そんな疑問に答えます。
私たちの食卓に欠かせない醤油ですが、調味料は賞味期限が長いイメージもあり、賞味期限を確認して使っている方は少ないかもしれません。
この記事では、醤油の賞味期限や古い醤油の危険度、対処法などについて詳しく解説していきます。
目次
醤油はどれくらい賞味期限が長いの?
醤油の賞味期限は、開封/未開封かによっても異なり、また醤油が入っているボトル(瓶/ペットボトル等)によっても異なります。ここでは、それぞれの場面ごとの賞味期限を解説していきます。
未開封での賞味期限は?
未開封での醤油の賞味期限は、もっとも長いもので2年、短いもので8カ月となっています。醤油は一種の保存食です。
同じ大豆製品の豆腐や納豆と比べると格段に日持ちするので、醤油の賞味期限を意識したことはあまりないかもしれません。ですが、醤油にもちゃんと賞味期限はあるんです。
ちなみに、パッケージやボトルに表示されている醤油の賞味期限は、一般的に「未開封」の場合の期限のことです。醤油の賞味期限は、醤油の種類と容器によって違います。
日本醤油協会のガイドラインに基づく表を見ると、わかりやすいと思います。
醤油の賞味期限(保存方法:直射日光や高温の場所を避け、常温で保管)
賞味期限 | |||
---|---|---|---|
濃口醤油 溜り醤油 再仕込み醤油 | 薄口醤油 (淡口醤油) | 白醤油 | |
プラスチックボトル | 18カ月 | 12カ月 | - |
ガラスびん | 24カ月 | 18カ月 | 8カ月 |
缶 | 24カ月 | 18カ月 | 8カ月 |
種類によっても異なる醤油の賞味期限
私たちの食卓に欠かせないとても身近な調味料の醤油ですが、実は、醤油には5種類あるってご存知でしたか?JAS規格によって、濃口醤油、薄口醤油、溜り醤油、再仕込み醤油、白醤油の5つに分けられているんです。
醤油の賞味期限は、この醤油の種類によっても異なります。前項の『醤油の賞味期限』の表を見ていただくと、どの容器においても白醤油が一番賞味期限が短くなっていますね。
次に薄口醤油が短くて、濃口醤油、溜り醤油、再仕込み醤油の3種類は、もっとも賞味期限が長くなっています。
白醤油や薄口醤油は、色がうすいことが特徴です。醤油は古くなると色が濃くなってしまうため、色が黒ずんでしまわないよう、白醤油や薄口醤油は賞味期限が短く設定されているんですよ。
濃口醤油と薄口醤油の違いについては、以下の記事で詳しく解説をしていますので、ご興味のある方は本記事と併せてご覧ください。
プラスチックボトルの醤油は賞味期限に注意!
プラスチックボトル入の醤油は、ガラスびんや缶に比べて賞味期限が短くなっています。賞味期限が短い順に、プラスチックボトル、ガラスびん、缶となります。
プラスチックボトル入の醤油がもっとも賞味期限が短いのですが、これは、プラスチックにはわずかながら空気を通してしまう性質があるためです。
ガラスびんや缶と比較すると、プラスチックボトル入りの醤油は劣化しやすいので、ストック品として長期保管をする場合は、賞味期限が長いガラスびんや缶入の醤油を選ぶのがよいでしょう。
開封後はどれくらいで使い切ればいい?
開封後の醤油は、1カ月以内に使い切ることをおすすめします。未開封の場合は、前述のように醤油の種類や容器でしっかりと賞味期限の基準が設けられています。
一方、開封後の醤油については、どれくらいで使い切らないといけないなどという決まりは、特に定められていません。
同じ醤油であっても、開封後の保管の方法や状況によって醤油の品質が異なってくるので、一概に「いついつまで」とはいえないからです。
そうはいっても、なにかの目安がないと、ちょっと不安ですよね。そこで調べたところ、専門家の醤油開封後についてのアドバイスは下のようになっていました。
・日本醤油協会発行『しょうゆの不思議改訂2版』P68
「1カ月以内に使い切ることをおすすめします。」
・キッコーマン公式サイト
「ペットボトルやびん入りの商品は冷蔵庫に入れ1カ月以内がおいしくご利用いただける期間とお考えください。」
・ヤマサ公式サイト
「使用後はきちんと栓をし、冷蔵庫に保存して1カ月くらいで使い切ることが、しょうゆのおいしさを保つポイントです。」
醤油専門家の共通意見ですので信頼できますね。開封後は1カ月を目安にし、なるべく早く使い切るようにしましょう。
賞味期限切れの醤油は危険!?
賞味期限は消費期限とは違い、「品質が保持されおいしく食べることができる期限」です。未開封の醤油は、賞味期限が切れてもすぐに使用できなくなるわけではありません。
危険度をしっかり見極めて、賞味期限切れの醤油が使用できるかどうかを判断できるよう、気になる点を解説していきますね。
醤油って腐るの?
醤油はとても腐りにくい食品です。賞味期限切れの食品でまず気になるのが、腐敗ですよね。もし腐っていたら…と思うと、開けて中身を確認するのもおそろしくなりますが、ご安心ください。
醤油は塩分濃度が高いため、腐ることはほとんどありません。醤油は一般的に、製造の最終工程で「火入れ」という加熱処理がされますが、これにより、火入れ前の生揚げ醤油に残っている酵母などの微生物が殺菌されます。
製造過程で細菌がかなり少なくなる上に、醤油は通常塩分が約16〜18%と塩分濃度が高いため、菌の増殖をおさえることができます。そのため醤油は、とても腐りにくいといえます。
ただし、塩分濃度の低い減塩醤油など、条件や保管状況によっては腐る場合もありますので気をつけてください。
白いカビが生えた!?
醤油に白いカビが生えていたら…びっくりされると思いますが、大丈夫です。カビはカビでも、悪いものではありません。それは「産膜酵母」と呼ばれる酵母の一種で、醤油の表面で白い膜をつくる微生物です。
キッコーマンの公式サイトによると、「この酵母は食品衛生的には何の問題もありませんが、繁殖すると旨味成分が減少したり、香りを損ねますので、早めに取り除いてください。」とのことです。
落ち着いて白い部分を取り除けば、問題なく使用できます。
古い醤油を使うとお腹を壊す?
賞味期限切れの醤油でお腹を壊す可能性は、かなり低いといえます。食品でお腹を壊す場合というのは食中毒によるものが多いと思いますが、醤油は食中毒の可能性がとても低い、安全性の高い食品なんです。
醤油は殺菌効果があるという話は、聞いたことがあるかもしれませんね。実は醤油は、食中毒菌(黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌O157:H7など)の増殖をおさえる静菌(殺菌)作用も持っているんですよ。
醤油の醸造過程において大腸菌O157:H7が混入することは考えられませんが、たとえ混入しても発酵、醸成、火入れなどの過程でほぼ完全に死滅します。
また、開封後にもし大腸菌O157:H7が混入しても、増殖する可能性は低いと思われます。どれくらいの賞味期限切れかにもよりますが、醤油でお腹を壊すという心配はそこまでしなくてもよいようです。
醤油は酸化する?お味の変化は?
醤油は腐りにくいですが、酸化はします。腐敗は細菌などの微生物によって物質が変化する現象のことですが、酸化は酸素と反応することで物質が変化する現象のことです。
醤油は空気に触れると、空気中の酸素によって酸化し、だんだん色が濃くなって黒ずんできます。また風味も落ちていきます。
この酸化は、気温が高いときに早く進むので、直射日光にあたる場所などで保管されていた賞味期限切れの醤油は、酸化しており味も落ちている可能性が高いでしょう。
賞味期限を保つための醤油の保管方法は?
醤油の保管方法には、常温、冷蔵、冷凍などの方法が考えられますが、どの方法がもっとも適しているのでしょうか。メーカーの考え方なども引用しながらご紹介していきます。
醤油のおすすめの保管方法は?
未開封の場合は、冷暗所で保管しましょう。前述の日本醤油協会のガイドラインによる醤油の賞味期限は、直射日光や高温の場所を避けて、常温で保管した場合の賞味期限です。
日が当たらない、より低温の場所に保管すれば、おいしく味わえる期間がもっと伸びると考えてよいでしょう。
反対に、表示されている賞味期限が保たれない可能性があるので、ガスレンジなどの火のまわりや直射日光にあたる場所などに置くことは絶対に避けてください。
開封後は冷蔵庫に保存し、なるべく早めに使い切ることが理想です。
醤油を冷凍庫に入れても凍らないってホント!?
醤油を冷凍庫に入れたこと、多分ないですよね?筆者もありませんが、調べたところ、醤油は冷凍庫に入れても凍らないとわかりました。
水に物質が多く溶ければ溶けるほど、氷点(凍る温度)は低くなるそうですが、醤油の水分は約67%で、アミノ酸、ブドウ糖、乳酸、食塩などたくさんの成分が溶けているため、とても凍りにくいというわけです。
キッコーマン公式サイトでは、「マイナス40度くらいまではシャーべット状ですが、マイナス60度で完全に凍ります。」と紹介されていました。
家庭の冷凍庫はマイナス18度〜20度くらいですから、醤油を凍らせることはできないということですね。
なお、キッコーマンもヤマサも、「冷蔵庫」保管がおすすめとのことですので、醤油は冷凍庫ではなく、冷蔵庫に入れるようにしてくださいね。
開封後も常温保管できるすぐれもの醤油をご紹介
開封後は冷蔵庫保管がおすすめですが、冷蔵庫がいっぱいで醤油を入れるスペースがない、食卓に置いておきたいなどの理由で、開封後も常温保管したい場合もありますよね。
そういうときは、開封後も常温で品質を保つことができる商品を購入するのもよいかと思います。おすすめ2品をご紹介します。
キッコーマン「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ」
醤油が空気に触れない二重構造の「やわらか密封ボトル」を採用し、開封後常温保存で90日間醤油の鮮度を保ちます。旨み豊かなので、つけ・かけの卓上用としても、炒め物や煮物のお料理にもおすすめです。
ヤマサ「鮮度の一滴 香り立つ超特選しょうゆ」
開封後常温保存で180日間も味、香りが変わらないという驚異の鮮度保持商品です。
びんより軽く、ペットボトルよりも樹脂使用量が少ないエコ容器です。新開発の「ピタッと弁」などで、以前の「鮮度の一滴」より使いやすくなったそうです。
他の醤油メーカーからも、開封後の常温保存が可能な商品が販売されています。減塩醤油など種類もいろいろありますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
醤油の賞味期限が切れてしまった場合の対処法
醤油を購入して冷暗所にしっかり保管していたけれど、そのまま忘れて賞味期限が切れてしまった〜ということも、ありがちですね。そんなときどう対処したらいいか、調査しました。
賞味期限切れ1年はセーフ?
保管状況等にもよりますが、賞味期限切れ後1年以内の醤油を使ってみるのはアリだと思います。賞味期限についての、醤油専門家集団の考え方をまとめると以下のとおりです。
・日本醤油協会発行『しょうゆの不思議改訂2版』P70より
「賞味期限をオーバーしたからといって急に醤油が悪くなるわけではありませんので、中身をチェックして透明な赤橙色が残っていたら使ってみてください。」
・キッコーマン公式サイト
「1リットルの濃口醤油の場合で、良い保管であれば2〜3カ月のオーバーは変わりなくお使いいただけるようです。」
・ヤマサ公式サイト
「保存状態などによって品質の変化が異なりますので、一律には申し上げられませんが、基本的に賞味期限以内でのご使用をおすすめします。」
賞味期限後1年過ぎても大丈夫と書かれているものはみつかりませんでしたが、醤油は腐敗しにくく、古くなっても健康被害が出にくい食品です。
冷暗所で、中身が空気に触れないような良い状態で保管されていた場合は、醤油の色や香りをしっかり確認して、自己判断で試してみるのはよいのではないでしょうか。
期限切れの醤油をおいしくいただく料理法
賞味期限切れの醤油を使う場合、焼き肉のタレや佃煮を作ったり、みりんやだしと一緒に煮物などに使うのがおすすめです。醤油は古くなると色が濃くなり、香りや味も劣化してしまいます。
そんな期限切れの古い醤油をおいしくいただくには、加熱すると芳ばしい香りが生まれるという醤油の特徴を利用するとよいでしょう。
焼き肉のタレや佃煮などの煮詰める料理や、煮物などの加熱調理に利用すると比較的おいしくいただけます。特に小魚やのりの佃煮などは、古い醤油の黒ずみの影響も気にならないのでとても適しています。
ただし、期限切れの醤油を使うときはしっかりと自己判断し、少しでも不安のあるときは無理に使用しないでくださいね。
10年経った期限切れ醤油は、掃除に使う?
賞味期限切れ後10年経過した醤油などは、さすがに食用に使用しないことをおすすめします。賞味期限を大幅オーバーした醤油もなんとか使いたいと思い、食用以外の活用法を探してみました。
すると、醤油は油汚れを落とすのによいらしく、醤油をコンロやレンジまわりの掃除などに使うという情報がチラホラありました。
醤油を掃除に使うという発想は、筆者にはなかったです。半信半疑で試してみました!五徳に醤油をかけ、スポンジでこすってみましたが…、あまり効果は感じられませんでした。
次に、油が残った小皿に醤油を入れて少し置いて水ですすいだ後、食器用洗剤で洗ってみました。いつもよりサラッと油が落ちたような気がします。小皿は白色でしたが、心配だった醤油の匂いや色が残ることはありませんでした。
積極的におすすめするというほどではないですが、期限切れで食用できない醤油であれば、炒めものをした後のフライパンにかけて少し置いて油を落としやすくするなどの使い方はよいかもしれません。
醤油には塩などが含まれていますので、しっかり洗い流すようにしましょう。
期限切れなら醤油実験もおすすめ!
料理などに使えない賞味期限切れの醤油の使い道としては、実験に使うというのもよいですよ。醤油で10円玉をきれいにする実験を、実際にやってみました。筆者が行った方法は次のとおりです。
【準備するもの】
・醤油:50cc程度
・茶色くくすんだ10円玉:3個(くすみが同じ程度のもの)
・小皿:1皿
【実験のやり方】
1.10円玉を手洗い洗剤で洗ってふく(衛生・除菌のため)
2.小皿に醤油を入れる
3.2に10円玉を2個ひたして一晩置く(1個は比較用としてひたさずに置いておく)
4.醤油から10円玉を取り出して、お湯ですすぐ
【結果】
醤油に一晩浸け置いた10円玉は、比較用にとっておいた10円玉と比べるまでもなく、2個とも色が明るくとてもきれいになりました。
こんなに違いが出るなんて、びっくりです。ただ、新品硬貨のようなピカピカした輝きはなく、艶のないやや白めの色になっています。
少し化学的なことをいうと、10円玉の表面にあるくすみ・汚れの主成分は「酸化銅」です。
酸化銅はグルタミン酸などの「アミノ酸」とよく反応し、また、食塩などの「塩化物イオン」は、酸化銅とアミノ酸などとの反応を助ける効果があるそうです。
つまり、醤油はアミノ酸と食塩を多く含むので、10円玉の表面をきれいにできるということですね。筆者は確実にくすみを取りたかったので一晩も醤油につけましたが、もっと短時間でも効果があるようです。
興味のある方は、醤油につけ置く時間を変えてみたり、醤油をうすめてみたりして、色の変化を観察してみても面白いかもしれません。お子さまの自由研究にもいかがでしょうか?
醤油の捨て方は?
少量の醤油であれば、シンクやトイレに流してもOKです。醤油をムダにしてしまうのは避けたいですが、賞味期限切れの醤油をすぐに処分したいときなどは、捨てるのも致し方ないですね。
・キッコーマン公式サイト
「少量であれば、流水でうすめて流していただいて結構ですが、多量の場合は、市町村よって処理方法が異なりますので、市町村の担当部門にお問い合わせください。」
・ヤマサ公式サイト
「地区町村によって処分方法が異なる場合があるようです。お住まいの役所などに相談して下さることをおすすめします。」
醤油の捨て方は、居住地の市町村に尋ねるのがよさそうですね。役所から配られたごみ分別方法の冊子で醤油を探しましたが、醤油の捨て方は載っていませんでした。なので、役所に電話をして聞いてみました。
と、丁寧にお答えいただきました。
各自治体で多少の違いはあるかもしれませんが、賞味期限が切れて使えない醤油が大量にある場合は布や紙にしみこませて可燃物として出す。
少しの場合は流水でうすめながらシンクやトイレに流すというのが、一般的な捨て方になるかと思います。
醤油を捨てることは食品ロスになりますし、環境にも負荷がかかってしまいます。家族で使う分を考えて使用量にあったサイズの醤油を購入したり、小さめのサイズにしてこまめに買うなどの工夫をしていきたいですね。
まとめ:賞味期限内でも、開封後の醤油は1カ月程で使い切ろう!
未開封の醤油の賞味期限は比較的長く、種類や容器によりますが、8カ月〜2年となっています。一方開封後の場合は冷蔵庫に入れて、1カ月を目安に使い切るのがよいでしょう。
未開封の醤油は賞味期限を過ぎてもお腹壊すなどの危険性は低く、若干の期限切れであれば料理に使える場合が多いので、佃煮や煮物に利用しましょう。
醤油の劣化や傷みが心配なときは無理に食用せず、掃除や実験などに使うのが無難です。家族の使用量にあったサイズの醤油を購入し、おいしくいただける間に使い切るようにしましょう!