことで、代用品でありながら黒酢に近い味わいを出すことができるのです。
オイスターソースがない場合はどうしたらいい?
家にオイスターソースもない!という人のために、オイスターソースの代用となる調味料も合わせて紹介しておきましょう。オイスターソースの代用として使える調味料の組み合わせには次のようなものがあります。
・ウスターソース+ハチミツ:野菜や果物の旨味のたっぷり入ったウスターソースに、ハチミツで甘さやコクを足す。
・中濃ソース+中華顆粒だし:ウスターソースよりも甘味が強いので、中華顆粒だしでコクをプラスする。
・お好み焼ソース:野菜や果物の甘みと旨味がたっぷり。麺つゆや和風だしで魚介風味の旨味を足してもOK。
上記の方法でオイスターソースに似た味は作り出せますが、オイスターソースは1本あると何かと便利なので、常備しておくとよいですね。
リンゴ酢・バルサミコ酢・ワインビネガーは黒酢の代用品になる?
リンゴ酢、バルサミコ酢、ワインビネガーはどれも果物から作られる果実酢の一種です。これら果実酢も黒酢の代用として使えますが、それぞれ味の特徴が違うので、組み合わせる調味料も変わってきます。
・リンゴ酢:穀物酢よりはフルーティーでまろやかな酸味だが、コクや旨味は少ない。オイスターソースをプラスして代用OK。
・バルサミコ酢:黒酢と同じように長期間熟成しているので、コクや旨味がある。酸味がやや弱いので酢やレモン汁を加えて調整するとよい。
・ワインビネガー:まろやかな酸味で赤ワインビネガーはコクも深い。オイスターソースや麺つゆなどで旨味をプラスしてもOK。
果実酢はまろやかな酸味なので、黒酢の代用品としては、穀物酢や米酢よりも使いやすいかもしれませんね。
※果実酢の美味しい活用法については、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
黒酢の代用品と相性のいい『絶品酢豚』のレシピ
黒酢の代用として普通の酢とオイスターソースを使って作る酢豚のレシピをご紹介します。「黒酢」で作った場合と「代用品」で作った場合のレシピの違いなどについても解説していきます。
オイスターソースで代用する黒酢酢豚
黒酢を使う料理の代表的存在ともいえる酢豚。黒酢を使うとコクや旨味が出て、プロが作るような本格的な味わいを楽しめるのが特徴です。
今回は、黒酢の代わりに普通の酢とオイスターソースで代用したレシピをご紹介します。
【材料】(2人前)
豚肉ブロック 150~200g
★酒 大さじ1
★醤油 小さじ1
片栗粉 大さじ2
玉ねぎ 1/2個
ピーマン 2個
赤パプリカ 1/2個
サラダ油 大さじ1
☆甘酢あん
酢 大さじ2
砂糖 大さじ2
醤油 大さじ1
オイスターソース 大さじ1
鶏ガラスープの素 小さじ1/2
酒 大さじ1
水 大さじ3
片栗粉 大さじ1/2~小さじ2
ごま油 大さじ1/2
【作り方】
1.豚肉はひと口大に切り、★の酒と醤油で下味を付けておく。
2.玉ねぎはくし型に、ピーマンとパプリカは食べやすい大きさに切っておく。
3.甘酢あんの調味料を合わせておく。
4.豚肉の水気を切り、片栗粉をまぶして170~180℃の油で揚げておく。
5.フライパンにサラダ油を入れて熱し、玉ねぎを炒める。玉ねぎに軽く火が通ったら4の豚肉とパプリカを加える。
6.甘酢あんの調味料とピーマンを加え、とろみがつくまで炒め、最後にごま油を回しかけて香りを付ける。
【メモ】・豚肉の代わりに、鶏もも肉や肉団子を使ってもOKです。
『黒酢』レシピと『代用品』レシピの違いは?
黒酢を使った場合の甘酢あんと、代用品を使った場合の甘酢あんの調味料の違いは以下のとおりになります。
黒酢を使った酢豚 | 代用品を使った酢豚 | |
---|---|---|
黒酢 | 大さじ3 | |
酢 | 大さじ2 | |
砂糖 | 大さじ1.5 | 大さじ2 |
醤油 | 大さじ1.5 | 大さじ1 |
鶏ガラスープの素 | 小さじ1/2 | 小さじ1/2 |
オイスターソース | 大さじ1 | |
酒 | 大さじ1 | 大さじ1 |
水 | 大さじ3 | 大さじ3 |
片栗粉 | 大さじ1/2~小さじ2 | 大さじ1/2~小さじ2 |
両者を比較するとわかるように、普通の酢とオイスターソースで代用するレシピは、黒酢よりも酸味が強いために酢の量を少し減らしました。
逆に、砂糖を少し増やして甘さを出して全体の風味をまろやかにしています。また、オイスターソースを入れると塩分が増えるので、その分醤油を少し減らすことで塩分量を調整しています。
砂糖の一部をハチミツに変えると、さらにコクが出てまろやかな味わいになるので、お好みで調整するとよいでしょう。
まとめ:黒酢の代用は「普通のお酢+オイスターソース」が簡単!
黒酢の味の特徴は、一般的な酢に比べると、酸味がまろやかで、コクや旨味が強いことです。ですから、穀物酢・米酢・果実酢などを黒酢の代用で使う場合は、ご紹介した方法で、酸味のカドやコクや旨味の強さを調整するとよいですね。
細かい調整が面倒な場合は、普通のお酢にオイスターソースを足して使うと簡単です。黒酢がなくて困った時は、ぜひ試してみてくださいね。