そんな疑問に答えます。
健康志向が高まる中、天然酵母パン作りを楽しむ方が増えてきています。
天然酵母の材料として最近人気なのが、肌がすべすべになるなどの美容効果で知られている「酒粕」。酒粕を使った天然酵母パンは、米ぬかの香り高い上品さが魅力。
ただ、酒粕酵母パンを家庭で作るとなると、難しそう…失敗するのが怖い…などの理由で躊躇する方が多いようです。
この記事では、パン作り初心者の方でも気軽に作ることができる、酒粕酵母パンの作り方・失敗しないためのコツを、わかりやすく紹介していきます!
目次
酒粕酵母パンを作るための下準備
酒粕酵母パンを作るためには、材料のひとつである「酒粕酵母」が必要です。「酒粕酵母」は、パンをふわっとふくらませ、独特の風味を与えるために欠かせない材料。
実は、酒粕酵母を作るためには、1週間という長い日数が必要なんです!そう…パンを食べたいと思って数時間後に完成…とはいかないんです。
気長に取り組みたい酒粕酵母作り。以下で、その作り方を詳しく説明していきます。
パン作りに使う酵母にはどんな種類が?酒粕を材料にできるの?
パンをふわっとふくらませるために必要な材料が「酵母」です。「酵母」は、パンをふくらませるだけではなく、パンの風味や香味、旨みを作り出してくれます。
パン作りに使う酵母といえば「イースト」が有名。パン屋で手に入る一般的なパンを作りたい場合は「イースト」を使います。
イーストは、パンをふくらませることに特化した単一の酵母を培養したもので、他の酵母は含まれていません。非常に強い発酵力が特徴です。
「イースト」以外の酵母は「天然酵母」と呼ばれます。「天然酵母」にはさまざまな酵母に加え、乳酸菌や酢酸菌などのいろいろな細菌が含まれています。
「天然酵母」は、イーストと比べるとかなり発酵力が劣ります。しかし、さまざまな酵母や細菌が含まれているので、独特の風味や香味を感じることができます。
「天然酵母」には、多くの種類があります。例えば、身近な食品を材料にしたい場合「りんご」「レーズン」「ヨーグルト」などを材料にできます。
最近、美容目的で「酒粕」を家庭に常備している人が増えていますから、「酒粕」を材料にするのもおすすめです。酒粕酵母で作るパンは、米ぬかの香りが特徴的で、しっとりとした食感が魅力。
「酒粕」には酒造りに適した麹菌が含まれており、発酵力が比較的強いので、天然酵母パン作り初心者の方におすすめしたい材料です。
酒粕酵母の作り方
酒粕を使った天然酵母の起こし方…実はとっても簡単なんです。
酒粕のもととなる清酒造りの工程で、清酒に清酒酵母が加えられているのです。この酵母菌を活用すると、比較的手軽に酵母培養できるというわけ。
材料を合わせて、清潔な瓶に保存すれば、酒粕酵母が完成します!以下でその手順をご紹介します。
【材料(500ml瓶)】
板酒粕:80グラム
水:240ml
はちみつ:小さじ1
【作り方】
1. 保存瓶を消毒しておきます。
2. 保存瓶に、板粕・はちみつ・水を加え、ふたをします。常温において1週間程度で白濁して、ぷくぷくわいてきます。
3. ぷくぷく、しゅわしゅわし始めたら完成です。すぐに使わない場合は、冷蔵庫で保存。
4. 使うときは、冷蔵庫から出し、常温に戻すようにしてください。
【ポイント】
特にかき混ぜる必要はありません。できあがるまでの間、たまにふたをとって、中の様子を見るようにしてください。
酒粕酵母を使ったパン作りの方法
酒粕酵母を使ったパン作りの方法には「ストレート法」と「発酵種法(元種)」の2つがあります。パン作り初心者の方には、なんだかピンとこない呼び名かもしれませんね。
これら2つの方法の特徴について、わかりやすく解説していきます。
短時間でパンが作れる「ストレート法」
完成した酒粕酵母をそのまま使ってパン作りをする方法を「ストレート法」といいます。酒粕酵母を水分の代わりに使う作り方です。
工程としてはわかりやすくスムーズで、初心者には「ストレート法」がおすすめです。短時間でパン作りにとりかかれるという特徴があります。
ただし、面倒な点がひとつだけあります。「酵母が活性化しているピークを見極めて作る」必要があります。
ピークを逃してしまうと、パンをふくらませることに失敗してしまう可能性があるのです。
酒粕酵母の状態があまり良くないと感じた場合は、ひとつまみ程度のドライイーストを足してみることをおすすめします。
酒粕酵母の状態の見極めのコツ
酒粕酵母は、仕込んでから1週間程度たつと「ぷくぷく、しゅわしゅわ」し始めてきます。この状態を「発酵」といい、十分に発酵したら、酒粕酵母は完成します。
この最高に良い状態を「酵母の状態のピーク」といいます。ピークの状態でパン作りをすれば、問題なくパン作りは成功。
しかし、酒粕酵母完成から2、3日後にパンを作ろうとすると「ピーク」を過ぎてしまうことがあります。
ピークを過ぎたかどうか見極めるには「酵母はぷくぷくと泡立っているか?」を確認する必要があります。
もし「酵母がぷくぷくしていなかったら」酵母の状態は良くありません。その場合は、ドライイーストをひとつまみ加えて、発酵力をアップさせる必要があります。
発酵が安定している「発酵種法(元種)」
完成した酒粕酵母にさらに粉を足して生地を作っていく方法を「発酵種法(元種)」といいます。ストレート法より工程が多くなります。そのため、パン作り中上級者向けの作り方だと言えます。
面倒に感じられるこの作り方には、大きなメリットがあります。酒粕酵母の状態があまり良くなくても、失敗しにくい作り方なのです。
酒粕酵母に粉を足して生地を作る段階で、たとえ酒粕酵母の状態が悪いと感じたとしても、粉を足してあげれば、ふんわりふくらむ良い生地ができあがるのです。
ただし、どの程度粉を足せば生地の状態が良くなるかの見極めは、とても難しいです。過去のパン作りの経験がものを言うとされており、明確に定義するのは、なかなか大変。
初心者にはおすすめできません。
初心者にもおすすめ!気軽に作れる酒粕酵母パンのレシピ
酒粕酵母パン作りというと、初心者には難しいというイメージがあります。生地を発酵させる手順が面倒に感じられるんですよね。
ここでは、ホームベーカリー使用で発酵不要のレシピと、発酵手順がシンプルでわかりやすいレシピをご紹介します。
余った酒粕酵母を活用した焼きまんじゅうのレシピもあわせてご紹介していきます!
ホームベーカリーで簡単!発酵不要の酒粕酵母パン
ホームベーカリーで簡単に作れる酒粕酵母食パンのレシピをご紹介します。作り方はストレート法。
手順のポイントは「酒粕酵母」が良い状態であること。その点が大丈夫であれば、何も問題ありません。発酵はホームベーカリーにおまかせで作れる、失敗知らずのレシピです。
【材料(2斤サイズ)】
酒粕酵母:160グラム
水:180cc
砂糖:10グラム
強力粉:450グラム
塩:4グラム
マーガリン:15グラム
【作り方】
1. ホームベーカリーの容器に、酒粕酵母・水・砂糖を入れ、軽く混ぜ、強力粉・塩・マーガリンの順に加えます。
2. ホームベーカリーにセットしてスタートします。すべてホームベーカリーにおまかせでOK。どのコースを選択するかが重要。作るパンは「食パン」ですが、「フランスパンコース」を選択することをおすすめします。「フランスパンコース」は「食パンコース」より発酵時間が長めです。
3. ホームベーカリーにセットして約5時間で完成です!
【ポイント】
酒粕酵母の発酵のピーク時に焼くのがおすすめ。ピークを逃してしまった場合は、酒粕酵母に、ドライイーストを1グラム程度足してみてください。
オーブンだけでできる!初心者向けの酒粕酵母パン
ホームベーカリーをお持ちでない方でも気軽に作れる、酒粕酵母パンのレシピをご紹介します。作り方はストレート法。
生地を発酵させる手順を面倒だと感じる方がいるかもしれませんね。ここでは、無駄を省いたシンプルな手順をご紹介していますので、参考にしてみてくださいね。
【材料】
酒粕酵母:100グラム
中力粉:300グラム
塩:小さじ1
水:120cc
【作り方】
1. ボウルに、酒粕酵母・中力粉・塩・水を合わせてよくこね、半日から1日おきます。生地が1.5倍ほどにふくれたら完成です。
2. 生地を2つに分割し丸め、30分ほど休ませます。乾燥しないように、固く絞った布巾をかぶせます。
3.2の生地を丸めて天板にのせ、霧吹きをして最終発酵させます。30℃程度で1時間。生地が1.5倍ほどにふくれたら完成です。
4.オーブンを200℃にあたためます。3の生地に切れ目を入れ、霧吹きをして、200℃で20分、180℃で10分焼きます。
【ポイント】
発酵時の温度、オーブンの温度が重要になりますので、レシピに忠実にやってみてください。
酒粕酵母の焼きまんじゅう
パン用に用意した酒粕酵母が余ってしまうこと、ありますよね。できれば、パン以外の料理にも活用したいところ。
ここでは、子どものおやつにもピッタリの焼きまんじゅうのレシピをご紹介します!
【材料(8個分)】
薄力粉:150グラム
きび砂糖:20グラム
塩:ひとつまみ
重曹:ひとつまみ
ぬるま湯(30℃くらい):50cc
酒粕酵母:30グラム
●八丁味噌:50グラム
●きび砂糖:50グラム
●みりん:60グラム
【作り方】
1. ボウルに、薄力粉・きび砂糖・塩・重曹を入れ、ゴムベラで混ぜます。
2. 1に酒粕酵母・ぬるま湯を加え、ゴムベラでよく混ぜ、ひとまとめにします。
3. まな板などの台に、分量外の強力粉を少々ふりかけ、2の生地をのせて、8等分にし、丸めます。
4. 深い鍋に水を2センチはり、蒸し板をのせます。クッキングペーパーを敷きます。
5. 4のペーパーの上に3の生地をのせ、火にかけます。鍋に手をかざして、ほんのり温まったら火を止め、ふたをして1次発酵(1時間)。
6. 生地が2倍にふくれたら、火をつけ強火にします。沸騰したら中火にし、25分ほど蒸します。
7. フライパンに薄く油を敷き、まんじゅうを焼きます。●の調味料をあらかじめ合わせておき、それを加え、軽く煮からめたら完成です!
【ポイント】
混ぜるときは、手よりもゴムベラがおすすめです。
まとめ:手作りパンの味わいは最高!もっと気軽に酒粕酵母パンを作ってみよう♪
独特の米ぬかの香りが魅力的な酒粕。その香りを強く感じられる食べ物としておすすめしたいのが、酒粕酵母パンです。
酒粕酵母パン作りは、パン作り上級者にしかできない…そんなイメージがあります。しかし、ホームベーカリーまたはオーブンがあれば、意外に簡単に酒粕酵母パンを作ることができます。
さっそく次の週末に、酒粕酵母パン作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?